ボッチでもゆるいキャンプがしたい   作:蚊取りG

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2話目の投稿が遅くなって申し訳ありません。
プロローグと1話で続けていた調理シーンを何とか入れようと悩んでいたら、投稿が遅くなってしまいました。
結局早くも調理シーンを入れるのは諦めましたすみません。

誤字脱字のご指摘をしていただいた方々ありがとうございます。
投稿前に一度確認は入れているのですが、それでも出てしまうものですね。


第2泊 出会いは突然に

志摩りんside

 

 

「う~ん、トマトジュース1缶、コンソメ1個、野菜はあらかじめカットしておく・・・コッヘル1個あればできるのか。今度やってみようかな」

 

時は過ぎ放課後、私ははじめてのアウトドアめしという本を読みながら廊下を歩く。

 

「ラーメンも飽きたし、あの親子丼も美味しかったし」

 

ふと思い出す。

週末に行った本栖湖キャンプではひどい目にあった。

トイレに行ったら驚かされるし、逃げたら追いかけられるし、逃げた先で隣にテントを張っていた男の人とぶつかるし、ほんとうに散々だった。

 

しかし、各務原さんのおかげで御隣さん(結局名前を聞く機会を逃してしまい、互いに名乗っていない)が作った親子丼を作るところを直に見ることができただけでなく、食べることまでできた。そのことだけは感謝せねばなるまい。

 

あの親子丼もごはんは別に用意していたが、メインの調理はコッヘルの蓋だけで完結していた。

 

あんなものを見てしまえば自分も挑戦せずにはいられない、気づけばこんな本を買ってしまったのだった。やはりせっかくキャンプをするのなら、キャンプならではの料理をしてみたい。

 

いざ調べてみると、かなり種類も多く色々なことができるようだ。これは次のキャンプに何を作るのか迷ってしまう。

 

『今度はちゃんと、キャンプやろうね!』

 

そこで今度は、各務原さんが別れ際に言っていた言葉を思い出す。立ち止まって自分のスマートフォンの連絡帳を起動し各務原なでしこの名前を探す。

 

「一回ぐらい誘った方がいいんだろうか」

 

しかし、南部町に住んでいる事しか知らないし、何歳で何をしている人なのかもわからない。

そんな人を寒くて過酷な冬キャンプに誘って楽しんだろうか・・・そもそもソロ以外でキャンプしたことないし、あまり積極的にやろうとも思えない。

 

しばし立ち止まって考える、11月も半ばの冷えた空気が廊下の窓越しでも感じられる。学校の生徒だろうか、廊下の向こう側から息せき切ってはしる生徒とすれ違う。廊下を走る足音が遠ざかるのをしり目に私は―――考えるのを止めた。

 

「暖かくなるまでまだいいか」

 

図書委員の仕事もあるし、さっさと行こう。

私は再び歩き出した。

 

 

各務原なでしこside

 

 

私事各務原なでしこは廊下を急いでいる、何故急いでいるのか?それは居てもたってもいられないからです!

 

山梨に引っ越してきた初日、お姉ちゃんに聞いた本栖湖の絶景を見たかったから、自転車で息せき切って本栖湖に着てみれば、曇っていて肝心の富士山が見えないじゃないですか奥さん。

 

しかたがないからベンチに座って晴れるのを待ってたらいつの間にか眠っちゃって気が付いたら夜になっちゃっててもう大変。

 

暗いし怖いし寒いし途方に暮れてた処にたまたま通りかかった女の子がいたからつい近寄っちゃった。そしたら女の子はびっくりしちゃったのかランタンを放り出して走って逃げちゃったから私もつい追いかけちゃった!ちょっと反省・・・

 

無我夢中で追いかけてたら暗闇で男の人とぶつかっちゃった!女の子と私大ピンチ!

 

でも優しい人でよかった、ハンカチ貸してくれただけでなく親子丼まで作ってくれた。あの親子丼美味しかったな~、また食べたいな~。

 

後で気づいたけど、その時のハンカチ返しそびれちゃったからどこかで会えないかな。名前も連絡先も聞くの忘れちゃってお姉ちゃんにも怒られちゃった。

 

女の子が大きくしてくれた焚火に三人で当たってたら、雲が晴れて夜の富士山を見たら感激しちゃった。

 

そんな訳で私、各務原なでしこはあの時の二人みたいにキャンプがしたくてたまりません!そこでちょっと調べてみたらなんとこの学校には野外活動サークルっていうサークルがあるらしい。これはもう入るしかありません!先生に聞いたらそのサークルは運動部の部室棟の端っこにあるらしい。そこで居ても立っても居られずにここまで走って来ちゃった!

 

「あった!部室棟!」

 

目的のサークルは部室棟2階の先。階段を駆け上がって廊下の先へ、登山部の入り口を過ぎれば―――

 

「ここだ!」

 

急ブレーキで立ち止まる、靴が滑って少し滑走してしまうが、見事目当ての扉の前で止まることができた。

 

「野外活動・・・サークル!」

 

こうして私、各務原なでしこのキャンプライフが始まりを告げた。

 

 

山下岳広side

 

 

山下家の朝は早い。単純に両親共働きのため、出勤の都合で起きる時間が早いのだ。場合によっては朝の4時とか2時とかに起きて出勤したり、そもそも帰ってこずにそのまま職場に泊まることもあるくらいだ。そんな両親に育てられた俺は、自然と両親と共に朝早く目覚め、朝食を共に作る(山下家は家族総出で家事を行う)、親父と一緒に作った朝食を用意し、お袋が用意してくれた弁当を確認んしてから朝食を食べる両親を尻目にランニングに向かうのが日課になっている。

 

「それじゃ、いってきます」

 

いつも通りの挨拶を行うと、両親はこれまたいつも通りの返事を返してくる。

 

「いってらっしゃい岳広、気を付けてね」

 

身の安全を心配してくれるお袋。

 

「おう、いってらっしゃい。学校行く前に戸締りの確認よろしくな」

 

戸締りの注意喚起をしてくれる親父。

 

そんな二人のいつも通りの返事を聞いて、俺は一度家を出る。しかし、両親は物好きだ。朝が早いから道は空いてるだろうが、もっと職場の近くに住めばいいのにといつも思う。それを言ったら、どうも両親の趣味で、昔仕事でこっちに来た時に富士山の眺めに感動し、こっちに異動になったら富士山を眺めながら出勤するのが夢っだたんだそうだ。親父は運転してるから見れないじゃないかと思ったがそれはそれらしい。

 

11月も半ばの早朝は冷える。流石に北海道出身の俺でも普通に寒いと感じるが、それでも以前いた町と比べると断然今の方が過ごしやすいと常々思う。山に囲まれた山梨特有の激しい寒暖の差(まだ夏の暑さしか体験していない、暑くて死ぬかと思った)はあれど、11月の過ごしやすさは正直気に入っている。この時期になっても雪の心配が全くないのがなによりいい、場所さえ選べばキャンプもゆったり楽しめるというものだ。

 

キャンプといえば、本栖湖であった2人の少女を思い出す。一人は元気溌溂なピンクの少女、名前は確か各務原なでしこ。もう一人は、物静かな青の入った黒髪の少女、御隣キャンパーさん。そういえば名前を聞いていない、というかこちらも名乗っていない、そして各務原ちゃんに貸したハンカチを回収するのを忘れていたのを思い出した。しまった、柄が気に入っていたのに・・・まあ今更気づいても後の祭りというものだ。連絡先も覚えてないし、もちろん渡してもいない。そもそも初対面の少女に、「何かあったら連絡して」なんて連絡先を渡す度胸があるならボッチになんてなっていない。

 

しかし、あの少女達は何歳なんだろうか。共に一人であんなところまで来れるのだ、パッと見で考えても俺と同じか下、間違っても上はないだろうと推測する。2人につぶされた時の感触を考慮しても・・・きっと下だな。各務原ちゃんはともかく御隣キャンパーさんは下だろう。どこがとは口が裂けても言えない。

 

そこまで考えてあの時の感触と匂いを思い出してしまい、煩悩を振り払うためにペースを上げて走っているとあっという間に一周して家に戻ってしまった。

 

両親はもういない、時間に余裕もあるし、ゆっくりとシャワーを浴びて朝食を食べる。制服に着替え予め用意しておいた鞄に弁当を入れ早めに家を出る。

 

そんなこんなで放課後。今日はバイトもないし、図書室にキャンプ雑誌の新刊が入ったとの情報をキャッチした俺は、次のキャンプに思いを馳せることにしようと急ぎ図書室に足を運んだ。

 

図書室に着くと担当の先生が放課後の図書室を開放する処だった、先生に軽く挨拶をし適当に本を探す。そこでふと足元に何かが落ちているのに気づく。何だこれ?パイプの切れ端のような金属パーツが転がっている。よくわからないので落とし物箱に入れて本棚に戻る。だが、俺が落とし物を届けている隙に、誰かが目当ての雑誌を借りていってしまったようだ。くそ!せっかくビバークの新刊が入ったって聞いたから来たのに・・・仕方がないので他の本を探す、しかしこの学校の図書室は中々面白い本が多い。ふむ、こんなギアもあるのか・・・

 

ついつい本棚の前で長々と立ち読みをしてしまった。凝ってしまった肩を回していると窓に何かがぶつかったような大きな音がして慌てて見る。するとそこには―――同じ高校のジャージを着たピンクの髪の少女、各務原なでしこが窓ガラスに顔面からぶつかっているではないか。

 

何だこれは、どういう状況だ?わけがわからない、混乱する頭のまま俺は各務原なでしこがぶつかった窓に向かい勢いよく開ける。

 

「おい君、大丈夫か?」

 

窓から覗いて下を見ると、鼻を抑えている各務原なでしこがいた。

 

「だ、大丈夫です~。って、あれ?」

 

そこで俺と目が合う。しばしの沈黙の後、少女の表情が呆然からみるみると喜びへと変わる。今にも光る星が出るんじゃないかと言わんばかりの表情になった少女は大きな声でとんでもないことを言い放った。

 

「あ~!!親子丼の人!!」

 

まて、真実だがその発言はいらぬ誤解を招く恐れがある。俺が唖然として言葉を出せずにいると、突然後ろから声をかけられる。

 

「ちょっと」

 

しまった!図書室なのに大きな声で話してしまったから図書委員に怒られる!俺はほとんど喋ってないけど。

 

とりあえず謝ろうと後ろを振り向くと、再び絶句する。そこにはなんと―――同じ学校の制服を着た御隣キャンパーさんがいるではないか。

 

これが俺と各務原なでしこ、志摩りんとの衝撃の再会であり、大垣千明、犬山あおい、斎藤恵那との初めての出会いであった。




すでに皆さまお気づきだと思いますが、このSSは基本原作の話の通りに進んでいきます。
主人公を足す都合で多少話は変わって行きますが、話の大筋は基本原作通りに進めるつもりです。
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