如月くんと7人の魔女   作:桂ヒナギク

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2.元に戻る

 学校に登校した。

 下駄箱の前で白石と遭遇する。

「おはよう、如月くん」

「あ、ああ、おはよう。てか、夢じゃなかったのな」

 白石は無言で教室へ向かう。

 俺も後を追う。

「如月くん、今日は補修だったわね」

「うん」

 教室へと入る。

 俺は白石の席に着き、白石は俺の席に座る。

 教師が入ってきてホームルームが始まる。

 ……。

 …………。

 ………………。

 放課後。俺は鞄を手に教室を出る。

「白石!」

 呼ばれて振り返る。

「今日のお前、変だな」

「そ、そんなことないわよ?」

「お前、如月だろ」

 そう言うのは、生徒会書記でクラスメイトの黒川 智樹(くろかわ ともき)だ。

「何言ってんの? 如月くんはあそこで補修受けてるじゃない」

 俺は補修を受けている白石を指差した。

「ちょっと来い!」

 俺は黒川に空き教室へと連れ込まれた、

「な、何するつもり?」

「今日のお前を見てて分かった。お前は如月だ」

「根拠はあるのかしら?」

「5で割ると3余り、6で割ると4余り、7で割ると5余る最小の自然数を8で割った余りは?」

「そんなもん答えられるか!」

「やっぱり如月だろ。白石なら速攻で答えるぜ。因に答えは0だ」

「ああ、そうだよ」

「どうやって入れ替わったんだ?」

「知らねえよ。階段から一緒に転げ落ちたら入れ替わってたんだ」

「そうか……」

 黒川は考え込む。

「もういいだろ。俺は帰る」

 俺が空き教室を出ると、白石が現れた。

「補習は?」

「もう終わったわ」

「マジか!?」

「ええ」

「早いな」

「ついでだから、試してみましょう?」

「何を?」

「元に戻るのを」

「どこで?」

「あの階段で」

「痛いの嫌だな……」

「このまま元に戻れなくてもいいの?」

「それは……」

 俺たちはあの階段へ移動した。

「やるわよ」

 俺と白石は階段から転げ落ちた。

 だが、何度やっても元に戻らない。

「何で戻らないんだ?」

「まだ他に試してないことがあるわ」

「何を試してない?」

「キスよ」

「き、きき、キス!?」

「昨日、落ちる時、偶然キスをしたわ。兎に角、やってみましょう?」

 俺はゴクリと唾を飲み込んだ。

 白石の唇が近付いてくる。

 そして次の瞬間、俺は元の体に戻っていた。それは白石も同じだった。

「どういうことなんだ?」

「きっと私たちはキスをすることでお互いの体を交換することが出来るのよ」

「それって、白石が魔女ってこと?」

 黒川が訊ねた。

「「魔女?」」

「実はこの学校には魔女伝説ってのがあってな、全部で七人の魔女がいるらしい。その内の一人が入れ替わりの能力を持つ魔女だ」

「何でそんな情報知ってんだ?」

「生徒会長から聞いた」

「あそー……って、えええええ!?」

「という訳で、君たちを超常現象研究部に招待する」

ついてこい──と、黒川は歩き出す。

 俺と白石は黒川の後を追った。

 


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