漫画版ズ・メビオ・ダとほのぼの暮らす話   作:erif tellab

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さぁ、ネタが尽きて参りました。


初手、ファイナルアタック

 グロンギの極めて高い生命力のおかげか、先ほどまで凍え死にそうだったガリマ姐さんはある程度の元気を取り戻していた。ただし、寒さには相当堪えたようで、毛布を頭から被って囲炉裏の前から離れない。

  彼女には桑の葉を使った温かいお茶を渡した。事前にこちらで味見はしているので代用コーヒーのような悲劇は起きないと思うが、お茶を一口飲むまで内心ヒヤヒヤとした。結果的に「甘くないが美味しい」と言っていただけたので、そこは安心だ。今もちびちびと口をつけている。

  メビオの方は未だにガリマ姐さんには突っ掛かっていない。むしろ同じく寒がりのため、ガリマ姐さんの隣で静かに囲炉裏の火で暖まっている。なんて平和な一時なのだろうか。

  そんな中、お茶の入ったコップから一旦口を離したガリマ姐さんが、話を切り出してくる。

 

「迷惑を掛けてすまないな。いつもならとっくに冬眠していたものだから、冬に飲まれてしまった」

 

「別に迷惑だと思ってませんよ。目の前にいるのに見殺しなんてできるはずないし、ガリマ姐さんですし」

 

「ん、そうか。これが友達というものか」

 

「はい、もうそれでいいです」

 

  そうやって独りでに頷くガリマ姐さんに応じて、俺も適当に相槌を打つ。彼女の不思議発言に関しては、深く考えない事にした。

  それからガリマ姐さんが再びお茶を飲もうとする直前、ふとしたり顔になったメビオが彼女に話し掛ける。

 

「不様だな、ガリマ。冬を甘く見るからだ」

 

「その格好で説得力は微妙だぞ、メビオ。お前も冬眠しないの初めてだろ」

 

「むっ、それは言うな」

 

  挑発とも思える内容に俺が咄嗟に言葉を挟み、メビオの表情はばつの悪そうなものへ変わる。次には羽織っていた毛布をよりくるまうのだった。ガリマ姐さんとお揃いの、顔だけを出した状態になる。

  それはさておき、個人的にどうしてガリマ姐さんは冬眠していないのかが気になるところだ。あんな風に雪に飲まれてしまうのなら冬眠が無難なのに、随分とメ集団最強のグロンギらしくない。複雑なルールのゲゲルを考えられるぐらいの知恵はあるはずだ。

  特に戸惑う事はなかったので、俺は彼女に一つ聞いてみた。

 

「それにしても、どうして冬眠しなかったんですか? そのチャイナ服、薄着ですよね?」

 

「本当は冬眠するつもりだったのだが、どうせなら寝る前にガミオたちと会っておきたかったんだ。だが、雪が降る景色にすっかり目を奪われて、気付けばこうなった。迂闊だったよ」

 

  俺の質問にガリマ姐さんは言葉に詰まる様子も見せず、澄まし顔ですんなりと喋る。これが本当だと考えれば、ほとほと呆れて物も言えなくなる。

  脳内に浮かび上がった、雪降りに興奮してぴょんぴょん跳ねるガリマ姐さんのイメージを懸命に打ち消す。キャラ崩壊やギャップ差も良いところだ。行動に出してなくても胸の内では間違いなくはしゃいでいたと思わせるのは、本当にズルい。

  こうして、まったりとした時間が続く。三人一緒に粟団子を食べながら談笑し、ちょうど良い頃合いを向かえると俺は雪かきの準備に出る。長靴、手袋、フード付き外套などの防寒具フルセットを纏う。シャベルは外の物置にあるので、雪の中を取りに行かなければならない。

 

「じゃあ、雪かき行ってきます。メビオ、ガリマ姐さんと喧嘩するなよ」

 

  そう言って玄関の扉を開ける寸前、突如として慌てふためいたメビオが声を上げる。

 

「あっ、外に出ちゃダメだぞ、ガミオ! ダメだ! 一緒がいい!」

 

「雪かきは後回しにしたくないんだよ。なんならメビオも手伝うか? 外に出て」

 

「それは……うぅ……」

 

「ガミオ、私が手伝おうか? 助けてくれた礼がしたい」

 

  雪かきをするか、家の中に留まるか。二つに一つかの選択に頭を抱えたメビオを尻目に、ガリマ姐さんがそう申し出る。

  手伝ってくれるのはありがたいが、彼女はつい先ほど凍死しかけたばかりだ。体力も回復しきっていないだろうし、無理をさせていられない。逆に足を引っ張られてしまう恐れもある。

  ここはしっかり言い放たなければ。なおかつ差し当たりのないよう、俺はガリマ姐さんに一言告げる。

 

「ガリマ姐さんは気にしないで休んでてください。こっちにはザクⅡがいるんで」

 

「……そこまで言うなら。では甘えさせてもらう」

 

  すると、甘んじてくれたガリマ姐さんはおもむろにその場で寝転がる。毛布を被って横になっている姿は、実に心地好さそうだ。図々しいと言うか、なんと言うか。これはある意味すごい。

  それにつられてか、メビオも寝始める。二人とも、囲炉裏の前がすっかり定位置になっていた。コタツがあれば、きっとその魔力に魅了されるに違いない。

 

  二人を放置する事を決めた俺は迷わずに外へ出る。物置から取り出したシャベルは柄が木製、先端が青銅で出来ている。先端の加工はモーフィングパワーでごり押した。製鉄なんてやっていられない。

  二本のシャベルの内、片方をザクⅡに渡す。鎌倉の大仏のように台座の上で待機していたザクⅡはシャベルを受け取るや否や、モノアイを瞬間的に強く発光させる。やる気は十分のようだ。

 

「よし、いくぞぉ!!」

 

「――!」

 

  俺のかけ声を合図にし、同時に雪原と化した庭へ突撃していく。雪かきで頼れるのは最早、己とザクⅡのみ。我が家が雪に覆われるのから守るためには、リタイヤは許されない。外の寒さに負けじと、動いて身体を熱くせんとシャベルを振るう。

  その途中、ザクⅡがいきなり黄金に輝き出したのはここだけの話だ。おかげで雪かきの効率は一気に跳ね上がったが、輝きは一時的なものに過ぎなかった。次からはこれをハイパーモードと呼んでおこう。

 

 

  次の日の朝。雪は止み、空は青く澄み渡っている。受ける日光は暖かいが、時々冷たい風が流れてくるせいで打ち消される。今日も今日とて、厚着は必須だ。

  そんな中、外出する俺とザクⅡにメビオとガリマ姐さんが付いてくる。彼女たちにも防寒具フルセットを纏わせてあるので、凍えさせる心配は少ししかない。メビオはいつも通りとして、ガリマ姐さんは雪景色を見てみたいとの事。

  だが、メビオもキョロキョロと辺りを見回す。例年通りなら冬眠していたから、こんなに雪が積もった景色が新鮮なようだ。

  少し歩いたところで、やたら精緻でバリエーション豊かな雪だるまの群れと出会う。これらは全て、昨日の内にザクⅡと作っておいたものだ。案の定、これを見つけたメビオは大いにはしゃぎだす。

 

「おお! なんだ? なんだなんだ!? ガミオ、これはー?」

 

「メビオたちが篭ってる間に作っておいた。名称は雪だるま。こっちはグフ、ドム、ゲルググ。さらにこっちは右から順にユニコーンドリル、レオサークル、ガトリングボア、ブルホーン、バイパーウィップ、ドラゴンフレア。フェニックスエールは疲れたから諦めた」

 

「多くて覚えられないぞ! でもわくわくする!」

 

  そわそわが止まらなくなったメビオは、急いで雪だるまの元へ駆けつける。彼女にとって、雪だるまの物珍しさは確かにあった。

  まぁ、一角獣や獅子、猪、牛、蛇、ドラゴンと、雪だるまと称するべきか悩むけど。完全に趣味だ。

  ユニコーンドリルたちの周りをぐるぐる回るメビオの傍らで、ガリマ姐さんはグフたちの姿を眺める。爪先から頭のてっぺんまで見たところで、俺に尋ねてくる。

 

「この三体はザクの仲間か? 目がそっくりだ」

 

「はい、仲間です。全員に新品のゲブロンを埋めたので、もれなく動きます」

 

  その瞬間、ここにある全ての雪だるまが動き出した。横目では、起動したユニコーンドリルの背に跨がり、目一杯楽しむメビオが写る。

  これにはガリマ姐さんも唖然としたようだ。間の抜けた表情になるが、すぐに我に戻って笑顔を俺に向ける。

 

「ガミオ、お前はなかなか面白可笑しい事をするな」

 

「まぁ、暇なので。ついでだから雪合戦してみますか? フィールドも一応、作っておきました」

 

「雪合戦?」

 

  かくかくしかじかと、ガリマ姐さんに説明を果たす。説明会には途中でメビオも入ってきて、雪合戦に誰よりもやる気を見せてくる。

  それからグフたちも引き連れて、フィールドとして辺り一帯の雪を整地した広場へ移動する。その合間にメビオがガリマ姐さんに啖呵を切ったりと、始まる前から結構騒がしかった。

 

「ガリマ、勝負だ! 格の違いを見せてやる」

 

「ほう、同じ初心者なのに自信満々だな」

 

「うっ!」

 

  やや幼げな相手の挑発に乗らず、ガリマ姐さんは軽く受け流す。痛いところを突かれたメビオは、たちまち黙りこんでしまう。

  それはそうと、メビオがガリマ姐さんと戦うのなら、俺の陣営に入る事になる。俺と一緒に行動したいのであれば。幸い、グフたちを作ったおかげで人数は足りているが、一応確認を取ってみる。

 

「お前、こっち側につくの?」

 

「へ? あ、えっとえっと、ガミオとも勝負だ!」

 

「じゃあ、ガリマ姐さんのチームな」

 

  そう言いつけると、メビオは石化したかのように固まる。彼女には悪いが、今回の雪合戦は二チームでの勝負だ。第三勢力の編成には人数が足りなすぎる。ザクⅡも組み込ませるから、メビオはガリマ姐さんのチームに入ってほしい。

  この処置にガリマ姐さんは無言で頷き、了承の意思を伝える。後はメビオの気持ち次第だが……。

 

「むー! もういい! 後悔させてやる!」

 

  ちょっと涙目を浮かべながら、メビオは来たるべき試合に燃える。これは怒っているな、すまない。

  ガリマ姐さんチームはメビオ、ザクⅡ、ブルホーン、バイパーウィップ、ドラゴンフレアの計六名。俺チームはグフ、ゲルググ、ユニコーンドリル、レオサークル、ガトリングボアと同じく六名だ。

  基本的にホバー移動で旋回速度に難あるドムには審判に回ってもらう。ドムに任せて平気なのかと問われると、問題はないの一言に尽きる。

 

「雪合戦、レディィ……ゴォォォ!!」

 

  どうしてそうなったのかは知らないのだが、ドムは他と違って喋るのだった。白い旗と赤い旗を持っている辺り、ノリノリである。

  勝敗のルールは特に決めていない。怪人態になるのは禁止。お互い疲れるまで、相手に向かって雪玉を投げ合うだけだ。複雑化させるとメビオが混乱するから、とは断じて口にしてはならない。

  フィールド上には、隠れられるようにして作った雪壁が幾つも設けられている。雪玉を全て避けろとか、無慈悲な事は言わない。しかし――

 

「うおぉ!?」

 

  ガリマ姐さんたちが放つ雪玉の量が尋常ではなく、咄嗟に身を隠す以外に手はなかった。これでは近づけそうにもない。

  ちらりと物陰から覗いてみると、猛烈な勢いで雪玉を投げるメビオとドラゴンフレアの姿が見えた。ハイパーモードになったザクⅡが、次から次へと雪玉を生産する。バイパーウィップとブルホーンは手持ちぶさただ。

  こちら側は、グフとゲルググが些細なれども応戦している。二体の投げる雪玉の投擲精度が抜群だったのが救いだろうか。おかげでガリマ姐さんは二体の攻撃に警戒し、迂闊に雪壁から出ない。

 

「ザク、盾になれ! ガミオに勝つ!」

 

「――!?」

 

「それはザクが可哀想だ。メビオ、挟み撃ちにしよう」

 

「私に指図するな!」

 

  耳が良いおかげで、相手の作戦会議が筒抜けだ。よく注視すれば、メビオたちの攻撃はほとんど俺に集中している。

  そのため、会話中の投擲量は実感できるほどにまで緩んでいた。彼女たちが会話に意識を割かれている内に、隣の雪壁の裏側で座っているレオサークルの元へ向かう。

 

「レオドライブ、インストール!!」

 

  俺の叫びに応じて、息をつかせる間もなく変形したレオサークルが右足に装着される。そして、そのまま垂直に高く跳躍する。

  その時の視界に入ったメビオたちは俺を見て、思わず雪玉投擲の手を休めてしまった。とりわけ、ガリマ姐さんが意外にも愕然としている。この隙が相手にとって命取りだ、容赦はしない。

  レオサークルの鬣部分を高速回転。そこから発生した円盤状のエネルギーは蹴り出すようにすれば、大体のものを破壊しつくす刃として発射される。威力は死なない程度だ。

 

「レオサークル、ファイナルアタック!!」

 

「ふにゃ!?」

 

「……っ!」

 

  反応したメビオとガリマ姐さんは、素早く横に跳ぶ。レオサークルの射線上から出てしまったが、代わりに逃げ遅れたザクⅡとドラゴンフレアに命中した。着弾時の衝撃波で付近の雪が吹き乱れ、巻き添えを受けた雪壁は見事に粉砕。まるで爆発のようだった。

  ファイナルアタックを繰り出した後はレオサークルを分離させ、綺麗に着地する。燃費の問題で、次弾発射にはかなりのインターバルを要した。

  雪を頭から被ったザクⅡたちは、地に伏せてリタイア。ハイパーモードもいつの間にか解けていた。その一方でメビオはブルホーンに駆け寄り、俺の名を呼ぶ。

 

「ガミオー! こいつの名前はなんだー?」

 

「二度は教えん!」

 

「うわぁぁん!」

 

「確かブルホーンだったはず」

 

  泣き寝入り寸前だったメビオに、ふと助言を入れるガリマ姐さん。紆余曲折を経てブルホーンの名を知った彼女の目の色が瞬時に変わり、真っ先にブルホーンの装置を試みる。

 

「おい、ぶるほーん。ガミオが使ったのと同じ奴になれ」

 

「――!? ――!」

 

  メビオに首根っこを掴まれてしまったブルホーンは、嫌々ながらも彼女の願いに応える。あまりにも強引な手口に、俺は思わず面食らってしまう。

 

「えっ、マジで?」

 

「いくぞ、ガミオ!!」

 

「あ、おいバカ! 怪人態は禁止だぞぉぉぉ!?」

 

  俺の注意も聞かずに変身したメビオの初手は、ブルホーン・ファイナルアタック。右手に変形装着したブルホーンを雪原に全力で打ちつけ、亀裂を俺に向かって走らせる。更に亀裂からは、先端が尖った結晶の山が絶える事なく生えてきた。

  発射速度は上々。まず人間態のままでは避けきれない。そのため、俺は形振り構わず怪人態となり、ギリギリのところで亀裂と結晶を回避する。代わりとして、後方にいたゲルググが五体満足のまま吹き飛ばされた。

 

「あっ! ガミオも変身した!」

 

「お前が先だ! 審判!審判ドム! ジャッジを!」

 

  自分を棚に上げたメビオが目ざとく騒ぐ。俺もルール違反した事は確かなので、こうなればメビオもろとも審判ドムに罰せられよう。俺だけがルール違反を問われるはずがない。メビオ、お前も連れていく。

  ちなみにガリマ姐さんはメビオの後ろの方で、変形させたバイパーウィップを左手に装着して遊んでいた。その出来の良さに、すっかり感嘆の声を漏らす。

  その一方で、ノリノリで審判をやっているはずのドムから応答が来ない。何をやっているんだとつい振り向いてみると、そこには――

 

「「ドムぅぅぅぅ!?」」

 

  ガドラ怪人態に足蹴にされ、沈黙したドムの悲しげな姿が発見された。メビオと声が重なり、ガドラの突然の乱入という事で頭の回転が追い付かない。どこから沸いて出た、この虎野郎。

  そんな俺たちに構わず、ガドラは淡々と話し始める。彼が纏っているのは強者の風格。今まで明るい楽しさに満ちていた空間が、否応なしに重苦しいものへと上書きされていく。

 

「何をしているかと思えば遊戯か。雪の投げ合いのどこが――」

 

  しかし、呑気にガドラの発言を許すほど、俺たちは甘くはなかった。数秒もあれば気持ちの整理はあらかたつく。まだ健在のメンバーと協力して、ひたすらガドラに雪玉を投げまくる。

 

「……一先ず雪を投げるのをやめろぉ!! 」

 

  ガドラの怒声が響き渡り、不意にも雪玉投擲の手が休んでしまう。メビオはピクリと肩を震わせ、ガリマ姐さんはピタリと動きが止まる。グフやユニコーンドリルたちも同じような反応だ。

  それでも俺は雪玉を唯一投げ続ける。ただ、ガドラが本気を出してしまえば切り払われてしまうのは容易だった。今までの食らいようが嘘みたいだ。これ以上の投擲は無駄だと悟り、奴の話の続きを聞く気になる。

 

「ガミオ、今度こそ雪辱を果たさせてもらう。この日のために俺は、一から鍛え直してきた!」

 

「あぁ、そうかよ。ドムの仇だ、受けてやる。ただし、雪合戦でな!」

 

「ほざけ!!」

 

  俺とガドラ、お互いの望みは完璧に擦れ違う。楽しい時間だったはずの雪合戦が一転して、ガドラのリベンジマッチとなる。

  俺は飽きずに雪玉を作るものの、ガドラが一気に肉薄してきたせいで投げる余裕がなくなる。冬になってまで本格的な戦闘はやりたくなかったが、仕方なく打つ手を変える。防御の姿勢だ。

 

「メビオ、ガリマ姐さん! ドムを頼む!」

 

  ガドラから止めどなく放たれる拳や蹴りをひたすら受け流し、彼女たちにそう呼び掛ける。メビオの「わかった!」という返事を聞いた後は、ガドラをこの場から少しでも遠くへ引き離す。幸い、彼は防戦一方の俺に食い付いてくれた。

  やがて、受け流しにも限度がやって来る。ガドラの一撃一撃が以前の時より非常に重たくなっていた。正面から止めようとすれば、その箇所が痺れてしまうのは明白。かと言って、守ってばかりではこちらに微量のダメージがどんどん蓄積するばかり。このままではじり貧だ。

  攻勢に出るしかない。鎧を纏う暇までは出来るだろうが、武器は家に置き忘れた。どのみち、肉弾戦を挑むしかない。

  その矢先、ユニコーンドリルが俺たちの間に割って入ってきた。疾走するユニコーンドリルに轢き逃げされたガドラは、僅かに地を転がって受け身を取る。

  隙を見つけた! この間にユニコーンドリルを右手に変形装着し、体勢を整えたばかりのガドラを間髪入れずに狙う。

 

「ユニコーンドリル、ファイナルアタック!!」

 

  ガドラを真っ直ぐ捉えたドリルが回転し、横方向に荒ぶる竜巻が生まれる。そうして発射された竜巻は瞬く間にガドラを飲み込み、雪を抉ってブリザードと化す。

 

「なんのぉ……これしきぃぃ!!」

 

  当のガドラは竜巻を四つん這いになって耐えていた。敵ながら根性は称賛に値する。しかし、それとこれとは話は別。ドムの恨みを晴らさせてもらおう。

  ユニコーンドリルの照準を上に傾けると、竜巻はうねりながら天へと昇っていく。これは流石に耐えきるのは無理だったようで、ガドラは竜巻に揉まれながら大きく空へと身を投げ出された。

  ここでだめ押し。竜巻が止んだ瞬間に俺は駆け出し、両足に力を込めてハイジャンプする。ついでにユニコーンドリルも外す。跳躍の勢いに乗って振り上げられた右拳は、宙できりもみ落下を始めたガドラの腹に吸い込まれた。右腕にずっしりとした重みが襲ってくる。

 

「烈風! 正拳突きぃ!!」

 

「ぐわあぁぁぁぁ!?」

 

  空の彼方と見紛うほどの距離を飛んでいったガドラは、とうとう極寒の川へ水落ちした。激しく水飛沫を上げて、水中へ姿を隠す。十中八九、生きているだろうな。

  こうして地に足を着けた後は変身解除し、ユニコーンドリルと共にメビオたちの元へ戻る。すると、同じく人間態に戻っていたメビオがいの一番に報告してきた。

 

「ガミオ! ドムが立った! ドムが立ったぞ!」

 

「そうか。それはよかった……」

 

  奥の方でグフたちに胴上げされているドムを見つけて、俺は胸を撫で下ろす。愛着を持って作ったから、無事で何よりだ。

 

「そう言えば、随分前に滝打ちしているガドラとも会ったな。打倒ガミオ、と言っていた」

 

「そうですか……」

 

  次にガリマ姐さんからそんな事を聞いた時は、げんなりとした気持ちになる。今度襲われたら遠慮なく烈火炎装でも使おうか。

  でも、ゲゲルと関係ないところで倒したりするとバルバから何言われるか、全くわからないからなぁ。危ない橋も渡りたくない。

  かくして、ガドラのせいで中断された雪合戦は再開の目処が立った。お互いのスタミナが尽きるまで雪投げ、時々ファイナルアタックが続いたのは言うまでもない。レオサークルがガリマ姐さんによしよしと撫でられて寝返ったのは、とても焦った。

 





Q.試合の最後辺りを詳しく。

A.最後はガトリングボア・ファイナルアタックで決めました。


Q.データウェポンさん、出る時代が二千年ぐらい早いですよ。あと時空も違います。

A.スノーウェポンとお呼びください。


Q.ダブルブリザァァァド!! ……じゃないんだ?

A.はい、シングルブリザードです。


Q.この頃のジャモルたちの行方を詳しく。

A.最近になって、ジャモルを使って変身する少女Aとガーゲがチームを組みました。それ以前のガーゲの戦いぶりはこんな感じ。

ガーゲ「その首置いてけぇぇぇぇ!」

敵戦闘員たち「「うわあぁぁ!? 助けて、母さ――」」

敵戦闘員「プリキュアのやる事じゃねぇぇぇ!?」

これでもちゃんと浄化している模様。しかし、毎度のように上から「やりすぎ」と叱責を受けます。ジャモルたちがブレーキ役になってくれるかどうかですね。


Q.その頃のガスポは?

A.ラルトス♂に生まれ変わった彼は、現在進行形でクチートに重く愛されています。モンスターボールにいる時も、同じボールに一緒になって過ごしています。愛はパワーである。
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