FFXV 泡沫の王   作:急須

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Chapter04 神話の再来
神話の予兆


メディウムとルナフレーナが加わった翌日。

ノクティス一行はメディウムの提案によりイリス、ジャレット、タルコット、ルナフレーナをカエムの岬へと送り届けることとなった。

流石にレガリアで行くわけにもいかずメディウムの手配により昼頃に車でモニカとコルがやってきた。

 

「よし。こんなもんか。」

「ごめんな、イリスちゃん。急ぎになってしまって。」

「いえ、安全な場所に連れてってもらえるだけでもありがたいです!」

 

外の車は荷物を乗せると人を乗せるスペースが無いと愚痴っていたイリスの言う通りかなり狭い。

モニカの車に荷物を積んで小柄なタルコットをのせ、乗り切らなかった荷物をコルの車に積み込みイリスとジャレットとルナフレーナには少しの間我慢してもらうこととなった。

 

「にしても嫌な予感ってのは本当に当たるのか?」

「メディウム様の勘は十中八九当たる。先読みも情報の多さだけではなく危機感に対する勘の鋭さが大きい。」

「まあ、完全に運試しなんだが安全な場所に行くこと自体悪いことじゃない。備えあれば憂いなしとも言う。あとイグニス、様はいらない。」

「申し訳ござ…すまない。」

 

丁寧に謝りかけたイグニスをひと睨みで黙らせ、怯んだイグニスが咄嗟に訂正する。

今回の旅は男五人旅の方が何かと楽ということとルナフレーナにはイリスやタルコットの面倒を見ることを頼んだ。

 

完全に口実なのだが戦闘は避けられないことを承知しているルナフレーナはすんなり頷いてくれた。

光耀の指輪はすでにノクティスの手に渡っているが結末を知るメディウムもルナフレーナも語る気になれず覚悟ができれば身につけてほしいとだけ伝えた。

その際動けるのも奇跡的なメディウムも岬に行くように提案され、ノクティス達にも強く勧められたが頑なに頷かなかった。

戦えない王族など、王を守れない従者などいるものかという主張をされるとノクティス達も弱い。

 

しばしの別れの言葉を告げ、走り去って行く車を見送り五人はホテルに戻ろうとするが突然ノクティスとメディウムが頭を抱えてその場にうずくまる。

慌ててプロンプトが駆け寄り声をかけるが、二人はすぐに立ち上がり口々に言葉を落とす。

 

「ノクト!?メディウム!?」

「痛たっ…なんだ今の…巨神?」

「おいおい、説明は俺の役目じゃねぇだろ。」

 

事情がわかっているような口ぶりのメディウムと全くわからないノクティス。

イグニスはメディウムに説明を求めると非常に嫌そうに顔をしかめた。

長い話というより壮大な話だという前置きを置いてこれからノクティス達が歩む試練について語って行く。

 

「真の王は神々と歴代王の力を持って悪しき闇を払い世界に光を取り戻すだろう。神話の言い伝えだ。真の王はクリスタルに選ばれた者。ノクティスのことだ。歴代王の力は言わずもがな、今集めている力で神々の力は神凪の誓約によってなされる啓示のことだ。」

「本当に壮大な話だな…じゃあ今の頭痛は巨神が呼んでいるってことか。」

 

珍しく勘のいいノクティスに頷き展望台がある方面を見る。

地震が頻発しているらしいが、今の頭痛の時も少しだけ揺れた。

早く来いとも言いたげな言葉だったし、せっかちな巨神だとメディウムは頬をかく。

 

「誓約はすでに俺たちがしてきた。神凪の使命ってのがそれだけ。あとは王が啓示をするだけなんだが、具体的な方法はしらん。早く来いとしか言わないし。」

「あんな意味わかんない言葉がわかるのか!?」

「お前はもっと勉強しろ。神話でも古代文明でもなんでも!得られる知識は時に大きなものに役立つ!」

「ここで説教しちゃうんだ…。」

「兄貴って感じだな。」

「二人で並んでいる姿は感慨深いものがあるな。」

 

神様の言葉なんて勉強できるか!と抗議するノクティスの口角は怒っているとは思えないほど上りきり、一応人並みの学力はあったかと思い直して頭を撫でるメディウム。

その光景にプロンプトは微笑み、グラディオラスとイグニスは滅多に見ない光景に笑う。

一年に一度見られる暖かな兄弟の光景は空いた溝を埋めるように歩み寄る二人の家族愛。

しばらくはともに居られるということにノクティスは心のどこかで舞い上がっているようだ。

 

真面目な話をして居たのに和やかな雰囲気になってしまった場をメディウムは咳払いで濁し、真剣な顔で言葉を続ける。

 

「一旦展望台に行こう。そこからならカーテスの大皿が見える。」

 

ついでに胡散臭いおじさんも。

 

カーテスの大皿は帝国兵によって封鎖され、どちらにしろあの人を頼らねば正規ルートで入れない。

裏ルートで行ってもいいがあそこには王の墓もある。

巨神が守って居た、という逸話もある夜叉王の刀剣が眠っているのだが帝国軍が閉鎖している側から出なければ取りに行けない。

 

宰相の副官では顔が広くても開けてもらえないしそもそもノクティス達に今はバレるわけにはいかない。

頼らねばならない状況を作り抱くのがつくづくうまい上司を思って深くため息をついた。

 

 

 

 

 

 

やっぱりいた。

いつもの黒い羽は無くなっているが相変わらず暑苦しい男。

ついでに帽子もない。珍しい。

 

「あれ。偶然。」

「おい、またあんたか。」

 

展望台でカーテスの大皿を眺める胡散臭い男にグラディオラスが前に出るが男は気にした様子もなくこちらに近寄る。

ノクティスを非難しつつもどこか驚いたように見ている。

 

「ねぇ、昔話って興味ある?巨神がさ。隕石の下で王様を呼んでいる。」

 

カーテスの大皿を指差してどこか知ったような口ぶりで話は続く。

 

「神様の言葉は人にはわからないからなぁ。頭が痛くなる人もいるかも、ね?」

「どうすればいいの、それ。」

 

メディウムの方を見てニッコリとわらう男にイグニスが庇うように前に立つがプロンプトが気にせず何か知っている男に問う。

五人を通り過ぎながら男は楽しげに提案した。

 

「会いに行ってみる?何か伝えたいんだと思うよ?一緒に行こう。」

 

くるりと振り返り笑う男に五人は向き合う。

どうするべきか考えあぐねている四人は一番頼れそうなメディウムをみるが先程から全くこちらと目を合わせようとはしない。

自分たちで決めろということらしい。

グラディオラスは小声で決定権のあるノクティス問う。

 

「乗るか?」

「うーん…。」

「行ってみて…。」

「ヤバけりゃもどる?」

「妥当だな。」

「じゃあそれで。」

 

いまいち信用しきれないがどちらにしろ巨神に会いに行かねばならない。

方針が決まった五人をみて一度肩をすくめると胡散臭い男は名乗り上げた。

 

「俺の名前すっごく長くてさ。略してアーデンなんだけど、この愛称で呼んでよ。車で行こうか。俺も愛車できたんだよ。」

 

スタスタと先を歩いていくアーデンと名乗った男をメディウムは睨みつけながら進む。

白々しい名乗り方だしその愛車できたのはルシスの王子と神凪だけどな、と内心毒を吐くが声には出さない。

目的が一致している限り所有物であることに変わりはない。

宰相と副官から敵国の宰相と王子になっただけだ。

 

「君たちの車は、レガリアだっけ?二台でドライブもいいね。そうしよう。」

 

完全に主導権があちらにある。

こちらも何かいうこともない。移動は基本車だ。

駐車場へと着くとアーデンは運転手を指名すると言い出した。

もちろん指名するのはノクティスである。

この男は何がしたいのだと本気の呆れの目線を取り繕わずに向けるが、ノクティスが無視してイグニスをみるが。

 

「イグニス、頼む。」

「彼、いつも運転してるでしょ?たまには休ませてあげなよ?あ、そうそう。君はこっちの車ね。」

「はぁ!?」

 

有無を言わさないアーデンの構えに、渋々運転席へとついたノクティス達についで後部座席の真ん中に座らせてもらおうと動き始めた途端に後ろへと力強く引っ張られ、体勢を崩したままアーデンの腕の中に入ってしまった。

ノクティスが運転席から抗議の声を上げるがそれを片手で制してアーデンを仰ぎ見る。

目線だけでわかるのは"遊んでいる"ということだけだ。

ここで逆らっても面倒だし男五人でむさ苦しいのといつものおじさんと二人でドライブでは大して差はない。

 

「どうせ狭くなるし、乗せてもらう。車内で"メディウム"じゃなくて"メディ"って呼ぶ練習でもしといてくれ。」

「あっ!本当に大丈夫かよ!?」

「大丈夫だって。頼れるお兄さんだぞ?」

 

先日の体を見られた一件から若干過保護となったノクティスを冗談で茶化して、赤いオープンカーの助手席へと座る。

足を組んで悠々と座るメディウムにノクティスは諦め、座り損ねたグラディオラスとイグニスを急かす。

 

「言っておくけど競争じゃないよ。ちゃんと俺の後についてきてね?ついてこられなきゃ"ゲームオーバー"だよ。あとくれぐれも俺の愛車にぶつけないように。」

「ぶつけるなら曲がり角でアクセル踏み込んで突進しろよ。受け身とっとくわ。」

「兄貴がいるのにできるかっ!いちいちうるせーし。早く行けよ。」

 

諸注意を述べるアーデンの後に当たり前のようにぶつけろというメディウム。

右回りの場合直撃するのはメディウムなのによくいう。

できるわけないと叫ぶノクティスにくすくすと笑いにこやかに笑った。

 

人質のようにメディウムを取られた危機感で緊張していたノクティスの手が少し緩む。

兄の強さはわからないが自分より強くあるその信念は知っている。

兄の大丈夫は信用ならないことは体の傷でよく学習したが今は視界の届く範囲にいる。

しっかりついて行こう。メディウムのために。

 

「では、どうぞ?安全運転で。」

 

アーデンが走り出すのを見てレガリアのアクセルを踏み込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「随分賑やかな旅行ですな。アーデン宰相。」

「部下の家族旅行についてきている気分だね。ディザストロ副官。」

「間違ってないのが痛いなぁ。」

 

晴れた日差しの中で涼しい風に煽られながらドライブとはとても気分がいい。

後ろの剣呑な高級車の王子一行が台無しにしている気がするが美しい女性ではなく寂れたおじさんとドライブな時点で既に台無しだ。

顔の造形自体は男前という部類に入るのに残念な胡散臭さが拭えない。

 

「ノクティス王子は随分愛されてるんだね?ディアはアラネア准将とレイヴス将軍しか知り合いいないのに。」

「接触できる人間を制限しているからだろうが。おかげさまで副官兼秘書扱い。渾名は宰相の腰巾着。帝国人の風上にもおけない誇りのないやつだとよ。ルシス人だっての。」

 

ジグナタス要塞の自室で一人だけで過ごしていたメディウムと友達、昔からの従者、兄、恋人、様々な人間に囲まれたノクティスの対比を指摘しているのだろう。

そのような状況に対する劣等感でも抱かせたいのだろうが生憎、弟に対して無い物ねだりするほど矮小な心は持ち合わせていない。

 

元はと言えばコミュニケーションを意図的に断たせたアーデンが原因である。

それをとやかく言われる筋合いはない。

メディウムの愚痴を聞いて小馬鹿にしたように笑うと、通りかかったパーキングに車を進めていく。

空は既に夕刻時。

昼過ぎに出たのが仇になったのだろう、夜の運転を避けるならここで泊まるしかない。

 

「ここで泊まってこう。」

「目的地は?」

「焦らなくても逃げないよ。」

 

駐車場へと止めて追いついてきたノクティス達にそう告げると、モービル・キャビンに泊まろうと言い始める。

キャンプを提案したグラディオラスには外が嫌いという言葉で一蹴した。

代金はアーデン持ちということで四人は不服ながらも頷いたがどうしても頷けない男がいた。

言わずもがなメディウムである。

 

「俺だけキャンプ行きます。」

「許すわけねぇだろ。」

 

過保護化したノクティスに捕まった。

その様子をアーデンはニヤニヤと眺めている。

わかっていて提案しているのだ。

メディウムが嫌がって逃げ惑う姿が見たくてわざわざ早めにモービル・キャビンで泊まることを提案したのだ。

 

「一緒に寝てやるから。ほらいくぞ。」

「そういう問題じゃぁっ!」

 

かなり力強くズルズルと引き摺られていく。

抵抗しようと試みるが威力の調節が難しい魔法を使うわけにもいかず両脇をグラディオラスとイグニスにホールドされて連行。

その様子をプロンプトが写真に収めるという連携技に力なくうなだれた。

 




いろいろな補足。見なくても大丈夫です。

・雷神の誓約の場所が違う
神凪の誓約はDLC戦友のエンディングで雷神だけは神影島で行われていることが明かされますがこの話ではフォッシオ洞窟にて行われています。
これは成り行き上生き残った先代神凪が既に誓約を行なっていたが改めて誓約をしに行ったからということにしてあります。先代に言われたとかそんな感じ。(脳内設定)

・王の剣どうなったの
王都でのルナフレーナ救出の際、KGFF(映画)を見た方が疑問に思うのは王の剣達だと思われますがみなさん生きて今はコル将軍の指示に従っている者や帝国に身を置いている者もいます。
我が家のイオスでは帝国にいる方は実験台になりました。アーデン鬼畜。

・国内のファントムソード、一本は敵のお腹の中
主人公が確認に行った際はまだお腹の中ではなくお墓に収められていたという設定。

・トラウマってなに
ご想像にお任せします。
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