FFXV 泡沫の王   作:急須

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情報整理

モービル・キャビンの中で、メディウムの携帯からなるラジオが響く。

朝食を作るイグニス、キングスナイトで対戦する三人と思い思いに寛いでいるがラジオに耳を傾けてはいるようだ。

 

 

ーー"封鎖"について帝国軍のレイヴス将軍より次の通りの声明が発表されました。

 

「ダスカ地方の"封鎖"は調印式襲撃に関わった人間の行方を捜索するために行なっている。影響が大きいことは承知の上。全ては市民の安全を第一に考えたことであると理解願いたい。」

 

また前日までダスカ、クレイン地方を中心に頻発していた地震について帝国軍より発表がありました。

 

「地震の原因は巨神が目覚め、暴れたことにあった。軍は巨神の討伐に成功し、周辺の被害が深刻になる前に防ぐことができた。」

 

この発表によると既に巨神はーー

 

 

ラジオが途切れる。

メディウムが携帯を操作して切断したためで、ラジオを聴いていた面々の顔は渋い。

 

「レイヴス将軍…ね。」

「ふざけやがって。王都襲撃の首謀者は帝国軍だろ…!」

「ダスカ地方の封鎖というのも大きく出たな。容易に出歩けない。」

「イリス達やルナフレーナ様…大丈夫かな…。」

「カエムの岬に既に到着したってメールがコル将軍から届いている。二人護衛をつけたらしいしカエムは一部の人間しか知らない。大丈夫だろう。ダスカ地方の封鎖も一時的だ。すぐに解除される。襲撃の首謀者は表向きには反ルシス王家のテロ組織ってことになっているんだ。レイヴスもそういうことにしているんだろう。将軍の後釜につけるほどの力も手に入れたらしいし。」

 

一人一人の疑問に答えるメディウムは貧血も収まり十分に動かせる体をベッドから起す。

ノクティスの監視により、二日間ベッドから起き上がれなかったメディウムはポキポキなる背骨を伸びでほぐして携帯を何度か操作する。

今まさに話題に上がったレイヴスやアラネアからの着信履歴がいくつかあるがそれらを無視してメールを打ち込む。

送信先はアーデンである。

 

「レイヴス将軍ってメディの知り合い?」

「ここにいるみんなの知り合いになるな。端的に言えばルナフレーナの実の兄だ。」

「え!?ルナフレーナ様の?でも帝国の将軍って…。」

「テネブラエは帝国領だ。軍にいてもおかしくはない。王都襲撃の際、光耀の指輪をはめたらしくてな。ノクティスが今は所持しているが選ばれていない人間が身につけると炎に焼かれて灰になる。レイヴスは神凪だからなのか奇跡的に片腕を失うだけですみ、今は義手と指輪の影響か強い力を手に入れたとか。将軍になれるほど強力なのか。それとも…。」

「ええ?言いかけてやめるの?」

 

話をしながらも携帯を操作する手は止めない。

素早いフリック操作で何事か書き綴り、かなりの長文メールを送りつけたところで一旦言葉を切り質問してきたプロンプトを見た。

好奇心からの質問なのだろう。

無邪気で純粋な瞳がメディウムを捉える。

 

「アーデン宰相の右腕…イグニスは聞いたことないか?」

「真偽は定かではないが、息子のディザストロ・イズニアか。」

「そう。そいつと仲がいいんだ。レイヴスは。その関係かもしれないな。」

「あのおっさん子供いるのか。」

「正確にはわからない。ディザストロ・イズニアはほとんど表舞台には立たないがテネブラエとアコルドの帝国側外交官。宰相の副官も兼任しているらしい。帝国の重要人物の一人だ。」

 

レイヴスはアーデンの操りやすい駒として将軍にされている可能性が大いにあるが、もしかしたら自分が関係しているかも知れないとメディウムは考えていた。

聞いたことのない名前というよりあのおじさんに子供がいたことに驚いたノクティスがイグニスを見ると、本当にそうなのかはわからないと首を横に振って説明した。

 

「子供か分からないってどう言うことだ。」

「あの宰相自身が謎で身を固めているという話もない。拾い子という節が有力だ。なにより、顔を出さない。赤毛の男ということぐらいしかわからないんだ。」

「もしかして、ガーディナであったフードの人?」

「ああ。ディザストロ・イズニアの可能性が高い。」

 

目の前にいるんですけどねという言葉を飲み込んで、メディウムは苦笑いをこぼす。

アコルドやテネブラエの外交官がおまけの役職で宰相の副官の方が本職という訂正もあるが黙っておいた。

ややこしくする必要もない。

 

「それはともかくとして、そろそろこの旅の目的を改めて整理というか説明しようと思う。聞かせるって約束したしな。」

 

天気予報を確認したところ明日には雷雨になるらしい。

雷神の啓示もあるだろうし、その前にわだかまりをなくしておきたい。

そう提案すると同時に朝食も出来上がり、モービル・キャビンの外で食べながら話すこととなった。

 

「まずはおさらいだ。第一の旅の目的は?」

「歴代王の武器、ファントムソードの回収だろ。」

「その通り。国内には十箇所あるが残り六箇所。それらは俺たちがカエムの岬で一度船の修理の経過をみた後にしようと思っている。」

「それはどうして?」

「かなりバラバラに分かれているんだ。船の修理に必要な素材なんかがあればついでに取りに行けるぐらいには。」

 

ルシス国内は広い。

車で移動するとはいえとても時間がかかる。

面倒ごとは一度に済ませたいという魂胆だった。

ファントムソード回収は王としての力であり王都を取り戻すには必須の力となる。

それについては四人とも同意し先を促す。

 

「第二の目標は神々の啓示。これは王都を取り戻す役に立つのとはまた別に理由があって必須事項になる。」

「真の王の神話だな?」

「レスタルムで言ってたやつだよね。」

 

真の王は神々と歴代王の力を持って悪しき闇を払い世界に光を取り戻すだろう。

真の王とはクリスタルに選ばれたノクティスであり悪しき闇とは星の病と呼ばれる、二千年前に蔓延し今なお続く病のことだと教える。

しかし、病がなんなのか分からずそれを打ち倒せるのが真の王だけというのもよくわからない。

そう答えるノクティスにメディウムは一度目を伏せ、悲しそうに説明する。

 

「星の病とはシガイのことだ。」

「シガイ?あれは病気だっていうのか。」

「シガイの原因は分からず、シガイの影響を受ければ神凪に診てもらわない限り治らない筈だ。」

「正確には違う。シガイを覆う黒い液体のようなもの。それの大元は寄生虫なんだ。神凪はそれを多少祓う力があるが大元を立つには及ばない。」

「真の王にはできるってのか。」

「できるできないじゃない。やらねばならない。そのために神々が力を貸し歴代王の力がありクリスタが存在し光耀の指輪がある。星の病を断つことが神々の悲願なんだ。」

「寄生虫なんてどうやって打ち倒すんだよ。」

「シガイの王がいる。そいつを倒せば自然とシガイも消えるのだが…。現存する歴代王の力、クリスタルの力、神々の力、そして光耀の指輪。全てが揃わなければ無理だ。」

「世界を救えってのか…。」

 

シガイは世界中の人々の敵であり恐怖の対象。

それが病であり寄生虫が原因であることは二千年前には分かっていた。

しかし、現代に至るまでにその内容は何処かへと消えシガイの王そのものが闇に葬られた。

なぜ今なのか。

それは復讐のために二千年の時をかけて星の病を進行させたのが原因であり神凪とルシス王の力があっても夜は日に日に長くなっている。

このままではもう、世界が耐えられない。

 

「本当に大きな話だったんだね…。」

「どちらにしろ、クリスタルは取り返すし神々の力を借りること自体は戦力になる。大きな話だが今は貰えるものは貰うという気持ちでいてくれ。他に教えることはあるが取り敢えずはこれだけしかいえないし、頭がこんがらがると思う。」

「兄貴はどうして知っているんだ。」

「…聞いたんだ。クリスタルにな。」

 

本当はクリスタルだけではなくシガイの王本人にも聞いた。

だがその事実を教える気のないメディウムは真っ直ぐと疑うように見るノクティスの視線を涼しい顔で受け流す。

嘘とも本当とも取れない答えだがメディウムの表情から読み取れなかったノクティスは諦めて別の質問をする。

 

「俺が真の王なのはわかった。じゃあ兄貴は?使命かなんかがあるんだろ?」

「黙秘する。知られると使命にならない使命なんだ。」

「俺が生まれた時から外にいなきゃいけないような使命なのはわかる。」

「ああ、そうしなければならなくてな。他に聞くことは?」

 

答える気がないのか他の質問を促すメディウムにノクティスは悲しそうな顔をする。

この調子では二十年何をしていたかを教えてくれるかも怪しい。

しかし、聞かねばならないし聞きたいため強気に出る。

 

「二十年も何してたんだ。」

「監禁されていた。」

「はぁ!?か、監禁!?誰に!?」

「冗談だ。二十年も監禁されてれば王都に帰れるわけがない。」

 

冗談とはとても思えない声音だった。

もちろんメディウムは嘘をついていない。

事実最初の五年間はジグナタス要塞の外には一歩も出なかった。

さらにノクティス達からすれば監禁と言う言葉がとても現実的な物事に思えていた。

身体中にある人為的な切り傷が大いに物語っていることが監禁だとすれば辻褄があう。

問題は誰に監禁されていたかなのだが、メディウムは冗談だと言ってそれ以上口を割らなかった。

 

「…兄貴が真の王に選ばれなかった理由は?」

「真の王がなぜ選ばれるのか分からないのと同じように、選ばれなかった理由もわからない。」

 

レギスもルシス王国の重鎮達も口を揃えて次期国王はメディウムへと言っていたことをイグニスは思い出す。

メディウムの意思を尊重したいと言っていたレギスだが実際は理由もわからず選ばれなかっただけで王位から放り出されていた。

そしてなんの理由もなく弟が王位に就くことが決定した。

ノクティスはずっと気になっていたことを口にする。

 

「ーー王になりたかったか?」

「ああ。真の王になりたかった。少なくとも、ノクトにはやらせたくなかった。」

 

ノクティスは目を見開いた。

メディウムにはルシス王国の王になりたいかと聞いたのに世界を救う真の王になりたいと答えられた。

なぜ真の王になりたいのか。

なぜ自分にはやらせたくないのか。

ノクティスには分からないがメディウムの表情は悔しそうでそれでいて悲しそうにだった。

その意味を図りかねたグラディオラスは口を開く。

 

「ノクトには世界を救えねえってことか?」

「家族には、当たり前の幸せの中で生きて欲しいと願っているだけさ。」

 

直接的な答えは帰ってこなかった。

当たり前の幸せの中で生きるというのはどういう意味なのかは分からないが家族に幸せになってほしいということなのだろうか。

グラディオラスは首を傾げ、イグニスは眼鏡をあげる。

プロンプトは不思議そうにメディウムを見ていた。

 

「さあ。話は終わりだ。朝食も食べたし。モブハントにでも行くぞ。」

「ええ!食後の休憩ぐらいしようよ!」

「つべこべ言わない!次の目的は雷神だがその前に金が尽きたら困る!」

「それは同意する。いい武器も欲しいしな。」

「そこはホテルだろ。」

「まずは食材からだ。」

「取らぬ狸の皮算用。欲しいものがあるならとにかく稼げ!」

 

無理やり話題変換をしたメディウムは嫌がるプロンプトを立たせて背中を押す。

体も回復し、鈍りそうな戦闘の勘を取り戻せたらいいなと上の空で考えつつ先ほど送りつけたアーデンへの手紙を思い浮かべる。

返信はいまだにこないが軍部に言うことを聞かせられるのはアーデンだけである。

ダスカ地方の封鎖解除には骨が折れるだろうな、とため息をついた。

 

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