FFXV 泡沫の王   作:急須

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抜けていた部分加筆


作戦会議前

"フォッシオ洞窟攻略"と書かれたメールの次に送られてきた"レガリア"という件名のメールにはアラケオル基地の大まかな場所が書かれていた。

 

洞窟から脱出した一行は止んだ雨から顔を出した青空とともに橙の空が映る。

夕刻になってしまったが洞窟の前には魔導兵が包囲していた。

メディウムの開けた風穴は見つかっていないのか、洞窟の背面のような場所を背にコソコソと離れる。

チョコボにまたがり魔導兵を避けて林を抜けて行った。

その上空を飛ぶとても大きな飛行基地が影を落とした。

 

「ええ!?デカッ!」

「今までと規模が違うな…。」

「行き先は同じらしい。そうなるとまずいな。」

「レガリアをあれで運ぶ気か!」

 

とても冴えているノクティスの発言に並走していたイグニスが同意する。

キャンプで一泊してからレガリア奪還を計画しようと考えていたが、もはや一刻の猶予もない。

あの基地に積まれて帝国に飛び立たれれば二度と足取りは追えないだろう。

よもや本人が帝国軍の副官であることを知らないイグニスは、メディウムの人脈を持ってしても敵の本拠地は探れないことが想定された。

 

「基地の近くに一度向い、様子を見てから近場のキャンプで作戦を立てよう!」

「了解!」

「急ごう!」

 

乗り手の焦りに合わせてクエー!と鳴き、チョコボが全力疾走を始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

一度アラケオル基地周辺に潜み、中を探る班とキャンプの準備をする班に分かれることになった。

偵察班は機動力と頭脳面でイグニスとノクティス。

なるべく王から離れたくないグラディオラスがごねたが最終的にイグニスを信頼してキャンプ設営班に回った。

咄嗟の判断が苦手なプロンプトは誰も何も言わなかったが流れて設営班となった。

 

偵察班の二人は基地の入り口に当たるゲートを遠目で観察する。

数十分の間に魔導兵の出入りがあり、おそらく准将クラスと思われる男が一人何処かへ移動しているところを目撃した。

上空で対空しつつゆっくりと高度を下げていた移動基地も着陸し、封鎖線を敷くつもりなのか魔導兵が道路まで移動してくる前に撤退した。

 

古くから続く戦争の名残である分厚く硬い壁をうまく利用して基地にされてしまっている上に、壁から突出して見える魔導兵強化装置。

メディウムから送信されたメールにはそう記載されていたが、あの装置があると魔導兵がかなり強化される。

乱戦になっても優先的に潰す必要がありそうだ。

メールの中に"避雷針になりそう"という不思議なことが書かれていた。

 

 

キャンプ地の標に戻ると設営を終えたプロンプトとグラディオラスがだいぶ暗くなってきた導の上に設置した椅子に座って真剣な顔で携帯とにらめっこをしていた。

何事かとグラディオラスの肩を叩く。

 

「おお、戻ったか。」

「おかえり!どうだった?」

 

携帯から目を離した二人がアラケオル基地の状況を聞くとイグニスが見てきたものを簡潔に答え、夜襲を考案していると締めくくった。

グラディオラスやプロンプトも同意し、最終決定権のあるノクティスも頷いたところで気になっていたことを聞く。

 

「何を見ていたんだ?」

「さっきメディからグラディオにメールが届いたんだ。」

「メールアドレス同じだろ?」

 

指をさされたアドレスは確かにメディウムのメールアドレス。

中身はただ"神々に願え"と書かれただけ。

どういう意味かさっぱりわからなかったがイグニスは何かを察し考え込む。

 

イグニスにとってのメディウムは世界で一番敵に回したくない人間。

幼い頃からノクティスをからかっては手を伸ばし、道を示しては苦労をそっと置いて解決できるように頭を使わせる。

手助けだけではない導く存在の見本だった。

 

軍師として道を整えることが役目であることを重々心得ているイグニスは目を閉じる。

例えとして先へ先へと進みつつ道を整えアスファルトを敷き標識を立て人脈を整えて行くというあまりにも完璧な道を作るための同時進行を行うメディウムが自分の仕事を奪っていくことに危機感を覚えていた。

情報網と人脈で言えばメディウムに敵うわけがない。

その事実がイグニスの力不足を大きく表している。

 

しかし、その上でイグニスはほとんど何も明かさない不信感を募らせていた。

 

丸で知っているように先に進むのにその全貌を明かしはしない。

大きな岩を砕く割に小さな石を置いていく。

その石は先が尖りきり鋭く、イグニスがギリギリ対処できるところに止めるその行動。

そして帝国軍関係者との交流疑惑。

それ自体が悪いとは言えないし場合によっては有利ではある。

だが、それと同時に浮上する疑惑は。

 

「ーー裏切り…?」

 

「イグニス?」

 

不思議そうに見つめてくるノクティスにハッとなり、何でもないと首を振る。

短絡的な考えではある上にそれならばイグニスが解決できる限度にとどめはしない。

悔しいことに全て後手に回っている。

もはや手のつけられないところまで追い込んで追い込んで塞いで閉じ込めることも可能のはず。

 

頑なに口を割らないメディウムの行動に脅されている可能性も考えたがノクティスを疑う余地もなく大切にしている彼ならば自らの舌を噛んで自殺を図るだろう。

今のイグニスに考えられるのは、ノクティスの目的と一致した誰かの思惑にメディウムが乗っかっている構図。

 

その場合"誰か"の思惑がさっぱりわからないが可能性として第三勢力を視野に入れることで一旦思考を切り上げた。

 

日も完全に落ち始め、作戦を決行する夜前に食事と多少の休憩を取りたい。

落ちかけていたメガネを片手であげ、夕飯の支度と作戦について思考を巡らせた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ーーへっくちっ!…あっちやぁ。」

 

執務室でコーヒーを飲みながら今後の予定を確認していたメディウムは誰かに噂をされているのかと、ムズムズする鼻を抑えつつコーヒーまみれになった報告書を置く。

 

たまたま執務室に置かれていた未処理の報告書の処理をしていた。

しかし、アラネアからのミスリル採掘状況とシガイの標本回収報告、周辺のシガイ退治の結果報告書を読み終えて脇に避けようとした途端コーヒーがぶちまけられてしまった。

これは保管しておかねばならないのに。

こぼしたのは自分なのでアラネアに書き直せとも言えない。

 

ため息をついて紙とペンを執務机から引っ張り出し報告書を複製する。

コーヒーで滲んだが読めないほどではないため面倒臭さを除けば簡単な作業である。

 

「うわ。何しているの。」

「見ての通りやらかした。」

 

一旦執務室から出てレイヴスの様子を見てもらっていたアーデンは呆れたように避けて置かれた紙を見る。

アラネアの報告書は大雑把だが分かりやすい。

 

「レイヴスは?」

「ぐっすり。上司を使いパシリにするとは見下げた根性だね。」

「そこは見上げといてくれ。」

 

アラネアの女性特有のゆるりとした綺麗な字が活字のようなピッシリとした文字に変わっていく。

読めればいいアーデンとは違い、絵を描くディザストロはバランスがとても気になってしまうため比較的綺麗な字が書けた。

 

「もうすぐ十時を回るけど、弟君達はまだ来ないね。」

「いや、潜入自体は既に始まっているはずだ。俺たちに報告が来ないってことはあちらの軍師が優秀なんだろう。」

 

二人は、レガリア奪還作戦の概要を予想し合っていた。

少数精鋭の夜襲ということは既に決定事項であり、その潜入後の動き方の方を予想する。

しかし、ルシス王族の機動力を誰よりも把握しているため考えは一致している。

 

ノクティスを先頭に背後からシフトキル。

 

道中のセンサーは既に解除して待ち構えているし、魔導兵も歩兵のみを導入。

緊急時の警報が鳴り次第、報告に来ることを命令し魔導兵器の動員も数台ならば許可した。

軒並み破壊されるだろうが動かない兵器まで破壊はしないだろう。

 

魔導兵を背後から仕留めて魔導兵強化装置を止めるのが関の山。

しかし、そこにアーデンが仕込みを入れてきたようだ。

 

「新型魔導兵器を導入して置いたんだ。どのぐらいの威力か見られるいい機会でしょ。」

「余計なことを…まあいい経験か。」

 

最大の切り札である神々の力の使い方は神々が教えてくれるだろうし、イグニスとグラディオラスどちらかが気づいてくれるように細工を施した。

何より鈍い魔導兵器ごときに負ける王族など居たらその性根から叩きなおす必要がある。

 

「それと、はいこれ。」

「…アサルトライフルとハンドガンか?」

 

ゴトリと置かれたのは黒を基調としたアサルトライフルと背負い型のホルスター。

ハンドガンは足に付けられるホルスターが付属。

ついでに白い外套と指ぬきの白いグローブ、腰につける弾薬入れ。

使え、ということだろうか。

 

「剣の太刀筋一つで王族には分かるからね。ディアの時はそれを使うといい。」

「…ご命令とあらば。」

 

足にホルスターをつけ、きていた上着の上に白い外套を羽織る。

フードというより鼻先まである襟と七分袖が特徴的で黒いフードと一緒にかぶれば顔は見えなくなるだろう。

入念な隠蔽工作に、ディザストロは苦笑いをこぼした。

 

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