長くなるため、ノクティスサイドは前編後編に分けます
ディザストロ・イズニアとして兄が不穏な会話をしている頃。
家族による見送りを受けつつ旅だったノクティス王子らは、外の厳しさというものをその身を以て学んでいた。
「車ってさ、乗るもんだよね?」
「調子に乗りすぎたな。」
アスファルトの照り返しによる暑さと風の少なさ、景色が一面荒野の中レガリアを押して、彼らは歩いていた。
なぜこんなことになったのか。
それはレガリアを甘く見ていたせいである。
このレガリアという王族仕様の車は広い車内と頑丈な外郭が一番目につくが、なによりも注意するべきは燃費の悪さと整備不良。
レガリア自体特殊な車であるために、世界地図にのるほど有名なハンマーヘッドという整備工場でなければ完璧な整備はできない。
そのハンマーヘッドを切り盛りしているシド・ソフィアはレギスの親友と言えるほどの人物なのだがとある原因により、レガリアが預けられることはなかった。
王都での整備ではやはり不完全。
その上運転初心者同様のプロンプトが最初に運転してしまった。
繊細なレガリアを一般社会と同じ要領かつ手荒く運転すればエンジン・ストールする未来は決まったも同然。
そんな事情は知らない王子一行はまんまとやられてしまったのだ。
メディウムは予想がついていたのだがあえて言わないでおいた。
外は大きく前進している。故に王都という温室の外は厳しくもある。
それを体感して学んでこい未熟者供。
ノクトはレガリアの車内に置かれていた、一枚のメモの内容を思い出す。
最初の一文は、出立する前に兄自身に言われた言葉だがその続きがこのメモに書かれていた。
年に一度会えるか会えないかの兄が自分のために急いで帰ってきたことに嬉しく思っていたが、わざわざ嫌がらせのためにこんな仕込みをしているのはどうなのか。
昔から帰ってくれば真っ先にノクティスの元へと来たが、それと同時にこの身をもって痛い目を見る教訓も置いていく。
それに対する文句の一つや二つ言ってやろうとすれば、外の土産と外の話ではぐらかされてしまうのがお決まりのパターン。
今回も甘く見ていた自分らが悪いのだが、忠告ぐらいして欲しかった。
急いでいた風だがこんなメモわざわざ車内に忍び込ませられるのだから絶対時間はあった。
今度会ったらぶん殴りに行こう。
だがその前に。
「グラディオ頼む...一人で押してくれ!俺らいてもかわらねぇよ!」
「そうだよ!離しても変わんないよ!」
「お前ら...離してねぇだろうなぁ...」
グラディオラスとプロンプト、ノクティスと三人で押していても後ろから押しているグラディオだけで良いのではないのか。
疲労と暑さで全員クタクタである。
そんな中、悠々と運転席に座り世界地図を開くイグニスにノクティスは懇願する。
「イグニス、席変わってくれ。」
「ちょっ!次俺でしょ!?」
「お前さっき変わったばっかだろ?」
「だそうだ。」
仲間たちから見事に却下されてしまった。
それもこれも諸悪の根源たるあの兄が悪い。
マジで今度会ったら顔面に一発入れてやる。
暑さと疲労でかなりイラついていたノクティスはだいぶ矛先を間違えていた。
弟で遊ぶ日頃の行いが引き起こした自業自得である。
「ハンマーヘッドもっと近いでしょっ!」
「すげー近かったよな。」
「世界地図でみりゃぁなぁ。」
「ハンマーヘッドの方に連絡した。だが、すでにメディウム様から連絡されていたそうだ。"どうせエンスト起こして徒歩になってるだろうから整備してやってくれ"とな。」
「ほんっとあの兄貴むっかつく!」
その自業自得の尻拭いもきちんとするのが兄である。
最終的に兄に助けられる形になるのがいつも気にくわない。
巻き込まれた人からすれば救世主だが、元々の原因は助けた兄であることを忘れてはいけない。
今回のエンストはほぼ自滅だが大事なので二回言おう。
ノクティスは疲労のあまり、だいぶ矛先を間違えていた。
「そういや、メディウム様ってどんな人なの?」
高校生の時一度出会ったことがあるだけ。
見送りに来た時点で気になっていたが、今まさに話題が上がったメディウムの人物像の想像がつかないプロンプトは不思議そうにノクティスに問いかける。
「兄貴なぁ。正直よくわからん。胡散臭いし、イタズラばっかりするし、でも優しいしで。なんていうか、いい意味でも悪い意味でも兄っぽいな。」
「凄い抽象的ー。」
兄という存在は非常に大きい。
年に一度しか会わないのに、毎日手紙をよこして来ていた。
その中はいつも外の景色の写真で、幼い頃から届く時間を今か今かと待ち構えていた思い出がある。
学校に通うようになって、迎えの連絡などで持たされた王族仕様の携帯電話を持ってからはそこに添付されて送られてくるようになったが、今回の旅からは自分の目で見てくることになるだろう。
そういうマメな面ではいい兄だった。
反面教師としては帰るたびにイタズラをしてくる部分だが、それも自分の糧になるものが多かった。
影からいつも支えてくれていた。
しかしやり方が悪い。
いつも必ずムカつくところで煽るように兄の仕業と思われるものを発見する。
人を煽ることに関してはなぜか天才的。
「メディウム様は基本的に帰ってこられない人だからな。年に一度、定期報告とノクトの顔を見に帰ってくる。レギス様でさえ数分しかお顔を見られないと嘆いていらしたが、ノクトだけには必ず時間を割いていらした。」
「あの人も食わせもんだよな。一日帰って来たと思ったら定期報告に、親父との訓練、王都内の内政一年分を頭に詰め込みながら一年間の間に起こるだろう外の話を未来でも見て来たのかってくらい正確に表にして、ノクトに仕掛けるイタズラを計画してるんだぜ?どんな頭してたら一度にいつくも考えられるんだよ。そもそも一日でこなせる予定じゃねぇぞ。」
「それだけ聞くと凄い人だよね...。」
「俺へのイタズラに時間かけすぎだろ...親父にも顔見せてやれよ...。」
年長者二人の言葉に関心と呆れをにじませる。
ノクティスは、一日の帰省の中でそんなにこなしているとは思いもよらなかった。
ノクティスが生まれた時から王位継承権を放棄し、世界を見て回ると単身で旅立った人なのだ。
当時六歳の兄は一体何を望んで外に出たのかいまだにわかりはしないがどれだけ過酷な思いをしたのか、今ならわかる。
そもそも六歳が一人で出歩いていい世界ではない。
野獣など王族にすれば恐るるにたらずだが、六歳の自分ならろくに戦えずグラディオに散々いなされていた。
野獣に勝てるかすら怪しかっただろう。
そんな時から、ずっと一人で。
「メディウム様はレギス様と深い溝があるんだ。主従としては見習いたいぐらいなのだが。」
「親子って考えると、どうもな。メディウム様が一歩開けてるよな。そこをレギス様が詰めてまた一歩。」
「親子なのに...親子じゃなかったんだね。」
「ああ、メディウム様はいつもなにか思いつめていた。割り切っておられるのだろうが、それでも何か悔しそうではあったな。」
「原因はわからねぇがな。とにかくすげぇ人って覚えとけ。あの人に頭の良さと武器の扱いだけで戦ったら勝てないってな。」
兄の話で一瞬だけ暗くなった雰囲気をグラディオラスがおどけたように茶化す。
イグニスの言う通り、ふとした瞬間に何かを悔しそうに見つめていた。
だがそれ以上に、優しい兄だった。
剣の技でも先を読む力でも、一度も勝てたことはない。
小手先の目くらましも付け焼き刃の力押しも、あの人には通じないと思わせるくらいには強かった。
兄の事情を、ノクティスは知らない。
それでもやはり自分にとって信頼に足る兄であることは揺るがない。
「相談ぐらい、してほしいよな。弟としては。」
あいも変わらずレガリアを押しながら、そんなことをこぼしていた。
「待ってたよ。」
ハンマーヘッドに着いた途端にぐったりとレガリアの周りに倒れこむ。
死屍累々とはこのことだろうというところに快活な声が届く。
倒れ込んでいたプロンプトが視線をあげると整備用のジャケットを大胆にも開け、ホットパンツとニーハイの絶対領域が素晴らしい女性が立っていた。
すぐさまとはいかないが、なんとか気力を振り絞って立ち上がる。
イグニスとグラディオラスも気づいたのか、そっと立ち上がった。
「えーっと、どれが王子?」
メディウムから似ているようで似ていない弟がいると聞いていたが、視界に入るのはそもそも血縁かも怪しい風貌。
ならば誰が、ともう一度見渡すと女性からは見えない車の向こう側からのっそりとノクティスが起き上がる。
「俺だけど。」
「君かぁ。はじめまして、王子。結婚おめでとう。」
「いや、まだだけど。」
兄にも訂正されていたが結婚ではなくまだ婚約である。
しかし、照れが入るように頭をかいてそっぽを向くのだから素直ではない。
その様子を、女性は感慨深げに見る。
「確かにそっくりだけど...初めて会った年が違うせいか似てるようで似てないね。」
「誰に?」
「メディ。メディウムね。初めてあったの、私がここの整備士になったばっかりの頃でね。同い年で、気もあったし何かと助けてもらっちゃって。」
旅立った数年後に、年に一度の帰省をアーデンに許されて来たときにアーデンに内緒で例のオープンカーを拝借したのだが、見事にエンストしてハンマーヘッドにお世話になったのが出会い。
普段は食えないおじさん扱いでも車を勝手に借りた上に故障させたなどどんな仕打ちを喰らうかわかったもんじゃないと慌てて整備をお願いする様子は今のノクティスにそっくりだった。
ぐったりしているところが特に。
「私はシドニー。シド・ソフィアの孫娘。このコ、中に入れちゃおうか。じいじが待ちくたびれてる。」
「おっし、あと一押しだな。」
体力がまだあるグラディオラスがもう一度気合いを入れ直していたところに、一人の老人が近づいて来た。
「慎重にあつかわんか。そいつぁ、繊細なんだぞ。」
しわがれた声に目を向けるが、足取りはしっかりとしその眼光は恐ろしく強い。
真剣な表情でレガリアを注意深く見つめる。
しばらく見て回ると一つ息を吐いて、懐かしいものを触る手でレガリアを撫で、ノクティスを一瞥した。
「ノクティス、王子か。」
「ああ。まあ...。」
鋭い眼光に思わずたじろいでしまったがその様子にふんっと鼻を鳴らして遠慮なくノクティスを眺める。
「親父の威厳をそっくり拭き取ったような顔だな。色々控えた旅なんだろ?もっとしまった顔できんもんかね。」
「お、おう?」
「メディの野郎はお前さんの半分ぐらいの背丈の時からヤベェのとつるんでたが、ここまで正反対かね。」
「やべぇの?」
また兄の話かと思ったが、ヤベェのとつるんでいたというシドの発言に思わず聞き返してしまう。
老いてなお鋭い眼光でレガリアをみるこの老人にヤバイと言わしめる人間がこの世にいるのか。
その辺のチンピラならひよっこと一喝しそうな雰囲気があるのに。
「それがあいつの仕事なのさ。整備に時間がかかる。ついでにあとで話してやっからその辺で遊んでな。」
「てな訳で、優しく運んでね。」
謎に包まれた兄の話。
その一端をシドが知っているのも驚きだが、自分の半分ほどの背丈。
つまり六歳の当初からそんな危険な人物と関わりを持っていたというのか。
謎を究明できるかと思えばさらに謎が深まる。
あの兄を知ることはできるだろうかと、ノクティスは首を傾げてしまった。
レガリアの整備のためにハンマーヘッドにとどまることを余儀なくされたが、イグニスはそこまで悲観していない。
あらかじめ、メディウムにハンマーヘッドで一泊することになるだろうから早めに出ておけとコル将軍伝いではあるが聞かされていた。
未来予知に到達するレベルでピタリと当てるメディウムの助言を無視できず、日程を少し早めにした。
例に漏れず、今回もあの先読みに助けられた。
年に一度帰って来ては帝国の情報をもちかえり潜入調査の指示や王都警護隊への助言をする彼の後ろ姿を何度も見て来たが、何をどう考えたら予想できるのか。
ニフルハイムとの戦争をなんとかここまで持ちこたえられているのはメディウムの助言がとても大きかった。
ーー彼こそが王の器ではないかーー
軍事会議で、一人の重鎮が発した言葉を思い出す。
先読みの力も王族としての自覚も民を思う気持ちも戦う力でさえも今のノクティスでは叶わない。
先の長くないレギス王の次代を担うにふさわしいのはメディウムではないのか。
そう誰か抗議したのだ。
しかし、頑なにレギスは首を縦に振らなかった。
メディウム自身が望んだことなのだと。
息子の意見を尊重したいのだと告げていた。
イグニスには未だに軍師として尊敬しているメディウムを不思議に思っていた。
あと、目に余る無駄に凝ったイタズラはやめてほしいと常々思う。
「イグニスー!ご飯食べに行こ!」
能天気なプロンプトがお腹すいたとこちらにやって来た。
王都の貨幣は使えないため、換金したギルがあるはず。
一旦、思考を切り替えよう。
短く息を吐いて財布を取り出そうとすると、シドが声をかけて来た。
「おい。整備代の見積もりできたぞ。だいたいこんくらいだ。」
「ーーなっ」
ここでイグニスは本当の外の厳しさを知る。
そして激しく後悔した。
メディウムという人を転がす天才に値切り交渉の仕方でも教わっておけばよかった、と。
「深刻な問題だ。金がない。」
「王都のお金は使えないよねぇ...。」
どんよりとした空気がハンマーヘッドのガソリンスタンドに漂う。
思いっきりふんだくられた。
これが外の厳しさか、とイグニスが済まなそうにしている。
こればかりは責めるわけにもいかず、ギルを稼ぐ方法をシドニーに聞くことにした。
「シドニー、あーその、整備代が高いかなぁって。」
ここは一行を代表してとノクティスが意を決して伝える。
シドニーは一瞬考え込んだがすぐに思い当たったのか呆れたような声をあげた。
「じいじだね?外の厳しさを教えるってこれのことかぁ。さっき野獣退治で稼がせろって依頼取って来てたよ。」
渡された紙には指定区域の野獣退治とかかれている。
シフト魔法という機動力のある王族と王都警備隊のイグニス、グラディオラス。
銃を扱えるプロンプトの四人ならば楽勝だろう。
頭を使うより実働的な三人を考えれば性に合っているとも言える。
「これ、じいじには内緒だけど前金。それだけあればモービルキャビンには泊まれるでしょう。それじゃ。頑張って。」
レガリアの整備に戻るのか、ガレージの中へと消えていくシドニーを見送り、さっさと終えてしまおうと四人は動き出した。
指定区域は三箇所。
野獣相手は初めてだが四人もいればなんとかなる。
結果だけ言えばものすごく楽勝だった。
父王のレギスから授かった武器を手にシフト魔法で敵へ突撃したかと思えば次の瞬間には岩場へとシフト。
そこからまた敵へとヒットアンドアウェイを続けるノクティスに、弱ったところを後方から銃で倒して行くプロンプト。
撃ち漏らしをグラディオラスとイグニスがカバーして行く。
こんなことを三回続ければ野獣退治などあっという間だ。
しかし、今までの人間相手の訓練とは違う動き故にこの体勢にならざるを得なかった。
ガード後のパリィという反撃を全員うまくできなかったのだ。
四足歩行のトウテツや毒針を持つサソリ型のアラクランなどといった明らかに人ではないものの相手となるとパリィのタイミングが大いに違う。
安定して狩るならばノクティスが縦横無尽に駆け巡り、それを三人で補助するのが無難であろという軍師イグニスの考えであった。
その作戦が功を奏で全員無傷で終えられた。
「ノクトがいると楽できる!」
「ちゃんと戦えよ。」
プロンプトの軽口を照れながらもぶっきらぼうに返すノクティスにひとまず安心して息を吐く護衛二人。
野獣退治はこれから生活費のために請け負うことになるだろう。
その間に、戦闘になれてくれればいいが。
「あれ?電話?」
「俺か。はい?」
ノクティスの上着のポケットからわずかに響くバイブレーションに気づいたプロンプトが声を上げる。
ノクティスが確認すると見たことのない携帯番号だ。
とりあえず出て見なければと画面をスライドして応答すると先程聞いた快活な声が流れる。
「ーーシドニーだけど、退治は順調?」
「今終わったとこ。この番号よく知ってたな。」
「ーーメディウムがね、さっきメールで送って来たの。お困りのあなたに頼れる弟君の番号ですって。」
なんという個人情報漏洩事件。
王子の電話番号を軽々しく他人に教えるか、普通。
だがシドニーはメディウムのことを愛称で呼ぶほどの仲。
信頼して送りつけたのだろうか。
せめて一言断ってくれと、ノクティスは悪態をつきながら要件を問う。
「ーーほんとに困ってたからかけちゃった。ごめんね。さらに悪いんだけどさ、人探しも頼まれてくれないかな?」
「人探し?」
「ーーそう。デイヴってハンターなんだけど連絡が取れなくなっちゃって。多分君たちの近くの小屋で休憩してると思うんだけど。小屋はある?」
「おー...ああ、あれか。あるわ。わかった。見てくるわ。」
「ーーお願いね。」
電話を切って事情を仲間たちへと伝える。
イグニス曰くハンターとは王都警護隊とは別に民間で野獣やシガイ退治を行う組織の人間なのだそう。
もしかしたら野獣に襲われているかもしれない。
人命に関わるならば急がねばならない。
「急いで行こう!」
イグニスを先頭に走って近くの小屋へと向かう。
しかし、中には誰にもおらず何か手がかりはないかと中へと足を踏み入れる。
奥に置かれた机の上に"変異種のブラッドホーンの情報"と書かれた資料が置かれている。
なにやら特徴が書かれているがその内容にイグニスは眉をひそめた。
「俺の知っているブラッドホーンはここまで大きくはない。もう一回り小さいはずだ。」
「こいつの調査でもしてたのか?」
「分からない。だが、ここにいたことは確かだ。」
「イグニス!少し先にもう一つ小屋があるよ!」
外を見て回っていたプロンプトが大声で知らせに来る。
資料を置いて外へと向かうとたしかに道路の先に小屋が見えた。
ノクティスがすでに走って向かっている。
イグニスやプロンプトよりも早くグラディオラスが真っ先にノクティスに駆け寄り、その方を引いた。
「一人で先走るな。俺たちもいるんだぜ。」
「グラディオの言う通りだ。作戦を立てよう。」
「ああ、わりぃ。」
人命がかかっているからか少し焦ったようなノクティスをたしなめる。
たしかに急がねばならないが連絡が取れなくなったのはハンターだ。
野獣退治を専門にする人間ならば生存率は高い。
見た所小屋の周りに四足歩行の野獣が気を伺うように徘徊している。
あの中で籠城しているのだろう。
「まずはあの小屋から引き離そう。グラディオ、陽動を頼めるか。」
「おう。まかせとけ。」
「プロンプトとノクトはグラディオに注意の向いた敵を後ろから倒してくれ。俺は撃ち漏らしをフォローする。」
「オッケー!」
「了解。」
「では、作戦開始だ!」
イグニスの合図で全員が一斉に飛び出した。
グラディオラスが巨体を大きく使って最初の一頭に大剣を振り下ろす。
注意が向いた瞬間に小屋から離れるために走り出したグラディオラスを追って、何体かのトウテツが追うが二体残ってしまった。
その場の判断でノクティスはプロンプトとイグニスに二体を任せグラディオラスに向かった敵にシフトブレイク。
次々に一撃入れ続け魔力が尽きる前に岩場へとマップシフト。
グラディオラスが各個撃破し始めたのを見習い、双剣に持ち替えて斬滅へと突撃した。
全ての敵を片付けたところで扉が開く。
足を引きずりながら、両腕にタトゥーの入った男が出てきた。
ジャケットとサバイバルナイフを見るところ戦う者。
足元がおぼつかないのか、壁に寄りかかりながらもこちらを見据えている。
「あんたが、デイヴってハンターか?」
「俺を探しにきたのか。囲まれていてさっきはやばかった。恩にきる。」
かなり痛いのか、息が荒い。
心配になってノクティスが足を注視するが治療は済んでいるようだ。
再生する過程で痛いのかもしれない。
治療薬、ポーションが足りないのかもしれないと常備しているものを取り出そうとしたがデイヴに止められた。
それでもなお心配そうに見つめる四人を、デイヴは危険ではないと判断し今の自分にはできないハンターとしての仕事を頼むことにした。
「この近くに、様子のおかしい野獣が出ているんだ。他の野獣は倒せたんだが一体残っている。その退治を頼まれてはくれないか。」