FFXV 泡沫の王   作:急須

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特に本編の進まない男三人の雑談回。


三人の雑談

「本日から三日間に渡り休息期間だ!各自戦いに備えながら思う存分観光する様に!」

 

今朝一番にメディウムにそう言い渡され、ウキウキしながらもいつもより早く支度をした四人組。

そこにアコルド政府に預けていたはずのルナフレーナが幻影魔法を身につけてやってきたのが先ほど。

現在ホテルのロビーにて元凶を待ち構えているのだが、待てども待てども一人部屋から降りてくる気配がない。

心配して合鍵で入ってみれば誰もいなかった代わりに置き手紙があったと、偵察班イグニスが一枚のメモ用紙を手にして戻ってきた。

 

「"ちょっとトトモストロして仕事行ってくる。三日ぐらい帰ってこないから遊んでいて"…だそうだ。」

「はぁ!?一番休んでなきゃならねぇ奴がなんで仕事行ってんだよ!!てかトトモストロってなんだ!?」

「俺たちのことわかってんな。」

「さっすがだよねぇー…。」

「あら?裏面にまだ何かありますよ。」

 

ノクティスの嘆き兼突っ込みを遠い目で眺めるグラディオラスとプロンプトに続いて、イグニスの持つメモの裏面に小さく文字が書かれていることにルナフレーナが気がついた。

ピラリと裏返してさらに読み上げる。

 

「"王様とお妃様はデート楽しんでね"…ふむ。我々も邪魔しない様にしよう。」

「抜け目もないねー。」

「その道のプロだな。」

「どの道のプロだよ!!人をからかうことならプロ級だけどな!?あのクソ兄貴!覚えとけよ!」

 

ギャアギャア騒ぐノクティスをずるずると引きずって、さっさと観光に行こうと全員が歩き出す。

ここは首都であり観光都市。

三日でやりきれない楽しいことが山の様にある。

 

ロビーを出る頃には落ち着いたノクティスを先頭に、五人は街へ出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

一方その頃。

 

「いやぁ。心もとない軍資金が潤いましたわぁ。当分は武器と回復アイテムに困らねぇ。」

「…なぁんかイカサマに見えるのは俺の気のせい?」

「トトモストロにイカサマなんて概念はねぇだろ。それこそ魔法でもなけりゃ無理無理。」

 

一般席の後ろの方でアーデンがメディウムの財布を覗く。

すでに十倍には金額が膨れ上がっている。

 

トトモストロは闘技場で行われる野獣同士の戦いで、様々なプログラムが織り交ぜられ随時行われている。

最後まで生き残った野獣に賭けたギャンブラーが、倍率の分だけ掛け金×倍率もらえるのだ。

一般的に知られる歴史上の闘技場は人間同士の死闘だが、倫理観上行えないためこの形になった。

野獣のコンディションや数によってかなり勝敗が変わる上に、観客が持っているグリダという笛で様々な効果を発揮する。

それらをあらかじめ計算するなど難しいことなのだが、メディウムはグリダも吹かずに負けなし。

全額賭けで大儲けである。

未来決定の魔法は発動している様子がないので、本当の意味で運だ。

 

「相変わらず悪運が強い奴。」

「幸運だと言ってくれ。ま、これ以上は出禁になりそうだし。仕事に行こうぜ。宰相殿。」

「はいはい。」

 

帝国の宰相と副官がトトモストロにいること自体が異常なのだが、彼等はこの後に仕事を控えている。

何の仕事かはおおよそ予想がつくが、改めて口にする。

ここからが本番の戦争だ。

 

既に現地入りしたレイヴスと共に軍の配備と動員する兵の打ち合わせをする。

准将クラスも総出の戦いになるだろう。

その際の勢力分布もしっかり把握しなければ。

 

「大方決まったようなもんだけどな。」

 

闘技場外のゴンドラに揺られながらアーデンからもらった動員数の数を見る。

今回の戦いは非常に複雑だ。

 

「アーデンと俺が第三勢力側、王様御一行がルシス王国側、レイヴスはルナフレーナに着くと考えるがルシス側ではなく独立勢力。指揮官としては動かない。そう考えると、准将共が出張ってくるな。」

「アラネア准将はこの戦いの後退職するから、全力は出さないだろうね。野心家はルシス王の側近たちを狙う。」

「必然的にカリゴ辺りは大物狙いで隊としては機能しないか…。裏で暗躍する分には都合がいいが、帝国側がガタガタすぎる。本当にこの国大丈夫か?」

「もう"滅びる国"を気にしたってしょうがないよ。」

「けっ。滅ぼす側の俺たちが言うのもなんだが、可哀想なもんだ。」

 

帝国は外側からすれば大国の大船

しかし内側から見ればボロボロ穴だらけな泥舟。

昔はここまでではなかったが、イドラ皇帝がアーデンの手中に収まった時点でさらに悪化した。

泥舟の裏でこそこそ…寧ろ堂々と戦艦を組み立てたアーデンが何もかも悪いのである。

その戦艦に乗り込もうとしている人間が言うことでもないけれど。

 

「民は絶対に襲わない。そこは絶対だ。普通の市街戦は先に避難勧告してから行うもんだろうけど。」

「その避難勧告で逃げなかった場合掃討戦で皆殺し。帝国のやり口は狡いね。」

「発案者が言うな。今回はそれなしだからな。」

「はいはい。今更人間殺したってなんの得にもならないし、しないよ。」

 

本当はどうだか。

冷めた目線を送るが、相手は舌を出すだけで何も答えない。

無抵抗な市民への殺人だけはしないようにもう一度強く言い、目的地に着いたゴンドラを降りる。

場所は簡素な裏路地だがこの先の道を行けば予約してあるレストランだ。

 

帝国の軍服を隅々まで確認し、タイを直すと入店直後に個室へと案内された。

先にいたレイヴスが仏頂面で一言文句を言う。

 

「遅い。」

「これでも約束の時間十分前だよ?」

「十五分前に来い。貴様それでも宰相か。」

「すまない。レイヴス。ちょっと遊びたくなっちゃって。」

「ディアなら許す。」

「何この扱いの差。俺の方が偉いんだけどー?」

 

ブーブー文句を言ういい大人を放置して席に着く。

すぐさまサーブされた料理はどれも海産物。

いい匂いが個室に充満する。

かなり高めのレストランを指定したが、経費が落ちるので問題なし。

そもそもここにいるのは元ルシス王族、テネブラエの元王子で現帝国貴族、現ルシス王国王子である。

皆目的も立場も違うが王族しかいない。

安いレストランは憚られる。

 

きっちりしたマナーは求められていない故にそれぞれ気ままに摘んでいく。

途中レイヴスに料理を避けて資料を渡せば、パラパラと読み始めた。

 

「…わざわざ勢力分布図まで書いたのか。」

「事情を知っているメンバー用にね。その辺を抜いた資料はすでに配布されている。間違いはある?」

「独立勢力を認めている、と認識していいか。」

「もちろん。ディアに感謝しなよ?言われなかったら認めなかった。」

 

ギロリとアーデンが睨みを効かせる。

口元は笑っているのに目は殺意に溢れていた。

一体何を言ったのかレイヴスが目線で聞いてくるが、肩を竦めて教えなかった。

知らなくていいことが世の中には山のようにある。

 

「ルナフレーナは戦闘後、レスタルムに向かわせる。あそこが一番安全だ。」

「何を企んでいるかは、聞かせてくれないのだろう。ならば言う通りにする。船の手配は?」

「すでに終えている。王の剣の一人がお出迎えしてくれるってさ。レイヴスはそのあと俺についてくれると助かる。」

「ならばなるようになる。謹んでお受けしよう。」

 

ここから先はルシス王家の問題。

例え神凪だとしても戦えぬ者が踏み込むことは許さない。

光が失われて行く世界で、メテオによる発電ができるレスタルムは希望の街。

そこにルナフレーナが加わればそこから光が伝染していく。

護衛はニックスがしてくれるだろう。

王の剣達は今も頑張ってくれている。

 

「その後の"約束"を忘れるなよ。」

「王子様に二言はないさ。泡沫の夢を見せてやろう。」

「何々?俺に内緒とかディアもやるようになったね。」

「あんたに一々許可もらう必要もねぇだろ。あいつの覚悟が決まるまでどれだけかかるかわからないし。」

「早々に決めてくれると助かるんだけどね。それは真の王様次第。本当アホらしい。」

 

三人にしかわからない会話が永遠と繰り広げられる。

後の話、今の話、前の話。

それらがいつのことを指すのかがわかるのはもう少し先。

何もかもが一変した瞬間に理解する言葉だ。

 

「日の出る時間は帝都での決戦後、一ヶ月の間に一時間以下になると予想している。本当ルシス王家は世界の要だな。あからさまにボロボロになる。」

「二千年前では珍しくない風景だったけどね。病が流行る前はもっと日の時間が長かったよ。」

「初耳なんだが。」

「言ってないし。」

 

しかしアーデンの言う通りかもしれない。

病が大流行一歩手前まで行った二千年前はアーデンの力があったからこそ日が完全に沈まずに済んだ。

間違いなく救世主だっただろう。

ほんの少しだけ世界が彼に優しかったら未来は変わっていた。

こんなにまで傷ついて苦しんで嘆いて繰り返す必要など無かったはずだ。

 

「メディウムが俺でノクティスが夜叉王。そう考えると何もかもが二千年前の繰り返し。」

「例え復讐を考えなくても…。」

「第二のアーデンとしてメディウムが生まれるだけの運命だった…か。」

「世界はぐるぐる回ってるんだから当たり前さ。前に進まず同じ場所をずーっと何億年だって回り続ける。そこに新しい現象なんて起こらないよ。"魔法"でもない限りね。」

 

ニヒルに笑うアーデンはそれだけ言って目の前の料理を食べ始めた。

レイヴスと顔を見合わせて肩を落とす。

世界の人々や今を生きる人々に二千年前の歴史を知れと言うのは酷な話だ。

生きるだけで精一杯の彼らに邪魔な知識なのだから。

だが、未来を作り上げるルシス王家と神凪の一族はこの繰り返しを知っている。

その度に自分達が死に物狂いで立ち上がることも知っている。

本当の意味で何も知らないのは周りに隠され続けていたノクティスだけ。

 

大きな出来事となって表に出たのがたまたま今だった。

 

「本当、世界って理不尽。」

「同感だ。冷めてるぞ。」

「あー俺のリゾットが!」

 

ままならない世界への不満と産まれの不運を嘆いて冷たいリゾットを味わった。

 




このあと三人でむちゃくちゃ遊んだ。
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