飛行船支援母艦若宮   作:h.hokura

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久々の過去編です。
ちなみに学校祭は完全に私の捏造ですのでご了承願います。



横須賀女子学校祭1

横須賀女子海洋学校には海洋学校祭と呼ばれる学校行事がある。

まあよくある学園祭みたいに見えるが、普通の学校の物とは結構異なる。

海洋学校に所属する教育艦の艦内見学や実習訓練の公開など、軍隊のオープンベースみたいなものを思い浮かべると分かりやすいかもしれない。

様はブルーマーメイドを目指す者達に海洋学校の活動風景を見てもらうと言う意味が多分にあるのだ。

となれば当然の如く注目を浴びる事になるのは超大型直接教育艦武蔵であろう。

横須賀女子海洋学校において成績優秀者のみが選ばれて乗艦する事を許されるエリート専用艦。

将来のブルーマーメイドを事実上動かして行く事になる者達を育てるこの艦に乗艦出来る事は横須賀女子を目指す者達にとっては最高の目標になるだけに、毎年艦内見学には長蛇の列ができ、実習訓練時の乗艦希望者の競争率は他の艦の数十倍になると言われている。

そうなると当然武蔵乗員の生徒達も見学や実習の準備に熱が入る、何しろ横須賀女子を代表する立場になるのだから当然と言えよう。

ただそれで割に合わない役柄を引き受けさせられる者も出て来る。

武蔵の飛行船オペレーターである神城 綾の様に・・・

 

「以上が展示の概要よ、説明係りの娘はシフトの時間を忘れずにしてね。」

武蔵の飛行船格納庫で飛行長の指示を、飛行科の生徒達はシフト表を見ながら聞いていた。

「何か質問はあるかしら?」

飛行長はそう言って飛行科の生徒達を見渡す。

「あの飛行長、私のシフトなんですが、何故午前と午後ともに2回になっているんでしょうか?」

飛行科の生徒が1人手を上げて質問してくる。

「それはね神城さん・・・貴女が今回の主役だからよ!」

「「「おおお!!」」」

周りにいた生徒達が飛行長の言葉に納得した表情で声を上げる。

「な、何でですかそれは!?」

だが本人、神城 綾は納得できないのか抗議の声を上げる、まあ他の生徒達が午前と午後の1回のシフトなのだから当然か。

「何言ってるの神城さん、貴女の注目度は武蔵の、いえ横須賀女子の中でトップなのよ、そんなの使わない訳にはいかないわ。」

熱の篭った説明に他の生徒達は当然と言った態度で綾を見ているが、本人にすれば「私は客寄せパンダか?」となっても仕方が無いだろう。

何故こんな事態になっているのか?それにはもちろん理由がある。

 

事の発端は入学して最初の海洋実習にあった、その時に撮影された広報動画、外部に公開し、生徒の親や関係者(主に中学校の生徒や教師だ)に見てもらうに有ったのだ。

元々動画視聴率の高い武蔵だったが、例年を越えるある意味異常な数値を記録したのだ、それもある時間帯でだ。

その時間帯に写っていたのが飛行科の実習風景、特に多く出ていたのが綾だったのだ、これは動画を撮っていた人間が、一際目立っていた彼女を面白半分に撮影したからだ。

当然問い合わせも殺到した、主に中学校の女子生徒からだ、曰くあの場面に写っていた美しい女子は誰なのかと、それも全国の学校からだからある意味凄い話しではあった。

お蔭で横須賀女子海洋学校の評判は高まった、近年出生率の低下による生徒不足に悩んでいる関係者にとっては朗報と言える、まあ綾本人にしてみればいい迷惑だったが。

それもあって綾は横須賀女子をPRする場面に必ずと言って良いほど引っ張り出される事になる。

学校案内や入学案内のパンフレットや動画への出演などがそれだった。

 

「まったく・・・」

武蔵の食堂で綾は不景気な溜息を付いていた、それは抗議が受け入れら無かっただけではなく、翌日の実習訓練公開での飛行船展示飛行のオペレート風景も公開されると聞かされたからだ。

「二日間も晒し者ですか・・・」

他人からすれば名誉な話しと言われそうだが、目立ちたくない綾としては当然苦痛でしかない。

それでなくても男から女に性別が変わり、女の園に放り込まれた身としては3年間目立たず平凡に過ごしかったと言うのが綾の本音だ。

とは言え、それは綾の美少女ぶりとその容姿と言動の差からくるギャップ(それが女子の庇護欲を刺激するらしい)で無理な注文であったが。

「何不景気な表情していのかな綾は、せっかくの美少女が台無しじゃない。」

そんな綾に声を掛けて来るのは入学式以来の付き合い、親友の古庄 薫だった。

「何が美少女ですか?止めて欲しいんですけど。」

薫のからかいに綾は抗議の言葉と視線を向けるのだが。

「そうりゃ申し訳なかったわね綾。」

まったく申し訳なさそうに答える薫に綾は深い溜息を付くのだった。

「もう良いです・・・薫は休憩ですか?」

「ええ、航海科もようやく準備が一段落したからね、本番前に交代でね、綾もでしょ?」

綾の隣に持って来た紅茶のカップを片手に座る薫はそう聞いてくる。

「ええそうですよ。」

目の前のアイスコーヒーのカップを指で触りながら綾は答える。

「ふーんじゃこの後暫らく暇なのよね。」

「・・・?」

 

「つまり教官室まで届けを出しに行くのに付き合えと言う訳ですね。」

「まあそう言う事ね。」

綾と薫は武蔵から降り教官室へ向かっていた、出し忘れていた書類を届ける為に。

「まあする事も無かったので構いませんけど。」

「ふふふありがとう綾。」

まあ薫としてはお互いの準備作業で綾と話せなかったからもあって誘ったのだが。

綾としても薫と久々に話せて嬉しくはあったのでもちろん文句は無かった。

だが綾はこの後、自分にとって天敵である人物にも久々に会う事になるとは思っていなかった。

「久しぶりね綾。」

「!!??」

 




私が過去に作ったTSキャラは、目立ちたくないのに、容姿や能力で注目を集めてしまうと言うのが多いですね。

それでは。
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