飛行船支援母艦若宮   作:h.hokura

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綾の天敵襲来(笑)。




横須賀女子学校祭2

「久しぶりね綾。」

「!!??」

武蔵から薫と共に教官室へ向かっていた綾に声を掛けて来た人物。

「綾・・・?」

薫は思わずそう呟いて隣に居る親友とその人物、いや女性を交互に見る。

その女性は綾にそっくりだったからだ、そう彼女が大人に成長した姿が正に目の前の女性だった。

だから薫はその女性は綾の肉親、姉かと思ったのだが・・・

「お、お母さん?一体何をしに来たの?」

どうして母親が此処にいるのかと綾は驚かされる。

「お母さん・・・って、この方綾のお母さんなの?」

とても高校生の娘が居る様には見えないその姿に薫は驚く。

その場に驚愕に震えた薫と綾の声が木霊したのだった。

 

「神城 かほ・・・不本意ながらも私の母親です。」

にこやかな笑みを浮かべる母親の隣でげんなりした表情の綾がそう紹介する。

「不本意とは言ってくれるじゃないかこの不肖の娘が。」

「痛い・・・痛いってばお母さん。」

かほはそんな紹介をした娘、綾の頭を右腕で抱え込むと左手でこめかみをぐりぐりとする。

「まったく相変わらず可愛げの無い娘だね、一体誰に似たんだか。」

「少なくても可愛げの無いのはお母さんに似て・・・いえ何でもありません。」

こめかみをさすりながら綾はまだ憎まれ口を叩こうとするが、かほがにこやかな笑みで左手を向けると慌てて口をつむぐ。

「ぷっ、くすくす・・・」

その2人の姿に薫は噴出してしまう、そしてこの親子の関係もだ、この様子では娘は母親に普段からかなり弄られている様だ。

「薫・・・」

そんな薫に綾は恨めしい目を向けるが、美少女な彼女ではまったく様にならないのは不幸なのかどうなのか微妙なところだろう。

「ご、ごめんね綾・・・ぷぷぷ。」

謝っているのにまったく謝っている様に見えない薫に綾は深い溜息を付く。

「それでだ、そこに居る美人の娘が誰なのか紹介してはくれないのかい不肖の娘よ?」

にやにやしながら言ってくる母親にも恨めしい目を向けるが、当人はまったく意に介していない。

「・・・同期で同じ武蔵に乗艦している古庄 薫さんです。」

「古庄 薫と申します、初めましてお母様。」

笑いを引っ込めると真面目な挨拶をする薫。

「ああ初めまして古庄さん、うちの娘が世話になっているね、お礼を言わせて貰うよ。」

母親の方もにやにやした表情を消して真面目に挨拶を返している。

まったく普段からそうしていれば良いのにと思う綾、怖くて直接は言えないが。

「いえいえお礼を言われるまでもありません、その代わりにですが・・・綾を私に下さいお母様。」

「か、薫何を言ってるの貴女は?!」

「今の貴女では駄目だね、そうりっぱなブルーマーメイドになれたら考えてあげても良いね。」

「お、お母さんも何いっているんですか!?」

真面目に挨拶していた筈なのに何でそんな話になるのかと綾は大混乱だ。

「あ、あははは!!何慌ててるのさ綾。」

「もう、綾ったら、可笑しいわ。」

綾の反応に母親と薫はお腹を押さえて笑い始める、その姿を見てようやく自分がからかわれていた事に気付く。

「ふ、2人共酷いじゃないですか!?」

涙目で抗議する綾だが、その姿が余計母親と薫を煽っている事に気付いていなかった。

 

2人の笑いが収まったのは暫らくたってからだった、もちろん綾はすっかり拗ねてしまっていたが。

「だからごめんなさいって謝っているじゃない綾。」

「知りません薫なんて。」

謝罪している薫に対して綾は目を合わそうともしない、もっとも彼女の容姿ではただ可愛いだけなのだが、それを言ったら余計拗ねそうだから言えないのだが。

「まったく器の小さな娘だね、そんな事で拗ねるなんて。」

母親のそんな言葉に綾は睨みつけるが、やはり可愛さが邪魔(?)で効果は無かった。

「古庄さんの言っているのは親愛から来たもんじゃないか、それくらい分かるだろうに。」

「う・・・」

もちろん綾だってそれくらい理解はしているのだが、やはり恥かしいものは恥かしいのだ。

とはいえ何時までも怒りを持続出来る性格ではない綾は結局溜息を付きながら許してしまうのだった。

「分かりました、もう良いですよ薫・・・でも出来ればあう言う冗談は止めて下さいね。」

男としての感情がまだ残っている身では、女の子からの告白(?)は心臓に悪い綾だった、例えそれが冗談であったとしても。

「ええ、できるだけ控えるわ。」

薫も少々からかい過ぎたと思ったので一応は反省する、彼女としても綾に嫌われるのは本望では無い。

「なら良いですよ薫。」

お互い見つめあいながら2人は笑いあう、ちなみに綾は後でそれを思い出して悶絶していたらしいが。

一見麗しい友情の姿だが、母親は「我が娘ながらちょろい。」と考えていた事を綾は知らない(笑)。

「そ、それでお母さん、一体何で横須賀女子に?」

綾は肝心の話しを聞いていなかった事を思い出し母親に尋ねるのだが。

「そうね何でかほ、貴女が来たのか・・・私も知りたいわ。」

本日2度目の驚愕が綾と薫に襲い掛かろうとしていた。

 




綾の母親はTS物でよく出て来る母親です。
娘になった自分の子供を弄ぶ(笑)。

その頃の話を何時か書いてみようかとは思っているのですが。

それでは。

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