一応クロスの為設定に変更を加えていますが。
・万年 大会(はんねん ひろえ)さんは登場しません。
・舞台が『長乃県爽井沢』らしいですが、ここでは横須賀近郊にしてます。
・キャラの性格が多少違うかもしれません。
以上で良ければ読んで頂けると幸いです。
綾とてまりハイツ
ブルーマーメイドにはかなりりっぱな職員用の寮、いわゆる官舎がある。
だが神城 綾はその官舎に住んでは居なかった。
基本的には官舎に住む事になっているが、強制ではなく個人で部屋を借りる事も認められている。
だから綾はそうしているのだが、その大きな理由は官舎には女性しか居ないかだとは誰も知らないだろう。
考えて見ればブルーマーメイドの官舎なのだから女性以外住んでいる訳が無いのは当たり前の話だ。
それでなくとも職場は女性ばかり(これも当然だが)、出来れば住む所くらいそうではなくてもいいのではないかと綾は考えたのだ。
これは女子海洋学校時代、女子寮に入れられ、様々なトラウマ(主に服装関係)を植えつけられた事が原因だった。
しかし結果から言えばこれも無駄な話だった。
第一に紹介された物件が女性専用のアパートだったからだ、どうやら不動産屋が勝手に気を回したらしく気付いたのが引越した後だった。
第二に服装関係のトラウマについて言えば、お節介な友人達から逃れられたと思ったのだが、今度は部下の娘達が何かと押し掛けて来る様になってしまったのだ。
いやそれだけでは無かった、部下の娘達以外に服装関係で綾の元に来る人間が増えてしまったのだ。
これはその女性専用アパートでの綾の受難の物語。
女性専用アパート「てまりハイツ」。
そのアパート前を箒で掃除している女性は何故か楽しそうだ。
「只今戻りました志温さん。」
そんな女性、志温こと京塚 志温に声を掛けきたのは、ブルーマーメイドの制服と制帽を身に着け、キャリーバッグを手で引いている神城 綾だった。
綾が入居したアパートこそ、このてまりハイツであり、志温は管理人を務めている女性だ。
「あらお帰りなさい綾さん、お久しぶりですね。」
声を掛けて来た綾に振向いて挨拶を返す志温、その動きにたわわな胸部装甲が揺れる。
初めて会った時、それを見た綾はかなりのショックを受けたものだった、自分の控えめなものと比べて。
綾の胸部装甲は同年代の女性に比べると大きくない、その代わりと言う訳でないが形は良いと、親友の薫や部下の娘達から誉められる、喜ぶべきか悲しむべきかは生粋の女性でない身では分からなかったが。
もっとも綾が一番ショックを受けた事は、そんな光景を見れて嬉しいでは無く、羨ましいと思ってしまった事だったが。
「そうですね、ああ留守の間ご迷惑をお掛けしました。」
揺れる胸部装甲を見て浮かんだ感情を頭から追い出し綾はお礼を言う。
ブルーマーメイドの艦長としての任務上洋上での生活が長い為、何ヶ月も部屋を留守にするのは何時もの事だった。
そうなると留守の間に来る郵便や時に宅配便の受け取りが問題になってしまう。
これがブルーマーメイドの官舎なら保管用の設備が有るのだが、一般のアパートにそんなものは無い、綾はそれに入居しから気付いてしまった。
その為管理人である志温に預かってもらう事になったのだ。
綾としては迷惑を掛けてしまうと悩んでしまったのだが、志温は「気にしなくても良いですよ。」と言って快く引き受けてくれたのだ。
「いえいえ、後でお届けしますね。」
志温はそう言って微笑む、本当に傍に居て心休まる人だなと綾は感心する。
「あ、お帰りなさい綾さん。」
そんな時、アパートの部屋から出来た少女に綾は声を掛けられる。
「ただいま花名ちゃん。」
管理人である志温の従妹である一之瀬 花名だった、近くの星尾女子高校に通う女子高生だ。
「仕事は言え、何ヶ月も海に居るって大変ですよね。」
「まあもう慣れてしまいましたがね。」
そう会話して微笑み合う綾と花名の2人、傍から見ても仲が良いことが分かる。
もっとも最初の頃は花名が人付き合いが得意でない事もあって会話が成り立たなかったのだが、ある偶然から2人は急速に親しくなった。
それはずばり2人の似た境遇、共に高校受験浪人(中学浪人)だった事をお互い知ってからだ。
「そう言えば花名ちゃん学校は?」
ふと今の時間、昼前である事に気付き綾が質問する。
「えっと試験休みなんです。」
花名は微笑ながら答える。
「ああそう言う事ですか。」
普通の学校ならそう言うの物があったなと綾は気づく、ちなみに横須賀女子海洋学校では試験と言えば洋上で行なわれる為か、終了後も艦上でそのまま過ごす事が多く、花名の様に自宅で休むなんて経験は無かったからだ。
と綾はそこまで考えて背筋に寒気を感じて、思わず花名に聞く。
「そ、それじゃ栄依子さんは・・・」
「お久しぶりですね綾さん。」
だが質問をする前に綾はキャリーバッグを持っていない方の腕を掴まれる。
ぎくりとしてそちらを見る綾を満面の笑みを浮かべ見る、容姿が非常に大人っぽい少女。
花名の友人の1人である十倉 栄依子だった。
「え、ええお久しぶりね、え、栄依子さん。」
綾の対応が途端にあたふたしてしまうのは、ある意味仕方が無い事だった。
「お約束通り夏の綾さんに似合う洋服を用意しましたから、ああ水着もですね。」
「いえ別に約束していた訳では・・・」
「遠慮しなくても良いんですよ、それでは早速・・・」
「だから私の話しを聞いて下さい栄依子さん。」
花名を通して紹介された栄依子は何が気に入ったのか、ぐいぐいと綾に迫って(笑)きたのだ。
曰く、「綾さんとお呼びしますね、私の事は栄依子と呼んで下さいね。」
「ブルーマーメイドの制服とてもお似合いですね、でも他の服を着た綾さんも見たいです。」
「ファッションの事ならお任せ下さい、綾さんにぴったりのコディネートさせて貰いますから。」
とまあこんな感じで初対面の時から積極的な栄依子に綾は困惑しっぱなしであった。
「相変わらずですね栄依子ちゃんは。」
「うん、何時も通り、流石は栄依子。」
そう言って感心の声を上げるのは、やはり花名の友人である百地 たまてと千石 冠の2人だった。
やはり花名を通じて綾と知り合い親しくなった。
「あの、たまてさん、冠さん助けて・・・」
「無理ですね、あとたまちゃんと呼んで下さい綾お姉さん、それからお帰りなさい。」
「栄依子はこうなると止められない、お帰り綾。」
2人に助けを求める綾だったが残念ながら断られたのだった。
「あははは・・・」
それを見て花名は笑うしかなかった、ちなみに志温は最初から微笑んで見ているだけだった。
「それでは行きましょう、花名、たま、冠(かむ)手伝ってね。」
「「イエスマム。」」
「うん。」
花名、たま、冠(かむ)は返事をすると綾を取り囲み連行する。
「さあ綾お姉さん、荷物は私が持ちますから。」
「人間諦めが肝心、直ぐに楽になる。」
「ははは御免なさい綾さん、でも私も見てみたいし。」
「あ、あの・・・志温さん。」
3人の少女達に連れて行かれそうになりながら綾は志温に助けを求めるのだが・・・
「私も後で行きますからね綾さん。」
一点の悪意も見られない笑みで死刑宣告を下す志温に綾はただ項垂れるしかなかった。
その後暫らくの間、てまりハイツの一室から女性の悲鳴が流れ続けていたらしい。
スロウスタートとクロスさせようと思ったのは、主人公の一之瀬 花名が病気で浪人しているという設定からです。
ちょうど神城 綾と、こちらは性別が変わった、まあこれも病気の一種と言えるか、だったので。
あと、友人の十倉 栄依子、アニメでも『二十歳女性を好き放題している。』ので、TS物の定番、着せ替え人形化してくれるキャラとして最適だと思ったからです。
このクロスは幾つか書く予定です。
それでは。