飛行船支援母艦若宮   作:h.hokura

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スロウスタートのSTEP.09「ゴリラのみずぎ」とのクロスです。
今回も栄依子の腕が唸る(笑)。



水着とライチ1

その光景は普通に見えて、だが何処か変だと綾は思った。

「これ美味しいわね~」

「ライチ美味しい。」

「本当美味しいですねこれは。」

「綾さん、ありがとうございます。」

花名と友人の栄依子、冠、たまて、が居る、4人は仲がとても良く結構こうやって花名の部屋に集まっているを綾はよく見る。

ちなみに綾が花名の部屋を訪れるのもそれ程多くないが有る。

今回もある用事があって花名の部屋を訪れたのだが・・・

「いえこちらこそ助かりました、友人から貰ったのですが量が多すぎたので。」

親友の薫が実家から送って貰ったらしいのだが、量が多すぎて始末に困ったのだ。

ちょうど休暇で薫の部屋に来ていた綾が頼まれて一部引き取ったのだが。

思ったより量が多く、綾もまた始末に困ってしまったのだ。

そこで花名と志温にお裾分けでもしようと思い、花名の部屋を尋ね、今の状況になっているのだった。

そう何故か全員・・・水着姿で花名の部屋でライチを食べながら会話するという状況に。

まあ予兆はあったのだ、インターフォンを押して来訪を告げた時、答えたのが栄依子だったからだ。

栄依子が花名の部屋に来ているのは珍しくはないが、綾はその瞬間嫌な予感に襲われたのだ。

「はい、いらっしゃい・あ・や・さん。」

満面の笑みを浮かべグリーンのビキニを着て出てきた栄依子を見て綾は固まる、いやそれだけではなく、部屋に敷かれた布団の上で仰向けになって両足を上げいる花名と冠、エプロンを着て踊っているたまて。

インターフォンを押した時に感じた予感は本当だったと綾はその時思ったのだった。

とりあえず部屋に上がった綾は花名達から事情を聞かされる事になる。

元々花名達は海に泳ぎに行くつもりだったらしい、だが今日は朝から強い雨で断念するしかなかった。

そこで冠の提案で水着過ごす事にしたらしい、「これで少しは気分が晴れる。」と言う彼女の言葉で。

そういうものか?と綾は思ったがまあ花名達がそれで満足ならけちを付ける事もないと納得する。

とりあえず用事を済ませて退散しようと思った、同性とは言え女子高生のそれも水着姿の中にいる度胸は綾には無かったからだ、しかし残念ながら思惑通りには行かなかった。

「フッフッフ~。この部屋の秘密を知ったからには、綾お姉さんにも水着ギャルになってもらいますよ~!」

たまての言葉によって。

「・・・!?」

その言葉に逃げ腰になる綾の腕を栄依子はがっちりと掴む、それはもう楽しくしょうがないと言う笑みを浮かべて。

「と言う訳でさっそく着替えましょうか綾さん。」

そのまま引きずって行く栄依子。

「ちょっと待って下さい私はそんな、第一水着なんて今持ってませんよ。」

「大丈夫ですよ。私の予備がありますから。」

相手は年下の女子高生、言わば一般人の栄依子に意図も簡単に拉致される現役ブルーマーメイドという図式が出来上がっていた。

そして隣の部屋に連れ込まれる綾、ちなみに花名達は興味が有るのか止め様とはしなかった。

「あああ・・・!!」

扉が閉じ綾の悲鳴が響き、暫し沈黙の後、再び扉が開かれるとそこには・・・

赤いビキニを身に纏った綾が居た、思わず凝視してしまう花名、たまて、冠。

「ほんと素材が良いから何着せても最高ですよ綾さん。」

満足気な笑みを浮かべサムアップする栄依子、対して綾は泣きたい気分だった。

何しろ部屋に入った途端、服はもちろん下着まであっと言う間に脱がされ、この水着を着せられたのだ。

その手際の良さに、普段から彼女はこう言う事に慣れているんじゃないかと綾は思わず疑ってしまった。

「綾さん、綺麗です。」

花名は胸の前で手を組んで感激した表情で見つめてくる。

「へへへ・・・嫌がっても身体は水着じゃないですか。」

たまては涎を手で拭いながら何かに取り付かれた様な台詞を言っている。

「うん・・・完璧・・・流石は栄依子。」

栄依子の手腕を誉める冠、心なしか頬が赤いのはご愛嬌か。

「皆さん・・・(泣)」

泣きそうになりながら手で胸や腰の辺りを必死に隠そうする綾だったが、それが余計花名達を煽っている事に気付いていなかった。

「それにしてもこのビキニですか、初めて着たんですが、何と言うか心細ですね。」

隠されているのが胸と腰周りと言うのは綾にとっては露出が多すぎて不安にされてしまう。

一応ボトムは花名の水着と同じ様に短いスカートが付いているのでまだ良かったが。

ちなみに綾が初めて女性用の水着を身に着けたのは横須賀女子海洋学校時代に学校指定の水着(青と白のスクール水着)だった、その時は生まれて初めてと言う事で相当あたふたさせられたものだった。

「綾さんはスタイルが良いんですから着ないともったいないですよ。」

大きくは無いが形の良い胸に綺麗な体のラインを持つ綾に、同性ながら花名達も見とれてしまう。

もっとも綾にすればそれを喜ぶべきなのかどうか生粋の女性でない身では分からなかったが。

こうして着替えを無事終えて(笑)、今は綾の持って来たライチを囲んでのガールズトークの真っ最中だった。

そして綾の受難は正にこれからだった。

 




TSキャラが周りの女子に良い様に弄ばれるのは定番だと私は思うのですが。
だから綾には今後とも弄ばれてもらいましょう。

それでは。

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