飛行船支援母艦若宮   作:h.hokura

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タイトルは最初「てまりハイツにて」だったのですが、ちょっと違う様な気がしたので変えました。



水着とライチ3

部屋に居る全ての者が水着姿になってしまったという状況の中、花名達は簡単な状況説明と自己紹介を済ませる。

ちなみに冠が挨拶した所でその可愛さに感激した志温の胸を見て・・・

「ライチ・・・新鮮。」

と冠が発言した事が有った事を記して置く。

「それで志温ちゃん、どうかしたの?」

取りあえずパニック状態から脱して花名が聞く。

「あ、そうそう、電話したんだけど出なかったから、ほら、ここから少し行った所にあるリゾートホテルに温泉プールがあるんだけど、皆どうかなと思って、今日海に行けなかったみたいだから・・・」

「そ、そうですよその手がありましたよ!」

たまてはそう言って皆を見渡す。

「行きましょうプール今すぐに。」

そのたまての声に皆直ぐに反応する。

「う、うん!行きたい!」

花名は既に行く気まんまんになっている。

「じゃあ今から行きましょうか。」

栄依子も同様に行く気まんまんだった。

「うん。」

そうなれば冠に異存がある訳はなかったのは言うまでもない。

そんな花名達を見て綾はようやく開放されると思い皆に声を掛ける。

「それでは私は此処で・・・」

だが現実はそう簡単に綾を離してはくれそうもなかった。

「じゃあ、私は綾さんと参戦しようかしら。」

綾の腕を自分の腕でしっかり拘束して志温が言ってきたからだ。

「わ、私の意思は?」

「「「「皆でプールだ!」」」」

最初からそんなものはありはしないのだから言うだけ無駄だった。

 

一行はリゾートホテルに到着後、温泉プールに行く者とそれ以外に別れる。

花名達はもちろん温泉プールだが、志温と綾の2人は・・・

「エ、エステですか?」

2人が立っているのはリゾートホテル内にあるエステサロンだった。

「以前お寿司をご馳走になりましたから、そのお礼にと思いまして。」

花名がお弁当を忘れてしまった時に綾はその弁当と買ってきた昼飯を交換した事がある。

その時の綾の昼飯がお寿司だったのだ、言っておくが近所にあった回転寿司のお持ち帰り用であり、エステをお礼にする程の高級品では無かったのだが。

「いえいくら何でもそれは・・・第一大家さんに何時もお世話になってる私の方が、お礼をする立場ですから、エステなんてとてもとても・・・」

「遠慮なさらずに、お肌がツルツルになる事請け合いですよ。」

遠慮する綾に志温は自分の肌を触りながら進めてくる。

「ツルツルになっても見せるのは乗員の娘達ぐらいなんですが・・・・」

異性(男)に素肌を見せる何て綾に出来もしない話だ、だから何時も見せると言うか、見られてしまうのは若宮の乗員達だけだ・・・それだけでも十分恥かしい話しなのだが。

そして・・・

 

「良いのでしょうか・・・私みたい者が、こんな王族みたいな扱いを受けて。」

「うふふ・・・良いんですよ綾さん。」

押し切られた綾は志温と共にエステを受ける事になった。

暫らく無言でエステを受けていた綾はうつぶせに寝かされるとぽつりと呟く。

「花名ちゃん達が仲良くしてるのを見ると、眩しい様な、何か切ない様な気にさせられますね。」

「それは分かりますね、自分達にもあんな頃があったなって・・・思ってしまいますね。」

自分が横須賀女子海洋学校に居た頃の事を綾は思い出す・・・薫や他の友人達と過ごした日々を。

「そう考えると花名ちゃんは素晴らしい友人達に恵まれていますね。」

やや癖の強い娘達だが、花名の事を思いやっている事は傍から見ていても分かる綾だった。

「その中には、綾さんも入っていると思いますよ。」

「わ、私もですか?いや・・・それはそれで光栄な話しですが・・・」

不意を突かれる様に志温に言われた所に背中にオイルが塗られ思わす声が出てしまう。

「・・・わっ!?」

そしてオイルが背中全体に塗りこまれて行くの感じながら志温は綾に語り掛ける。

「まぁ、大人には大人の楽しみがありますから。」

「そ、そうですね・・・」

2人は暫しその大人の楽しみを堪能したのだった。

 

女子更衣室。

しばらくして、志温と綾がエステから戻って来ると見ると。

「皆お待たせしました、ってあら?」

花名とたまてが激しく落ち込んでいるのに遭遇する志温と綾だった。

「ど、どうかしましたか?」

綾が花名とたまてに尋ねると。

「パンツを・・・パンツを忘れちゃったんですよ・・・」

たまてが目のハイライトを消した状態で返答する。

「え?花名ちゃん達もですか?」

「「え?」」

花名とたまてが綾の言葉に驚く。

「いえ、実は私も花名ちゃんの部屋に忘れて来てしまって・・・パ、パンツを。」

恥かしそうに綾は答えると志温を見る。

「もしかしたら花名ちゃん達も忘れてるかと思って買って来たのよ。」

志温はほほえむと下着が入った袋を花名達に見せる。

「何と、これは正に地獄にパンツですね。」

「あ、ありがとう志温ちゃん。」

喜ぶ花名とたまての2人は志温の差し出した袋を受け取る。

「さあ履いてみて皆。」

志温に言われ袋から取り出した下着を花名が身に付け様として・・・

「あれ?こ、これ・・・後ろに穴が空いてるよ?」

そう花名が持つ下着には何故かハート型の穴が空いてた。

志温は花名の言葉に嬉しそうに答える。

「可愛いでしょ?」

「ええ・・・」

花名はその下着を持ったまま固まってしまう。

「あはは、お尻見えちゃいますね。」

「ハートやら星やら丸やら、色んな形がありますね。」

栄依子とたまては何故か嬉しそうだった。

「私、猫の形にする。」

冠もまったく気にした様子も無く猫の形に穴が開いた下着を取る。

「み、皆良いの?、穴が空いてるんだよ。」

何故皆そんなに平然としているのか花名は理解出来ない。

「花名!」

「え?は、はい!」

「これは、尻尾を出す為の穴だから良いの。」

「し、尻尾?」

花名を平然と諭す冠だった・・・その内容はどうかと思うが。

一方綾は黒っぽい下着を身に着けていた、これって母親が時々送ってくるアダルトなやつにそっくりだなと思いながら。

「綾さん、サイズは大丈夫ですか?」

身に着けた終わった綾に志温が聞いてくる。

「えっと、サイズはまあ何とか、ただこの下着非常に心許ない作りですね、紐で固定されているみたいですし・・・」

何しろ布の面積が少ないうえに所々透けいる下着を紐で止めている様に見えて綾は恥かしくて落ち着かない。

「大丈夫ですよ、こう言う下着の紐って飾りみたいなものですから。」

そう言って志温が紐を引っ張ると・・・下着が解けて落ちかかる。

「新鮮なライチ。」

女子更衣室に綾の悲鳴が響き渡る中、冠はぽつりと呟くのだった。




TSキャラは周りの女の子達に振り回されるのが王道だと思います。
最後のオチ要員としても(笑)。

それでは。

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