飛行船支援母艦若宮   作:h.hokura

43 / 57
今回は志温さんとの逢瀬(?)です。
スロウスタートのSTEP.11「トマトのまつり」を元にしてます。



夏祭り1

その日綾は何故かてまりハイツの階段脇に置かれたベンチで志温と共に座ってすいかを食べてた。

「冷たくて美味しいですね綾さん。」

「はい、暑さで参っている身体にはたまらないですね志温さん。」

外出先から帰って来た綾に志温は食べていたすいかを見せながらにこやかに話し掛けて来たのだ。

「熱いですね、綾さんもすいかを食べませんか?」

最初は戸惑ったがさっかくのお誘いだしと思い綾はご相伴に預かる事にした。

「そうですね冷たさが身体に染み入りますね・・・そうだ今日近くの神社でお祭りがあるんですが、綾さん行ってみませんか私と。」

志温がふとお祭りの事を思い出し綾を誘ってきた。

「お祭りですか?」

「ええ、この近辺では結構大きなお祭りで、夜店や花火の打ち上げなんかもありますよ。」

にこやかに祭りの紹介をする志温を見ながら綾はそう言えばお祭りなんて久々だなと考える。

最後に行ったのは横須賀女子に居た頃に横須賀の街であった祭りに薫とスキッパー乗って行った時だったなと綾は思い出す。

ブルーマーメイドに入ってからは任務の多忙さありそんな気になれなかったのだ。

「それは楽しそうですね、私は構いせんよ、一緒に来ましょう志温さん。」

だからこうして誘ってもらった事もあり綾も乗り気なった様だ。

「良かったです、それじゃ浴衣も用意しますね、ああ栄依子ちゃんにサイズは聞いていますから心配ありませんよ。」

「えっ志温さん、浴衣ですか、いえそれより何で栄依子ちゃんからサイズを聞いているんですか?」

色々聞き捨てならない話が出て綾は慌てる、まあ綾は栄依子の着せ替え人形(笑)にされていたので、彼女が知っていても不思議は無いのかも知れないが、何で志温が聞いているのかと疑問を抱く。

「実は前に栄依子ちゃんと話した時に綾さんは浴衣が似合うんじゃないかと話で盛り上がって、それじゃ着せてみましょうとなりまして。」

どうやら本人の知らない所でそんな話が進んでいたとは思いもしなかった綾だった。

「ちなみに浴衣のデザインは栄依子ちゃん監修です、あと知り合いから安く手に入れらたので代金も気になさらなくても大丈夫ですよ。」

全ての外堀が埋められている状況に綾は苦笑いするしかなかった。

こうして綾は、栄依子監修の浴衣を来て、志温と共に祭りに行く事になったのだが。

「あ、浴衣を着たら写真取りますね、栄依子ちゃんが綾さんの浴衣姿楽しみにしてましたので。」

「は・・・?」

ちなみにその栄依子は花名達と祭りに行くのだが、綾はこの時点ではまだ知らなかった。

 

神社前・夜

浴衣を着た綾と志温は祭りの行なわれている神社前に居た。

なお、お約束通り(笑)浴衣に着替えた綾を志温が様々なポーズをとらせ撮影していた。

だから綾は祭りに来る前から精神的に疲れてしまっていた。

「どうですか綾さん、久しぶりのお祭りは?」

綾の疲れ(主に精神的なものだが)を気にする事無く志温は楽しそうに聞いてくる。

「そうですね・・・なかなか良い物ですね、この活気は。」

何だか疲れが飛んで行きそうで綾は微笑んで答える。

「それじゃ楽しみましょうか・・・あ、その前に綾さんの無事な航海を祈りにいきましょう。」

手を叩き志温はそう言うと、綾の手を引っ張り始める。

「あの・・・ありがとうございます志温さん。」

戸惑ったものの志温の気持ちが嬉しくなり綾は微笑む。

「あ、でも手を離して頂けると嬉しいんですが。」

女性同士で手を繋ぐと言う状況に綾は恥かしくなって志温に言うのだが。

「駄目です。」

にべもなく拒否されたのだった。

 

2人でお参りを済ませ、夜店を見て周る。

「・・・駄目ですか、中々当たりませんね。」

夜店でぬいぐるみを取ろうという志温の提案で2人は挑戦しているのだが。

志温の投げたボールは見当はずれの方に飛ぶばかりでぬいぐるみにまったく当たらないのだ。

「・・・良し。」

一方の綾はどうかと言えば・・・見事に命中させぬいぐるみを落としていたのだ。

「わあ、流石はブルーマーメイドさんですね。」

感心した様に志温が言うと夜店のオヤジがすっかり禿げ上がった頭を叩いてぼやく。

「たあ、姉ちゃんブルーマーメイドの人間か、くそっ知っていたら断ったのにな。」

そんな2人に綾は苦笑い浮かべて答える。

「いえ、ブルーマーメイドは関係無いと思いますが。」

 

暫らく夜店を見て歩き、たこ焼きやお好み焼きなどを買い込み、綾と志温はテーブル席に着いていた。

「今日は楽しかったですよ志温さん。」

綾は感謝の言葉を志温に伝える。

「いえいえ、綾さんが楽しんでくれてお誘いしかいがありました。」

志温も本当に嬉しそうに答える、まあ世話好きの彼女としては当然か。

それから2人は、管理人の極意(ごみの分別?)についてや、艦長としての苦労話などで盛り上がった。

「それでは行きましょうか、そろそろ花火の打ち上げが始まりますよ。」

食べ終わったところで志温がそう言って立ち上がり綾に声を掛ける。

「もうそんな時間ですか・・・ではいきましょう志温さん。」

2人は花火が良く見える小高い場所に移動する、何故か先程の様に手をつなぎながら。

「えっと志温さん?」

「どうかされましたか綾さん?」

綾はつながれた手を見ながら恥かしそうに志温に言うのだが、彼女は気にした様子は無い。

「いえ何でもありませんよ。」

「くすくす・・・綾さん可愛いですよ。」

叶わないな・・・綾は真っ赤になりながら志温に連れられて歩くのだった。

 

打ち上げられた花火が夜空に大輪の花を咲かせる。

「綺麗ですね・・・」

「そうですね、花火なんて見るのなんて久しぶりですね。」

そう言いつつ握られた手を見て綾はやっぱり恥かしいなと思うのだった。

結局綾は最後まで志温と手をつなぎながら花火を見る事に事になった。

 




志温に翻弄される主人公と言う姿です。
後編では清瀬さんが登場します。

それでは。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。