部屋に戻って来た花名は机の上にある母親から送られて来た現金入りの封筒を見て溜息を付く。
ちなみに綾と志温のコスプレ(笑)姿による押し問答は放置してきた。
まあ最終的には外出しない代わりに写真を撮る事で妥協しそうだったが。
「私らしい服って・・・どんなだろう。」
今まで自分で服を選ぶなどした事の無い花名にとって今回のハードルは高かった。
せめてもの救いは栄依子が来てくれる事だろうか、彼女の服選びは確かだったからだ。
その時だった、花名の携帯からメールが着信した事を知らせる音がした。
「えっメール・・・栄依子ちゃんから?」
直前まで考えていた栄依子からのメールに花名は驚きつつ内容を見る。
『綾さんの横須賀女子の制服姿、ちょー最高ね花名。』
どうやら志温は撮影した綾の制服姿を栄依子に送ったらしいと花名は苦笑する。
志温と栄依子が何時の間にかメールアドレスの交換をしていた事を花名は最近知った。
きっかけは志温の就職浪人を栄依子から聞かされた時で、そのコミュ力にたまては驚愕していたが。
『直接見れた花名と志温さんが羨ましい、私も今度会ったらぜひ着てもらうつもり。』
「ははは栄依子ちゃんらしいね・・・綾さんがんばって下さいね。」
もはや栄依子によって着せられる運命が決まっている綾に花名はエールを送るのだった。
「あれ・・・?」
そんな栄依子のメールの最後に『追伸』とメッセージが書かれている事に花名は気づく。
『あ、それで明日の件で花名に頼みたい事があるんだけど・・・」
翌日
郊外にあるアウトレットパークに花名は来ていた。
ここであれば結構手頃な値段で様々な物が手に入るので花名や栄依子達は良く利用する。
「花名。」
「花名ちゃん、こっちですよ。」
「やっと来た。」
栄依子とたまて、冠が花名を見つけて声を掛けて来る。
「皆その今日はありがとう・・・まだ何買って良いか分からなんだけど。」
3人に礼を言いつつ花名は苦笑しつつ答える。
「無理に今日買わなくても良いんだし、似合ってる服をゆっくり探していけば良いじゃないのかしら」
そんな花名に栄依子は微笑ながら励ましてくれる。
「う、うんありがとう栄依子ちゃん。」
「花名は素材が良いから何でも似合うと思う。」
「そうですよ、花名ちゃんはかむちゃんと同じで最高の素材ですからね。」
たまてと冠がどや顔で励まして(?)くれる。
でも素材って・・・誉めてくれているのだろうが少々複雑な花名だった。
と此処までは何時もの4人の会話だったのだが・・・
「あの・・・どうして私まで此処に来なければならないのでしょうか?」
そう何故かこの場所に綾も居た、思いっきり困惑した表情で。
「ふふふいらっしゃい綾さん、花名ありがとうね。」
栄依子は花名に礼を言いつつ、機嫌良さそうに綾を向かえる。
「あ、あの綾さんごめんなさい、栄依子ちゃんにどうしてもって言われて。」
前日来たメールの追伸の内容がこれだったのだ。
『綾さんも是非連れてきて欲しいの、あっもし渋ったら・・・大変な事になりますよって言ってね。』
何だか脅迫している様で花名としては気が引けたのだが、栄依子が何を計画しているのかと知りたいと言う事もあり、綾の部屋行き誘ったのだ、栄依子の台詞を言って。
花名にとっては好奇心が思いやりを凌駕した瞬間だった。
「もう良いです、それより花名ちゃんの服を選ぶだけですよね?」
綾は花名の事だけだと強調したのだが・・・
「もちろん綾さんの服もですよ・・・決まっているじゃないですか。」
何が決まっているのかと綾は言いたい気分だった、兎も角このままでは着せ替え人形にさせられるのは今までの経験上確実だったので何とか断ろうとした時だった。
「何しろ天音さんからも頼まれていますから。」
栄依子の口から何処かで聞いた様な名前が出て来て綾は思わず呆けた表情を浮かべてしまう。
「えっと栄依子さん、その天音さんってまさか・・・」
「はい桜井 天音さん、若宮の副長をしている方ですよね。」
やはり聞き間違いでは無かった様だった、それにしても何で天音と栄依子が知り合いなのか、と綾は混乱する。
「半月前に横須賀中心街のお店に行った時にお見かけして声を掛けたんです、前に写真で見せてもらっていたので直ぐに分かりましたから。」
確かに若宮の事を話した時に天音を副長だと紹介はしたが、まさか出会ったからと言って直ぐに声を掛けるとは・・・
綾は今更ながら栄依子のコミニケーション能力を侮っていたと痛感した瞬間だった。
天音と栄依子の意外な関係(笑)。
それでは。