洋服店に到着した栄依子と花名、そして綾。
色鮮やかな服が並び多くの女性達で賑わっており花名と綾は気遅れ気味だ。
対して栄依子か何時もにましてテンションが高い、まあ普通はこちらが女の子としては正常な反応なのかもしれない、花名と綾がちょっと変わっているのだ。
花名としてみれば母親の選ぶ服は可愛いとは思うけど時々子供っぽいなと感じる事もあった。
かと言って大人っぽい服をと思ってもまだ自分には似合ってない気がするのだ。
だから栄依子の様にテンションが上がらないのだ、色々考えすぎて楽しめないのだった。
一方綾の方だが・・・これはずばり言って過去のトラウマに起因している。
女性になり始めての女物を母親に着せられたのだが、はっきり言って玩具扱いだった。
一応教育と言っていたが明らかに自分で遊んでいたと綾は思っている。
そして横須賀女子時代は薫と友人達、ブルーマーメイドに入ってからは副長を筆頭に若宮の乗員達、そして新たに栄依子が参加、何だか加速度的に着せ替え人形化が進んでいるんじゃないかと綾は感じている。
その所為もあり綾は服選びが苦手なのだ。
「ゆっくりで良いんじゃないかな、素直に今の花名が好きな物を着たら良いと思うわよ。」
あれこれ悩み始めた花名に栄依子は優しく言う。
「無理に何時もと違う服を着てるのも花名らしくないしね・・・それはそれで可愛いと思うけど。」
そんな栄依子の言葉に救われる思いがする花名、それに後押しされる様に彼女は先程から気になっていた服を取る。
「栄依子ちゃん・・・やっぱりこれ・・・かな・・・」
その服を見て栄依子は満足そうに頷く。
「それ花名らしいわよ。」
「え?私らしい・・・かな?」
花名はその言葉に赤くなるが、一方で自分の選択が誉められた様な気がして嬉しかった。
「うん、とっても素直な可愛い服よ・・・綾さんは決まりましたか?」
栄依子は次に綾の方を見て聞いて来る。
「えっとこんなところですか。」
綾はそう言ってブラウスとスカートを見せてくるのだが。
「・・・綾さん。」
「え、いや、その・・・」
「・・・(ひゃあ)・・・」
静かだがその言葉の奥に強い怒りが篭った栄依子に綾だけでなく花名まで固まる。
「そのブラウスにそのスカートは合いません・・・どうやら調教、いえ教育が足りない様ですね。」
「え、栄依子さん今調教って言いませんでしたか?」
不穏な言葉に綾は聞き返すが、栄依子はそれを無視すると傍らに飾ってあったワンピースを手に取る。
「じゃあさっそく試着しましょうね花名、綾さん。」
「え、い、今?」
「ちょっと待って下さい私は・・・」
「すみませ~ん店員さん試着室借りますね。」
躊躇する2人を他所に栄依子は早速試着させる積りらしい。
その意気込みに花名と綾は圧倒され言う事を聞くしか選択肢は無かったのだった。