「まったくもう・・・そう言えば花名ちゃんもその服似合ってますよ。」
恥かしがっていた綾は栄依子と共に覗き込んで来た花名見て言う。
「大分大人っぽくなりましたね、ねえ栄依子さん。」
「綾さんもそう思いますよね、花名ほら綾さんもそうだって。」
「だから気遣いなど無用なのです!」
2人の賞賛に花名はやはり某駆逐艦の様な口調になってしまうのだった。
「大人っぽくなったというか少し成長したのかも・・・」
自分の姿を見ながら花名は呟くと栄依子はそんな彼女を見て何かに気付いたのか聞いて来る。
「胸とか?」
栄依子の問いに恥かしそうに俯きながら花名が答える。
「う・・・うん、実は下着のサイズも合わなくなったなって・・・」
「それも付き合おっか?」
花名のそんな姿を微笑ましく見ながら栄依子が提案して来る。
「え・・・良いの?」
思わぬ提案に花名が聞き返す。
「良かったらお供します。」
微笑んで栄依子は承諾する、言われなくてもその積もりだったのだから。
「良かった、志温ちゃんに一緒に来てってお願いしようと思ってたんだけど・・・志温ちゃんからしたら私の胸の増減なんてアリンコが止まったくらいのものだろうなって。」
花名はそう言って溜息を付く、確かに志温さんの胸の大きさとから言えばそうなるかもと、綾も思ってしまうのだった。
「あはは、志温さんから見たら誰もが皆アリンコになっちゃうかもしれないわねえ、それでどうする、服買った後で行く?」
栄依子もそう感じたのか、苦笑いを浮べながらこの後の予定を提案する。
「あの・・・出来たら下着買う時は2人だけの時が・・・」
「そうなの?たまやかむはからかったりしないと思うわよ。」
まあからかったりしないだろう・・・羨ましがるかもしれないがと綾。
「うん、それは分かってるんだけど・・・」
どうやら花名も綾と同じ様に感じたのか困った表情で答える。
「・・・うん分かったわ花名、今度3人で行きましょう。」
そんな花名の心情を察して栄依子は新たな提案をして来たのだった。
「3人?」
花名が不思議そうな表情を浮べて聞き返して来る。
「そう3人、私と花名、それに綾さんとね。」
「ちょ、何で私まで?」
栄依子の新たな提案に綾は慌てしまう。
何しろ下着買いに行くと言う行為は綾にとっては未だに苦行なのだから。
思い出せば、母親に初めてブラとショーツを着せられた時は、恥かしさと女になったと自覚させられたショックで半日寝込んだのだ。
そして海洋学校時代、薫や友人達に連れて行かれ(もちろん強制的にだ。)、綾はトラウマを植えつけられてしまったのだ。
「何を言っているんですか綾さん、この前の身体計測で胸が成長したんですよね、それでブラが合わず大変な事になっているそうじゃないですか。」
「!?何でその事を知っているんですか栄依子さん。」
だが綾のトラウマを気にする事も無く、それどころか誰にも話していない事実を指摘してくる栄依子。
実は最近行なわれた健康診断の身体計測で胸が成長していた事が分かったのだ。
海洋学校時代以来の事だが、この歳で今更と言う思いと恥かしさで、そのデータは艦長権限で封印した綾だったのだが。
しかもその所為でブラが合わず、着替えの度に苦労している事まで知られている事に綾は動揺させられる。
「天音さんから聞きました。」
「副長、貴女は一体何をしているんですか!?」
さも当然ですと言う顔で答える栄依子に綾は頭を抱え絶叫してしまうのだった。
まあ天音にしてみれば綾の事を全て把握しているのは当然だと考えており、艦長権限など意図も簡単に突破してしまったのだ。
あとサイズが合わず苦労している事は、天音自身と乗員達の目撃でとっくの昔に分かっていた事だった。
綾は着替え時恥かしさで気付いていなかったのだが、周りの者達はその姿をちゃんと観察(笑)していたのだ。
若宮の艦上ではプライベートなど存在しない事を綾は知らなかった。