綾が副長との今後の関係を考え直すべきだろうかと苦悩していた時だった。
「わぁ!?かむ?」
栄依子は突然後ろから解体ショーから戻って来た冠に抱き着かれてしまう。
「かむもう終わったの?」
「うん終わった。」
「いや凄かったですよ解体ショー!!」
一緒に戻って来たたまてが興奮して栄依子に話し掛けて来る。
「堪能した、もちろん味見もした。」
冠も満足そうに栄依子に抱き着きながら答える。
「また見たいですな。」
うんうんと腕を組みながらたまてが言う。
「ところでそのTシャツは何んなんでしょうか?」
『赤身にまぐろに大トロ』と書かれたTシャツを着ている冠とたまてに綾が呟く。
行く前には着ていなかったので、わざわざ購入したのだろうかと綾は思った。
「すっかりマグロに魅せられちゃって。」
栄依子も苦笑しつつ、綾同様に冠とたまてを見る。
「これからはマグロの時代!」
何故かドヤ顔の冠だった。
「花名ちゃん、綾姉さん!そのお洋服凄く似合ってますよ!めんこいです、このTシャツと良い勝負ですよ。」
たまてが試着した綾と花名の姿を見て、目を輝かせて言って来る。
「マグロの輝きと良い勝負。」
冠が親指を上げて決め台詞を言う、意味はまったく不明だが。
「意味は分からないけど褒められてるいるんでしょうか?」
「さあ、それは私にもわかりませんが・・・」
綾と花名は顔を見合わせると苦笑する。
それに対し栄依子が笑いながら答える。
「意味は分からないけど絶賛よ!」
どうやら冠とたまてに褒められているらしい、綾と花名は恥ずかしさに頬を赤く染めて再び顔を見合わせるのだった。
そして綾と花名は試着したその服を購入したのだった。
その後5人は雑貨屋に来た。
「ここは一点ものも多いから楽しいのよね~。」
店の中の様々な雑貨を見ながら、栄依子は楽しそうに話す。
「前花名とたまの誕生日の時に送ったプレゼントもここで買った。」
冠はそう言って置いてあるぬいぐるみくを見ながら言う。
「本当だ~!」
栄依子達と初めて部屋で勉強会をした時に、プレゼントされた物と同じぬいぐるみくを見つけ花名は微笑む。
ちなみに綾は花名の部屋で見た事があり、彼女から栄依子達からの誕生日プレゼントだと聞いたので、微笑ましく皆を見ていた。
「そう言えば今日は栄依子ちゃんとかむちゃんの誕生日の間の日じゃないですか!?」
たまてが前に聞いていた栄依子と花名の誕生日を思い出して聞いて来る。
「確かにそうね。」
栄依子が頷いて答える。
「そうだったんですね、お2人共誕生日おめでとうございます。」
綾がそれを聞いて栄依子と冠に微笑みながら言う。
「ありがとうございます綾さん。」
栄依子は綾の言葉に嬉しそうに答える、気にしている人に祝って貰えたのだからそれは当然だろう。
「綾感謝。」
冠も頬を少し赤くしつつ感謝する。
「だったら栄依子ちゃんと冠ちゃんの分のぬいぐるみを買うのはどうかな?」
花名はふと思いつきそう提案して来た。
「それは名案です!じゃあ花名ちゃんは栄依子ちゃんの分をお願いしますね、私がかむちゃんの分を買うですよ。」
たまてがそれに乗り花名にそう言って来る。
「良いわね、皆でお揃い・・・そうだ綾さんの誕生日って何時なんですか?」
花名とたまての提案に嬉しそうに答えた栄依子は傍らで自分達を見ていた綾に質問する。
「え?私ですか?、私は・・・」
綾の誕生日は栄依子と冠の中間辺りにあった。
「だったら綾さんのも買いましょう、代金は私が出しますから。」
さも名案だと栄依子が言い出す、まあ綾に対し清瀬同様に強い思いを抱く彼女としては誕生日を祝う事は外せなかったからだ。
「いえ、私は・・・」
「あ、それ良いと思うよ栄依子ちゃん。」
「確かに良いと思いますよ栄依子ちゃん。」
「うん名案。」
流石に悪いと思い断ろうとした綾だったが、栄依子の提案に乗り気の花名達に遮られてしまう。
「そうだ栄依子ちゃん、代金は私も出すよ、綾さんには一杯お世話になったし。」
「そうですね私も出しますよ、本当にお世話になりっぱなしですし。」
「もちろん出す・・・綾に感謝したい。」
話がどんどん進み、綾は困ってしまう、何しろこの中では自分が一番年上だ、年下の栄依子達にそんな事をさせる訳にはいかないと思ったからだ。
「・・・駄目ですか綾さん?」
躊躇している綾に気付いた栄依子が何時もと違い不安そうな顔で聞いて来る。
「いえそう言う訳では・・・分かりました構いませんよ、でもそれなら私にもお二人のプレゼント代を出させて下さい。」
そんな栄依子の顔を見た綾は受ける事にする、出来れば彼女にそんな顔をさせたくなかったからだ、その代わりに二人のプレゼント代を出す事にする。
「はいそれで構いません、花名、たまて、かむ良いわよね?」
「うん。」
「OKですよ。」
「構わない栄依子。」
花名達も賛成し、綾の誕生日プレゼント購入が決まったのだった。