飛行船支援母艦若宮   作:h.hokura

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花名服を買いに行く8

「栄依子ちゃん冠ちゃん、綾さん、何色が良いかな?」

「選んで下さいさぁさぁ!」

早速購入するぬいぐるみを綾達に聞く花名とたまて。

「ん~・・・じゃあお言葉に甘えて。私はこの子かな。」

「この子が呼んでる。」

栄依子と冠は並んでいるぬいぐるみの中から選ぶ。

「綾さんは?」

一人どれが良いか悩む綾、何しろこういった物を今まで自ら選んだ事が無かったからだ。

と言うのもこういった可愛い小物系のセンスも服同様無く、大概は薫が選んでくれていたからだ。

「それじゃこれで。」

「えっと綾さん?」

「う~ん綾さん、それはちょっと・・・」

「綾、それは止めた方が良い。」

「何と言うか、素晴らしいセンスですなあ、はあ・・・」

選んだぬいぐるみを見た4人の反応からして、服同様相変わらずそっちのセンスは最悪だった様だ。

結局栄依子と冠が選んだぬいぐるみの色違いを進められ、それに決めた綾。

余談だが今回の事で、栄依子が更に綾の調教いや教育を決意したのだった。

「それでこのぬいぐるみはたまと花名のと一緒に飾ってくれない?」

購入後栄依子は花名にそう提案すると冠も頷いて言う。

「私と栄依子も花名やたまと一緒に居たい。」

その姿にたまてが感激したのか冠を抱きしめて言う。

「なんて良え子や~!女手一つでよくここまで育てはったな栄依子はん!」

それを聞いて栄依子が呆れた様に言う。

「たま、かむの捕獲テクニック上がってない?」

たまてがその栄依子の誉め言葉(?)にドヤ顔で答える。

「日々精進してますから。」

一体何の精進なのかとたまて以外の者が思った。

「それで花名、お願い出来る?」

とりあえずたまてのドヤ顔をスルーして栄依子が聞いて来る。

「勿論だよ!、そうだ綾さんのぬいぐるみも一緒にどうですか?」

栄依子の提案に花名は感激の面持ちで答えると、ふと気づいたように綾に聞いて来る。

「私のぬいぐるみもですか?」

意外な花名の提案に綾は驚いて聞き返す。

「そうですね綾さん、もし良ければご一緒に置かせて下さい。」

栄依子としても、先程冠が言った様に綾ともこれからも一緒に居たいと思ったからだ。

「これで皆何時も一緒って事ですね!」

「うん、それは良い話。」

たまてと冠も賛成の様で、ここまで言われては承諾するしかなく、ここに綾のぬいぐるみも花名の部屋に飾られる事になった。

その後、綾と花名達は計画通りにおよパフェ(花名の服を選びパフェを食するコース)を実行するのだった。 

「今日は皆ありがとう、お陰で素敵な服が選べたと思う!」

駅前で解散する際、花名は感激の面持ちでそう栄依子達にお礼を言う。

「いえいえどういたしまして。」

微笑んで答える栄依子。

「今度それ着て皆でお出掛けしましょ~!」

たまてもサムアップして答える。

「うん!」

更に嬉しそうに花名は微笑ん頷く。

「その服でパフェ食べに行ったり、お寿司食べに行ったり、かつ丼食べに行ったりしたい。」

「どんどん服がメインから外れていくなぁ。」

「そうですね。」

冠の提案に栄依子と綾は顔を見合わせて苦笑しあう。

「じゃあ花名ちゃんまた学校で。」

「またね。」

「また。」

そう言って駅の中に消えて行く栄依子達を見送る花名と綾。

「それじゃ私達も帰りますか。」

「はい綾さん。」

夕日の中、親しげに話しながら二人は帰路に付くのだった。

 

その夜のてまりハイツ。

「今日はお魚が安かったからお刺身にしてみたのよ。」

夕ご飯を食べる為部屋に来た花名に志温が嬉しそうに刺身の乗った皿を見せて言う。

「美味しそう、もうお腹空いちゃった。」

それを見てお腹を触りながら花名も嬉しそうに答える。

「それでね。あまりにも良い素材だったから兜煮を作ってみたの。」

そう言ってマグロの兜煮を見せる志温に花名は驚いた表情を浮かべる。

「素材って、何で兜煮?」

「目玉にはDHAが沢山含まれてるのよ。」

驚く花名にそんな解説を始める志温だった。

「あ、そうだ志温ちゃん。」

美味しい刺身とちょっとグロい兜煮に舌鼓をうっていた花名が、何かを思い出したのか志温に話し掛けて来る。

「ん?どうしたの花名ちゃん?」

同じ様に舌鼓をうっていた志温がはしを置くと花名の方を見て聞いて来る。

「えっとね、ご飯食べたらお願いがあるんだけど・・・」

恥ずかしそうに顔を俯かせながら花名が言うと。

「またお風呂に一緒に入って欲しいとか?」

「そ、それはもう良いよ志温ちゃん、じゃなくてお母さんに渡されたお金で洋服買って来たんだけど・・・」

前に一緒に風呂に入った時の事を思い出し花名は恥ずかしくなったが、気を取り直し本題に入る。

「良かったら写真を撮って欲しいの、それをお母さん達に送ろうと思って。」

あの時の母親との約束を果たそうと花名は思ったのだ。

「良いわよ、葉月さんに見せてあげましょう、そうだちゃんとセットや小物も用意しないとね。」

どこからともなく謎のトロフィーを出す志温。

「えぇ・・・別にそれはいいよ!」

一体何処から出したのかとか、何のトロフィーなのか気になった花名だが、とりあえず断る。

気を付けないと何が出て来るかわからないなと花名は改めて思った。

夕食を終えた花名は今日買った服を着て志温の部屋に向かった。

そして部屋に入って声を掛けようとして。

「志温ちゃ・・・」

「じゃーーん!どうかしら花名ちゃん?」

何故かあの制服姿をした志温に遭遇した。

「志温ちゃん!?」

その姿に思わず絶句してしまう花名だが、志温はまったく気にしていなかった。

だが花名の驚愕はそれだけでは終わらなかった。

「更にゲストをお呼びしました。」

そう言って隣の部屋から、横須賀女子の制服姿をした綾を引っ張り出して来たのだ。

「綾さん!?」

思ってもみなかった人物の登場に花名は更に驚愕する。

「は、花名ちゃん・・・その見ないで・・・」

顔を真っ赤にして俯く綾、その姿に花名の表情は驚愕からときめきに変わっていった(笑)。

実は花名が買った服に着替えに行っている間に、志温は綾の部屋に強襲を仕掛け、瞬く間に横須賀女子制服に着替えさせて連行して来たのだ。

その手際の良さは栄依子に負けず劣らなかったと、後に綾は花名に語ったものだ。

「折角なんだし3人で撮りましょう。」

「えぇ~!?」

「ちょっと待って下さい志温さん、いくら何でもそれは・・・」

志温の提案に綾と花名は思わず慌ててしまう。

「準備も完了してますから、さあさあ二人とも並んでね。」

二人の慌てぶりなど気にせず志温は三脚に乗せられた愛用の一眼レフの前に押し出す。

断る暇など与えずに・・・二人は顔を見合わせて溜息を付くしかなかった。


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