三脚に乗せられた一眼レフの前に立つ3人。
花名は兎も角、何で自分がこんな格好(横須賀女子制服)なのか綾は頭を抱えたくなる。
「その服凄く可愛いわね。」
一方綾同様の制服姿でごきげんな志温は花名の着替えた姿を見て誉めて来る。
「そ、そうかな・・・?」
花名は志温の言葉に恥ずかしそうに答える。
「花名ちゃんに似合ってるわ。」
「ありがとう志温ちゃん。」
「あ、もちろん綾さんもですよ。」
「はあ・・・ありがとうございます。」
花名が似合っているのは確かだが、今の自分の姿が似合っていると言うのは、あまり嬉しくない綾だった。
年齢を考えると・・・
「いきなり写真送ってびっくりしないかな・・・」
そんな事を気にする花名に志温が微笑みながら答える。
「絶対喜ぶわよ、そうだ葉月さんも制服姿送ってくれないかしら。」
期待溢れる志温に花名は苦笑して言う。
「それは流石にお父さんが止めると思うよ・・・」
そう言えば家の母も綾と志温同様に女子高生の制服姿が似合いそうで花名は内心溜息を付く。
しかもあの母の事だ、喜色満面で着そうで、父も大変だなと花名は思わず同情してしまう。
「えっと志温さんやっぱり私は写らない方がいいのでは?花名ちゃんのご両親が心配なさるかもしれませんし。」
いくら何でも下宿先に居る人間がこんな格好で写っていたら両親は変な心配をするのではないかと綾は思ったのだが。
「ああそれは大丈夫ですよ、葉月さん綾さんの事気に入っていますから。」
「へっ?」
そんな綾に志温は心配無いと言ってくるが。
「気に入ったって・・・私、花名ちゃんのお母さんにお会いした記憶無いんですが。」
花名の両親が何度かてまりハイツに来ている事を綾は知っているが、ブルーマーメイドの任務の関係でまだ会った事が無かった筈だからだ。
「ああ、この前こちらに来られた時に綾さんを見掛けたらしいですよ、『志温ちゃん、てまりハイツの2階から降りて来たブルーマーメイドの制服姿の美女さんってもしかして?』と聞かれましたから。」
偶々花名の部屋から出た葉月が2階から降りて出かける綾を偶然見かけていたらしい。
その美女ぶりに興奮した葉月に志温は綾の事を詳しく教えたのだ。
『志温ちゃんに聞いていた通り本当美人さんね、はあ感動だわ。』
心底感嘆していたと言う葉月の様子に綾は顔を真っ赤にしてしまう、まあ自分の知らない所でそんな事になっていれば当たり前だ。
ちなみに綾がてまりハイツに住んでいる事を志温は話してはいた、まあ娘の下宿先の住人だから当然だが。
「だから葉月さん喜びますよ、機会があれば写真送ってくれないかと頼まれていましたし。」
とは言え綾の承諾無く送る訳にいかなかったので、今回の事は渡りに船だと志温は言うのだが。
出来れば真っ当な服で撮って欲しかったと切に思う綾だった。
「さぁさぁ花名ちゃん、綾さん、並んで並んで。」
「うん。」
「は、はあ。」
そんな綾の思いなど気づかず、志温は二人を一眼レフの前に並ばせ、自分も花名の隣に立つ。
「花名ちゃん。高校生っぽくなったわね。」
「え!?」
突然そんな事を言われ驚いた向いた花名が志温の方を向いた瞬間にシャッターが切られた。
「あ・・・」
「ちゃんと前向いておかないと~」
志温が微笑みながら言うが、突然そんな事を言われればそうなるだろうと綾は二人を見て苦笑する。
「だって志温ちゃんが変な事言うから・・・」
当然花名もそんな志温に文句を言うが。
「あっ!あのサメのパジャマ姿も送りましょうね花名ちゃん。」
「志温ちゃ~ん!あれは駄目だよ~!」
「サメのパジャマ?」
二人のやり取りに綾は首を捻って聞いて来る。
「この前花名ちゃんが私の部屋に泊まった時に着たパジャマなんですよ、それが可愛くて。」
「へえ。」
「と言う訳だから花名ちゃん直ぐに着替えてね。」
「志温ちゃん・・・」
「それは楽しみですね。」
「綾さんまで・・・」
期待に満ちた表情を浮かべる綾と志温に花名は真っ赤になってしまう、まさか綾までそんな事を言うなんてと思いながら。
結構綾も志温に毒されて来た様だった。
『一之瀬花名、17歳、まだ友達に秘密は言えてないけど何時かは自分の口からちゃんと言えたら良いな・・・遠回りになったけど私の幸せはゆっくり始まる・・・』
何時かは自分の秘密を皆に話したいと思う花名、そして出来れば綾と薫の様に栄依子達となりたいと切に願った。
素晴らしい友人達と大人達に囲まれ花名はとても幸せだと思った。
そしてその幸せはこれからも続いて行くのだと・・・