飛行船支援母艦若宮   作:h.hokura

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季節はずれネタの続きです(笑)。



乗艦体験学習6

翌朝・若宮第3会議室

 

晴風の乗員達は乗艦体験学習中の教室としてこの会議室を使用していた。

08:00、乗員達は次々と会議室に集合して来る。

「皆お早う。」

艦長の明乃はそう言って皆を見渡し、ふと元気の無い山下 秀子に気付く。

「ねえメイちゃん、しゅうちゃんどうしたの?」

気になった明乃は芽依に聞く。

「分かんないんだよな・・・朝来た時からああでさ。」

芽依は肩を竦めて答える、その秀子は同じ航海管制員である内田 まゆみに声を掛けられいるが、ずっと俯いたままだった。

これは『海の仲間はみんな家族。』と常に考えている明乃にとっては由々しき事態だった。

「しゅうちゃん、何かあったのかな?話してみてくれないかな。」

その声にようやく秀子は顔を上げる。

「あ、艦長・・・」

秀子は明乃を見ると再び顔を伏せる、早朝の事を話すべきだが、どうしても躊躇してしまう。

とは言え何かあれば艦長への報告は乗員としては義務だ、例え乗艦体験学習中でもあっても。

だから秀子は有った事を、明乃や他の乗員達に話す。

「それは・・・う~んどう対処すべきなのかな?」

艦長になってまだ日の浅い明乃はどう判断すべきか迷ってしまう。

「神城艦長の言われる事は間違いではないと思うが・・・」

副長であるましろも困惑気味に言う、確かに航海管制員=見張り員は目であり、考える役目では無いが。

「でもな・・・何かしらの説明はあっても良いはずだぜ、これじゃ山下が納得出来ねえのも分かる。」

機関科の柳原 麻侖機関長、通称マロンちゃんは腕を組みながら憤慨した様に言う。

その辺は明乃達も同じ気持ちだ、秀子の見たものが何であれ、まあ皆それが何かおおよそ見当はついていたが、何故綾がちゃんと説明してくれないのかが分からないからだ。

「・・・岬艦長?」

当惑気味でざわついた晴風の乗員達に会議室に入って来た古庄 薫指導教官が戸惑った声を掛けてくる。

「あ・・・全員整列!、お早うございます古庄教官。」

明乃の声に乗員達は整列し敬礼をする。

「ええお早うございます皆さん。」

「総員着席。」

薫が敬礼を返すと明乃の号令で着席する乗員達。

「それでは本日の実習について・・・と言いたいところですが岬艦長何かありましたか?」

先程の皆の姿に薫は何かあると思い、明乃に確認する。

「はい実は・・・」

流石は教官だと明乃は思いつつ、秀子が見た物、その時の綾が取った対応、皆が疑問に思った事を説明した。

「そう言う事ですか、山下さんの見た物については私には何んだとは言えませんが、神城艦長の対応について言えば・・・まあ彼女だからと言う所ですね。」

「・・・?」

明乃達は顔を見合わせる、綾だからと言う点が良く理解出来なかったからだ。

「神城艦長は職務をきちんと果たしたのあれば、例え学生だったとしても、その言葉を頭から否定しません、山下さん・・・貴女はそう見なされ、報告は問題無いと判断されたんです、自信を持ちなさい。」

「えっと・・・」

思わず誉められ(?)秀子はあたふたしてしまう。

「ただ山下さんの見た物についての説明が無かったのが皆納得が出来ないと言う点については理解します、だから神城艦長に聞いてみましょう。」

「それって良いのですか?」

現役のブルーマーメイドである綾に学生である自分達がそんな事をしても良いのかと、明乃は心配になったので確認してみる。

「学生として疑問に思った事を質問するのは別に問題はありません、神城艦長はそう言う点についても理解のある艦長ですから。」

その辺は綾らしいと薫は内心微笑んでしまう、だからこそ艦長として敬愛されているのだと。

「もちろん神城艦長の職務を妨げない限りですが、彼女は教官では無いですからその点は留意する必要があります、その辺は私が確認しますので実習終了後岬艦長と山下さんは残って下さい。」

「「はい教官。」」

明乃と秀子の2人が返答すると、薫は微笑みながら皆を見渡す。

「それでは実習の方をがんばって下さい、では解散。」

明乃以下晴風の乗員達は立ち上がり薫に敬礼をすると、それぞれの実習場所に散って行く。

敬礼を返し、教え子達を見送った薫は思案顔をする。

「取りあえず綾の当直時間を確認しないと・・・まあそれは副長に聞けば大丈夫でしょう。」

あの副長、綾の行動を数分刻みで把握している様だしと薫、何だかストカーじみているがと苦笑する。

敬愛されるのも大変だが、まあがんばってと薫は親友にエールを送るのだった。

 

19:00

教官の薫は明乃と秀子と共に若宮の艦長室前に来ていた。

副長の話では綾は18:00に当直終了後食事を済ませて、もう艦長室に戻っている筈だった。

「神城艦長、指導教官の古庄 薫です、入ってよろしいでしょうか?」

ドアをノックし薫が呼びかける、傍らに居る明乃と秀子は緊張した面持ちだ。

『古庄教官?ええどうぞ。』

答えを聞いた薫はドアを開け艦長室に明乃と秀子を伴って入室する。

「どうかしましたか古庄教官?・・・岬艦長に山下さん?」

艦長室の机に座ってタブレットを見ていたらしい綾は、薫と共に入って来た明乃と秀子に目を丸くする。

「少し時間を頂きたいのですが構いませんか?」

敬礼をして薫はそう切り出す。

「それは別に構いませんが、お二方が来たと言う事は・・・」

薫の後ろで同じ様に敬礼をしている明乃と秀子を見て、綾は事情を察する。

「ええお察しの通り神城艦長に岬艦長と山下さんが聞きたい事があるとの事で連れてまいりました。」

「・・・分かりました、まあ座って下さい皆さん。」

綾はそう言って座っている執務机の前にあるソファに着席する様に薫達を促す。

「ありがとうございます神城艦長。」

「あの、失礼します。」

「し、失礼します。」

3人が着席するの見ながら、綾はやっぱり厄介事からは逃げられないと内心溜息を付くのだった。




最初に季節はずれと書いたのですが、何でしょうこの暑さは・・・
体調を崩しそうで怖いですね、皆様もご注意を。

それでは。
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