「サダメ」に抗うとある艦隊の話 作:Corekan Saikoo
修正前があまりにガバガバだったので構成組みなおしたらこうなっちゃいました!
時は2030年某日。
日本国防海軍・第一艦隊及び第三艦隊は、「アジア・太平洋の安定化」を名目にアメリカ領ハワイ諸島沖にてアメリカ海軍第七艦隊と合同演習を行っていた。
演習は行程通り滞りなく進んだ。そして、この合同演習の最終段階へと移行しかけたその時。突如にして第七艦隊の駆逐艦二隻と巡洋艦一隻が爆発炎上し、海の藻屑となって沈んだのだ。
あまりにも唐突の出来事にさすがの軍人たちも一瞬思考が止まったという。
しかし、彼らは早急に事態の詳細を突き止めるため奔走した。まず考えられたのは沈没した艦艇の爆発物への引火が考えられたが、沈んでしまったために確認のしようがなかった。日本側も、自艦隊からの誤射等は行われていないとの事実確認も確認完了しており、両陣営が行き着いたのは、「第三者からの『意図的な』攻撃」だった。
だが、両艦隊のソナー、対空レーダーでいくら調べてみても、怪しげな艦影らしきものは一切見つからなかった。
「迷宮入りか」現場にいた誰もが思ったその時、再び「轟音」が太平洋を震撼させた。
かつて、アジア・太平洋に君臨し、「平和と安寧」をもたらした日米連合艦隊は、たった数時間で全滅した。正しくは生存者が数名いるが、いずれも重傷で集中治療室に入らなければならない状況だったため、そう表現しても変わりはない。
先日の「日米連合艦隊襲撃事件」はすぐさま世界中に拡散されることになり、だれもが「かつて威容を誇っていた最強の艦隊の突然の全滅」に己が耳を疑った。そして誰もが件の詳細を求め、情報は錯そうした。更に、この機に乗じて自分たちが覇権を握るべく動き出そうと画策する者たちの動きもにわかに活発となってきていた。
しかし、そんな者たちがひるむには十分な事態が起こる。
例の事件から約一週間後。全世界の主に「海」に面する町が次々に何者かによって同時襲撃を受けたのだ。いや、「襲撃」というにはあまりに生温い。現実には、「殺戮」であった。そこにある「モノ」全てが、その「謎の存在」によって破壊しつくされたのだ。無論、「人」も例外ではなかった。被害はまさしく「凄惨」。死者・負傷者はおよそ十数億人にも及び、被害総額は算定不可能とまでいわれた。NY、ワシントンDC、カルフォルニア、ロンドン、ローマ、上海、そして、東京。世界中の主だった都市は軒並み破壊された。さらに、内陸の都市に至っては「謎の存在」が放ったとみられる飛行物体による「無差別爆撃」が敢行されたのだ。
世界は、混沌とし、あまりにも突然の災厄に絶望した。
それは日本でも例外ではなかった。むしろ、今回の一連の事件で最も打撃を食らった国の一つといえる。しかし、いつまでも悲壮に暮れていたわけではない。事件後発足された「日本国臨時政府」は、「艦隊襲撃事件」の生き残りの証言と今回の全世界で散見された目撃情報より、この「謎の存在」を、以後「深海棲艦」と呼称することに決定し、すぐさま国防軍の再編成と被害にあった地域の復興と調査に全力を注いだ。
「対深海棲艦特殊作戦部隊:Person Of Recapture(通称:POR)」。「奪還者」の名を冠したこの部隊は、各方面の対応に追われていた臨時政府が、各地に散らばっていた国防軍の中でも特に優秀な技量を持った隊員30名で編成した特殊部隊である。
政府は、当部隊を襲撃以前の国防海軍基地があった横須賀へ派遣することを決定した。深海棲艦達は、湾岸に立地していた都市群を襲撃した後、撤退するとみられていた。しかし、一部の者たちはその場に留まり人間たちを寄せ付けないようにしていたのだ。
横須賀もその例の一つであったため、政府は現状持ちうる限り最良の装備をPORに配備し、万全の状態で作戦を遂行できるよう手配していた。
「おい、相手は一体どんな奴らなんだ?」
「さあ。例の艦隊襲撃事件の生き残りは軒並み虫の息だし、この前の襲撃時の目撃証言も曖昧なものがほとんどだから宛にならんって話だ。」
「まじかよ…。でもさ、そんな『未知の敵』と戦えるなんてなんかワクワクするぜ」
「お前…何言ってんだよ…海軍の最精鋭の第一と第三の連中を壊滅させたやつらだぞ…油断できる相手じゃないことぐらいお前もわかってんだろ?」
「そりゃあそうだけど…でもあいつらって正直『海』専門だろ?現にその…深海棲艦?が陸地奥深くまで侵入してきたって報告なんて入ってきてない以上、『陸』ではこっちの歩があるって考えても別におかしくないだろ?」
このPOR隊員が言うように、「海ならだめでも陸なら」と考えている人間はそれなりに政府内・軍内に少なからず散見されていたのだ。つまり、この隊員のように考える者たちは決して少なくはなかったのだ。しかも、彼らは「陸専門」の「日本国防陸軍」の中でも最精鋭と認められた隊員のみで構成されており、現状の日本が繰り出せる文字通りの「最強の部隊」なのである。
「お前たち。作戦開始前に無駄口を叩いてる暇があるなら敵が出てきていないかしっかり確認しろ。」
先ほど会話していた隊員二人の上官とみられる隊員が二人を叱る。
「敵は得体の知れん未知の敵。それは同感だ。だがだからと言って俺たちが気を緩めていい奴らじゃない。『何故』俺たちがここにいるのか」
ドガアアアアアアアアアアン!!!!!
「「?!」」
彼が言い終えようとした次の瞬間、横須賀一帯に轟音が響き渡った。
「クソッ、もうお出ましか!!!」
すぐさま戦闘態勢に入るPOR隊員たち。すぐ眼前にせまるは一見人間にもみえる、病的なまでに体色が薄く、それでいて形の判別のつかない黒が濁ったような色をした鎧のようなものをまとっていた。
「あ、あれが…深海棲艦か…」
彼らの目にはまるで感情が読み取れず、まさしく「無」が張り付いた表情で周囲のあらゆるものを破壊していく。
「これ以上、お前たちの好きにはさせん!!!!」
初めて見る得体のしれない敵にめがけて、POR隊員たちは果敢に立ち向かっていく。
「これでも、くらえええええ!!!」
一人の隊員が深海棲艦めがけて機関銃を掃射する。
「………!!!」
その弾は全弾命中し、深海棲艦は動きを止める。
「やったか…?」
しかし。
「?!」
次の瞬間、機関銃を撃った隊員の姿はこの地上から姿を消した。否。「消された」。
「な………」
仲間の死への悲しみよりも、この場においては「自分たちでは敵わない」ことへの「絶望」が、PORの隊員たちを襲った。
「そんな…俺たちじゃあ、手も足も出ないのかよ…」
「全滅」
”この不吉な二文字がPORの隊員の頭に浮かんだ。自分たちでは、深海棲艦《こいつら》には勝てない‘’
「………………」
圧倒的な敵の前に、己が膝を屈しそうになったその時。
「ギッ!!!」
ドガアアアアアアアアアン!!!!!
目の前の深海棲艦がまるで心臓を握りつぶされたかのような苦悶の声のようなものをあげたかと思った次の瞬間、隊員たちの目の前で「爆散」したのだ。
「どうなってるんだ…?」
この現象はここだけはなかった。横須賀のあちこちで深海棲艦のものと思われる悲鳴のようなものが上がり始めたのだ。
数分後。横須賀に居座っていた深海棲艦は、視認できる限り「殲滅」されていた。
「………」
そして、深海棲艦の次に姿を現したのは、見た目がまるで中学生の可憐な五人の少女たちだった。
「あ!お怪我はありませんか?!」
「ちょっと、いつまでポカーンとしてるのよ!」
「はわわわ…えっと、私たちは味方なのです!」
「こんにちわーおにぃさん方!」
「あぁ…えっと、ごめんなさい!」
その見た目とはあまりに似つかない、巨大な煙突のようなものを背負った少女たち。一見、人間の少女と大して見た目が変わらない姿をしながらも、軍の特殊部隊でも足止めすることもできなかった深海棲艦を粉砕・殲滅せしめた「力」をもつ「新たな存在」に、隊員たちはただただ困惑するしかなかった。
これが、「人類」と「艦娘」が、はじめて邂逅した瞬間であり、人類と艦娘、深海棲艦との長い長い戦いが始まったのである。