「サダメ」に抗うとある艦隊の話 作:Corekan Saikoo
「—では、君が現場に到着した時には既に、呉鎮守府に残っていたのは瀕死状態の司令官と、先日保護された艦娘ただ一人のみだったと?」
「はっ!自分が到着時分には、既に鎮守府内外ともに炎上しており、生存者保護の為捜索を試みましたが、先程閣下が仰られた艦娘以外は確認出来ませんでした。なお、周辺海域に深海棲艦の姿は無かったという報告も入っています。」
先日の「呉鎮守府襲撃事件」において現場指揮を行っていた萩和田は、案の定状況説明という形で国防省へ呼び出されていた。彼に質問を投げかけるのは、いずれも国防海軍の重鎮、国防省の高官など、そうそうたる顔ぶれであり、さしもの萩和田も気が引き締まる。
「なるほど。……当時の状況は把握しました。しかし、幾ら救助が名目とはいえど、危険な場所へ足を踏み入れるのは賢いとはいえませんね。」
国防省の高官の一人が萩和田を窘める。
「はっ!軽率な行動をとってしまい、申し訳ありません!」
「まぁ、貴様の英断のおかげで一人の命は救われたのだ。今回の場合においては咎めることもない。よろしいか?みなさん。」
今度は国防海軍の重鎮の一人がその場にいる全員に声を掛ける。
省の高官達はまだ何か言いたげであったが、渋々承諾した。
「さて、これで最後だ。先日保護した艦娘なのだが、精神の損壊が余りに著しく、今後艦娘としてとてもではないが活動出来るとは思えないほどの状態なのだが…こちらとしては『保護施設』へ移送する腹積もりなのだが…」
「……………!!」
萩和田は、海軍重鎮の言う「保護施設」がいかなるものなのかを知っているため、思わずその言い方に反論してしまいそうになった。しかし、相手が相手であったためここはグッと自分を抑え込む。
「申し訳ありません、その件の艦娘なのですが、私の所で預からせていただけませんでしょうか?」
萩和田の提案にギョッとする一同。
「……それとも、何かご都合がよろしくないことがおありなのでしょうか?」
一瞬であったが、彼らが視線を交差させたのを萩和田は見逃さなかった。すると、先程移送する旨を話した重鎮とはまた別の人間が口を開く。
「いや…国防海軍としても、一人でも多くの戦力が居てくれればそれに越したことはない。しかし、本当に良いのか?『アレ』はもう『使い物』にならないぞ?」
もはやわざとではないのかと疑うほど萩和田の最も嫌いな言葉を連発する海軍重鎮。
「いえ、問題はありません。当方は未だ新設の小規模艦隊ですので、一人でも多くの『仲間』が必要ですので。」
明らかに先程の自分の言葉に反発したであろう萩和田の発言に顔を一瞬しかめる。そして今度は先程議題の変更を促した重鎮が、
「あぁ。貴様がそれでいいのであればコチラとしてもその方向で進めていきたい。では、当艦娘は君の基地への配属で構わないかね?」
「はっ!よろしくお願い致します!」
少々脱線要素があったものの、彼がココに来る前に決めていた目的は達成出来た。
「では、自分はこれにて失礼致します!」
説明が終わり、解散を告げられた萩和田は国防省内に設置されていていた会議室を後にする。
「おぅ、やぁっと終わったかよ。」
声のする方を向くと、腕を組んで壁にもたれかかっている榛名がいた。
「すまんな、待たせた。」
「構いやしねぇよ。コッチも懐かしい顔に会えたから時間も潰せたしな。」
「え?横須賀鎮守府が来てたのか?」
「ちげぇよ。ココのヤツらさ。アタシがあのぶた箱(海郷寮)にぶち込まれる時に世話になったんだよ。」
「あぁ…そういうことか…ってそれ気まずくなかったのかよ」
「いんや?向こうは『何でここに?!』みたいな顔してたけどな」
「そりゃするだろうな…で、お前はどうしたんだよ」
「どうもしねぇよ。『久しぶりだなぁ!』って声かけようとしたら逃げてったよ。別に怒ってねぇのに」
「いや…たぶん普通の感覚ならまず近付かねぇだろ…」
何はともあれ、萩和田がお偉方に質問攻めにされている間は特に何も無かったようだ。
「まぁそんな奴らのこと正味どっちでもいいんだよ。んで?どうだったんだよ」
「案の定、あの時何してたのか事細かく聞かれた。まぁ火事現場に乗り込んでいったのは流石に不味いってくらいしかお咎めらしきモンはなかったな。むしろそっち方面の話より…」
「『アイツ』か…」
会議室を後にした二人は、先日の事件での唯一の生存者だった例の少女との合流場所に向かっていた。
「精密検査を受けたみたいだが、やはり予想通り精神的にかなりやられているらしい。時々フラッシュバックするようなことも言ってたしな。」
「そうか………」
あの現場でその少女を助けたのは榛名だった。その為、やはり当時の彼女の姿が脳裏に浮かぶ。
「一気にいろんなもん奪われたんだ……無理はねぇ…」
「………珍しく同情的だな。」
「そりゃああんなの見たら同情せずにゃいられねぇよ。ただな…」
「おっと噂をすれば」
榛名がなにか言いかけようとした時、萩和田と榛名とは逆方向から、例の少女が向かってきていた。
「ん?あの制服は……」
榛名もどこかで見た覚えのあるその制服に身を包んだ少女は、萩和田と榛名の数歩先まで来ると立ち止まり、
「本日付で、貴艦隊に配属されました。元呉鎮守府所属・陽炎型駆逐艦二番艦の不知火です。先日は私めなどの命を救って下さりありがとうございました。」
姿勢正しく敬礼をしながら淡々と自己紹介をしたのが、件の事件で壊滅した呉鎮守府から助け出された少女、不知火だった。しかし、その髪は従来の基本的な不知火とは異なる、まるで色を失ったかのような「白」だった。そして、その目は…死んでいた。
「あぁ。こちらこそよろしく。もう聞いてるだろうけど、俺は第三方面艦隊佐世保鎮守府所属鹿屋基地司令、萩和田清隆だ。こっちは、秘書艦の榛名だ。」
「……………(こいつの右目…)」
「ん?どうした、榛名」
無反応だった榛名に萩和田が声を掛ける。
「ん?あぁ…いや、なんでもねぇ。まぁよろしく。」
「……よろしくお願いします」
「よっし、お互いの自己紹介も終わったし、我等が本拠地に帰るか」
「本拠地ってもまだ行ったことないよな」
そう、呉鎮守府襲撃事件の際、萩和田達は真っ先に現場に向かっており、その後の処理作業等が重なり未だに自分たちの着任地である鹿屋基地に行っていなかったのだ。
「まぁ細かい事気にしても仕方ないだろ。んじゃさっさと出発しますかねー大淀と明石が待ってる。」
「…………はい。」
「そうだな、早く行ってやらねぇとな(やっぱり、コイツ…)」
「?不知火の顔に何かついていますか?」
自分の顔に向ける視線に気付いた不知火は榛名に問い掛ける。
「え?いや、特になんもついてねぇよ」
内心少々おどろいたが、そこはポーカーフェイスで受け流す榛名。
「ん?どうした?何かあったか?」
「いや。なんでもねぇ。ほらさっさと行くぞ!」
<鹿屋基地>
萩和田達が鹿屋基地に来た時にはもう日が傾きかけていた。
「あーやっぱり東京から鹿児島は遠いなぁ…」
連日の業務や会議などでただでさえ疲れていた上に東京から鹿児島への長旅もかさなり、流石の萩和田にも疲労の色が浮かんでいる。
「あ、帰ってきた!おかえりなさーい!」
事前に萩和田のが戻る時間帯をしらせていたので、門扉の前には大淀とか明石が迎えに出ていた。
「提督、お疲れ様でした。」
タクシーから降りてきた萩和田に大淀川労いの言葉をかける。
「あぁ…流石に疲れた…」
「着任時の業務は私と明石で粗方終わらせていますので、今日はゆっくり休んでくださいね。」
「あぁ…助かるよ」
萩和田のに続いて榛名と不知火が降りてくる。
「あ!榛名ー!お帰りー!」
「あぁーただいまー」
「何よその気の抜けた返事(笑)流石に疲れた?」
「こんなの屁でもねぇよ。むしろ楽すぎて体がなまっちまうよ」
「まぁアンタならそういうだろうねー。あっ、この子が例の子?」
榛名の後ろから歩いてくる不知火に証が気付く。
「あぁ。そうだ。不知火、この二人もココで共に戦う仲間だ。」
「明石です!よろしくね!」「大淀です。」
二人共、彼女の髪のことについては何も触れない。萩和田も二人には何も言っていない。明石と大淀は、まず間違いなく萩和田があの事件で唯一生き残った艦娘を放っておくわけがなく、十中八九自分の部下に連れて来るだろうと予想していたのだ。
「…………」
「あれ?」
不知火は依然黙ったままだ。
「おい、どうした?不知火。」
「…………あぁ、ココが私の死に場所ですか」
「「?!」」
先程萩和田と榛名にあった時とは雰囲気が明らかに違う。
「…………(やっぱりそうか)」
「死に場所?どういう事だ、不知火…」
突然の不知火の発言に明石と大淀も戸惑う。すると、榛名がはぁとため息をつきながら不知火に近づく。
「榛名、何する気だ?」
「別に殴ったりとかはしねぇよ。」
萩和田も対面時から何となくこうなる事は予想していた。だが、榛名の行動には少々予想外だったため若干の戸惑いが見える。
「お前…ココが自分の死に場所っつったよな?」
「えぇ、言いましたが。それが何か?」
「お前がアタシらの事とかこの場所の事をどう思おうが勝手だがな」
そう言って言葉を区切った榛名は、
「まず『ソレ』を外してからだ。」
ガリッという鈍い音が、あたり一体に響いた。
「………榛名?…」
「榛名さん……何を………」
「……………!」
そう、榛名は不知火の前に立つと、まるでごく当たり前かのように不知火の右目を抉りとったのだ。
「てか提督、アンタ気付いてたろ。」
「ん?なんのことだ?」
「しらばっくれるなよ、顔に気付いてますって書いてるぜ。」
「あ、マジか。」
まるで当たり前かのように話を進める二人に大淀が待ったをかける。
「ちょっと待ってください!いきなり何をしてるんですか!それに提督も何故そんな冷静なんです!?」
「いや…大淀……アレよく見て…」
明石が、榛名の持つ不知火の右目「だったもの」を指さす。
「え……アレは…」
そう、榛名が引きちぎったのは確かに不知火の右目だったが、それはただの眼球ではなく、カメラを内蔵された監視用のものだったのだ。
「顔見合わせた時からなーんかおかしいとは思ってたんだ。左目にはある『生きてるやつの光』が右目にはなかったしな。あと、あの後どうせ色々調べられてるだろうし余計なモン付けれててもおかしくねぇ。」
「普通に考えて、あんなややこしい現場を生き延びられるのはアッチ側としちゃやり辛い事この上ないからな。何かあるとは予想は付けていたが…まさか目にするとは…」
「よくよく考えてみりゃ、コイツこの前の時右目が完全に焼かれてたからまず見えなかったはずだしな。」
そう、「呉鎮守府襲撃事件」時に榛名が不知火を救出した際、既に彼女の右目は火の粉や煤などが入り込んでほぼ失明していたのだ。
「そうだったのですか…」
未だ完全に事態を理解したわけではなかったが、「今」起きていることに集中する大淀。
「榛名ーちょっとそれ見せてくれる?」
「あ?いいけど」
「うーん……これかなり精密に作られてるなぁ…普通なら気付かないよ、これ」
「そうか?バレバレだったろ」
「アンタほんと目がいいよね…」
「まぁ、そのけったいなカメラは別として…」
明石が榛名から眼球型カメラを受け取ったのを確認した萩和田は、不知火に再び向き直る。
「これ、お前気付いていたか?」
「……………」
自分の目が義眼とは言ええぐり取られたにも関わらず、不知火か依然無表情だった。
「おい、なんとか言えよお前。返答次第じゃ容赦しねぇぞ。」
沈黙を保つ不知火にイライラしてきた榛名は脅しともとれる事を言い始める。
「……容赦、ですか…私からすれば別にそれで結構なのですが」
「榛名、不知火を疑っても仕方ないだろ。さっきお前も自分で言ってただろ。検査の段階でつけられたからかもしらねぇって」
「そうだけどさ、コイツのさっきからの言動が一々イラつくんだよ」
「私情挟むなよ…こんなややこしい時に…」
萩和田は案外普段通りの榛名に少々面食らってしまう。
「はぁ……でだ。話を戻すが、不知火、お前はこの監視カメラをつけられたっていう感覚とかは無かったのか?」
「……いえ。目を覚ました時には既に。」
「そうか…」
「と、言うことは、恐らく…」
「あぁ。俺たちを見張っておきたいお偉いさんの誰かが不知火の検査時に口でも挟んだんだろう。どこの誰かは知らないが、胸糞悪いことしてくれる…あ、そういえば大淀。」
「はい、何でしょう?」
「さっきのアレは?」
「あぁ、今明石が工廠に持っていこうとしてますが…」
「それは不味い」
「え?」
「今すぐあれは投棄しないとダメだ!おい!明石!」
「はーい何でしょう提督ー?」
「お前の持ってるソレ、今すぐ投棄するから早くもってこい!俺たちの監視用にそのカメラを使わせたってことは俺たちに気付かれるのは相手さんにとって都合が悪くなる。つまり」
「アタシらみーんな消すよな、普通に考えれば。」
「あ!ほんとだなんかチカチカしてるぅ!えぇ!?どうしよどうしよ!」
「だから早くこっちに渡せ!」
明石はテンパりながらも例のカメラを萩和田に渡す。
「よし、榛名、これ海に向かって投げろ。」
「アタシがやんのかよ。」
「なるべく海中深くの方がいい。海に叩きつけるような感じで頼む。」
「えらく注文が多いな。まぁいいけど…そりゃ!」
榛名がカメラを海に投棄して三秒後、海面が浮き上がるほどの爆発が起こった。
「……カメラになんちゅう威力の爆弾いれてんだよ」
投棄した当の本人も苦笑いである。
「まぁ俺たちを吹き飛ばして四肢をバラバラに粉砕できるレベルってなるとそれなりのモンにはなるだろ」
「も、もうちょっと遅れてたら…」
少し対応が遅ければ…そう考えて顔を青ざめる明石。
「過ぎたことは気にしなくていいけどな、お前珍しいモン何でもかんでも工廠にもってこうとするなよな…」
「以後気を付けます…」
「………んで!?コイツどうすんだよ、提督!」
「そりゃ勿論そのまま着任だが?」
「あーならいい」
「「……………(ですよねー)」」
明石も大淀ももはや色々ありすぎて突っ込む気も失せていた。
「…話はまとまったということでよろしいでしょうか。」
「ああ。改めてよろしくな、不知火。」
「おい提督。」
「なんだ?」
「コイツ、どうやら死にたいらしいからアタシが殴り殺してもいいか?」
「本来であれば、止めるんだろうが…」
「え、提督?」「正気…ですか?」
まさか、という顔で明石と大淀は萩和田の顔を見る。
「一度言い出したら聞かんだろ、コイツ。そこんとこはお前たちもわかってるだろ?」
「ま、まぁそうですけど…流石に友軍同士の私闘は…」
「そうだな…おい榛名。」
「あ?なんだよ。まさか止めろとでもいう気じゃねぇだろな。」
「違う。やってもいいが、あくまでも『演習』としてであれば許可を出す。実弾での私闘なんぞ許容できるわけないだろ。」
「演習、かぁ……まぁいいや。わざわざ弾使う必要もねぇし。」
いかにも「不知火とやりあうのに武装を使うまでもない」という挑発ともとれる発言だったが、当の榛名も不知火もどこ吹く風といった様子で微塵も気にしていない。
「よし、じゃあさっさと中に入って準備するとしますかね。大淀ー演習場は使えるよねぇ?」
「ええ。でも念のために最終点検はした方がいいかも。」
「わかった、それも一緒にやっとくよ。」
そうと決まれば、明石と大淀の動きも早かった。恐らくあと五分もすれば始められるだろう。流石、元横須賀鎮守府所属として活動していたこともあり、改めて二人の優秀さに萩和田は内心驚いていた。
≪演習場≫
もう、かなり辺りも暗くなり始めた夕時。鹿屋基地海上演習場の水面には、二人の影があった。
一人は、数日前に己の全てを亡くした不遇の駆逐艦、不知火。
そしてもう一人は、かつて横須賀所属でありながら「はぐれ」であったがために追放され、長らく幽閉の身にあった戦艦、榛名。
二人は、ただただお互いの目を見ていた。一方は死人の如く生気のない隻眼を。もう一方は引き込まれてしまいそうな錯覚に陥るほどの深い純黒の双眼。二人が何を思い、どんな意志でその場にいるのかは、当人たちしか知りえぬものだ。二人を見守る三人は、そのような心境の中にあった。
「……『死にたい』って、言ってたよな?」
「えぇ。それが何か?」
「なんで死にたい?何故そう思う?」
「……………何故?」
不知火はこの鹿屋に来て最初に放った一言「ここが自分の死に場所」というもの。大体の察しはついているが、やはり本人の口から聞いておきたかった。
「何にも無い。そう、その文字通り、何にも無い。そんな世界に、生きる価値がありますか…?」
「仲間も姉妹も上司も、みーんなおっ死んじまったもんなぁ。」
「…なにが言いたいのですか。」
「いや?ちゃんと確認出来て良かったわ。これで『思う存分出来る』」
「………?」
「お前、なんで自分独りだけ生き残っちまったのか、分かるか?」
「………」
「フッ……まさかとは思うが、分からねぇわけないよなぁ?」
榛名はまるで、不知火を挑発するかのような発言を繰り返す。その光景は、形容し難い禍々しい雰囲気で満ちていた。
「………戦争ってのは、殺し合いだ。だから、死ぬ奴と生き残る奴が必然的に出てくるもんだ。アタシ達がやってることも戦争となんも変わらねぇ」
先程までの挑発めいた口調とは打って変わり、まるで己に言い聞かせるように静かに話し始める榛名。
「そして大抵、勇敢で、人望厚く、高い技量を持った奴から死んでいく。平和な時にこそ必要な奴から死んでいく……一方でだ。そんな過酷な状況下にありながら、生き延びる奴が少なからずいる。お前みたいにな。」
そう言い、榛名は不知火に指さす。
「…………!!!」
「生き残るやつの特徴はな、面白いくらい一致してるんだよ。まずは、臆病だ。自分の身の安全を守りたいがために、あちこち逃げ回る。周りの死んでゆく仲間たちにスマンスマンと上っ面だけの謝罪をしながらな。」
「……それは、不知火の事でしょうか?」
「そして次が、ココ(自分の左胸を拳をあてながら)だ。ようはヘタレだ。事実に目もくれず、勝手にてめぇの妄想と思い込みでしか物事を見ねぇのさ。本当のことを知りたくねぇからな。周りの連中が皆死んで勝手に自分は独りになったとか思ってるどっかの誰かさんみたいにな」
「…………やめろ…」
「極めつけはな、そういうヤツらは大抵『雑魚』なんだよぉ!自分の実力が鼻からねぇにも関わらず、すぐでかい事を抜かしたかと思えばすぐ諦めて勝手に落ち込んで自分はダメだとか思い込む、典型的な脳内お花畑野郎なんだよ!!」
「……やめろ…!!!」
「いーや、やめないね!お前みたく現実を直視しようともせずに勝手に独りで塞ぎ込んで勝手に自殺願望抱いてる雑魚でヘタレな奴はアタシが一番大っっ嫌いなんだ!!いいか?!なんでお前があの時、あの場所で、他の艦娘や姉妹、司令官と共に逝けなかったか教えてやるよ!!!」
「やめろ!!!!!!」
「お前が!!!!実力なんて微塵もない!雑魚でヘタレだったからだ!力が無かっからだ!!!弱かったからだ!!現実から目を背けてきたからだ!!周りに甘えて甘えて甘えまくった結果が!お前以外の仲間たちの全滅だ!!!!これが今のお前だ!!!共に戦った仲間も!姉妹も!自分の上司も!自分の居場所も!何一つ守れなかったのがお前だ!!!そしてその『守れなかった』っていう事実から目を逸らして、逝ったヤツらの気持ちなんぞ微塵も考えず、勝手に死のうとしてるのが!!!今の、お前だ!!!!!!!!」
「それ以上…口を、開くな…!」