魔法科高校の劣等生~双子の運命~   作:ジーザス

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追記 UA60000超えありがとうございます!


第九十六話 縁談

克也が目覚めたことを知った北山潮は克也を自宅に招待したいと克也宛に潮直筆の招待状を届けた。そのことに克也、達也、深雪の三人は深雪の仕事部屋で疑問に思いながら話し合っていた。

 

「なんだと思う?」

「お礼じゃないか?」

「お礼ではないでしょうか。」

 

樹里を腕に抱いた達也とペンを片手に握る深雪が同じことを言ってきたが俺には口車を合わせているように見えた。それは克也の思い込みであり二人は思ったことを口にしただけだった。

 

「論より証拠が一番だなどうせあと五分で出なきゃダメだし行ってくる。」

「使用人をお連れしますか?」

「いやいいよ俺一人で問題ない。」

 

克也が仕事部屋を出て行くのを見送り二人は要件がどんなものなのか知りたそうにウズウズしていた。

 

「契約を結びたいと仰るのでしょうか?」

「それなら克也を呼び出す理由が分からない。とりあえず帰ってくるのを待つ以外知り得ることはない。」

 

 

 

克也は所有している車で北山家に向かいインターホンを押すと入室許可を貰い中に入った。案内された場所は魔法師ネガティブキャンペーンのことについて話していた部屋だった。

 

「やあ克也君もう体は大丈夫なのかい?」

「北山さんお久しぶりですお陰様で以前のように魔法も使えるようになりました。」

 

互いに握手をしながらソファーに座り家政婦が淹れた紅茶を一口飲み潮が口を開いた。

 

「今日来てもらったのは雫についてだご足労をかけて申し訳ない。」

「構いませんが雫がどうかしたのですか?」

 

潮は少しためらってから口を開いた。

 

「雫を娶ってもらえないか?」

 

予想外の相談いや縁談に驚き目を見開いてしまった。

 

「雫をですか?」

「ああ、雫は君と結ばれることを望んでいる。奥さんを亡くしてすぐに縁談を持ち込むのは失礼千万非常識だと分かっているだが私は本心で雫と君が婚約してほしいと願っている。」

 

潮の眼は言葉通り本気だった。「眼は口ほどに物を言う」とことわざかあるがこれは言葉通り間違いなく正しいのだが…。

 

「確かに非常識だ俺が水波を守れず悔いていることを知っていて頼んでいるのだろう?」

「…その通りだ。」

 

礼儀をかなぐり捨て〈アンタッチャブル〉たる所以である威厳を恐怖を発されるのを感じながらも潮は眼に力を込めながら答えた。

 

克也自身腹立たしく感じているだがここで怒りを行動に移すことはしない。

 

「本人はどこですか?」

「雫は習い事だ君の妻になれるよう一層努力をしてね。」

「…呆れた話です。」

 

克也は突き放しにかかった。雫は嫌いではなくむしろ好きだ。だが水波以上に愛せる気はしないし本人にとっては辛いことになると分かっていたからだ。

 

「君は嫌いかね?」

「好きですよただそれは女性としてではなく友人としての好意です。そんな相手と結ばれて真の幸せと言えるのでしょうか?」

「雫はそれでもいいと君の隣にいれるのであれば何も望まないと言っている。」

 

ここで「はい」と言えば丸く収まるだろう。だが懸念事項があるそれを解決するまではどうしようもない。

 

「この話は一度保留にし当主と話し合ってからお返事いたします。」

「ありがとう考慮してくれるだけでも感謝する。」

 

話を終え部屋を出て行こうとする克也を潮は呼び止めた。

 

「克也君何かあったのかい?」

 

この質問は容姿に対してではない克也という人間そのものに対しての問いだった。

 

「…何も。」

 

克也は振り返ることなく応え部屋を出て行った。

 

 

 

克也が出て行き車で走り去るのを窓から見送った後潮は詰めていた息を全て吐き出しソファーに沈み込んだ。何処までも沈み込んでいく錯覚に陥るがそれは気分が下がっていくこととの勘違いだった。

 

{目を覚ましてから今日初めて会ったが以前の克也君ではない殺気が殺意がにじみ出ているそんな感覚だ。}

 

潮は魔法師ではないが妻と娘が魔法師でありここ最近十年で魔法社会に企業進出しているためそれなりに魔法師と関わりを持つことが多い。

 

それ故に克也の纏う空気の違いに気付いたのだ。近くにいることで感覚が麻痺してしまい普通なら気付くことが出来る強力な魔法師であっても気付けないのとは違い数えるほどしか会っていないからこそ気付くことの出来た事例だ。

 

「お父さん。」

 

振り返ると克也が出たドアとは反対のドアから入ってくる娘がいた。

 

「雫もう帰ってきたのか?」

「うんついさっき。」

 

潮の言っていたことは半分本当であったが半分嘘が混じっており克也が礼儀をかなぐり捨てた頃に雫は帰宅していたのだ。

 

「聞いていたのか?」

「…コクン。」

「…そうか。」

 

雫は悲しそうに俯きながら頷きそんな娘を励ますかのように潮は優しい声をかけた。

 

「克也君なら深雪君ならきっといい返事をしてくれるよ。」

「…うん。」

 

顔を真っ赤にして頷く娘に優しく頷き頭を撫で潮は部屋を出て行った。しかしその顔は幸せとはほど遠い悲しげな表情が垣間見えた。

 

 

 

「お帰りなさいませ克也お兄様。」

「お帰り克也。」

「ただいま二人とも。」

 

自宅に戻り深雪の仕事部屋に入ると二人に声をかけられ普通に返事を返す。

 

「北山さんは何のようだったんだ?」

 

達也の質問は興味本位からであり決して悪意があったわけではないが俺は不快に感じた。

 

「雫との縁談を申し込まれた。」

「本当ですか克也お兄様?」

「北山さんが嘘をつく理由もないからね。それでこの封筒は?」

 

何故か俺の立つ方向に置かれた封筒に注意が向いてしまったので聞くとどうやら似たようなことだろうと半ば予想していた。

 

「九島家からの手紙だおそらく藤林さんと克也をくっつけたいのだろう。」

「藤林さんは寿和警部とかなり親しかったはずだ。顧傑との交戦で命を落としてから一度も恋愛をしていないからそろそろ身を落ち着かせようと閣下が思ったのかも知れないな。」

 

手紙を開くと明日の午後三時に生駒の九島本邸に来て欲しいと書かれている。明日の昼頃にここを出れば十分間に合うならば今日の精神的疲労を回復させ明日の疲労に備えるべきだろう。

 

雫との縁談も九島家との対話の後に返事をしなければならない。さっさと水波の敵をとらなければならないのにここで足踏みする羽目になるとは思わなかった。

 

両方とも切ることは出来るが四葉の立ち位置を揺るがすわけにはいかないので後手になるが敵討ちは後回しだ。

 

 

 

翌日の昼前、家を出ようとすると樹里がぐずったので抱っこしてやると泣き止み眠りについたので安心して向かうことが出来た。

 

「もはや父親ね」と言われたが無視して生駒に向かう。誰が言ったのかは言わないでおこう何故なら達也の機嫌が急激に悪化していたのでこれ以上刺激してはいけないと思ったからである。

 

生駒の九島家本邸に到着したのは約束の時間五分前で謁見室に案内してくれたのは光宣だった。高校時代より少年らしさが抜け青年らしい男に成長した彼には婚約者がいるらしい。

 

どうやらこれによって藤林の縁談が持ち上がったのだと克也は思った。

 

「お待たせしました。」

「約束の時間前なのだからかしこまる必要はない。それにしても君は必ず約束の時間前に来るようにするのかな?」

「遅刻するのは失礼ですし早めに来すぎても問題ありです。ならば五分前に来て一分ほど前に顔を合わせれば簡単な挨拶をしている間に時間になります。」

「そうかではそろそろ本題に入ろうといってももう気付いているのだろう?」

「藤林さんと婚約して欲しいということですね?」

「その通り。」

 

百歳にさしかかろうとしているにもかかわらずまったく衰えが見えない烈の様子に克也は驚きと尊敬のまなざしを向けながらも内心やはりと思っていた。

 

「響子も三十路だ私も孫に身を固めてもらいたいのだ。」

「お気持ちはお察ししますしかし何故自分なのですか?他にも藤林さんを慕う方や釣り合う人はいると思いますが。」

「響子自身が婚約するならば君とがいいと言い出してな私も君なら文句はない。響子に近寄ってくる男は大抵下心をむき出しにして時には隠してくるが響子や私の眼はごまかせん。だが君はまったくそんな感情を抱かず響子と関わってくれている。」

「自分もそんな気持ちがないわけではありませんよ。藤林さんは女性からも男性からも羨望のまなざしを送られるほどですから。」

 

本心だがこの程度で二人を引き下がるわけがないと分かっていた。案の定、烈の隣に座る藤林が答えた。

 

「それでも具体的な行動には出ないでしょう?」

「当たり前です相手の許可無しにそんなことはしません。そんなことをするような男は人でもありません唯のケダモノです。」

「ますます婚約して欲しくなった。」

 

どうやら俺の意見は火に油をいやガソリンを注いでしまったようだ。まさかの事態に頭を抱えたくなるが軽い興奮状態になっている二人の前でそんなことをするわけにはいかない。

 

「自分は昨日同じように縁談を申し込まれましたので返事は出来ません。」

「モテ期ね克也君。」

「俺はそんなのいりません。水波以上に愛する女性は二度と現れませんそれでもいいのですか?一番に愛してもらえなくても辛くはないのですか?」

「一番ではないのは悔しいけど無視されるよりマシよ。」

 

このままではらちがあかないようだ。ここは一旦家に持ち帰るのが手っ取り早い。ならばいつまでもここにいるわけにはいかない。

 

「一旦この話は保留にさせて下さい返事はまた日を改めて。」

「ありがとう考慮してくれるだけでありがたい。光宣、克也君をお送りしなさい。」

「はい、お祖父様。」

 

光宣に連れられて部屋を出て行く克也の背中を見ながら烈は克也に聞こえないボリュームで藤林に聞いた。

 

「可能性はあると思うかな?」

「限りなく低くおそらく克也君は断ると思います。」

「やはりか。響子はいいのか?」

「大丈夫と言えば嘘になりますが心の整理はつきました。」

「そうか…。」

 

烈は悲しげな笑みを浮かべる藤林をまっすぐ見ることが出来なかった。

 




書いてても思いました克也のようにモテたいとでも現実は厳しい…。
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