魔法科高校の劣等生~双子の運命~   作:ジーザス

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第九十九話 進軍

七草弘一に襲撃時間の書いた文を送る前に克也は助け出さなければならない人物に連絡していた。もちろんプライベートナンバーでだ。自宅にかけたところで七草家の使用人に切られるのがオチだとわかっていたからだ。

 

『もしもし克也君?』

「お久しぶりです七草先輩今どちらにおられますか?」

『吉祥寺の別荘にいる九亜ちゃんたちの様子を見に来ているの。』

 

電話をかけた時間は偶然だがいてほしいところにいてくれたので今回はラッキーだ。

 

「明日七草邸を襲撃します。その際に恐らく九亜たちが弘一の手下に狙われる可能性がありますので避難をお願いします。」

『急に言われても準備なんてできてないわよ?』

「分かっていますですがそこにいれば間違いなく殺されます。おそらく先輩も狙われるでしょう。」

『何故お父様がそんなことを!?』

 

確かに実の父親が自分を殺すなど知りたくないだろう。だがやりかねないのが弘一であり自分の悪行が明るみに出たことで余計に危険度が増している。

 

「もはや一刻の猶予もありません。今すぐにそちらへ使者を向かわせますので先輩も避難して下さい。我々四葉家が責任を持って保護いたします。」

『…わかったわ待ってるから。』

 

真由美が少し悩んだのは克也の言葉を信じるかどうか迷った結果だろう。信頼度で言えば克也の方が遙かに上だ。父が何をするのか頭で考えていることと口に出していることが一緒だと自分には思えない。そして父の悪行を知ったことで父親としての存在はなくなった。

 

いや、妹の香澄と泉美と親子関係を断絶したときからだろうか。それでも父親として信じたかった。一人の魔法師として信じたかった。でも克也の最愛の妻を殺したという事実があるならば自分も自分の道を歩もうと決めた。

 

それが克也の提案を受け入れた理由だ。

 

 

 

克也は電話を切った後花菱兵庫と青木に大型のリムジン二台で今すぐ吉祥寺に向かうよう命じた。位置はさきほどの電話回線を辿れば探知は可能だ。ちなみにこれは非常に難しいので藤林に逆探知してもらった。

 

その地点をナビに入力した二人は法に引っかからないギリギリの速度で向かった。念の為に黒羽家の魔法師を五人ほど護衛に回しているが恐らく大丈夫だろう。

 

克也は深雪に七草弘一に対して翌日の襲撃時間を記載した文を黒羽家の配下の魔法師に届けるよう命じ自分達も翌日のために準備を始めた。

 

 

 

文を読んだ弘一は僅か十五分後に九亜たちのいた吉祥寺の自分の別荘を襲撃した。もちろん九亜たちを世話していた家政婦や使用人たちも避難していたため死傷者はいなかった。

 

しかしそのやりかたがあまりにもひどすぎたため現場検証を行った警察は怒り狂っていた。別荘は半分が灰と化し半分は燃え続けていたそうだ。どうやら『燃焼』の魔法を得意とする魔法師が関係していたようだが周囲の想子レーダーはことごとく破壊されており実行者を捕まえることは出来なかった。

 

 

 

2103年二月八日午前十時 四葉家及び分家、そして四葉家が抱える傭兵部隊の大半が動員された七草弘一との全面戦争。

 

「魔法」が御伽話の産物ではなく現実の技術となってから僅か百年。それだけの間に世界は魔法師という新しい「種族」を造り出すことに成功した。

 

そして今それを打ち砕こうとする勢力とそれを止めるのではなくその勢力を潰そうとする勢力の最終決戦が行われる。おそらく国内で最初で最後の魔法師同士の全面戦争だろう。

 

弘一側は七草家の配下の魔法師全部ではないがほとんど全てを、四葉家側も出せる限りの魔法師を動員させているのだから全面戦争と言っても過言ではあるまい。

 

 

 

克也、達也、深雪、リーナ、文弥が最前線に立ちその後ろに亜夜子率いる黒羽家お抱えの魔法師、そして四葉家お抱えの傭兵部隊が並んでいる。それに対し弘一側はまったく表情のない人形が軽く見積もって五百体は下らない。一体どこから集めたのだろうか。

 

だがよくよく考えれば可笑しなことはない。何故ならかの「ジェネレーター」と同じまたは似た存在である彼らは七草家の裏家業である「強化人間」などの危険分子を排除する仕事で手駒に出来るからである。

 

四葉にも似たような依頼は来るがそれは要求の大抵が国家に対する反逆を行ったあるいは企てた魔法師の抹殺のためこのような感情を奪うようなことはしない。

 

何故なら四葉家は感情が魔法に多大な影響を及ぼすことを知っているから敢えて活かしたまま放つ。だが放つ前には四葉家の恐怖、畏怖を本能的に覚え込ませるため四葉家の依頼を素直に聞くようになる。

 

このように四葉家は外から戦闘用の魔法師を確保していた。四葉家は数の劣勢を覆すほどの魔法力を持つ一家だが時には数が物を言うときがある。それが今回の戦争だ。そのため真夜と深雪は四葉家の傭兵のストックを使い果たす勢いで投入したため今こうしてなんとか五分五分の戦力になっている。

 

碧眼の「眼」を七草邸に向けるとやはり保護がされていた。

 

「『パーフェクト・キューブ』やはりここでも使うか七草弘一。」

「克也の目的は弘一只一人だ。俺達が道を切り開くその間に克也は深雪とともに七草邸へ突っ込め。」

「頼むぞ達也。」

 

克也と深雪は自己加速術式を発動寸前で保持しその時を待つ。達也が{シルバー・ホーン}をリーナが{アルテミス}を文弥がナックルブラスター型CADを構え各々が得意な魔法を同時に放った。

 

それが後に『神々の黄昏(ラグナロク)』と呼ばれる戦争の始まりである。 

 

『小規模マテリアル・バースト』が自己加速術式を展開しようとした複数のジェネレーターの存在を消し飛ばし『局所ヘビィー・メタル・バースト』がジェネレーターが身に纏っていた金属片を中心に爆発し複数のジェネレーターを吹き飛ばし『ダイレクト・ペイン』が精神に直接ダメージを与え複数のジェネレーターが倒れ込む。

 

倒れたジェネレーターの隙間をぬって克也と深雪は一瞬にして駆け抜ける。駆け抜けたときにはさらなる三つの魔法がジェネレーターを襲っている。克也が七草邸に向けて『アブソリュート・キャンセル』を発動させ『パーフェクト・キューブ』を消し去る。

 

だが次の瞬間に『パーフェクト・キューブ』が完成し始めるのを視た克也は深雪の手を引いて七草邸に侵入した。

 

「なんとか入り込めたか。」

「あそこまで再構築が速いものなのでしょうか?」

「魔法式が安定してきているし洗練されている使うことに慣れ始めたのだろう。」

 

そう言いながら「眼」で家の中全体を視渡す。しかし目的以外には何も見つからない。弘一が追い出したのか自ら出て行ったのか真実を知らなければ分かるわけがない。

 

存在を認識した場所に向かって克也は足を踏み出した。だがその足取りは少しだけ重くその様子に深雪はすぐに気付いた。兄が何かを視て動揺したのだと深雪は直感した。

 

 

 

その頃弘一は書斎で青年を一人自分の後ろに立たせ指を絡めその上に顎を置いて書斎の入り口を眺めていた。

 

「どう思う七宝君。」

「まあ、確実に殺されるでしょうね僕達二人は。」

 

まったく恐れを抱かないそれどころか笑みを浮かべているのを見ると気持ち悪い。

 

「まさかこんな簡単に我々の前に姿を現してくれるとはな。」

「感情に流された魔法師ほど簡単に誘導できることはありませんから。」

「一つ間違っているぞ七宝君彼らは魔法師ではない只の紛い物だ。」

「失礼しました弘一殿。」

 

このような姿を琢磨の父や友人が見たら何と言うだろうか。恐らくこう言うだろう。

 

「狂っている」

 

と。二人は自分が狂っているとは思っていないむしろ正しいと思っている辺りやはり人の道を外れている。二人の含み笑いは克也が到着するまで続いた。




アルテミス・・リーナが『ヘビィー・メタル・バースト』を発動するための全体が銀色で所々に花が装飾された美しくも無慈悲なCAD
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