誤字報告ありがとうざいます。投稿前に必ず確認しているのですが見落としがひどいです。自分も読み返しながら間違っている場合は修正しておりますが手の届かないものもありますのでよろしければご指摘をお願い致します。
『そして達也は三ヶ月生きた。余命を告げられながらも必死に生きた理由は娘と少しでも一緒にこの世界で行きたいと願ったからだ。』
克也は第一高校の講堂の演壇に立ち集まった生徒達に話しかける。達也が亡くなってから五年、四葉家は達也が天才魔工師{トーラス・シルバー}の一人であることを正式に発表することを決定した。
最初は四葉家内でも反発はあっただがそれでも深雪と克也は達也が生きた証を形ある物として残したかったのだ。命という形ある物として「樹里」がいるが称号というもので魔法社会に残し続けることを望んだ。
そういうこともあり克也は毎年臨時講師として各魔法科高校を訪れ最高学年に対して演説を行っている。達也のおかげで今の自分達が生まれ魔法を学ぶことができ使い勝手のいいCADを手にすることが出来ているということを教えている。
『だから決して忘れないで欲しい。君達が魔法を学び将来自分達が目指したい職業に就ける社会にしたのは私の弟である達也のおかげであると。』
俺がそう締めくくると講堂は割れんばかりの拍手に見舞われた。毎年同じ内容をあちらこちらで話してはいるがやはり母校で話すときほど力が入ることはない。それは「愛校心」故からなのかそれとも「達也と過ごした高校生活」が忘れられない故か。
俺はどちらも正しいと思っている。どちらも自分の心に焼き付いているし死ぬまでいや、死んでも忘れないだろうそれだけ大切な記憶だ。
「お父様。」
校門前で春の風が頬を撫で髪を揺らすのを感じながら桜を眺めていると愛娘の声が聞こえた。振り返ると高校一年生にしてすでに父親の俺でさえ惚れ惚れする美少女に成長した娘の優姫が可憐な笑みを浮かべて立っていた。
「生徒会の仕事はいいのか?」
「今日はお父様が来ているということで特別に免除してもらうことができました。」
納得感とともに疑問が浮かぶ。
「それはいいがまさか押し付けたりはしてないよな?」
「ギクッ!」
「今ギクッって言ったよな!?」
「冗談です本当に免除されました。というよりは今日ぐらい一緒に帰れということでしょうね。」
嬉しそうに笑顔を浮かべる娘に俺は苦笑いしか浮かばなかった。まあ、確かに一緒に帰ることなどそうそう出来ないし職員や生徒会役員たちのご厚意に甘えることにしよう。
「じゃあ、帰るか?」
「はい!」
笑顔を向けると頬を紅潮させて俺の右腕に抱きついてきた。実際は親子なのだが克也が若作りな分傍から見れば十歳ほど年上の恋人に甘える新入生きっての美少女の図である。
第三者が見ていればそう思っただろうが今回は誰もいなかったので突っ込まれることはなかった。まあ、誰がいようと何人もの視線を向けられても優姫は気にしなかっただろう。
何故なら優姫は深雪の重度のブラコンと同じ「重度のファザコン」なのだから!
克也の所有物である車の中で克也は優姫の髪を解いていた。一切の乱れが無く夜空を思わせる深い群青色の髪を克也に解いてもらうのが優姫にとって一番のご褒美だ。
もちろん母のリーナに解いてもらうのも好きだが大雑把な性格が災いしたのか優姫は克也にしてもらうことを好む。
閑話休題
「相変わらず癖が何一つないな優姫の髪は。」
「お父様のために毎日ケアしていますから。」
「褒め言葉を言ってくれるのは嬉しいがそろそろ父離れしてくれ高校生だろう?」
「歳は関係ありません。」
どこかで聞いたことあるセリフだが今は気にしないでおこう。今の優姫の髪の長さは腰ほどであり中学生になった頃から伸ばした成果なのだが三年でここまで伸びるのかと思うほどの速度である。
中学入学当時は襟足に髪がかかる程度だったのだが四十cmも三年で伸びた計算だ。髪は1日に0.3mm〜0.4mm、つまり一ヶ月では一cm前後伸びる計算で一年間十二cmである。
まあ、これは目安なので個人差が出るため正確な数字ではない。その数値を平均として考えると優姫はかなり速い体質なのかもしれない。
優姫の髪を解くといってもくくることはしないし優姫はストレートを好むので櫛を通すだけだ。それ自体をする意味などないほどさらさらなので優姫の機嫌取りというのが名目に近い。
ある程度櫛を通しているとメールが届いたので克也は開いてため息をついた。
「どうなされたのですか?」
「悠(はるか)がまたやらかしたらしい。何故あいつは問題を起こしたがるんだ?」
「思春期だからだと思いますよ。」
克也に髪を解いてもらいさらに機嫌が良くなった優姫は華のような笑みを浮かべたので克也も毒気を抜かれた。
「母さんが迎えに行っているからこのまま真っ直ぐ帰ろうか。」
「はい!」
帰宅(優姫の中ではデート)するために克也は自動運転から手動に切り替えアクセルを強く踏んだ。
翌年、優姫の従姉である樹里が第一高校を卒業しかねてからの婚約者であった同い年の幹比古と美月の長男である光月古(みづひこ)と婚姻の義が行われた。こうして正式に四葉家と吉田家は親戚同士になった。
そして克也と深雪、幹比古、美月の四人でテーブルを囲み和やかな空気を醸し出していた。ちなみにリーナは使用人達と一緒に婚姻の義の後片付けに参加中である。
「これでようやく俺達は親戚同士になれたわけだがえらく時間がかかったものだ。」
「そう言わないでよ克也二人ともシャイなんだからさ。」
意地悪く言うと幹比古は焦ったように首を振りながら言い返す。そこらへんは高校時代と何も変わらないので懐かしく思えてくる。
「吉田君と美月の性格が化学変化を起こして社交性に富んでくれたらよかったのに。」
「それを言うなら幼いときの樹里のお転婆さをどこかにやったのはどなたでしたっけ?」
痛いところを突かれたらしく深雪はふんっと顔を背けてしまう。笑い声が謁見室に響きいつも通り昔と変わらない嬉しい一時は過ぎていく。
「エリカは結婚しないのかな?」
「エリカと釣り合う男はいないだろ?」
「釣り合うなら達也さんか克也さんだけですね。」
「美~月?少しこちらに来てもらえないかしら?」
「ひゃい!?」
地雷を踏んだらしく美月は深雪に連行され克也と幹比古は微妙な笑顔を浮かべながら見送ることしか出来なかった。
「でも美月の言いたいことは間違ってないよな?」
「うん、エリカが達也のことを異性として見てたのは事実だから深雪さんも怒らずああやって美月さんを笑顔で話してるんだろうね。」
「女神の微笑みではなく氷雪の女王の笑みだけどな。」
「克也お兄様、何かおっしゃって?」
「いえいえ何もお続け下さい。」
ひそひそ声で話していたのにも関わらず聞こえていたのは地獄耳だからだろうか。それとも予想していたからなのかは分からないが余計なことを言わない方が身のためである。「口は災いの元」ということわざは的を射ている言葉である。
「それより幹比古は未だに美月のことを名前だけで呼べないのか?」
「違和感がありすぎて言いにくいんだ。一度呼んでみたら空気が割れた感じがして口をきいてもらえなくなったからそれ以来口にしにくくて。」
気持ちは分かるが一緒になってから二十年経つのだ息子も父が母をさん付けで呼んでいるのはなんとなく居心地悪いだろう。
「無理にとは言わないが努力はしなよ。お前はそういうの得意だろ?」
「それなりには頑張るよでも別れを切り出されたら…。」
「考えすぎだ美月はそんなことで別れを切り出しはしないよ心からお前を愛しているからな。」
笑顔を向けると幹比古も優しい笑みを浮かべた。
「ありがとう克也やっぱり相談相手は必要だ。」
「もう親戚同士だしそれ以前に俺達は友人だ。友人の悩みを聞いてやるのも友人としての存在意義でもあるんだからな。」
「相変わらず名言を残すね克也は。」
「当たり前のことしか言っていないつもりなんだがな。」
肩をすくめながら答える。実際、人としての立場を考えた上での発言なのだが幹比古からしたら神のお言葉にきこえたようだ。自分の言葉でもそうでなくともそれで生きる意味や努力するきっかけになればいいと思える。
「優姫にもそろそろ父離れしてほしいんだがな。」
「克也が魅力的過ぎるんじゃないかな。」
「俺が望んだことじゃないんだが…。」
何とも言えない表情をしていると幹比古は人の悪い笑みを浮かべた。高校時代の俺と達也の人間の悪さが伝染したようだ。
優姫は小さい頃から「お父様のお嫁さんになる」と周囲に漏らしていたので克也はある意味嬉しかったのだが婚約者を見つけることが出来ないので頭を抱えていた。追撃でリーナが優姫の前で「パパはママの物」と対抗するので両側に引っ張られることもざらにあった。
{思い出したらまた頭が痛くなってきた。}
「まあ、可能な限り見つけられるようにしておくよ。あと悠の婚約者も。」
「じゃあ、レオの娘はどう?」
「いいと言うかわからんしどっちも会ったことないからなんとも言えん。」
レオは祖父の故郷ドイツで結婚し家庭を築いている。悠の一歳年下なので婚約は可能だ。悪くはないがドイツが許可するか分からないそこが一番の問題だ。
裏庭にいる中睦まじい様子の樹里と光月古を縁側から見つめる。樹里が次期当主なので光月古は婿入りのため四葉家でこれからを生活することになる。
達也が残した命はここに残り達也の意思を受け継ぎ次の世代に着実に繋がっている。それは友人達も胸に抱きいつまでも四葉家が存続する限り友人達の心が引き継がれる限り消えることはない。
西暦2168年、克也はその波乱な生涯を閉じた享年九十歳死因 老衰。達也の双子の兄として生まれ最愛の女性を失った悲しみから立ち上がりまた生きることを選んだ。多くの人を愛し多くの人に愛された克也の心もまた次世代に受け継がれている。
娘の優姫、息子の悠、姪っ子の樹里そして孫の枢(かなめ)、李土(りど)に「他人を重んじ自分も愛する」という家訓を渡し遺言とした。
そして遺骨は四葉家直系が入る墓ではなく水波とリーナが入れられている墓に入れるよう言い残した。
『ここは?』
俺が目を覚ますとそこは暗い闇の中だった。死んだのは自分でも分かっているこれが死者の国と言われる場所なのだろうか。
『遅いわよ。』
『お待ちしておりました。』
かつて俺が愛した女性が二人俺の前に現れその容姿は二十歳過ぎの頃のものだった。俺も自分の手を見ると若返っておりしわもなく若々しい皮膚があった。
『迎えに来てくれたのか?』
『あんたが死ぬの遅いから強制的に連れてこようとしたくらいよ。』
『ここで待っていれば会えると思っていましたから。』
二人はそれぞれの個性ある言葉で俺を迎えてくれたようだ。
『ありがとう水波、行こうか。』
『ちょっとワタシは!?』
『話したいことが沢山あるんだ。』
『無視すんなぁぁぁぁ!』
後ろから怒りの声が聞こえるので弄るのもここまでしにておこうかな。
『冗談ださあリーナ。』
右手を差し出すと頬を紅潮させながらも嬉しそうに右手ではなく右腕に抱きついてきた。すると水波も負けんとばかりに左腕に抱きついてきた。
そんな二人に苦笑してしまうがここまで自分を愛してくれるのは悪くない俺は幸せ者だ。
『あの光に向かって歩こうまだまだ先は長いけどね。』
『克也様がいればどれほど長い道のりであろうと困難が待ち受けようとも微塵も気になりません。』
『その気持ちはワタシも負けないからね!』
『ふふ、今回も楽しくなりそうださあ二人とも新たな旅の始まりだ!』
克也は水波とリーナに連れられ暗闇の中を照らす一点の光に向かって歩き出した。
これは旅の終わりではなく途中経過に過ぎない。終わるときなど来ないかもしれない終わりが見えるかもしれない。
だが三人からすればそんなもの「だから?」の一言で終わらせるだろう。三人の楽しげな幸せそうな声は暗闇の中でも明るく響いている。まるで幼きときに戻ったような純粋に自分達のしたいことをやりたいようにやるそんな様子だ。
もしかしたら三人が本当に望んだのは『世の摂理』に従わず何も考えず暮らすそんな当たり前の生活だったのかもしれない。四葉という日本を護る弱き者を助ける他国の脅威を未然に防ぐなどといった一瞬の気の緩みが許されないそんな支配から解き放たれた今を謳歌する。
それが今の三人の心を満たす幸福感なのかもしれない。
一週間ぶりの投稿ですねこの話で本編は終了となります。番外編や5年間の間のお話を投稿することがあるかと思いますがその時はどうぞよしなに。
さてこの度『魔法科高校の劣等生~双子の運命~』を最後までお読みいただき本当にありがとうございます!正直、この小説は最初の頃に投稿していた『七草泉美と結婚した俺の回想』という小説からの派生でありここまで書くことが出来るとは思っていませんでした。
初期は自分の自己満足的な感じで書いていましたが途中から評価や感想をいただきいつの間にか読者の皆さんに喜んでもらえるような小説を書こうと意気込むようになりました。
国語能力が低く語彙力もない自分が書いた小説を読んでくれる人なんぞ本当にいるのかと不安になったことは幾度となくありました。そもそもSS、ハーメルンに出会ったのはほんの偶然です。
ドラゴンボール関係を調べていると偶然ウェブページに表れクリックして読み始めたのがきっかけでした。そして色々と調べ魔法科高校の劣等生を題材にした小説が多く投稿されていたので「これなら書けるかも」と思い真剣に書き始めたのが『七草泉美と結婚した俺の回想』でした。
『ガルガラン討伐』や『俺の名前はうずまきナルトだってばよ!!』を投稿していましたが不評でした。まあ、それは自分の語彙力の無さとしっかりと内容を理解できていなかったのもあります。しかしそう言うと魔法科高校は書きやすいと言っているように聞こえるかもしれませんが決してそんなことはありません!
おそらく何より大好きな作品だったのが大きな要因だと言えます。SAOも大好きな作品ではありますが魔法科高校のようには上手く書けません。『ソード・アート・オンライン~魂の集い~』という作品名で投稿させていただいておりますがやはり不評です。
もう一つの魔法科高校作品である『魔法科高校の劣等生~影は夕闇に沈む~』もぼちぼち再開しようかなと思い始めているところであります。こちらは九校戦と夏休み編までのある程度の構想はできており投稿するのも時間の問題かと思います。
僅か4ヶ月という期間で完結するのもどうかと思いますが最初のペースが早すぎましたね。春休みだからといって一日に3話投稿するなどアホでした。時間を考えて今ぐらいのペースであったならば9月ぐらいまでは保っていたかしれません。
今後悔しても「後の祭り」で「後悔先に立たず」ということわざが身に染みて分かりました。友人や母には「評価される文章を書けるのは凄い」と言われます。確かに自分の国語能力である程度の評価をもらえるのは喜ばしいことなのですがやはり高評価は欲しいです。
自分で少しはマシな文が書けたと思っても読者の皆さんがそう思うとは限りませんのでそこは自己満足で許して下さい。
『魔法科高校の劣等生~双子の運命2~(仮)』を製作しようか迷っていますご要望があれば何卒よろしくお願いいたします。
最後にもう一度ここまで読んでいただき本当にありがとうございます!これからも魔法科高校の劣等生第二作を更新していきますのでどうぞよろしくお願いいたします!
追記 リーナのUSNA脱出は原作が発売される前に決めていました。決して発売され読んだ後に考え付いたのではありません。今頃話しても説得力はありませんが事実なのでご理解の方をお願い致します。