魔法科高校の劣等生~双子の運命~   作:ジーザス

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九校戦編開幕ですよ~


4章 九校戦編
第十一話 準備


「全国魔法科高校親善魔法競技大会」。

 

通称九校戦は全国に九つある魔法科高校が威信をかけて競い合う催しで、生徒たちは若きプライドをかけて栄光と挫折の物語を繰り広げる。

 

政府関係者や魔法関係者だけでなく、一般企業や海外からも大勢の観客と研究者のスカウトを集める魔法科高校生の晴れ舞台だ。

 

注目を浴びたいがために熱心に訓練に励むものがいるが、愛校心がある生徒程活躍する傾向がある。そのため生徒の心意気は否応なしに高まる。

 

学校同士の対抗戦という色彩が強いためか、九校戦の出場者はクラブの枠組みを超えて全校から優秀な選手が選出される。こういったこともあって九校戦は部活連ではなく、生徒会が主導となって準備する。

 

 

 

「…ということもあって私たちがやっているの。選手の方は十文字君のおかげで決まったんだけどエンジニアが足りなくて…」

 

そうボヤく真由美の食事速度は普段の半分程度になっている。

 

ちなみに俺と深雪は選手として出場することになっているので、不足していることは知っていた。

 

「まだ数がそろわないのか」

 

摩莉もため息をつく。

 

「実技方面に人材が偏っているからアンバランスなのよね」

 

自分に火の粉が降りかかる前に逃げ出すことを決めたのか、達也が弁当を片付けて出ていこうとしたが今回はそれが裏目に出た。

 

「じゃあ、司波君はどうですか?深雪さんと四葉君のCADを調整しているらしいですから」

 

あずさがそう提案する。

 

「さすがあーちゃん!ということで達也君放課後会議に出席してね」

 

真由美が(強制)参加することを命じた。

 

「ニ科生がすべきではないと思いますよ。調整はユーザーとの信頼関係が絶対条件ですから」

 

達也がネガティブ発言をしたことによって真由美の熱も冷める。確かにエンジニアとユーザーの間に信頼関係がなければ、満足のいくパフォーマンスはできない。

 

達也の言っていることは正しいのだが棘が生えすぎていて痛かった。

 

「「達也(お兄様)俺(私)のCADを九校戦で調整してほしい(もらいたい)のだ(です)けどダメかな(でしょうか)?」」

 

俺と深雪にお願いされた達也は明らかにチェックメイトだ。達也の内心を古風に表すとしたら『ああ、ブルートゥスお前(たち)もか』だろう。

 

ちなみに俺のCADの調整は汎用型をお願いすることにした。

 

さすがに特化型CADを達也にさせるほど俺は鬼ではない。特化型なら達也より上手く調整できるから尚更だ。達也は弱々しく真由美のお願いに頷いた。

 

 

 

放課後、会議で達也をエンジニアとして参加させることを提案した真由美に一科生の先輩から反対の意見が上がった。

 

ニ科生には務まらないだの言い出した。

 

「なら司波の実力を見ればいいだろう。なんなら俺が実験台になるが」

 

克人が反論を抑えもっとも効果的な打開案を提案した。しかし危険だとまたしても反対の声が上がった。

 

「いえ、その役目俺にやらせてください」

 

桐原先輩が自ら立候補したので俺は男らしいと思った。

 

桐原先輩の立候補に誰も反対しなかったのは、勧誘活動での騒動を知っておのような出会い方をしているから嘘の事実は伝えないと全員が思ったからだ。

 

特に達也と桐原の仲を中途半端にしか知らない者たちはそう思った。

 

 

 

桐原のCADから競技用CADにコピーすることが課題にされた。文字に表せば簡単に見えるが現実は甘くない。スペックの違うCADをコピーするのは危険が伴うので、そこがエンジニアとしての腕の見せ所だ。

 

そう考えているうちに達也は調整を終了させていた。

 

相変わらずの手際の良さだと感心していると桐原がCADを操作する。CADはなんの問題も起こさずまったく同じように作動した。

 

「桐原、感触はどうだ?」

「問題ありませんね。自分のCADと言われても疑わないほどです」

 

不敵な笑みを浮かべながら答え、桐原の言葉に達也の参加に反対していた上級生は驚いていた。

 

「一応の技術はあるようですが突出したほどではないと思われます」

 

と評価しない者もいたことに克也は我慢できなかった。

 

「完全マニュアル調整など普通誰も行いません。それを達也は行使し桐原先輩に違和感を与えなかったことは素晴らしいです。幼馴染だということを除外しても参加させるべきだと思います」

「まあ、そう言えなくはないが…」

 

あと一押しが足りない…。

 

「桐原のCADは競技用よりはるかにハイスペックな機種です。その違いを感じさせなかったことは評価すべきだと思いますが。会長、私は司波のエンジニア参加に賛成します。九校戦は当校の威信をかけた戦いです。ニ科生だとかつまらないことで争わずベストなメンバーで挑むべきではないかと」

 

服部の意見に達也は目を丸くして驚いていた。

 

「服部の意見はもっともだろう。司波はおそらく校内でトップの調整技術を持っている。そんなやつを参加させずに誰を入れるというのだ?」

 

克人のまとめで達也の九校戦参加が決定した。

 

 

 

その日の夜、達也は陸軍101旅団独立魔装大隊隊長・風間玄信と話をしていた。わざわざ一般回線に割り込んで、繋げてきているのだからかなり重要な話なのだろう。克也は深雪と一緒に食後の食器洗いに行っている。

 

「わざわざ手で洗わなくても」と言ったことがあったが、その時2人に睨まれながら「「この程度は自分でする必要がある(ります)」と言われたのでそれ以来言わないようにしている。

 

『ところで特尉、九校戦に参加するらしいが。気をつけろよ達也』

 

階級でもなく名前で呼んだのには友人としての危険を知らせる為だろうか。達也はさらに表情を厳しくした。

 

『会場は富士演習場南東エリア。これはまあ例年通りだが該当エリアに不穏な動きがある』

「侵入者ですか?」

『嘆かわしいことにその通りだ。国際犯罪シンジゲートの構成員らしき東アジア人が近隣で目撃されている。時期的に九校戦が狙いとみていいだろう』

 

達也はまた厄介ごとが増えた思ったが口にしたことは別のことだった。

 

「国際シンジゲートとおっしゃいましたが」

『壬生に調べさせた』

「第一高校二年 壬生紗耶香の御父君ですか?」

『その通りだ。退役後は内閣府情報管理局で外国犯罪組織を担当している』

「…驚きました」

 

素で驚いた達也は素直に感情を口にした。

 

『詳しいことが分かったらまた連絡する。富士で会えることを楽しみにしているからな』

「ありがとうございます」

 

画面越しの敬礼に敬礼で達也は応えた。




九校戦開幕です。はりきっていきましょう。
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