魔法科高校の劣等生~双子の運命~   作:ジーザス

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ようやく三高とのモノリス・コードが終わりました~。長かった~。


第十九話 九校戦⑤

遙からもらった電動バックを引っ張りテントに向かいカバンを開け中身を見ると俺は固まった。

 

「達也これは?」

「マントとローブだ。」

「これが『インビジブル・ブリット』対策なの達也?」

「それ以外に使い道はないだろ?」

 

俺の質問に答えてから幹比古の質問にも答える。

 

「このマントとローブには魔方陣を織り込んでいます。」

「魔方陣を織り込む?」

 

達也の言葉に覗き込んでいた真由美が疑問を感じたように聞く。

 

「古式の媒体で刻印魔法と同じ原理で作用します。このマントとローブには着用した者の魔法が掛かりやすくなる効果を付与しています。」

「補助効果だな達也。これがなくても戦えるけどあることに越したことはないということか。」

 

達也が考えているのだから間違いはないそう信じる俺だった。

 

「決勝戦に進んでくれた時点で新人戦優勝は決まっているからあまり無理しないでね三人とも。」

「出場させて貰っているんですから出たからには優勝しますよ。」

「『クリムゾン・プリンス』と『カーディナル・ジョージ』に勝ったとなれば俺たち三人は自信になりますしね。」

 

真由美の心配に達也と俺は不敵に笑いながら告げた。幹比古は緊張で震えていたが…。

 

 

 

三位決定戦が終わり決勝戦は「草原ステージ」と発表され一高首脳陣は厳しい顔をしていた。

 

「障害物がない場所では不利ですね会長。司波、策はあるのか?」

 

服部から意外な質問をされ驚いたがしっかりと達也は答えた。

 

「正直、本来の戦い方をされれば手も足も出ませんがどうやら一条選手は過剰に俺を意識してくれているようですから接近戦に持ち込めればなんとか。」

「格闘技は禁止されてるぜ?」

「大丈夫ですよ策はあります。」

 

桐原の念と首脳陣の不安そうな顔に達也は後付した。

 

 

 

決勝開始前試合ステージに到着した後俺はマントの襟の陰に首をすぼめ幹比古はフードを深くかぶり直していた。

 

「幹比古さんよ絶対笑っているやつが約一名いるんだと思うんだが?」

 

俺は話しかけながらチラリと観客席の方に視線を向けると同じように幹比古も目を向けていた。

 

「使い方はさっき言ったとおりだ頼むぞ二人とも。」

 

達也から俺たちに向けて応援がくる。本来は俺たちが送るべきなのだが逆に励まされた。それに対して俺達は深くうなずいた。

 

試合後に分かったことだが俺の予想通り笑っている人物がいた。名前は言わないでも分かるだろうからここには書かないでおこう。

 

 

 

そのころVIP席では思いがけない来賓が会った。

 

「九島先生!このようなところに如何されました?」

 

その人物は九島老人であった。

 

「なに少し面白そうな少年がいたのでな。」

 

そう言ってモニターを見る閣下は威厳に満ち溢れていた。。

 

 

 

試合開始の合図と共に両陣営の間で砲撃が交された。一方は二丁拳銃、片方は一丁で魔法を繰り出している。互いに歩き出し一歩ずつ近づくのを俺と幹比古は不安な顔で送り出した。

 

達也が魔法を撃ち合うが明らかに手数が減ってきている。

 

術式解体で相殺するのが遅れた二つの圧縮空気弾を間一髪でよける。その顔は非常に苦しそうで加勢したくなったが横に飛び出した『カーディナル・ジョージ』を最優先で倒すことにした。

 

『インビジブル・ブリット』を放とうとしてきたので『逃水』を発動させる。まだ見よう見まねだが魔方陣の補助効果のおかげで発動できた。

 

『逃水』によって照準が定まらず驚いている吉祥寺選手に『逃水』を解除し圧縮想子弾を放とうしたので予想外の頭上からの攻撃に対処しきれなかった。

 

「グハァ!」

 

爆風により吹き飛ばされ地面にたたきつけられた。肺から空気が押し出され呼吸がままならなくなり目の前が真っ暗になりそれから少し気を失った。

 

 

 

僕は攻撃を受け倒れた克也を見て恐怖を覚えた。

 

{なんて威力だ!}

 

そう思いながらもローブに想子を流し遠近感を定まらなくさせる。すると『インビジブル・ブリット』を放とうとしていた吉祥寺選手は魔法をキャンセルしたので突風を起こし吹き飛ばそうとするが加重系統の魔法で威力を減らし、突風と同じ方向に飛ぶことでダメージを抑えた。

 

その一瞬の判断の速さに驚きローブに流す想子を止めてしまい吉祥寺選手の加重系統の魔法をを食らい為す術なく「横」に落ちた。

 

「グゥ!」

 

呼吸ができなくなるが意識を失うまではいかなかった。だがしばらくは動けないだろうと感じていた。

 

{達也すまない。}

 

それだけを念じた。

 

 

 

{克也と幹比古がやられたか。だが今ので一条は油断している攻めるなら今だ!}

 

突如ダッシュし五mまで距離をつめるとレギュレーションを超えた威力の圧縮空気弾が十六発発射されるのが視えた。術式解体を使って無効化していくが間に合わないと達也は感じていた。

 

しかしそれでも機密指定の魔法を使おうとしない。達也は攻撃を食らうことを覚悟で情報構造体を『分解』する『術式解散(グラム・ディスパージョン)』を隠し続けた。

 

魔法式にはそれぞれ強度がある。無理矢理その魔法式を吹き飛ばすので非常に効率が悪い。そのせいで迎撃は十四発までしか間に合わず二発の直撃を受けた。

 

{達也!いくら達也でもレギュレーションを超えた魔法を食らえば無事では済まない!}

 

『癒し』を少しずつ体に施しながら意識を取り戻した俺は二人の戦いを見ていた。幹比古はまだ起き上がれないようで倒れたままだ。自分も早く戦闘に復帰したいが圧縮空気弾をまともに受けてケロッとしていれば何を言われるのかわからないのでもう少しだけ我慢することにした。

 

【肋骨骨折 肝臓血管損傷 出血多量を予測】

 

【戦闘力低下 許容レベルを突破】

 

【自己修復術式/オートスタート】

 

【魔法式/ロード】

 

【コア・エイドス・データ/バックアップリードよりリード】

 

【修復/開始ー完了】

 

それは達也が意識するより早く走り、達也が意識するより早く完了した。俺が立ち上がるとそこには硬直している一条がいるが今は考えている場合ではない。

 

つきだした右手の指を一条の左耳の横で鳴らす。すると音響手榴弾に匹敵する破裂音が達也の手から発せられた。

 

とどめを克也と幹比古にさそうとしていた吉祥寺も音源に目を向けていた。一条が倒れ達也も片膝を立てる姿勢で荒い呼吸をしていた。

 

「吉祥寺、避けろ!」

 

仲間から危険を知らされその場から逃げると雷撃が落ちた。放たれた場所を見ると先ほど倒したはずのの遊撃の選手だった。

 

もう一度『インビジブル・ブリット』を放とうとしたが今度も遠近感が定まらなくなり放てなかった。

 

{やったんだね達也!呼吸をする度に胸が悲鳴を上げ肋骨が痛む。長時間圧迫されていたためか軽い酸欠状態になってるかな倒された時に打った背中が痛いけど達也が受けた攻撃に比べればこの程度何でもない!}

 

自分に活を入れ歯を食いしばりしっかりと地面を掴む。

 

{達也が『クリムゾン・プリンス』を倒したなら『カーディナル・ジョージ』だけでも僕が倒す!}

 

達也が教えてくれた自分ではなく術式に問題があると。

 

{達也君を疑っているわけじゃないけど君の言葉を証明させて貰うよ!}

 

幹比古は両手操作の大型携帯端末携帯のCADのコンソールに長いコマンドを打ち込む。その数十五回。

 

通常の汎用型CADによる発動手順の五倍だが処理速度は圧倒的に速く幹比古は五つの魔法を一つの魔法の工程としてまとめるのではなく連続発動を指定した。

 

一つ一つの魔法の結果を確認しながら対話式で術式を完成させる精霊魔法では当たり前の手順。それを一連の動作として、一々結果を確認せずに一気に処理を進める。それが達也の幹比古に出した解だった。

 

たたきつけた地面が揺れる。地面の表面を振動させていると吉祥寺にもわかっているが幹比古が揺らしていると錯覚させた。

 

バランスを崩した吉祥寺の足下へ幹比古の手元から地割れが走った。

 

地面がひび割れているのではなく土に圧力を掛けて押し広げていると理屈で分かっていても冷静を失った吉祥寺はまさに幹比古が起こしていると勘違いしてしまい逃げるために加重軽減と移動魔法の複合術式で空中へ逃れようとしたが足が地面から離れない。

 

草が足に巻き付き地面に引きずり込まれると錯覚し跳躍の術式に全魔法力を注いだ。ほどいたことで安心した吉祥寺の頭上に五発目の魔法が発動した。

 

「喰らえぇぇぇ!」

 

幹比古が吠えると同時に雷撃が吉祥寺を撃ち落とした。

 

「このヤロウ!」

 

三高の最後の一人が魔法を幹比古に放ってきた。『陸津波(くがつなみ)』は普段の威力には全く及ばないが吉祥寺から少なくないダメージを受けている幹比古を戦闘不能にするに十分な威力を持っていた。

 

{あ~あ負けちゃったなでも『カーディナル・ジョージ』を倒せたからいいかな。}

 

幹比古はそう思いながらも衝撃が来ないので目を開けると魔法式が燃えているのを見た。

 

すると

 

「はあぁぁぁぁぁ!」

 

気合いをほとばしりながら克也が『麒麟』を三高選手に放ち倒した。すると試合終了のサイレンが鳴り響き観客席から歓声が聞こえてきた。

 

観客席からはかなり離れているのに聞こえるとはどれだけなんだと俺は思いながらも達也と幹比古と共に観客席に向かう。

 

「お疲れ様二人とも達也はすごいよ『クリムゾン・プリンス』倒すなんて。幹比古もあの五連発はすごいよ『カーディナル・ジョージ』の動揺を上手く使っての攻撃こっちも痺れた。」

「ありがとう克也あれは意地だったんだ。達也が『クリムゾン・プリンス』倒したから『カーディナル・ジョージ』を僕が倒すって。」

「こっちもだ克也美味しいところを持って行ったが狙ってたのか?」

「そりゃまさかだぞ達也あの攻撃を受けた後本当に動けなかったんだ。あれは参ったな~十五mの高さから水に飛び込んだときに入水角度をミスって背中から落ちた時以来だ。」

 

達也の茶々にしっかりと答える。

 

「…克也、君って結構馬鹿なんだね。」

「そう言うなよ幹比古案外楽しかったんだぜ?」

「でもよく復活できたねあの威力の圧縮空気弾を受けて。」

「これは内緒にしてほしいんだが俺の固有魔法でちょちょいっと治したんだ。」

 

幹比古の質問に答えながらもオフレコであることを頼む。

 

「流石四葉家だねでもありがとうおかげで助かったよ。」

「水臭いぞ幹比古それはお互い様だ。お前が『カーディナル・ジョージ』を倒す時間がなかった復活できなかったしな。」

 

二人で話していると達也が話しに入ってこないので不思議に思った。

 

「達也どうかした?」

「すまないもう一回言ってくれないか?」

「達也は大丈夫なのか?って聞いたんだけど。」

「ああ、すまない片方の鼓膜が破れていてな今、口の動きを読んで理解できている程度だ。」

 

なるほど話に入ってこなかったのはそういうことだったのかと思い三人で歩いていると一高の観客席前に到着した。そこでは深雪が大粒の涙を流しながら立っていたので達也と二人して手を振る。

 

エリカ達もみんな涙を流しており三人とも驚いた。

 

俺があまり知らない明智英美(あけちえいみ)ことエイミィや里見スバルなど達也担当選手も勢揃いしており涙を流し抱き合っていた。

 

俺は一高の上級生三人組の姿を探した。すると一高の端に座っている三人組と眼が合った。真由美は笑顔で迎え摩莉は腕組みをしながらうなずき鈴音は深雪同様大粒の涙を流していた。

 

鈴音のためにウインクを送ると何を勘違いしたのやら隣の三高女子生徒から良い意味の(俺からすれば悪い意味の)悲鳴が上がり俺に頭痛を起こさせた。

 

 

 

その夜鈴音がまた部屋にやってきた。

 

「…来てくれるのはうれしいけどルームメイトにバレてないのか?」

「問題ありませんよ。作戦を考えてくると言って出てきましたから。」

 

俺の質問に答えながら鈴音は俺に抱き着いてきた。

 

「ゴフ!そのスピードで抱き着くのは反則だ。」

「そんなこと知りませんこうしたかったのですから我慢してください。」

 

俺の文句に耳を貸さずキスしてきた。俺は暴れるががっちり腕をロックされ逃げ出せない。

 

何故こんな攻撃?を受けるのか理解できずにいると勢いに押されベッドに倒れてしまい鈴音に覆いかぶさられる状態になる。

 

積極性に赤面していると向こうも赤面しながら笑顔を向けてきた。鈴音の気が済むまでキスをされ続け試合とは違う疲労を覚えた夜だった。




そろそろ九校戦も終盤ですよ~。ついつい大人の様子を描いてしまいました。


麒麟(きりん)・・オリジナル魔法。上空の気圧を急激に下げ積乱雲を発生させ雷を発生させる技。一発が限界なのでここぞという場面でしか使用できない。
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