魔法科高校の劣等生~双子の運命~   作:ジーザス

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横浜騒乱編開始です~。


5章 横浜騒乱編
第二十二話 参加


新学期が始まり前生徒会は九月をもって解散し新生徒会が発足して間がないがここで説明しておこう。

 

会長・中条あずさ 副会長・司波深雪 

書記・光井ほのか 会計・五十里啓

 

となっている。一高の会計は権限の面で「監査役」に近く会長と同学年から選ばれる慣例になっているのだ。

 

当初あずさは克也に生徒会入会を打診したのだが「母に止められていますので」と言われしぶしぶ引き下がった。

 

正確には克也が真夜から言われたのは「一年生の間は生徒会に入らないでほしい」なのだが説明がめんどくさかったらしく短縮して話したという流れだ。

 

このことはもちろん達也も深雪も知っているが初耳かのように聞いていた。

 

 

 

達也は内容が教育に不適切であると判断された資料が多数保存されている図書館の連続稼働日数記録をここ半月の間に更新していた。

 

その理由は『エメラルド・タブレット』の文献を探しており自分の目標に役立つ内容を抜粋しようとしていたのだ。検索していると深雪がやってきて鈴音に魔法幾何学準備室まで来てほしいと伝言を頼まれたらしい。

 

 

 

「今月末に魔法協会主催の論文コンペがあるのは知っていますね?」

「詳細は知りませんが。」

 

肯定すると廿楽がうなずいた。

 

「九校戦とは違い知名度は劣りますが学校間の競争は勝るとも劣りませんから九校戦で活躍できなかった他校が雪辱を燃やしてやってきます。参加者はたった三人ですが協力面でいえば九校戦をも超える人数を動員しますから自然と参加者以外にも熱が入ります。では単刀直入に言います司波君論文コンペの代表として参加してもらえませんか?」

「自分がですか?」

「君がです。参加予定だった平河(ひらかわ)君が体調を崩してしまいましてね代役として君が選ばれたというわけです。詳しくは市原君から聞いてください。」

 

廿楽は達也が「参加します」と言ってもいないのに退室した。{マイペースという噂は本当だったんだな}と考えながら市原先輩に俺は聞いた。

 

「何故俺なんでしょうか?」

「発表会まで時間がありませんから今参加してもらうには司波君しかいないと思ったからです。」

「つまり市原先輩の発表テーマに俺が適しているということですか?」

 

達也の質問に市原先輩は不敵に笑う。

 

「私のテーマは『重力制御魔法式熱核融合炉の技術的可能性』です。」

 

達也は眼を見張った。

 

「このテーマに参加できるのは同じテーマを研究している司波君しかいないと思ったからです。お願いできますか?」

「ええ、どうやら俺にもメリットがあるようですから協力させていただきます。あの時盗聴していたのは市原先輩だったんですね?」

「人聞きが悪いですね関心を持っていたということにしておいてください。」

 

達也の言葉に反論せずに同音異義語で返してきた。その隣で楽しそうに話を聞く五十里先輩の姿があった。

 

「それで俺は何をすればいいんですか?」

「まずは論文コンペについて説明しましょう。」

 

そう言うと鈴音は壁のスイッチを操作しスクリーンを映し出した。

 

「論文コンペは高校生が魔法学、魔法工学の研究成果を発表する場です。発表した論文が世界に発信されることもあるので毎年レベルが高く下手をすると九校戦以上の熾烈な争いになることもあります。開催日は毎年十月の最終日曜日と決められています。開催地は京都と横浜で交互に行われますが今回は横浜国際会議場です。」

 

幸い十月三十日に予定が入っていなかったので少し安堵した達也であった。

 

「期限は再来週の日曜日、提出先は魔法協会関東支部ですが学校を通じての提出になります。廿楽先生に内容を確認していただく時間を考えると来週の水曜日には仕上げた方がいいでしょうね。司波君にはCAD調整器と術式の開発をお願いしようと思っています。」

 

そう締めくくり細かな注意点を告げて話し合いは終了した。

 

 

 

「え、達也論文コンペの代表に選ばれたの?」

 

幹比古は心底驚いているようだ。九校戦とは違い参加人数はたったの三人なのだから選ばれることの話題性はかなり高い。

 

「ああ、正直俺も驚いている。」

「反応薄すぎ…。」

「達也にしたらそれぐらい当然だって事だろ?」

「そうでもないさ市原先輩のテーマが俺と違ってたら断ってたよ多少の手伝いはするがな。」

 

達也の反応にエリカは不満らしく文句を言いレオはさすが達也だと褒めていた。

 

「それで、達也テーマは?」

「『重力制御魔法式熱核融合炉の技術的可能性』だ。」

 

全員程度の差はあれどどれだけ壮大な内容をテーマにしているかは理解している。

 

「『加重系魔法の三大難問』の一つだよね?よくテーマにしたね。」

 

幹比古はまだ驚き続けているらしい。全員が驚きと関心を達也に向けている間俺と深雪は達也がこの上なく本気であると思っていた。

 

 

 

友人達と別れ帰宅すると自宅の駐車場に見たくもない知っているコミューターが駐車してあった。俺達は顔を見合わせてから玄関を開けると居間から走ってくる足音が聞こえてきた。

 

「お帰りなさい相変わらず仲が良いのね。」

 

からかい混じりに投げかけられた言葉に深雪は肩を振るわせ達也は眼を細め俺はポーカーフェイスを決め込んだ。

 

「こちらにお帰りになるのは久しぶりですね小百合さん。」

 

冷却された言葉に義理の母である小百合が居心地悪そうに応えた。

 

「…ええ、仕事場に近い方が何かと都合が良いから。」

「分かっていますよ。」

 

辺り触りのない返事をして三人とも靴を脱ぐ。

 

「達也、話が終わったら呼んでくれ。」

「達也お兄様、本日はどのようなお食事になられますか?」

 

俺は達也にそう言って小百合には何も言わず自室に向かい深雪は第三者がいないかのように振る舞っている。

 

「ゆっくりでいいから着替えておいで。」

 

達也に言われて嬉しそうに自室に向かう深雪。

 

「小百合さんとにかく話をしましょう二人が下りてくるまでに終わらせたいので。」

 

達也が居間に消えると小百合もその後を追う。

 

 

 

十分後小百合は怒りながら帰って行った。

 

「達也何かあったのか?」

「ちょっとしたいざこざがな。深雪、危機管理能力のない女性(ひと)のフォローに行ってくる夕食を克也と二人で作っといてくれ。」

「分かりました。」

「達也、気をつけろよ。」

 

そう言って俺と深雪はバイクにまたがった達也を見送った。

 

 

 

「で、達也小百合さんの用事は一体何だったんだ?魔法式を保存する機能を持つサンプルを持っていたらしいけど。」

 

帰宅して風間とのやり取りの後深雪特製のコーヒーを片手に聞くと達也は箱を手元に置きながら話し始めた。

 

「仕事を手伝えというのはいつも通りだが今回はおもしろそうだ。」

「お引き受けになられるのですか?」

 

達也の言葉に深雪は不安そうに聞いた。

 

「モノがモノだけにしらんふりはできないこうやってサンプルを預ったことだし。」

 

達也は箱から赤く光り輝く宝石のような物体を持ち上げながら呟いた。

 

「…達也それは瓊勾玉(にのまがたま)系統の聖遺物(レリック)か?」

「ああ、そうだ。」

 

俺の言葉に深くうなずいたところをみるとよほどめんどうなことに巻き込まれているらしい達也だから仕方ないのだが。

 

魔法研究に従事する者の間でそう呼ばれ魔法的な性質を持つオーパーツを意味する。聖遺物(レリック)は人工物だと判断できなくても自然に形成されるとは考え難い物質もそう呼ばれている。

 

 

 

「何故あの人がそんな物を?」

「軍の依頼だ複製を注文されたらしい。」

「「そんな無茶な。」」

「無茶だとわかっていても挑戦する価値があると思ったんだろう。」

 

達也も深刻な顔をしていた。

 

「できることならこれを解き明かしたい。」

 

明るく言う達也に俺達は頷く。

 

「できるさ達也なら。」

「できますよ達也お兄様なら。」

 

二人に言われて少し恥ずかしそうな達也だった。

 

 

 

学校に対する論文提出を三日後に控えていた達也はホームサーバーがアタックを受けていることに気付いた。複数回路からの同時アタックはこのような仕事を生業とする集団の可能性が高いと思い逆探知プログラムを立ち上げたが失敗した。

 

同時刻自室でパソコンをいじっていた克也も達也と同じようにしたが成果はなかった。

 

 

 

翌日、克也は遥に昨日の顛末を伝え異常なことが起こっていないか聞いていた。

 

ちなみに達也でないのは五十里先輩に呼ばれたため急遽克也が行くことになったのだ。

 

閑話休題

 

「あのねそんなこと起こっていても教えるわけないでしょ?それにあなたは四葉なのだから当主様にお願いして調べてもらえばいいじゃない。」

「おっしゃるとおりなんですが対価を要求されますのであまり頼りたくはないんです。そうですねでは小野先生が公安の捜査官だということを流しても良いですか?」

 

俺の脅しに涙目になったので{勝った}と思ってしまった。

 

「…わかった。先月末から今月の初めから横浜、横須賀で相次いで密入国事件が起こっているわ。」

「無関係とは思えないということですね?ありがとうございますそれでは。」

 

そう言ってカウンセリング室から出る。

 

 

 

「…ということがありましたが被害はありませんでした。時期的に論文コンペの内容を盗み出そうとしたようです五十里先輩は大丈夫ですか?」

 

生徒会室で論文コンペに出場する五十里に達也は説明していた。本当の狙いは他にあるのだがそのことは言えなかった。

 

「いまのところは大丈夫だよこの話市原先輩にもしたほうがいいね。」

「ええ、警戒するに越したことはありませんから。」

 

そこまで話していると知り合い二人のうち一人が飛び込んできた。

 

「お待たせ~啓。」

「久しぶりだね達也君。」

「…ええ、お久しぶりです。」

 

五十里先輩に抱きついている千代田先輩を見てげんなりしながら摩莉に挨拶する。

 

「どうされたんですか?」

「論文コンペの警備のことで話したいことがあったんだ。」

「警備ですか?」

 

摩莉の言葉に疑問を感じた達也は首をひねった。

 

「警備といっても会場ではないよそちらは魔法協会がプロを手配する。参加メンバーに護衛をつけるのが前からの決まりでな護衛には本人の意思が尊重される。」

 

そこまで説明していると当然とばかりに千代田先輩が会話に入り込んできた。

 

「啓はあたしが守る!」

 

その様子に三人が苦笑を浮かべる。

 

「五十里も文句はないからよしとしようか市原には服部と克也君がつくことになっている。」

「克也がですか?」

「ああ、服部は遠距離からの攻撃克也君は近距離の攻撃に対応してもらおうと思ってね。」

 

理屈は通っているが何か含んでいるようだったので聞いてみた。

 

「委員長、克也を市原先輩の護衛にしたのは二人をくっつけたかったからですよね?」

「…その気はなきにしもあらずだがそ、そんなことはいいだろう。」

 

焦っているので半分近くがそういう気持ちだったようだ。まあ、人選は間違っていなかったのでそれ以上ごねなかった。




100P近くを圧縮したのでかなり駆け足ですがお許しをでは次話で
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