魔法科高校の劣等生~双子の運命~   作:ジーザス

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第三十七話 情報

翌朝、エリカ達に捕まり屋上に連行された。深雪を教室に送った後だったのでなんとか巻き込まずにすんでいた。

 

「話があるんだろ?何か話してくれないか?」

 

連行された後数分何も話してもらえず時間を無駄にしたくなかったのでこちらから聞くことにした。

 

「達也、実はさ…。」

 

怒られると思っているのだろうか幹比古が怯えながら話し始めたがすぐに止まってしまったので助け船を出すことにした。

 

「あいつらに逃げられたか?そんなことでは怒らないさまた捕まえるのは厄介だが。」

「違うのよ克也君!」

「そうだぜ横からかっさわれたんだ!」

「手強かったのか?」

 

エリカとレオの憤慨にも平然と聞き返す。この三人は実戦に出てもそれなりの成果を上げる腕を持ち自分たちでも八割近くの力を出さなければ勝負にはならないと克也達は評価している。

 

だから取り逃がすとは余程の敵だったのかと聞きたくなったのだ。

 

「腕はたいしたことなかったんだけどよ。用意周到で殴ったらこっちが痺れるスーツなんて初めてだぜ。」

「やったら硬いアーマー着込んでるし切ったら粉が吹き飛ぶなんてもっとリーチの長い武器持ってくるんだった。」

 

それだけ特徴がある装備なら相手が誰か達也には予想が付く。

 

「それに真っ黒な飛行船で持って行かれちゃったの!」

「なるほどな。」

「達也、正体が分かるのか?」

 

達也が納得したとでも言いたげだったので聞いてみた。

 

「直接やり合ったわけじゃないから推測でしかないけどね。国防軍情報防諜第三課、そういう面白装備を採用していてステルス仕様の飛行船を持っているとなるとそこだと思う。」

 

達也の暴露に全員が驚く。よもや国の内部情報を教えて良いのかと思ったが自分達を信用しているから話してくれたのだろうと思った。

 

達也が三課を知っているのは独立魔装大隊経由であり七草家の息がかかった部署であることも知っているが情報源を伝える気にはなれなかった。

 

「達也、それは情報部の独断かい?それとも誰かの陰謀かい?」

「それは分からないな。」

「どこに連れて行かれたかも分からない?」

「絞り込めないと分からない。とりあえず教室に戻ろう、さすがに寒い。」

 

この程度で音を上げるようなやわな鍛え方をしていないが寒いのは事実で精神的なダメージを鑑みて校舎に戻ることにした。

 

 

 

一限目は一般教養だったので二十分ほどで終わらせ携帯端末でメールを送る。普通なら教員の叱責を受ける場面だが周囲に迷惑をかけない行為は許可されているので携帯端末を操作しても問題は無い。

 

内容は「七草家の息がかかった第三課に『パラサイト』を横取りされたので至急返却していただきたい」だ。送るとものの数分で返信が帰ってきたので{受験生なのにいいのか?}と思ったがあの人なら勉強はほどほどでも大丈夫だと思っていたのでそんな内容は返さなかった。

 

真由美からの返信には「第三課なぞ知らないが四葉の名前を出せば教えてくれるかもしれないから明日まで待ってほしい。」と要約すればそう書いてあった。これでなんとかなると思い安心し残り時間を睡眠に充てることにした俺は机に突っ伏した。

 

授業終了後深雪に怒られたのは何故なのだろうか…。

 

 

 

翌日真由美からのメールには「防諜第三課のスパイ収容施設が襲撃され捕らえられていた『パラサイト』が殺された」と書かれていた。

 

 

 

今日は土曜日なので学校があるのだがそれどころではなかった。克也が藤林に頼んで防諜第三課のスパイ収容施設の監視カメラをハッキングしてもらい襲撃の様子を録画した映像を送って貰い三人で見ていた。

 

赤髪の小柄の人影が闇に紛れて侵入していた。警備員を人にらみで気絶させ扉を破壊し内部に入り吐き出した息が白いのはこの『パラサイト』が拘束されている部屋が低温だからだろうか。三段のベッドの上に拘束されている『パラサイト』は青山霊園で会った彼らだった。

 

そしてモルテに赤髪が銃弾を撃ち込むと炎に包まれ消えた。二度同じことを上段と下段の『パラサイト』にも撃ち込み部屋から出た。

 

『アンジー・シリウス』の行動は「処刑」だった。宿主を殺された『パラサイト』のことを何も考えずただ殺しただけのように見えた。

 

「…今のはリーナですよね?」

「…ああ。」

 

深雪はリーナが『パレード』を使い『アンジー・シリウス』であるということを克也から教えられているので今のが何か分かったようだ。

 

映像を見返そうとすると突如画面に金髪碧眼の少年が映し出された。この回線は強度な壁で保護されており普通なら侵入することは出来ない。出来たところで会話はこちら側から繋がない限り不可能だ。

 

「ハロー聞こえているかな?聞こえていることを前提に話させて貰うよ。」

 

流暢な日本語で話しかけてくるが案の定こちらが回線を繋いでいないのを理解しているように話し始めた。

 

「まずは自己紹介からだね。僕の名前はレイモンド・セイジ・クラーク。『七賢人』の一人だ。君のことはシズクから聞いてるよカツヤ、タツヤ、ミユキ。」

 

リーナの言っていたのが彼だとは思わなかったがこの回線に入り込めたのだから信用できるだろう。シズクの知り合いらしくあの情報源はこの人物のようだ。

 

「『アンジー・シリウス』にこの場所を教えたのは僕だけど何故か彼女はその前から知っていたようだ。」

 

「この場所」が第三課のスパイ収容施設を指しているのは容易に理解できたが教える前に知っていたことには驚いた。一体何処から得たのだろうか。国だろうかしかしそれではつじつまが合わない。国がリーナに教えていたのであれば『七賢人』より情報収集能力が高いということになる。

 

「そこで君達に特ダネを提供しようと思っている。今回は無料でお教えしよう。現在ステイツで猛威を振るい日本にも広がり始めている魔法師排斥運動は『七賢人』の一人ジード・セイジ・ヘイグが仕掛けたものだ。ジード・ヘイグまたの名を顧 傑(グ・ジー)日本のアンタッチャブルこと四葉家に滅ぼされた崑崙方院(こんろんほういん)の生き残りだよ。国際テロ組織『ブランシュ』の総帥で君が捕まえた『ブランシュ』日本支部リーダー司一の親分だね。さらには国際犯罪シンジケート『無頭竜』の前首領リチャード=孫の兄貴分でもあるね。」

 

次々と並ぶ知る名前に俺は愕然とし達也は画面をのぞき込んでいた。

 

「念のために言っておくけど『七賢人』だからといって共謀はしてないからね。『七賢人』とはフリズスキャルヴのアクセス権を持つ七人のオペレーターのことだよ。フリズスキャルヴについては詳しく話せないけどつまりはそういうことだ。話を戻すと彼は『ブランシュ』と『無頭竜』を失い日本に干渉することが出来なかった。『パラサイト』を送り込み騒ぎに紛れて工作拠点を再建するのが目的だ。信じるか信じないかは君達次第。これから告げることも君達で判断して貰って構わない。そちらの時間で二月十九日の夜、第一高校の野外演習場に活動中の『パラサイト』を全体誘導するから殲滅して欲しい。この情報は『アンジー・シリウス』にも伝えてある。共闘するのも敵対するのも君達の自由だ。頼んだよアンタッチャブルと戦略級魔法師『破壊神(ザ・デストロイ)』。」

 

その言葉を最後に一方的な会話は終わった。達也は呼び名に眉をひそめていたが俺は笑いを堪えるのに必死だった。達也に背中をつままれ気を取り直す。

 

「この情報が正しいのかどうかは明日の夜に分かるだろうからとりあえず今日はいつも通りに過ごそう。そろそろ学校に行く時間だしね。」

「ということは明日行くのか?克也。」

「行かなきゃならないだろうね。彼の言っていることが本当ならこの騒動を終わらせることが出来るだろうから。それにエリカ達にも教えて協力してもらわないと。」

「お供いたします。」

「もちろんだよ深雪。さあ、行こうかそろそろ本当に出ないと。」

 

二人を連れて俺は学校に向かった。よもや翌日の夜に一騒動が起こるとは知らずに。…

 

 

 

「レオ、遅刻だよ。」

「生真面目だな幹比古は。」

 

実技の授業に遅れてきたレオを教員の代わりに幹比古が注意するがさほど気にしていないようだ。

 

「達也は?」

「なんでもお客様だとか…。」

「こんな時間からか?」

 

まさか二限目の時間に生徒に対して客が来るなどよほどのことなのだろうか。達也なら誰が来てもおかしくはないと思っているレオ達は気になりながらも授業に集中することにした。

 

「そんなことより早く終わらせましょ。」

「そうだね今日のは苦労しそうだし居残りになったなんて達也に知られたらにらまれそうだし。」

 

二人がCADのセッティングし始めたのでレオと美月も手伝い始めた。

 

 

 

達也は来賓である青木を送り出した後よく知る人物がいたので声をかけることにした。

 

「リーナ、少しいいか?」

「タツヤ、何?」

 

振り向いたリーナの顔はかなりやつれていた。スパイ収容施設を襲撃したことが精神的なダメージを与えているのだろか達也にとってはどうでもいいことだったが。

 

「話は聞いたか?。」

「ええ。」

「誰か分かったか?」

「いいえ。」

 

会話はかなり言葉をはしょったものだったがリーナは今日の夜の話を分かってくれたらしい。そして『レイモンド』はリーナの前に姿をさらすことはなかったがそれは当然だろう。

 

同じ国の人間に対して賢人(セイジ)の一人である自分が『スターズ』総隊長であるリーナに姿をさらすはずがなかった。

 

「今回は馴れ合わないわよタツヤ。」

「分かっているお前が背負っている重荷は俺達とは比べものにはならない。」

 

達也が話し終えるとリーナは背を向けて離れて行くのを達也は少し心配そうに見送った。

 

 

 

「達也、来客とは誰だったんだ?」

 

三人は『パラサイト』と交戦する前に一度帰宅し戦闘準備を整えた後時間があったのでリビングでくつろいでいたところ克也に聞かれていた。

 

「よく知ってたなエリカ達にでも聞いたのか?」

「いやA組でも噂になってたんだ。達也に来客なんて誰なんだろうって。」

「なるほどね。来客は青木さんだったよ。」

「何故四葉の使者が?」

 

深雪は司波兄妹とは可能な限り接触しないようにしているはずなのに向こうから近づくのかと不思議に思っての問いだった。

 

「叔母上からの指示らしい。3Hを買い取りたいと言ってきた。」

「買い取っておいたのは正解だったね達也。それにしても叔母上は何をされるつもりだったんだろう。まあ普段生活しているだけなら遭遇することのない敵だからサンプルにしたいのは理解できるよ。」

「実験にでも使うつもりだったんだろうな。あれは特殊だから理解できないわけじゃないそろそろ行こうか。」

 

達也の言葉に頷き一高の野外演習場に向かった。

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