魔法科高校の劣等生~双子の運命~   作:ジーザス

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第四十七話 歓喜

大会三日目

 

アイス・ピラーズ・ブレイク・男子ペア 三位 

アイス・ピラーズ・ブレイク・女子ペア 一位 

シールド・ダウン・男子ペア 一位 

シールド・ダウン・女子ペア 予選落ち 

 

しかし三高は今日の試合で全て二位以上だったため二日目終了時点で得点差が四十点だったのが三日目には百点にまで広がってしまい優勝してペアをお祝いすることが出来なかったが個人個人でお祝いの言葉を言う生徒はいた。

 

 

 

『マスター』

 

お茶会の途中、ピクシーからテレパシーが届いた。達也は普段テレパシーを使うことを禁止していたが特別な事情があれば使用しても構わないと命令していた。つまり何かがあったということだ。

 

「達也お兄様?」

「3Hの様子がおかしいようだから見てくる。」

 

急に立ち上がった兄に聞くとどうとでも解釈できるように答えた。克也は話しに夢中で気付いていなかった。

 

『同胞の反応をキャッチしました。私の存在も認識されたようです』

「何体いる?」

『十六体です。今、反応が消失しました。休眠に入ったようです。』

 

思っていた以上に多いことに達也はうなだれた。

 

 

 

「達也、『パラサイドール』を見つけたのか?」

「ああ、これはチャンスだ今から行ってくる。」

「行かせないよ達也。」

「克也?」

 

作業車から降りるとお茶会は終了していた。話し掛けてきた克也に答えると予想外の言葉が返ってきた。双子の兄が真剣な表情で止めに来ることを予想していなかった達也は驚いていた。

 

「お兄様私も同じ意見です。」

「深雪もか?」

「ご自分の体をどれだけ酷使しているか理解しているのですか!?朝から夕方まで選手のCADを調整して作戦まで考えられてその裏で『パラサイト』の仕事などいくら達也お兄様でも壊れてしまいます!それでも行くというなら克也お兄様とご一緒に力尽くで止めさせていただきます!」

 

深雪の怒気に慌てる達也だった。

 

「待て二人とも!俺の『眼』を封じるつもりか!?そんなことをすれば二人とも只では済まないぞ!」

「わかってるよ達也、それは承知の上で言ってるんだ。明日の試合は出られないだろうし一高を退学の可能性だってある。それは仕方がない。だが、ここで達也が壊れれば俺達はどうすれば良い!?別れは寿命が尽きる時だけだ!それ以外の死は絶対に許さない!去年と同じことをしようとしているのを自覚してくれ二の舞はゴメンだ。」

 

俺は二人が涙を流しながら懇願する様を見て自分がどれだけ心配をかけていたのかを実感した。これだけ自分を心配してくれる兄妹にこれ以上不安にさせることは出来ない。

 

「わかった、今日は戻るよ。」

 

達也が素直に従ってくれたのでほっとした克也だった。水波は克也の必死さを見て少し自分の胸が痛んだ。それが自分より達也を心配することに嫉妬した反動だと気付いていなかった。

 

三人の喧嘩はお茶会が終了した後だったので聞いたメンバーはいなかった。

 

 

 

大会四日目、達也の休憩による復帰と足並みをそろえるように一高の追い上げが始まった。アイス・ピラーズ・ブレイク・男子ソロでは克也が将輝を破り優勝。のちに将輝から文句を言われたが恐怖の笑顔で黙らせた。

 

アイス・ピラーズ・ブレイク女子ソロ優勝 

シールド・ダウン男女ともに優勝 

 

これにより先日までの点数差が百点から六十点にまで縮まった。

 

その日の夕食で話題になったのは克也が決勝で将輝を破った魔法『流星群』だった。世間には『夜』として認知され真夜が使用しない限り見ることが出来ないのでこの大会で見ることの出来た観客は幸運と言えるだろう。克也が使用した理由は真夜からの命令だったが元から使用するつもりだったので命令に従ったというより自分の意思で使用したと言うべきだろう。

 

 

 

一高の快進撃は新人戦でも続いた。

 

新人戦初日

 

ロアー・アンド・ガンナー男女ともに優勝 

 

香澄のエンジニアを克也が担当し見事優勝に導いた。

 

二日目

 

シールド・ダウン男子 三位 

シールド・ダウン女子 優勝 

 

水波のエンジニアを克也が担当しまたしても優勝に貢献。

 

アイス・ピラーズ・ブレイク男子 三位 

アイス・ピラーズ・ブレイク女子 優勝  

 

克也は泉美も担当した。

 

三日目、ミラージ・バットは亜夜子の独壇場だった。一高からは一人が決勝トーナメント進出しており善戦しているが優勝は不可能だろう。しかし二位は確実な点数なので心配することはなかった。

 

「やっぱり亜夜子に勝つのは難しいね。」

「あの魔法力なら仕方ない。」

「私でも勝てるとは言い切れません。」

 

三人は誰にも聞かれないように小声で話しながら試合を観戦していた。亜夜子が縦横無尽に空を飛び回り圧倒的なスコアをたたき出し優勝した。

 

 

 

モノリス・コードでは琢磨達が六戦全勝しており残りは四高とだけになっていたが辛勝した三高が四高にあっさりとやられているのを見て更に気を引き締めていた。克也は琢磨達のCADを担当していたが負けるだろうと予想していた。文弥に勝つのは不可能だと分かっていたから。

 

結局琢磨達は四高つまり文弥によって全員がノックダウンされ負けた。しかし二位を確保したことで一高は新人戦優勝を果たした。文弥と亜夜子の活躍は九校戦で名を馳せ以前から流れていた『四葉の分家に黒羽という家系があるらしい』という噂を真実であるのではないかと信じ込ませた。

 

 

 

九日目からは本戦に戻りミラージ・バットの決勝戦が行われた。一高は決勝に二人、三高が一人の時点で合計獲得点数は上回るだろうと言われていたが確実に取るためには達也とあずさの調整と選手自身にかかっていた。結果、

 

優勝 ほのか 準優勝 スバル 三位 三高 

 

となり獲得点数八十点と二十点でついに一高が一位に躍り出た。

 

 

 

十日目、一高はモノリス・コードでも優勝し三高との点数差を百点に広げた。しかし最終日のスティープルチェース・クロスカントリーの結果次第では逆転は可能な点数差なため首脳陣は下級生や結果を残した選手達とは違い素直に喜べなかった。

 

達也の本当の仕事はここからであり正直総合優勝などどうでもよかった。克也と深雪に被害が出なければそれでいいと考えていた。

 

 

 

最終日、克也はスティープル・クロスカントリーに出場している深雪に語りかけていた。

 

『深雪、達也【パラサイドール】と交戦中だ。可能な限りスピードを下げて慎重に進むように一高生に伝えてくれ。達也が苦戦してる。』

『わかりました。可能な限りスピードを抑えるように言います。』

 

深雪は克也との『念話』を切った後一高チームに伝えた。

 

「できるだけ慎重に進みましょう何をされるか分からないから。」

「その意見には賛成だね練習したとはいえ普通に森を走っただけだから。」

「大丈夫よ!そんなのすぐ避けれるわ。」

 

スバル達は納得してくれたのだが花音は自分の意志を貫くらしく走って行ったのだが…。

 

「キャー!」

 

声がしたので向かうと網にくるまれた花音がいた。

 

「千代田先輩ゆっくり行きましょういいですね?」

「あううう~。わかった…。」

 

深雪が諭したことで花音もようやく理解してくれたらしい。素直に言うことを聞いたのは注意を無視して走ったところ罠にはまったという羞恥心もあっただろう。深雪がゆっくり行くよう指示したことに疑問を抱いたメンバーはいなかった。むしろそれが正しいと思っていたようで素直に従っていた。

 

 

 

『達也、深雪に一高チームにゆっくり行動して欲しいと言っておいたから気にせず戦ってくれ。』

『任せろ、そのためにここまで来たんだ。そろそろ切るぞ?このままでは戦いづらい。』

『わかった、気を付けて達也。』

 

達也が集中できるように俺は『念話』を切った。

 

その結果、達也が全ての『パラサイドール』を殲滅した五分後に深雪達は戦闘があった辺りを通った。克也の指示がなければ鉢合わせしたか攻撃を受けていただろう。

 

深雪は最後花音が再び罠にはまったのを無視して女子スティープルチェース・クロスカントリーを優勝した。花音は二位、ほのかと雫は仲良く五位と六位、スバルは八位となった。

 

男子は一位 克也 二位 将輝 となり一高は総合優勝を果たした。

 

 

 

最終日には去年と同じようにパーティーが催された。今年は真由美がいなかったのでそれほど疲れはしなかったが三高の女子にたかられ将輝に助けを求める羽目になった。

 

後夜祭の後は一高だけのお祝いパーティーが始まり全員が互いを労った。

 

「今年も司波の活躍で優勝できたな。あいつ今回も負けなしだろ?いつまで続くかが楽しみだな。」

「沢木先輩、あまり言わない方が良いと思いますよ。」

「冗談だ。それより四葉もなかなかの腕前だったな。七草姉妹や桜井、七宝達にも大好評だったようだ。魔法だけでなくCADの調整も出来るとはたいしたものだ。」

「ええ、少なからず自分のCADは自分で調整できるようになりたかったですからその知識が今回役に立ちました。」

 

達也は魔法式の無駄を可能な限り省き魔法の発動速度を速め効率化することに重きを置いているが克也は使用者本人の体調や実力に合わせて調整するため使用者本人への負担はかなり軽減される。達也の調整は確かに素晴らしいが選手への負担が少し多いため克也は微妙な心境になる。本人達気にしていないようなので告げることはしない。

 

「四葉の魔法力には驚かされたな。決勝で使った魔法あれは『夜』だろ?この眼で見られるとは思わなかった。一条選手の驚いた顔を見たときに少し笑ってしまった。」

「それ本人に聞かれたら鮮血の華が咲きますよ服部先輩。今回も振動魔法で来ると彼は考えていたでしょうから裏をかいて『夜』を使ってみましたが予想通りでしたね。」

「違いないな。あの驚き様は振動魔法対抗戦術を考えてきたのに作戦が役に立たずに愕然とした人間の顔だったな。案外純情なのかもしれないぞなあ吉田。」

「な、なんで僕に話を振るんですか!?」

 

幹比古は突然話し掛けられ慌てふためきその様子を沢木、服部、克也は見て笑っていた。

 

 

 

「七宝の変わり様は目を見張るものがあるな。四葉のおかげか。」

 

服部はしばらく笑った後真剣な顔で話してきた。

 

「そうですね、自己が強いのは変わりませんが自分の意見を貫こうとせずむしろ他人の意見を吟味して考え直すようになってくれました。だからモノリス・コードに出場した残りの二人も七宝をリーダーと認めて作戦を考え遂行したのでしょう。」

 

琢磨はあの試合以来人間性が大きく変わった。何より変わろうと努力しようとしているのが分かるほど熱心に取り組んでいたため周囲の信頼を得て上級生からも一目置かれる存在になった。

 

CADを調整した際ちゃんとお礼も言い自分なりの作戦を俺に話して改善点を示して欲しいというお願いまでしてきた。そんな七宝に俺も頑張っているなと思うようになった。

 

達也と深雪がいつものメンバーと窓際で楽しそうに話していたので俺も混ざるために八人の元へ向かった。




スティープチェース編終了です。かなり簡潔になりましたがなにとぞご容赦下さい。次話から古都内乱編に入ります。よろしくお願いします。
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