魔法科高校の劣等生~双子の運命~   作:ジーザス

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第八話 犯罪行為

教室で帰り支度をしていた。

 

「全校生徒のみなさん!」

 

突然爆音で校内放送が流れた。

 

「きゃっ!」

 

ほのかが悲鳴を上げる。たしかにそれだけの威力はあった。

 

「…失礼しました。全校生徒の皆さん!」

 

少し決まる悪げにもう一度自己紹介してくれる。

 

「ボリュームを絞るのをミスったようだな」

 

しれっと呟いてみた。

 

「「そうゆうことじゃないよ(でしょ!)」」

 

雫とほのかにツッコまれる。深雪はなんとも微妙な表情を浮かべているが。

 

「僕達は校内の差別撤廃を目指す有志同盟の者です!」

「差別撤廃ね…」

 

思わず口から零れてしまう。

 

「僕達は生徒会と部活連に対し対等な立場における交渉を求めます!ぼ…」

 

言葉が途中で途切れたのは異常に気付いた職員が電源をカットしたからだろう。

 

「深雪、呼ばれそうだから放送室に行こうか。ほのかも雫もまた」

 

2人に挨拶をして深雪と放送室に向かう。

 

 

 

同時刻、E組でも同じような展開が起こっていた。

 

「ボリュームの絞りをミスったか?」

「いや、ツッコむとこそこじゃないから」

 

達也のボケ?にエリカがツッコむ。エリカちゃんもねと美月が思ったのはお約束だ。

 

「達也、行かなくていいのか?」

 

レオがそのまま座ってても良いのか?という意味合いで聞いてきた。

 

「行かなきゃダメだろうな。委員会からお呼びがかかるだろうし早めに行くか」

 

達也が立つと同時に内ポケットの携帯端末が振動する。開いてみると予想通り委員会からの呼び出しだった。

 

「噂をすればなんとやらだ。じゃあ行ってくる」

 

レオ、エリカ、美月に報告してから放送室に向かった。

 

 

 

放送室に向かう途中達也と合流し、到着すると「遅いぞ」「「すみません」」という形だけの叱責に形だけの謝罪を二人してする。

 

「現状は?」

「奴らは内側から鍵をかけて立てこもっている。御大層にマスターキーも盗んできているという徹底ぶりでな」

 

明らかな犯罪行為に顔をしかめる。

 

「多少強引でも短時間で解決すべきだろう」

 

摩莉の物騒な提案に克也は頷きながら隣の大柄な上級生に聞く。

 

「十文字会頭はどうお考えですか?」

 

失礼かなと思ったが相手は気にしていないようだ。むしろよく聞いたなという賞賛が含まれる表情で答えた。

 

「俺は交渉に応じてもいいと思う。言いがかりにすぎないことをいつまでも引っ張る必要はない」

「この場は待機ということですか?」

「それについては決断しかねている。犯罪行為を取り締まるために学校施設を破壊してまで突入する必要があるとは思わない」

 

つまりどう対応すればいいか迷っているようだ。

 

「達也、壬生先輩の電話番号知らないか?待ち合わせのために交換してたりとか」

「…わかった」

 

俺は最後の手段(大袈裟だが)を使うことにした。

 

「壬生先輩ですか?今どこに…はあ、それはお気の毒です。交渉に応じると十文字会頭は仰っています。ええ、壬生先輩の安全は保障しますよ。ええ、わかりましたそれでは…。すぐ出てくるようです。電話番号を保存しておいて正解でしたね」

 

達也は一段落とでもいうように肩をすごめる。

 

「悪い人ですね達也お兄様は。でも壬生先輩のプライベートナンバーを、わざわざ保存していた件については後程詳しくお聞きしますね?」

 

眼は笑っていない笑顔で深雪に脅された達也は、俺に卑怯者とでもいうような視線を向けてきたが黙殺しておいた。

 

「それより態勢を整えるべきです。」

「態勢?君は今彼らの安全を保障すると言わなかったか?」

「俺が保障すると言ったのは先輩一人だけです。それにどこを代表して交渉しているなんて一言も言っていません」

 

達也の言葉に2人を除いた全員に呆気にとられ、やはり達也は『悪い人』の自覚がないようだ。

 

 

 

「私達を騙したのね!」

 

案の定、壬生先輩は達也に食って掛かった。まあ、安全を保障すると言われて出ようとすると自分以外が拘束されたのだから仕方がない。

 

「司波はお前を騙してなどいない。交渉には応じよう。だがお前らのとった行動を認めることと要求を受け入れることは別問題だ」

 

腹に響くような声で言われては言い返せない。壬生は達也から手を離した。

 

「お話し中悪いんだけど彼らを放してくれないかしら?」

 

突然の会長の登場に驚く。

 

「七草…」

 

十文字会頭も同様らしい。

 

「言いたいことはわかるけど今はこっちが優先よ。壬生さん一人じゃ交渉できないでしょうから。それとこの問題は生徒会に委ねられるそうです」

 

面倒くさいことは生徒会に丸投げかと思ったのは俺だけではないだろう。

 

「壬生さん、交渉に関する打ち合わせをしたいのだけれど、ついてきてもらえるかしら?克也君と達也君と深雪さんは帰宅してもらって大丈夫です」

「ええ、構いません」

「「「わかりました」」」

 

壬生先輩が応じて真由美についていく。三人は挨拶してから家路についた。

 

 

 

 

 

翌日、校門の近くで待機していると待ち人来たり。克也は他人の想子の保有量を知覚できるので、大勢に埋もれていても見分けることができる。彼女のような猛者であれば尚更だ。

 

「会長、おはようございます。」

「あら、おはよう克也君。達也君の深雪さんもどうしたの?」

 

待たれているとは思わなかったようで意外感を表していた。

 

「昨日のことが気になりまして」

「ああ、なるほどね。彼女たちは一科生とニ科生の平等な待遇を求めているわ。でも具体的なことは考えていないみたい。むしろ生徒会で考えろみたいな感じだったの。それで明日の放課後に討論会を開くことになってしまったわ」

「それはまた急な展開で…」

 

達也も驚いているが控えめな反応だった。

 

「相手に時間を与えない戦略は素晴らしいですがこちらもそれは同じですね。それで誰が討論するんですか?市原先輩ですか?」

 

そう聞いた達也は自分を指差しながら振り向く真由美に今度こそ驚いていた。

 

「まさか会長お一人ですか?」

 

ご名答とでも言うように答えだした。

 

「1人なら小さなことで揚げ足を取られることもないし、もし彼女たちに私を言い負かすだけの根拠を持っているなら、これからの学校運営に取り入れていけばいいだけなのよ」

 

真由美の持論に俺は感服した。

 

「すごいですね会長そこまで考えていただなんて。少し見直しました」

「えへへ、そんなことは…」

 

照れていた真由美がジトーと見つめてきた。何か言ってはいけないことを言ったのだろうか。2人を見ると少し離れて他人の振りとでもいうようにいちゃつきはじめた。

 

「克也君、少しってのはどういう意味かな?」

 

じりじりと近づいてくる真由美に俺は後ずさりすることしかできなかった。

 

「別に深い意味はありませんよ…」

「克也君?」

 

真由美に授業が始まる直前まで質問攻めにあったのは言うまでもない。

 

 

 

朝から真由美に精神HPを大幅に削られげっそりとした俺は、昼休みの始まりに委員長のクラスに向かうとタイミングよく教室から出てきたので引き止めた。

 

「渡辺先輩、少しいいですか?」

「なんだ克也君?どうした?やけにやつれているが…」

 

見ただけでわかるほどに弱っているらしい。

 

「…今朝登校中に会長の地雷を踏んでしまってこってり絞られただけです」

「はははは、あいつの地雷はやばいからな。踏まないようにしないと死ぬぞ?」

「それ…早く言ってくださいよ…」

「で、どうした?引き止めたからには何か用事があるんだろ?」

 

抗議したがスルーされた。

 

「相談というよりお願いなんですが」

「お願い?」

 

摩莉は不思議そうに聞き返した。

 

「ええ、討論会の最中に有志同盟のメンバーが下手な行動を起こさないよう、風紀委員で警戒していて欲しいんです。彼らが何かをしでかしそうな嫌な予感がするんです」

 

俺のお願いに摩莉はしばらく考え込んでいた。

 

「私もそうするべきじゃないかと真由美に言ったんだ。そうしたら同じ学校の生徒だからしなくて大丈夫と言われてな。真由美がそう言うならしなくていいだろうと思ったんだ」

「警戒することに越したことはありません。万が一何かされても対応することが出来ます。風紀委員に各々有志メンバーをマークさせてください」

 

摩莉も俺の案に乗ってくれた。

 

「わかった、委員会メンバーには私から連絡する。真由美のガードは服部に任せるがお前はどうする?」

「俺は舞台袖から警戒します」

 

自分だけ仕事をしないつもりはなかったので監視することにした。

 

「頼むぞ」

 

摩莉はそれだけを言って何処かへ向かった。




ブランシュ編も大詰めですよ~。
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