魔法科高校の劣等生~双子の運命~   作:ジーザス

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第九話 討論会と襲撃

壬生先輩を含むグループが強行作戦に出た夜に真夜から依頼内容の結果が届いた。

 

封筒に入れられた紙には事細かに記され、そこには今回の黒幕〈エガリテ〉を動かしているのは〈ブランシュ〉日本支部リーダー司一。さらにそこには司一の義弟司甲が第一高校に入学していると書いてあった。

 

俺の予想は正しく渡辺先輩にお願いしといてよかったと思った。しかし〈ブランシュ〉を動かしている敵の正体はわからなかったようだが、よくこの短時間でここまで調べられたなと思わずにはいられなかった。

 

 

 

放課後、講堂には予想以上の生徒が集まっていた。その数およそ全生徒の半分。

 

「当校にここまで暇人が多いとは。学校側にカリキュラムの改善を申請しなければなりませんね」

「…市原、笑えない冗談はよせ」

 

市原先輩と摩莉のやりとりに苦笑をもらすと、市原先輩には意外そうな顔をされ摩莉には何故かにらまれた。

 

「専守防衛といえば聞こえはいいが…」

「渡辺委員長、実力行使を前提に考えないでください」

 

摩莉のボヤキに市原がすかさず黙らせる。

 

 

 

「もはや真由美の独壇場だな…」

 

摩莉の呟きは全員の内心を表していた。有志同盟のメンバーは小さなことをごねて文句を言っているが、真由美はそれをうまく利用して対応している。討論会が進行するにつれて、有志同盟のメンバーは窮地に追い込まれていった。

 

『…一科生でもニ科生でも当校の生徒であることに変わりなくみなさんにとってのかけがえのない三年間なのですから」』

 

真由美がそう締めくくると講堂全体から拍手が送られた。何事もなく終わったなと俺は思った。しかし有志同盟はこのままで終わるつもりはなかったらしい。

 

ドカーン!

 

爆発音と同時にすさまじい振動が講堂を襲った。それが合図だったかのように有志同盟のメンバーが動き出す。

 

「委員長!」

「取り押さえろ!」

 

達也が摩莉を呼んだとほぼ同時に命令が下った。俺と達也は近くにいたメンバーを捕らえたのとほぼ同時にガシャーン!と窓ガラスが割れ物体が飛び込んできた。

 

それは着地と同時に煙を吐き出したかと思うと、煙は拡散せずに物体と共に逆再生のように外に消えていった。

 

収束魔法と移動魔法の複合術式か。よくあの一瞬で魔法を選択し構築するとは流石だな。

 

そう思いながら使用者を見ると、どんなもんだいとでも言いたそうな顔で俺を見ていた。

 

「何!?そっちにも侵入者が!?」

 

摩莉が何処からか連絡を受け驚愕していた。どうやら大勢の武装集団が侵入しているらしい。魔法科高校には機密性の高い文書やデータが保存されているので、テロなどを生業にするそういう輩から狙われやすい。

 

そのため万が一に備えて排除できるほどの魔法力を持つ職員がある程度の人数が在中している。だが彼らでも対処できないほどの事態になっているのは、事態の深刻さを物語っている。

 

「委員長!俺は爆発のあった実技棟の様子を見てきます」

「達也お兄様お供します。」

 

達也のセリフに続いて深雪までそう言い出した。

 

「気をつけろよ!」

「「はい!」」

 

摩莉の言葉に二人は力強く答えて駆け出していく。

 

「委員長、俺はCAD調整室付近を見てきます」

 

摩莉の返事を待たずに駆け出した。

 

 

 

講堂の外に出ると校内は騒然とし、至る所で戦闘が行われている。よく見れば職員だけでなく一科生も戦っていた。俺は木立の陰に隠れ眼を閉じ意識を情報の世界に向けた。

 

全想の眼(メモリアル・サイト)》。

 

それが俺の二つ目の固有魔法。

 

自分が条件指定したものの記憶を視ることができる。それは人間だけでなく動物も同様に。

 

今回は「校内にいる生徒の中で〈エガリテ〉の場所に行ったことがある」という条件で探す。すると条件に一致した者が1人いたのでそこに向かった。

 

 

 

到着するとそこでは一人の生徒が電話をしていた。気配を消して情報端末を奪うことを考えたが、余計に刺激してしまう気がしたので話しかけることにした。

 

「何をしているんですか?こんなところで」

 

話しかけられて驚いた生徒は電話を切って攻撃してきた。耳元で低周波が鳴り響くが、想子を操作して無効化し同時に少し体を傾ける。想子を操作するより楽な対抗魔法はあるのだが、事後処理の説明が面倒くさかったので使わなかった。

 

魔法名《耳鳴り》は空気を震わせ三半規管を麻痺させる。足止めなどに使われるポピュラーな魔法で比較的簡単なので使う魔法師も多い。利便性があるので野外訓練ではよく使用されている。

 

《耳鳴り》が効果を発揮したと勘違いした男子生徒は逃げ出した。平凡な一科生なら効果はあっただろうが、俺は四葉を受け継ぐ魔法師であり魔法を無効化する訓練を行っている。

 

だから数字付き(ナンバーズ)や十師族の強力な魔法師でなければ止められない。

 

《自己加速術式》で男子生徒の前に回り込み腹部を強打し気絶させた。

 

気を失う瞬間「な、なんで…」と聞こえた。まあ、効果があったと思わせる行動をしたので仕方ないかと思いながら、講堂の舞台袖から拝借した縄で手を縛る。

 

「こちら臨時風紀委員の四葉です。不審者を発見し拘束しましたのでそちらに運びます」

 

委員長に渡された携帯端末の音声ユニットで伝える。

 

何故俺が持っているかというと討論会が始まる前に渡されていた。委員会の腕章と共に。最初はもちろん断ったのだが「この作戦の発案者はお前だろう」と言われ渋々受け取った。

 

音声ユニットを胸ポケットに戻し俺は男子生徒を抱えて講堂に向かった。

 




ようやく二巻までの内容が次話で終わります。長かった~。


全想の眼(メモリアル・サイト)・・人間だけでなく動物にも作用させ記憶を視ることができる克也の固有魔法。
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