機動戦士ガンダムSEED〜狂戦士は嗤う〜   作:零崎極識

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サブタイトルは深く気にしないでくださいねー


第5話 思惑と油断

 撤退指示を受け、ベルセルクを着艦させたカナトはゆっくりとコックピットから降りた。すると、マードックが機体へ駆け寄ってきて労いの言葉をカナトにかける。

 

「おつかれさん、滑空砲というか……レールガンはどうだったか?」

「悪くないですね……いい武器です」

「そうかそうか!それなら良かった!すぐにこいつの整備に取り掛かるから、お前さんはゆっくり休んどけ」

 

 親切なマードックの言葉に甘えてカナトは部屋に戻ることにした。部屋に戻り、シャワーを浴びてからゆっくりしていると部屋の電話が鳴った。

 

「カナト君、至急ブリッジへ」

「……了解しました」

 

 カナトは電話を切るとため息をつきながら着替えてブリッジへ向かう。

 

 ブリッジへたどり着くとムウとマリューが頭を抱えていた。

 

「……どうかしたんですか?」

「ああ、ちょいとな」

 

 そう言ってムウはまた深いため息をついた。

 

「なんでも、艦内でキラの事がコーディネーターってバレて騒動が起きたらしい」

「……それでどうにかなったんですか……?」

「幸いにして保安局員が止めたみたいだが……厄介なことになっちまったぜ……」

 

 たしかにヘリオポリスの人からすればコーディネーターによって住むところを奪われたのだから恨む気持ちは分かる。

 

「……きっと今の自分達のやるせなさを、どこかにぶつけたいんですよ……」

「だとしても、坊主にばっかり負担がいっちまうからな……」

「キラ君には無理をさせたくないしね……」

 

 マリューとムウはどうにかして現状の打破を図っているようだ。

 

「……ひとまずは物資の補給と避難民の受け入れを考えましょう……目的地は、アルテミスですか?」

「近場で目指すとすればそこしかないんだろうけど……」

「あそこの司令はあんまりいい噂を聞かないからなー」

 

 ムウとマリューの言葉から推測するとどうやら、相当の堅物か……愚者のどっちかみたいだ。

 

「……はぁ……」

 

 そんな暗澹な未来にカナトもため息をつくのだった。

 

□□□□□□

 

 宇宙要塞『アルテミス』、月とヘリオポリスの中間地点にある宇宙要塞である。そこには『アルテミスの傘』と呼ばれる外からの攻撃を一切通さないシールドで覆われているため、ザフトからは見向きもされない要塞である。

 

「……アルテミス……果たして受け入れてくれるだろうか……」

 

 カナトはムウとマリューの話を聞いて不安になり一応、OSにロックをかけて来たあとにブリッジにいた。奇しくもムウもカナトと同様にキラにOSのロックを指示していた。

 

 そして、アルテミスが近づいてくるとレーザー通信が繋がった。

 

『こちらはアルテミス司令、ジェラード・ガルシアである。貴艦はアルテミスの領域に入ろうとしている、直ちに転進されたし』

「ナタル、私の所属コードを送って」

「……分かりました」

 

 マリューは自分の所属コートを送るように指示し、アルテミスに向け送信した。すると、しばらくして返信が帰ってきた。

 

『たしかに地球連合軍所属の軍人のようだが、その船には識別コードもなく確実に連合の所属かどうかも確かめられない。だが、ヘリオポリスの崩落による民間人の避難もあるため、物資の補給はしよう』

「……何とかなったわね……」

 

 どうにかアルテミスとの交渉に成功したが、ナタルとムウ、そしてカナトは嫌な予感を感じ取っていたのだった。

 

「マリューさん、一応ベルセルクで待機します」

「えっ、でもここはいちおう味方勢力圏内よ?」

「……念の為です」

 

 それだけ言うとカナトはブリッジを出てベルセルクのコックピットへと向かっていった。

 

□□□□□□

 

 一方、アークエンジェルを追撃するクルーゼ隊の面々は、アークエンジェルがアルテミスへ入港するのをしっかりと確認したのだった。

 

「くそ!これじゃ追撃ができないじゃないか!」

「落ち着けってイザーク」

 

 イザークは机を力強く叩き、怒りをぶちまけていてそれを宥めるようにディアッカが声をかけていた。そんな中、1人、ニコルが何かを考え込んでいた。

 

「で、どうする?足つきが出てくるまで網を張る?」

「待ってください、僕にいい考えがあります」

 

 ニコルはそう言うと不敵な笑みを浮かべるのだった。

 

 しばらくして、ガモフはアルテミスに対して攻撃を仕掛ける。だが、アルテミスは自慢の傘によって攻撃を全く寄せ付けることは無かった。やがて、諦めたのか攻撃をやめて転進するガモフ。それを見てアルテミスは傘を解除するのだった。

 

□□□□□□

 

「……敵が攻めてきた?」

 

 カナトはコックピットに座りながらその話を聞いていた。なんでも、敵の船が1隻だけで攻撃を仕掛けてきたものの傘を突破できずにそのまま転進したと言うらしい。

 

「……なにか裏がありそうだな……」

 

 そう呟くとカナトは外の様子に注意しながら出撃するときを待ち望んでいた。カナト自身、船内に居ると厄介事に巻き込まれる気しかしていなかったため、ずっとコックピットに座りっぱなしだった。

 

「……何やら騒がしくなってきたな……」

 

 ベルセルクのカメラを動かすと格納庫の入口あたりから、キラを先頭に見慣れない連合の服を着た人達がストライクに近づいているのが確認出来た。

 

「……何をするかは知らないが……」

 

 カナトはコックピットハッチをロックして中に引き込もる。しばらくすると、ベルセルクの外にもそのお客さんたちが寄ってきた。だが、ハッチを開けようにも厳重にロックされた扉はあかなかった。

 

「おい貴様!この私の命令に逆らうつもりか!?」

 

 ガルシア司令が外で何やら騒いでいるがまったく気にもとめずに無視をする。その様子をムウは笑いをこらえた様子で見ており、ナタルは顔を顰めていた。

 

 と、その時突然アルテミスに衝撃が走った。突然の出来事で司令以下、アルテミスに所属している軍人たちは対応出来ていなかったが、カナトはすぐさまベルセルクを起動させる。

 

「……ベルセルクを出します、下がってください」

 

 忠告をすると共に機体を動かすと蜘蛛の子を散らすように、兵士たちがその場を離れる。そして、全員が離れたところでベルセルクを動かして、ハッチから外へと飛び出すのだった。

 

 外に出ると、傘の発生装置は破壊されており、少し離れてた所からは敵の船がアルテミスに対し攻撃を仕掛けてきていた。

 

「ちっ……厄介だな……」

 

 その時、遅れてストライクもこちらに合流してきた。

 

「遅れました!」

「よし……キラはこのアルテミスに攻撃をしている機体の撃退……またはアークエンジェルの離脱支援を」

「分かりました」

 

 キラは指示された通りにそちらへと向かっていった。そして、カナトは敵の船の方へと向かっていく。距離にすると未だに射程圏内ではないが、カラドボルグを抜いていつでも撃てるように構える。

 

 敵艦はそれに気づいたのかアルテミスからベルセルクへと攻撃対象を切り替えたようでビームの雨が降り注ぐ。

 

「……戦艦のビームに当たるほどじゃない……」

 

 機体を動かしてビームをかわしながら距離を詰める。そして、船からはデュエルとバスターが出撃してきた。

 

「貴様っ!この前の借りを返すぞ!」

「やられっぱなしじゃ性にあわないんでね!!」

 

 デュエルとバスターの波状攻撃をかわすもののこの前とは違い、かなり洗練された動きに少しばかり手応えを感じるカナトだった。

 

「へぇ……面白いじゃん……」

 

 カナトは隙間を縫うように距離を詰めていき、カラドボルグのトリガーを引く。加速された弾丸がデュエルの方へ飛んでいくが、その弾丸を回避してこちらにビームライフルを向ける。

 

「よっと……」

 

 ビームが放たれる瞬間に機体をずらし、すれすれで避けるとそのまま突進する勢いでデュエルへと迫る。

 

「遅いんだよ!」

 

 その横からバスターが対装甲榴弾モードにしたガンランチャーを向けトリガーを引く。拡散する弾丸を避けるために1度大きく機体を後方に下げる。その隙にデュエルとバスターが横並びに体勢を整えた。

 

「……適応能力が高いな……」

 

 カナトは再びカラドボルグを構えてバスターを狙う。当然ながらバスターは回避するために機体を動かし、それを狙うかのようにデュエルが懐に飛び込もうとする。

 

「いい反応……けど、狙い通り……!」

 

 カラドボルグの照準をバスターからデュエルに切り替え、タイムラグを起こすことなくトリガーを引く。突然の切り替えに反応出来なかったデュエルが回避できずにカラドボルグの攻撃が直撃した。

 

「ぐわぁぁぁ!!!」

 

 PS装甲のため、その弾丸が貫通することはなかったものの、一撃でバッテリーのほとんどを持っていかれ、衝撃によってイザークは失神してしまった。

 

 動かなくなったデュエルにトドメを刺すためにカナトはカラドボルグを後ろにしまい、肩のメイスを取り出すとそのままデュエルへとメイスを振りかぶる。

 

「させるかよっ!!!」

 

 ディアッカは超高インパルス砲を構えて、ベルセルクを狙う。

 

 カナトはロックオンマーカーの音に反応し、機体を後ろへと動かす。その一瞬後、先程までいた位置に太いビームが通り過ぎるのだった。

 

「……邪魔なんだよ……!」

 

 カナトはバスターを倒すべくベルセルクのスラスターを吹かして距離を詰めようとする。

 

 「詰められたら負けってことぐらい分かってるんだよ!」

 

 ディアッカは距離を詰められる前に勝負を仕掛けるべく超高インパルス砲をベルセルクに向ける。

 

「……そんな攻撃……!」

 

 ブーストしながらいつでも回避出来るようにするベルセルク。そして、タイミングを見計らうディアッカ。2人の考えが交錯し、ディアッカがトリガーを引く。

 

 一瞬の銃口の輝きに反応したカナトは機体を横へと滑らせる。だが、次の瞬間、バスターがインパルス砲を薙ぎ払うように振るのだった。

 

「……馬鹿野郎が……!」

 

 カナトは横にではなく、下方向へとベクトルを向けて回り込むように動く。それについていけなくなったバスターの両腕が、インパルス砲の反動で動かなくなったことを確認し、下からメイスを振り上げる。

 

 大質量のメイスがぶつかった衝撃はかなりのものだったようで、一撃でPS装甲を落としディアクティブモードにする。

 

「……さよならだ……」

 

 一撃をくわえるべくメイスを振り上げたところで後ろからロックオンマーカーが反応する。咄嗟に振り向くとデュエルがビームライフルを構えていた。

 

「終わりだぁぁ!!!」

 

 既に回避する場所はなく機体を少し動かすのが精一杯だ。咄嗟に操縦桿を引き、次の瞬間にはビームがベルセルクに向け発射された。 

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