月光の迷い人   作:ほのりん

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第二十三話『白金の少女の疑惑』

 一旦街に戻った私達はこれからの話をしていた。

 

「さて、これでラステイションでの用事はほぼ終わったわけだけど……」

「女神候補生の協力を得られなかったですね…どうするです?」

「今後の旅路、出来れば協力を得られれば心強かったんですけど……」

 

 本人があんな風じゃ、ね……

 ユニの話になった途端「ユニちゃん……」って落ち込んでるネプギアを見るに、ユニが一方的にネプギアに対して敵対心を出してたみたいだけど……

 …同じ女神候補生として、ライバル意識を出してる…わけではないよね。それだったら女神様を助けるために手を貸してくれるはずだし……

 

「まあダメならダメで仕方ないわ。旅立つ前に、一応教会に報告しときましょうか」

「…報告って必要ですか?あの教祖ならこちらが言わなくても把握してそうですけど……」

「『報告した』って事が大事なのよ。…まあ私もそう思うけど」

 

 アイエフさんもまた、私と同じことを思っていたようだ。

 でもアイエフさんの言う通り『報告した』事実が大切なんだよね。例え相手が知ってそうでも、何かの手違いで正確に報告されてなかったりする場合もあるし。

 ってことで私達はラステイションの教会へ足を運ぶことになった。

 

 

 

 

 

 さて物語の途中ですが皆さんに質問で──

 え?もういい?展開が読めた?なななんとっ!?もしや君は私の心が読めるので!?

 え?二回もやってれば分かる?いいから早く続きをと?…そっすか。

 じゃあこの後の展開は知ってる人も多いと思うので、簡単に。

 

 私達が教会へ入れば、そこで待っていたのは私やアイエフさんの予想通り。色々既に知っていた教祖。

 やっぱりか、って私が思ってると、机の下に何かが見え、覗き込めばそこには女神候補生がいて、隠れていたらしい。しかしネプギアがユニがいるか訊いて、それに教祖が素直に答えてしまいすぐに居場所がバレたユニは大人しく出てきて、ネプギアと再会した。

 ネプギアは再会したユニに、女神様を助ける旅に一緒に来ないか誘うと、ユニはそれを拒んだ。しかしその言葉に「今は」と言ったので、ネプギアは今は諦めたようだった。

 そして何故かネプギアは泣き出してしまった。どうやらユニと喧嘩ばっかりで、仲直りも出来ずに別れるのが嫌だったようだ。それにユニはあたふたとネプギアへ言葉をかけると、言葉の中に「また会える」って文字を聞いたネプギアは元気になり、ユニと再会の約束をした。

 それからコンパさんの呼びかけでネプギアとユニは離れた。

 

「さて、長い間拘束して申し訳なかったね。あなた方のこれからの旅の無事を祈っているよ」

「…だから柄じゃないっての」

「それで、次はどこへ行くんだい?」

「ルウィーです。ルウィーにも私やユニちゃんと同じ、女神候補生がいるっていーすんさんから聞いたので」

 

 アイエフさんの呟きをスルーした教祖が問うと、ネプギアが答える。

 それを聞いた教祖は頷くと、言葉を放つ。

 

「ルウィーの女神候補生達か……それは、ユニ以上に手を焼くだろうね」

「候補生…達?」

「手を焼く?」

 

 まあ確かにユニを仲間に引き入れようとしたのは大変だったけど、それ以上ってどういうことなんだろう……

 と、まあ教祖の言葉が引っかかり考えていた私は、思考を優先させてしまっていて……

 

「そうそう、ルナさんは残ってもらえるかな?」

「あ、はい、いいですけ……」

 

 え?なんで?

 教祖の言葉に反射的に答えそうになった私は、最後まで言う前になんとか言葉を飲み込んだけど、「いい」とは言ってしまっていたから手遅れで……

 予想外の展開に固まった私の様子をスルーした教祖は、ネプギア達に「少し彼女に用事があってね。彼女は後でこちらでルウィーに送るから、あなた方は先に行っててもらえるかな?」とネプギア達を教会から追い出す。

 ネプギア達は教祖が私を指名したことに疑問を持ったらしいけど、相手は教祖だから大丈夫だろう、と大人しく出て行ってしまっていた。

 あ~!まって~!おいてかないで~!ねぷぎあ~!かむばーっく~!

 まさかの置いて行かれた事態に内心涙目になりながら、その状況を引き起こした本人を睨む。多分私の眼力じゃ小動物も追い払えないけど。

 

「そう睨まないでもらいたい。こちらからの用事が無事に済めば、あなたをルウィーへ送ることは約束しよう」

「…私としてはネプギア達と一緒に行きたかったのですが」

 

 不満な気持ちを隠さずに教祖へ伝えると、「まあまあ」と宥められた。

 くそう、せっかくの旅なのに……

 

「ケイ、どうしてルナを残したの?」

「少しね。さてルナさん、ここで立ち話もなんだし、ついてきてくれないかな?」

「…わかりました」

 

 ここでじっとしていても仕方ない。ならば行動した方がいいだろう。

 そう思った私は、教祖の提案に頷く。

 しかし次の教祖の言葉に早速戸惑うことになった。

 

「そうそう、話をするのに剣は不要だろう?しまわないのかい?」

「…この()はNギアに入るのを嫌がるので」

「ならこちらに預けてくれないかな?」

「………」

 

 そう言うと、カウンターから屈強な男が出てきた。制服を着ているから、多分ここの職員だ。

 男は両手を前に出し、無言で私に剣を渡すよう伝えてくる。

 それに素直に頷けるわけがなかった。

 

「…何故、ですか?」

「そうだね…正直に言うと、暴れられると困るから、かな」

「え?どういうこと?」

「つまり、あなた達は私に、私が暴れるようなことをしようとしているって解釈でよろしいでしょうか?」

「さてね。あなたは自分が疑われているってことぐらい、気付いていたと思っていたのだけど」

 

 …心当たりがあった。

 ラステイションに来た日のあれだ。犯罪組織の活動を見学した日。あれがキッカケ。

 きっとこの教祖には、それで私が怪しいと思い始めたんだろう。

 だからって確かな証拠もないと思われる中で、捕まえる…もしくは尋問しようとするのか?

 …ああ、そういや今日の教会には人が少ないね。てか職員しかいない。

 前からこういうことを計画していたってことか。用意周到だね。

 さて、これは誤解を解くべきか、解かずに逃げるべきか……

 

『マスター、後者はあまりお勧めしません。後者を選択した場合、この国がマスターの敵になる可能性があります。それは今のマスターには荷が重すぎるかと』

 

 かと言って前者で上手くいくとは思えない……って、あ。

 視線を周囲へ巡らせていると、赤い瞳とまた目が合った。

 純粋に心配そうにしてるその瞳に、私は考え直した。

 上手くいかないと、どうしてそう強く思うのか。自分のネガティブな思考を、一旦抑えるんだ。

 それにこんな状況でも、私のことを信じてくれている人がいる。僅かな時しか触れあってないのに、信じてくれる彼女がいる。

 ならばその期待を裏切りたくはない。例えどんな結果になろうと、逃げずに立ち向かいたい。

 …それに、そもそも疑われているだけであって、真実はきちんとあるんだから大丈夫なはずだ。

 そう私は考えて答えた。

 

「…わかりました。付いて行きましょう」

「素直に本当のことを話してくれる気になったのかな?」

「はい。そして疑いを晴らそうかと」

 

 さて、これが今回のこの国での最後の出来事(ラストミッション)だよ。

 

『Yes,master』

 

 でも大事な君を、こんなよく分からない人に渡せるわけないから……

 

「ユニ。私が教祖の話に付き合ってる間、この子を預かっててくれるかな」

「え?アタシに?」

「うん」

 

 私は剣を鞘ごと腰から外して、ユニへ差し出す。ユニはそれに戸惑っていた。

 

「ユニではなく、彼に渡してもらいたいのだけど……」

「私の中ではね、この中で一番信頼できるのはユニだと思ったんですよ。で、この子は私にとって一番私を知ってる、大事な相棒。信用も信頼も出来ない相手に渡せるわけないでしょうが」

「…そうか。ユニ」

「え、ええ。分かったわよ」

 

 教祖はユニに声をかけると、ユニはそれで察したようで私に近づいてきた。

 屈強な男は、もう用事はないだろうに私の傍を離れない。きっとユニに何かあったらすぐさま私を取り押さえるためにいるんだろうけど、私にそんな気はさらさらないんだよね。

 ユニは私に近づいてくると、私は剣を差し出した。ユニはそれを両手で受けとり、大事そうに抱える。

 するとユニは小さい声で訊いてきた。

 

「…大丈夫よね、ルナ……」

「だいじょうぶだいじょうぶ。ただあの教祖の疑惑を、正せばいいんだから。…そうだ、終わったらお茶でもしようよ。私、クエスト受けてお茶代奢れるぐらいは稼いでくるから」

「…アンタ、ネプギア達と一緒にいなきゃダメなんじゃないの?」

「そう思うんだったらあの教祖の誤解を解いて欲しいかな」

 

 ここで私が足止めされてるのは、教祖の勘違いやら誤解やら疑惑やらのせいなんだから。

 ついそう思ってたことが口に出てしまうと、ユニは呆れたように溜息を吐いて、私を見た。表情は呆れてるのに、目は優しい。

 …うん。心配されてるよりこっちの顔の方が私には心強いかな。

 

「分かったわ。でもそれはまた今度、アンタの旅が終わってからね」

「おっと、それはそれは。また先の長い約束だね。忘れない?」

「忘れないよう努力するわ」

「やった。可愛い子とデートの約束だ」

「か、かわっ…!?ア、アンタまた……!」

「……?」

 

 何やら顔を赤くするユニ。私、何か変なこと言ったかな?

 と、「こほん」とわざとらしい咳払いが聞こえて、そちらを見る。

 教祖が何やら呆れていた。あぁすいません、話が長くなりましたね?

 …どうせならユニと会話して終わればよかったんだけどなー

 

「もういいかな?」

「…はい。ユニ、相棒を頼んだよ」

「…ええ。まかせなさい」

 

 ユニは自信満々に答える。

 私はその答えに満足して、こちらへ付いてこいと言っている教祖についていく。すると私の前後左右のうち前は教祖、残りは何やら鍛えてそうな職員三人と四方を囲まれた。

 ははっ、露骨な警戒心だね……

 だがその警戒が無駄だったこと、すぐに思い知らせてやろう。

 それにユニと約束もしたし。

 相棒、ちゃんと迎えに行くから待っててね。絶対、私の無実を証明してくるから。

 私はそう、決意を固めていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 


「幻の剣…ですか?」

「ああ。この世界の何処かに封印されてるって言われてる剣だ。なんでも何かを差し出す代わりにとてつもない力を与えてくれるんだとか。そんな話を聞いたことないか?」

「ないですけど…その何かとは?」

「さあな。そこまでは俺も知らん。俺はある村で村長が話してるのを聞いただけだからな。今じゃその村の名も忘れちまった」

「そうなんですね……でも、もしその剣があったら……」

「でもとてつもないとか言いながら、実はなんの力もない剣だったってことざらにあるんだし、当てにするような話じゃないわよ」

「ルナちゃんは教会が後でもルウィーに送ってくれるって言ってるですし、先に行くですよー」

「あっ、はい。待ってくださーい!」




後書き~

【速報】ルナ、タラシ疑惑。
いえいえ、タイトルはこのことを指してるわけじゃないですからね。
ともかくネプギア達と離れ離れになったルナ。無事に釈放されるのでしょうか(捕まったわけではない)
それでは次回もお会いできることを期待して。
See you Next time.
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