ロムに連れられて着いたのは、この建物に合う感じの木製の扉。
その扉をロムは手慣れた様子で開けると、中からロムに対して声がかけられた。
「あーっ、やっとかえってきた! どこに行ってたの!?」
「ごめん…ペン、さがしてたの。落としちゃったから……」
「ペン? そうなんだ…もう、そう言ってくれればいっしょにさがしたのに。なにも一人で行かなくても……」
「一人じゃないよ。ルナちゃんもいっしょ」
「“ルナちゃん”?」
「あっ、えっと。初めまして。ルナです、はい」
部屋にいたのはロムと同じ茶髪で、ロングのストレートヘアの女の子。服装がロムのピンクバージョンみたいな感じで、服装と髪の長さの違いが無ければ見た目だけで区別するのは至難の業と思えるくらい似ている子だ。確かにこれは双子だ。というか双子じゃないと言われたら驚愕過ぎるだろ。
そんなロムに極似した女の子は、私をじっと警戒しながら見つめてくる。恐らくも何もないが、初対面だから警戒されてるんだと思う。その辺りは最初に声をかけても大丈夫だったロムと違うところで、感情の分かりやすい子だ。
「こまってたら、たすけてくれた。すごくいい人、だよ」
「ふーん。まっ、ロムちゃんをたすけてくれたお礼くらいは言うわ。ありがと」
「ど、どういたしまして……」
不思議と上から目線な態度にちょっと戸惑いつつもお礼を受け取る。…お礼に感情が籠ってないように感じても、何も言うまい。それが彼女より大人としての態度だ……うん。
しかしこの状態でロムはどう遊ぶというのか。まさか無理矢理なわけないだろうし……
「ラムちゃん。ルナちゃんが、わたしたちとあそんでくれるんだって。だからあそぼ?」
「…まあいいわ。あそんでほしいって言うんだったらあそんであげる!」
その言葉はロムに言ったものではなく、明らかに私に対して言われた言葉。しかも本当ならばロムが遊びたいから遊ぶ、という体裁だったのが、彼女の中では私が遊んで欲しいから、それにロムと女の子が付き合ってあげる、みたいな体裁に変化している。
うん…まあ三人で遊ぶ、という点に関しては変わらないし、遊びの中で仲良くなって良ければいいかなと思ってるからいいんだけど、ちょっとだけ、ね……
何とも言えない感情を押し殺して、私は彼女達よりちょっと大人として笑顔で対応する。
「うん。なら遊んでもらおうかな。ロム、何して遊ぶの?」
「えっとね……絵本、よんでほしい……」
「よ、読み聞かせ? それはちょっと、やったことないな……」
それを言ったらゲーム以外の遊びだってまだやった記憶がない私だけど、一応ルールとかは覚えているので、そういうのは欠けてない。
が、読み聞かせとなると、結構大変だ。しかも知らない物語だとなると、所々つっかえてしまうだろうし。
どうしたものか……
「じゃあできないって言うの? ふーん、アンタはそのていどってことね!」
「む……。出来ないなんて一言も言ってないよ。いいよ、そんなに言うんだったら絵本の一冊二冊、いくらでも読んであげる。絵本どころか分厚い小説だっていいんだからね」
「ふーん?」
「むむむ……」
なんだか余裕そうな態度。少しだけ…ううん。結構ムカつく。煽ってくるとかなんなのさ。
けど感情に任せて言った言葉とは言え、一度口に出したことに嘘はつけない。だから私はちゃんと読み聞かせぐらいこなしてみせるっ!
「じゃあルナちゃん、これよんで……?」
「これは…『星の女神と月の女神』……?」
「うん…とってもいい話……」
「お星さまの女神と、お月さまの女神が出てくるのよ!」
「…ん? と、いうことはもう二人ともこのお話知ってるんじゃ……」
「何回よんでも、いい話……」
「ロムちゃんの言うとおりよ! だからさっさとよみなさい!」
「う、うん……わかったわかった」
私は適当にソファーに座って本を開いていると、ロムが私の右隣に座って、本を覗き込む。急接近したロムにちょっと驚きながらも、そんなに懐いてくれたんだと嬉しく思いながらいると、今度は反対の左隣へなんと女の子…もうラムでいいか。ラムが座ってきた。てっきり私のことあまり好いてないと思ってたからロムとは別の意味で驚いてると、ラムはまたも催促してくるので、ゆっくり読み始めた。
『星の女神と月の女神』。その本はただの画用紙を本のような形にして、そこに絵と文章を書きこんだだけの、手作りの絵本。しかしその絵はプロの書く絵本と同じぐらい上手く、物語もまた引き込まれるものだった。
物語は最初、人々が戦争している頃から始まる。人々は自分の欲を満たすだけに争い、武器を手に相手を倒していく。
そんな人々の様子に悲しんだ星の女神は、戦争はもうやめるよう人々を説得しようとするが、誰も聞いてくれない。星の女神は涙を流しながらも人々を正しい道へ導こうと必死に呼びかける。が、誰もが星の女神の話を聞かず、挙句の果てには「邪魔をするから」なんて理由で星の女神を攻撃し、傷つけてしまう。
人々の手で星の女神が傷ついていく様子に、星の女神のことが大好きな月の女神が激怒。空いっぱいの隕石を地上へ落そうとしてしまう。
人々はその時ようやく自分たちの過ちを自覚し反省し謝罪するが、月の女神は聞く耳を持たず、それどころか更に怒ってしまう。「死んで詫びろ」と言いながら月の女神が隕石を地上へ落そうとする瞬間、星の女神は月の女神と人々の間に入り、隕石を食い止めようとする。月の女神は星の女神のその行動に激しく戸惑い、何故邪魔をするのか問うと、星の女神は言った。人々はもう反省している。だから傷つける必要はない、と。
そして星の女神は自身の持つ女神の力を全て使い、隕石を食い止めた。しかし食い止めきれなかった一つが、地上へ迫っていた。星の女神は最後の力を振り絞り、人々を隕石から自分の身を使って守る。
その結果、全ての隕石を地上へ落さず、誰もが死なずに済んだが、自身の力を全て使い果たし、尚且つ瀕死の状態となってしまった星の女神を見て、誰もが己の過ちを強く自覚し、反省した。それは月の女神も同じことであった。
星の女神は人々の口から「もう二度と愚かな過ちを犯さない」と聴くと、月の女神に人々のことを託し、深い深い眠りへついた。
そのことを見守った月の女神は言った。「もしお前達が、お前達の子孫が過ちを犯そうものなら、星の女神のためにも、私の手でお前達を止める。そのことをよく覚えておけ」と。その言葉を残すと、月の女神は人々の前から姿を消した。
人々は二人の女神に誓った言葉を絶対に守ろうと、武器を捨て、過ちを犯そうとする者がいれば周りが止め、決して女神への誓いを破ることなく平和に暮らしていった。
そのことは、人々に紛れ込み、監視していた月の女神にきちんと伝わっており、やがて月の女神は星の女神が何故人々を最後まで信じたのか、分かるようになっていった。
そして長い年月が過ぎ、月の女神は深い眠りから目覚めた星の女神と再会し、世界は女神と人が、共存して暮らす平和なものとなっていった。
「…おしまい」
「わぁ……(ぱちぱち)」
「ふぅん。まあまあじょーずだったじゃない」
「そうかな……?」
「うんっ、じょーず……!」
ロムは素直に、ラムは少し上から褒めてくれる。
最初はラムの態度が気になっていた私だけど、よく考えてみたらもしかしたらこの態度はちょっと素直じゃないだけなのかも、と思い始めてきた私。絵本の話に喜怒哀楽を表情に出した姿を見て、その思いを強めていたから、今の言葉も素直に受け入れることが出来た。
「にしても絵本にしてはこの話、凄いね」
「へっへーん! わたしたちのお友だちが書いてくれたのよー!」
「絵も、とってもいい……(にこにこ)」
「うん。絵も内容も凄い。って、なんでラムが自慢げ……?」
いや、分かる。きっとラムにとってその友達を褒められることは、自分が褒められるくらい嬉しいことなんだろう。コンパさんを褒めてアイエフさんが喜ぶみたいに。
しかし本当に凄い出来だ。一個人が書いたとは思えないほどの画力と想像力。…いや、女神候補生の友達が普通の人だとはあまり思えないけどさ。それを言ったら私にブーメランが…って、私も記憶喪失中だから普通じゃないか。
でもこの物語、少し気になる部分があった。
「…でもさ、この物語、誰もがハッピーだったりしないんだね」
「……? みんな、幸せになったよ?」
「そーよ。どこをどう見たらそう思うのよ?」
「そりゃ最後は皆ハッピーで終わってるけどさ。でも月の女神は星の女神のために頑張ろうとして、結局星の女神は眠っちゃって、星の女神を傷つけた人々のことを任されちゃったんだよ。最後の方は月の女神は人々の良さが分かって、星の女神と再会出来たけど、それって人々が争いなんて起こさなきゃ元々星の女神が眠ることも、長い間好きな人と別れることにもならずに済んだのに……」
「…そうなのかも……」
「むー、アンタはこの絵本にもんくをつけようって言うの?」
「ち、違うよ! ただちょっと、月の女神が可哀そうだなって」
「ちゃんとお星さまの女神とあえたんだから、いいじゃない!」
「う、うん。そうだね……」
そうだ。最後にはきちんと好きな人に会えたんだ。ならいいんだよね?
私の発言で雰囲気が悪くなってしまった中、ロムちゃんが「ラムちゃんとルナちゃんと、おままごと、したい」という発言でオモチャを使ったおままごとが始まったおかげで、私とラムの仲は悪くなることは無く、それどころかロムと同じぐらい懐かれるぐらいになっていた。
それはいい。それはよかったんだが……
「二人は何の役をやるの?」
「えーっとね、ロムちゃんは何がやりたい?」
「お母さんがいい」
「ならわたしはむすめにするわ!」
「なら私は…どの役にしようかな? おばあちゃん?」
「ルナちゃんは、お父さん…とか」
「じゃあルナはおとーさんやくね!」
「えっ、私がお父さん!?」
「はい、じゃあやるわよ! わたしが家にかえってきた時からね! たっだいま~!」
「えっ、もう始まってるの!?」
「こら! もうはじまったんだから、やくになりきる!」
「は、はい!」
「もっかいやるわよ。たっだいま~!!」
「おかえりなさい、ラムちゃん」
「お、おかえり、ラム」
「もー! ルナっ! もっと男の人みたいに声をひくめて!」
「えっ、そこまで意識するの!?」
「ほらもーいっかいルナだけ! はい!」
「お、おかえり、ラム」
「かまないように!」
「おかえり、ラム」
「そ。それでいいのよ。できるんならさいしょからやりなさい!」
「おっすイエッサー!」
『マスター、彼女は女の子なので「Sir」ではなく「Ma’am」です』
似たような指摘を前にもされた記憶があるぞー!?
と、何故か演技に物凄く力を入れたおままごとが展開された。というかこれ、子供のやるおままごとのレベルなの……? 女神候補生だからこそ、このレベルになっちゃうのかな……?
そんなこんなでおままごと(高レベル)をしつつ、部屋の時計が三時のチャイムを鳴らしたので、一旦おままごとをやめて食堂へ向かうことにした。ミナさんがおやつを用意してくれているからだ。しかも二人の分だけでなく私の分まで。二人と遊んでくれるお礼と言っていたが、むしろこちらの方がお礼をしたいぐらいなのに……
と、私は思いつつ二人の間を歩きながらほわほわした気持ちで歩く。両手には温かく柔らかい手の感触……
まあ、うん。短時間でよく仲良くなったよなって思う。私幼い子に好かれやすいのかな? いや、女神候補生の二人を『幼い子』なんて表現しちゃ失礼なんだろうけどさ。
左手をロム、右手をラムと握って、二人に案内される形で食堂があるだろう方向へ向かっていた。両手に花。自分がそんな体験をするとは思わなかった。いや自分女だけど。
そのことにも驚きだけど、その後のこともまた驚きで……
私達が仲良く話しながら歩いていて、通り道なのか教会に入って最初に来たエントランスの近くを通っていると、よく聞き慣れた話し声が聞こえてきた。
『──と、いうわけなんです』
『そうでしたか。キラーマシンが……』
もう一人の声はミナさんのだ。と、いうことは、もしかして……
「…おきゃくさん?」
「む、なんだかムカつく声」
「えぇ?」
さっきまで元気に、笑顔まで見せてくれるようになったラムの顔が不機嫌そうに顔をしかめる。
もちろんミナさんに対しての感情じゃないだろうから、必然的にもう一人の声の人物に対するものなんだろうけど、私はその声の人物を知ってるだろうから、余計に困惑。
まさか私がエル君に乗ってる間に会ってて、その時何かやらかしたのかな……
ひとまずそのままスルーして食堂へ向かうって選択を取らない私達は、三人仲良く…一人は「誰が来たんだろう?」と不思議そうな表情、また一人は少し不機嫌そうな表情、そして私はそんな二人の感情の差に困惑しながらもようやく合流できると安心した感情でエントランスまで向かってみると……
「あっ…悪い女神……」
「違うよ!?」
ロムの言葉に驚いてつい否定したけど、その声が大きくてその場にいた全員がこちらを見た。全員と言ってもミナさんと、ネプギアとアイエフさんとコンパさんの三人と、ロムとラムだけど。
一身に視線を受けて恥ずかしくなって一歩引くが、両手が二人に握られているので逃げることも出来ず、逃げてもどこに逃げればいいんだと思っていると、ネプギアが嬉しそうな顔をした。
「ルナちゃん! 無事にルウィーに来れたんだね!」
「う、うん。途中までユニに送ってもらってね。合流するの、遅れてごめん」
「ううん。大丈夫だよ、気にしないで」
「そう言ってもらえるとありがたくはあるんだけど……」
この状況でそのまま会話を続ける気にはならない。
というのも、アイエフさんとミナさんの様子が暗い、というより険しい表情をしていて、コンパさんも何やら顔に影が見える。ネプギアもネプギアで私を見て嬉しそうな顔をしたけど、その前は暗い表情だった。
そんな雰囲気を壊したのは良いことなのか悪いことなのか、とりあえず話を遮ったのは確かなので申し訳なく思うところがある。
で、更に言うなら両手の二人の様子もまた、会話を続ける気にさせない要因のひとつであって……
「またあらわれたわね! 悪い女神!」
「だから、私はプラネテューヌの女神候補生で、お姉ちゃん達を助けるために旅をしてるだけで……!」
「もんどーむよーよ! かくごー!」
「えっ、ちょっ、まった!」
可愛らしい杖を出現させたと思ったら、そのまま殴りかかろうとするラムに驚きつつも、さすがに教会で戦闘なんて被害が大きくなるので 両手でラムの腕を掴んで止める。
「なによ!」
「なにって、状況とかよく分からないけどとりあえず教会で戦うのは駄目だよ! ほらロムも何か言って……って君もかい!」
「ふぇっ!?」
ラムを説得してもらおうとロムの方を見ると、ロムの右手にはこれまた可愛らしい杖が握られていて、ついツッコミが炸裂してしまった。
いかん…このままでは私は無属性からツッコミ属性へ変化してしまう……この程度だとならないか。うん。
「とりあえず二人とも武器をしまおう。ね? じゃなきゃ落ち着いて話も出来ないよ。…それにどうも三人が戦ってる場合でもなさそうだし……」
「…よく分かったわね」
私の言葉に、暗い表情のままアイエフさんが答えた。その言葉でネプギアも、今がどんな状況だったのか思い出したのか、驚きと困惑の表情が消え、落ち込んでしまった。
それだけで何となく、事態が本当に良くない方へ進んでいるのが分かってしまった。
ラムもそんな雰囲気をようやく感じ取ってくれたみたいで、杖をしまった。ロムもまた、杖をしまっていた。
私は二人が杖をしまったのを確認してから、状況の説明を求めた。
アイエフさんやミナさんからの説明をまとめるとこうだ。
まずここルウィーのゲイムキャラが
この時点で状況は最悪な方へ向かっているのだが、さらに痛いことに、ここのゲイムキャラはかつて犯罪神が造り出したという殺戮兵器『キラーマシン』を封印していたのだという。
このままではすぐにとは言わないが、近いうちに下っ端は沢山のキラーマシンを連れ、街へ襲撃してくるだろう。相手の力量は、たった一体だけでも女神化したネプギアやアイエフさん、コンパさんの三人で相手しても苦戦した。どうにか対策を講じなくてはならない、と。
「殺戮兵器が、沢山……」
「それで勝てないからって逃げてきたの? なっさけないわねー!」
「…ケガ、してない……?」
「大丈夫だよ。心配してくれてありがとう」
「むっ、ロムちゃん。こんなやつにしんぱいなんてしなくていいの!」
「ま、まあまあ。ラム、落ち着いて」
「ルナもルナよ! ルナは悪い女神の味方なの!?」
「えぇ!? わ、悪いって…ネプギアは悪い女神じゃないよね……?」
「えっと、実は、その……」
言い辛そうなネプギアだけど、どうしてラムはネプギアのことを悪い女神と言っているのか教えてもらった。
その話によると、自分がプラネテューヌの女神候補生だと伝えると、ルウィーのシェアを奪いに来た悪い女神だと勘違いされたようだと。
…極端すぎない?
「そ、そっか。えっと、ラムの言うようにそういう女神もかつていたのかもしれないけど、ネプギアは違うからね。ネプギアは正真正銘良い子だから、ね?」
「どーしてそーゆーのがわかるのよ? さっきからこいつと仲いいみたいだし…まさかルナ、アンタは悪い女神のスパイね!」
「な、なんだってー!?」
「いや、ルナが驚いちゃダメでしょ」
「あっ、つい……」
ついついノリで驚いてしまった。なるほど、これがギャグ補正か……え? 違う?
ま、まあともかくラムの更なる誤解を解かなくては……
「私は確かにネプギアと友達だし、そもそも旅もネプギアやアイエフさん、コンパさんと共にしてたけど、別にスパイとかじゃないよ。偶々ロムと出会って、仲良くなっただけで……」
「ふんっ、そんなのうそっぱちよ!」
「そ、そんな……」
このままじゃラステイション教会での二の舞になる……?
そう考えてしまったら、身体が震えた。寒くてじゃない。あの時の孤独感を思い出してしまって……
その時、私とラムの間を、小さな影が遮った。
「ラムちゃん、ルナちゃんをいじめちゃ、ダメ」
「ロムちゃん…何よ、ロムちゃんも敵の味方をするっていうの!?」
「ルナちゃんは敵じゃないよ。わたしたちのお友だち」
「ふ、ふんっ。そんなやつわたしのお友だちじゃないわ!」
「あっ、ラムちゃん……!」
ロムの言葉に耐えかねたのか、ラムはこの場から逃げ出してしまった。ロムは追いかけようと足を踏み出して、やめた。追いかけたところでかける言葉が見つからないのかもしれない。
ラムが去った後を見て、ミナさんは申し訳なさそうに頭を下げた。
「申し訳ありません。ラムがまた……」
「いえ。私は全然気にしてませんから。でも、ロムちゃんとルナちゃんは……」
「…私は大丈夫だよ。誤解なら、後で解いておくから……」
「…わたしも、だいじょうぶ。ラムちゃんはきっと、分かってくれるから」
「それならいいですけど……」
コンパさんが心配そうにこちらを見る。それに私はあまり元気に答えることが出来なくて、乾いた笑いで誤魔化した。誤魔化せてないのは知ってるけど。
で、ラムちゃんのことで話が逸れちゃったけど、今はとにかくそのキラーマシンをどうにかしないといけないわけだ。
…そういえばゲイムキャラといえば……
「…あの、さっきのゲイムキャラが壊されたって話なんですが、その壊されたときにマナメダルは出ませんでした?」
「マナメダル…そういえば出なかったわね」
「はい。この国のゲイムキャラは元々はプラネテューヌのゲイムキャラだったようなので、持ってなかったのかと」
「そっか。元々プラネテューヌのゲイムキャラなら、マナメダルはプラネテューヌのゲイムキャラが…今はラステイションだもんね。…あれ? じゃあ他のルウィーのゲイムキャラは?」
「…ルウィーのゲイムキャラはもう既に存在しません。全て犯罪組織によって破壊されましたので」
「…そうか。だからプラネテューヌのゲイムキャラをルウィーに……」
私の質問に、今度はミナさんが答える。
違う国のゲイムキャラでも、その機能は発揮される、ということなんだろう。
でも、まさか全部…しかも今回のでこの国のゲイムキャラはもう誰ひとり存在しないことになったってことだよね……
それ、本気でやばいんじゃ……
いや、キラーマシンが復活してしまっている時点でもう既に時は遅い……?
い、いや、また封印出来れば……
でも、もうその封印が出来るゲイムキャラは存在しないし……
『マスター。ゲイムキャラは存在しないのではありません。壊されただけなのです』
うん。分かってるよ。でもそれって言わば死んだようなもので……
『ゲイムキャラは私と同じく、
「…そっか。造られた物を壊されたなら、直せばいいんだ」
「直せばいいって…そう簡単に直るんだったら苦労はしないわよ」
「でも、確かにこのまま何もしないより、直す方法を探した方が良いと思います。下っ端がキラーマシンを連れ、街を襲いに来るのには時間がかかると思いますし」
「そうはいっても、どこを探すです?」
「…この教会にはルウィーの中でも随一を誇る図書館があります。もしかしたらそこに文献があるかもしれません」
「ならその文献を探しましょう。ミナさん、図書館に案内していただけますか?」
「分かりました。図書館はこちらです」
ネプギアの言葉に答えると、ミナさんは歩き出す。
その後に続くように私達は歩こうとして、私は袖を引っ張られたのでそちらを見た。
「…ロム?」
「…わたしも、おてつだいしていい?」
「んー……」
当然人手が多い方が早くゲイムキャラを直す方法が書かれた文献を見つけやすいだろう。
だが、私はロムの申し出を断ることにした。
「ごめんね。本を探すのは私達だけでいいかな」
「…そっか(しょんぼり)」
「それでね、ロムには他に頼みたいことがあって……」
「たのみたいこと?」
「えっとね、まるで押し付けるようで悪いんだけど、ラムの誤解を少しだけでもいいから解いてくれると嬉しいなって。出来れば、私よりもネプギアの誤解を解くのを優先で」
「…ルナちゃんのごかいはいいの?」
「私への誤解は、ネプギアの誤解が解ければ連鎖的に解けるから。ただまあ、私は本当にロムが女神候補生だと知らずに声をかけたって事と、一緒に遊んだのは私が遊びたかったからだって事は…余裕があったら伝えてくれると嬉しいな」
「…わかった。がんばる(ぐっ)」
「うん。ありがとう」
「ぜったいラムちゃんに分かってもらうから」
「うん、がんばれっ」
「うん(こくり)」
ロムは頷くと、ラムが走っていった方へ、走っていった。張り切ってるなぁ。
さて、じゃ、私は置いて行かれて迷子にならないよう、ネプギア達の後を追わなきゃね。
──かつて●と●とで戦争が起きた。
原因は女神が女神に●を与えたことであった。
戦争を起こさせまいと、●の女神は●●の間に立ち、説得を続けた。
しかし人々は止まらず、●の女神でさえ傷つけた。
怒った●の女神は女神を●し、信者でさえ●そうとしたらしい。
しかし●の女神が自分の命をかけてでも止めたので、人が死ぬことはなかった。
やがて●の女神は●●から罰を受けることとなったが、それを●の女神が代わりに受けた。
代わりに罰を受けた●の女神は、数百年の間下界への接触を禁止された。
人々は●●と●の加護を失ったのだった。
【第●章】第●節[天罰]
後書き~
以前どこかで『月一をモットーに』なんて言ったにもかかわらず、一か月以上音沙汰もなかったほのりん(作者)です。
なかなか納得のいく文章が書けず、書く時間も取れず、今年もあとわずか……
もしかしたら待っていた読者様もいたのかと思うと、大変申し訳ないです……
来年はもう少し更新頻度を上げていきたいなと思います。いけるといいなと思います……
そんな謝罪や来年の抱負みたいなものもこの辺にして、また来月……いえ、また来年もお会いできるのを心待ちにして。
皆さま、よいお年を~!
I will meet you next year again!
今回のネタ?のようなもの。
・前回のソラジゲン!
『ラブライブ!』の冒頭に流れることで有名な「前回のラブライブ!(サンシャイン!)」
だからって背景で曲が流れてるわけではありませんよ?
え?音楽が聞こえる?それはきっと青春ですよ。
・「おっすイエッサー!」
『ご注文はうさぎですか?』でまだ出会ったばかりのココアとリゼの会話で出た言葉の空耳。
「言葉の後ろには『サー』を付けろ!」「おちついてっさー!」
・「音楽が聞こえる?それはきっと青春ですよ」
まさかの後書きにネタを入れました。同じくラブライブ!の楽曲から『きっと青春が聞こえる』です。あの曲を聴くとマラカスを持って踊りたくなるのは私だけではないですよね。