月光の迷い人   作:ほのりん

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第三十四話『満月強化(フルムーンルナちゃん)

《Side Luna》

 あれからどれだけ経ったか。

 そう思うほど経っているような気がするし、実際にはそんなに経ってないのかもしれない。

 ただやっぱり、体感では長い方だったと思う。

 

 目の前にいるキラーマシンを、鋭く光る月光剣で斬りつける。満月で私の力が増したことにより、月光剣もまたその威力が増していて、鋭利な刃は相手が鉄だろうと関係なく傷つけていた。

 でもそれだけでは敵が倒れるにはまだ足りない。私は一度傷ついたその場所を、何度も何度も集中的に斬りつけてようやく、その装甲に穴が空く。そこに向かって電気を流せば、モンスターといえど所詮機械。内部へ直接叩き込まれる電圧に耐え切れず、ショートし倒れる。

 一体倒れたからって油断はできない。身体を大きく左へずらし、後ろへ振り向き様に剣を振れば、私がいた場所にはキラーマシンの拳が突き刺さっていて、剣はその腕を斬りつけていた。

 キラーマシンの動作はそれで終わらず、続けざまにもう片方の腕が鞭のようにしなやかにうねりながら迫る。その腕を跳んで躱し、そのままキラーマシンの頭部へ着地。装甲の中でも特に薄い場所へ剣を突き立てて、剣から電気を放てば、その胴体は地面へと倒れ伏した。

 

 一体一体地道に、けれど着実に倒していく。そんな戦い方は時間がかかるけれど、今は時間のかかるやり方の方がいいし、今の私には他に取れる手段がない。最初の方でただ電気を叩きつけても全く効かなかったから、広範囲にまとめて放っても無駄に魔力を使うだけ。

 電気が効かない理由が、月光剣が言うには内部が装甲で覆われて防御されているから。ならその装甲の内側へ流すのは効くはず。

 一度試してみると効いたから、そのまま続けていって、さっき倒したのでようやく四分の一ぐらいだと思う。既に使い物にならない機械の山が築けそうだ。

 それでもまだぞろぞろといる敵を見て、戦闘中なのに溜息を吐きたくなる。

 そんな余力なんて、今の私にはないのだけど。

 

「ギギ…ギギギ……」

「テキ。タオス」

 

 時々戦闘音に紛れて聞こえてくる機械的な音声にバリエーションは少ない。一つ覚えのように同じ言葉ばかり繰り返す。

 だからって知能がないわけじゃない。月光剣みたいに高性能なAIではないけど、それでも少しは学習していく頭はあるようで、最初は割と簡単に立ち回れたのに、少しずつ難しくなっていく。同じ動作を何度かすると、違う個体なのにその動作を察知して対応してくる。

 敵が少しずつでも学習していって、私の行動に対し抵抗できてくると、疲労が積もる速度がどんどん上がっていく。満月の力があっても、戦闘での消費エネルギーは、走っているときよりも上。さすがに少しずつは疲れてくるし、その疲労を回復する時間もない。

 結果、敵はどんどん襲ってきて、しかも戦えば戦うほど強くなっていくのに、私は疲労がどんどん蓄積されていく状態に陥ってる。

 

 それでも普段の私と比べたら、ありえないくらい戦えてるんだよ。ちょっと私の力がブーストされている時に初めて戦った相手だから、普段の私が戦ったらどの程度まで戦えるかわからないけど、それでも相手はネプギア達が苦戦した相手。それをたった一人で戦っているんだから、やっぱり満月の力ってすごいね。

 

 なんて思っていたら、また敵の攻撃。今度は大きな斧を装備している個体で、上から下へ振り下ろしてくる。それを跳んで躱し、地面へ着地しようとして、別個体が装備している大きなハンマーが薙ぎ払うように迫り、私の身体を吹っ飛ばした。

 

「っ……!」

 

 ずずずーっと地面と擦れながら飛ばされる。

 そんな隙だらけの私を、敵は容赦なく襲い掛かる。

 咄嗟に左腕を上へ突き出し、素早く防御壁を作り出すと、そこにぶつかるのは、さきほどの斧。防御壁があればダメージは喰らわないけど、衝撃や重みはなくならないわけで。

 重いその攻撃を、私は剣の面の部分で叩いて払い、足でひょいっと素早く立ち上がり、攻撃の気配を感じて、回避する。私がいた場所にはそれぞれ、地面に刺さる斧と、地面を抉る大きなメイスがあった。

 先にハンマーを持つ個体を叩こうとしてその頭に跳び乗り、剣を突き刺そうとして、再び気配を感じて跳び下りる。すると再び私がいた場所をメイスが抉った。但し今回はキラーマシンの頭の上。同士討ちだ。

 その行動を見て、キラーマシン同士は連携が取れていないのだろうと考える。連携が取れるようになってしまえば、より難易度が上がってしまう。ならば取れていない今のうちに……

 

「いっ……!」

 

 キラーマシンだけを警戒していた私の身体に襲ったのは、何か熱いものが当たった痛覚。

 それは一回だけでは終わらず、何回も身体のあちこちを打つ。

 たまらずその場から離れようとして、キラーマシンが私を囲っているのに気付いた。

 新たに増えた一体、合計三体で囲まれ、その隙間を魔力玉が通過して、私を襲っていたのだった。

 一個一個の威力は弱く、ただ熱くて痛いだけだけど、痛いものは痛い。それに何回もきたら、いっぱい痛い。

 防御壁を張り直して玉を防ぎ、キラーマシンの檻からの抜け道と、魔力玉の発生地点を探す。

 そして見たのは、まだ待機状態のキラーマシンの傍で、杖を持った人間達。魔力玉はその人達が作り出して、次々と放っていたのだった。

 遠くからでも分かる、その表情。気持ち悪い笑みを浮かべる人。ゲラゲラと声に出して笑う人。だいたいその二択。

 女の子に玉当てて、何が楽しいんだか。

 その人達の気持ちが全く分からず…というか分かりたくもない。そう思って、その人間達が気持ち悪くて、うざくて、嫌だとも思って、つい

 

 痛い目に遭えばいい。

 

 とも思ってしまって──

 

「…っ……!」

 

 いつからか分からない。けど雲が月を覆い隠したところで気付いて、見上げる。

 空がゴロゴロと低い音を響かせていた。

 なんだか不穏な雰囲気を醸し出す雲に、一体何が起こるというのか。そう思った次の瞬間、空を一筋の線が駆け抜け、地へと落ち、その光を弾けさせた。

 

「「「ぎゃあああああ!!」」」

 

 続いて聞こえた悲鳴と、光が止んで見えた、焦げた衣類を纏ったあの人達が地へ伏している姿で、ようやく何が起こったのか分かった。

 

 雷が、彼らを貫いたのだ。

 

 その光景と、その前の彼らの所業を合わせると、それはまるで『天罰』のようで。

 

「ぐ、ぐぬぬ…まさか天候も操る魔法を持っているとは……」

「え…? ち、ちがっ…わ、わたしじゃ……」

 

 「ない」。その二文字が口から出そうとして、引っ込んでしまう。だって今のところ私が操れる魔法属性は『雷』だけで、今のは確実に雷で……

 もしかして、本当に私が……? 

 

「アクク…このまま数を減らされてはたまらぬ。ここからは吾輩自らが出よう!」

「っ……」

 

 その言葉で、意識を先ほどの現象から敵へ切り替える。

 キラーマシンを倒していったら、いつかは出るとは思ってた。それが今このタイミングで、というのが私には良い方に転んでくれるのか、悪い結果を出してしまうかは分からない。正直もう少しキラーマシンを削ってからの方が良かった気もする。

 けど一人と一刀でこれだけ削ったんだから、残りを後から来ると思う増援に任せたっていいよね。これ以上頑張んなくったって別に……

 …いや、もしその残りを後から来る増援が倒せなかったらどうする? 

 倒しきれなくて、結局街へ進軍しちゃって。ゲイムキャラの封印も間に合わなくって、キラーマシンが街へ着いてしまったら。

 そもそも増援が来るかも怪しい。自分の国の周りを固めるのに全部使っちゃって、こっちへ寄越せる戦力があるのか。

 どっちにしろダメだ。中途半端じゃ、頑張った意味がなくなる。

 ならいっそ、この敵も残りも、全部倒す気でいっちゃえ。

 消えかけた炎を再び焚き上げ、何故か動かないキラーマシンの檻から抜け出そうとして、キラーマシンは動き出す。まるで檻から出るのを阻むように。

 このままでは敵の攻撃を避けることは出来ない。受け止めるにしても、あの敵の攻撃を私の防御壁がどれだけ耐えられるのか……

 

「…仕方ない。ここは一気に……!」

『マスター! 上空○km、熱源感知!』

「っ……!?」

 

 そう言われ見上げると、夜空に浮かぶ星とは違う、別の禍々しい光があって、それは物凄い勢いで大きくなっている。

 そう見えるほど私に対して垂直に、その攻撃は迫って来ていた。

 

「アクククク! 吾輩の魔法、とくと受けてみるがいい!」

 

 そう言った後も変な笑い方を続ける敵の声は、今の私をムカつかせるもので、かといってあれはさすがに受け止めるには高威力すぎるかなって。

 

「さ、さすがにあれは防御できないよね……」

『マスター、どうしますか?』

「どうするって言われたってこれは……!」

 

 そう受け答えしている間にも攻撃は迫り続けている。

 月光剣の言う通り、どうにかしなきゃなんだけど…そんなすぐ思いつかないよ!! 

 

『ではマスター、ひとつ試したい魔法があります』

「試したい魔法って……!?」

『雷属性の魔法の中でも上級魔法に位置する魔法。名を『プラズマブレイク』。マスターも一度お使いになられたことがあるかと』

「それって確か……」

 

 まだ目覚めたばかりのころ、ネプギアと初めて会って一緒に行ったクエストで放った魔法。その威力は、敵に対してオーバーキルで、その場をめちゃくちゃにしてしまった。

 それ以来あの時のように頭に文字列…術式が浮かぶことも、その威力の魔法を出すこともできずにいるけれど……

 

『今は私がいます。私が術式を展開、コントロールしますので、マスターは魔力と発動を』

「う、うん!」

 

 時間がない。それに月光剣の言うことは間違ってることがない。

 だから相棒の話を信じて、魔法発動に集中して……! 

 

『できる限り威力を高めるため、ギリギリまで引き付けます。合図をしたら、お願いします』

「了解……」

 

 どうせキラーマシンは動かないっぽいし、敵の攻撃はあれで、しかもそれで私を仕留めれると思ってるらしく、ずっと薄ら笑いを浮かべながらこちらを見ている。

 ならばここは、いっそド派手にやってしまえ……! 

 

「…むむ? なにやら嫌な予感が……」

 

 そんな敵の声なんて聞こえず、私は意識を集中する。

 心の中では銃を持っていて、引き金に指をかけているイメージで……

 

『カウントダウン、5、4、3、2、1、0』

「っ! 『プラズマブレイク!!』」

 

 引き金を引いた瞬間。バンッと弾が目に見えない速さで発射されるみたいに。

 言葉による発動命令を出した瞬間、先ほどの雷よりも高威力でド派手な稲妻が、雷とともに弾けた。

 そして、光が止んで目を開けると私の周りは……

 

「…わぉ」

 

 そんな声しか出せないほど、むっちゃくっちゃに荒れていた。それはもう、一つの災害が起きたんじゃないかってぐらい。

 前回と違うのは、ここが雪原だから、緑じゃなくて白い地面が茶色になっちゃったことと、植物は焦げていないことかな……

 どっちにしろ地面は焦げ付いたんだけど……

 

「っと、キラーマシンは……」

 

 周りの光景に行っていた意識を戻し、戦況を確認しようとして、自分の周りに焦げ付いた鉄の塊が三つ、転がっているのを見た。

 時々バチバチと火花を散らすそれが、元はなんだったのか察するのはたやすいこと。

 

『さすがの彼らも、高威力の魔法を至近距離で浴びれば鉄くずとなります』

「ってことは、残りのモンスターにもあの威力を浴びせたら……って、さすがにそう何発も出せるほど容易い魔法じゃないか」

 

 自分の中の魔力残量を確認して、諦める。むしろ前回のときは魔力切れで倒れたから、まだ立っているだけ成長してる、もしくは満月ってスゲー、って思っておいた方が良いんだよね。

 もう一度放つのは、無理そうだけど。

 

『マスターの場合、成長と捉えるより、力を取り戻していると捉えるのが正解かと』

「そっか。前の私は今よりずっと強いんだもんね、と」

 

 戦況確認を終え、再びキラーマシンの軍勢。その前にいる敵へと目を向ける。

 残念ながら彼らは私から離れていて、今回は私を中心に威力を集中させたから、中心から離れた場所ほど威力が分散してしまっている。隊列の最前列が少し火花を散らしながらもどうにか動いている程度の傷しか負わせることができなかった。

 そして、あの敵も、防御壁で攻撃を防いでいた。ただしその防御壁には、ひびが入っていた。

 

「危ない危ない…まさか人間にここまで出来るとは……」

 

 そう言う彼の顔は引き攣っていて、ギリギリまで攻めれたのだと分かる。

 逆に言えば、攻めきれなかった。けど、分散した威力でそこまで攻めれたのなら、上々。

 そもそも全部殲滅する勢いで~とは勢いで思ったけど、落ち着いて考えれば、私がやるのはあくまでゲイムキャラが再封印するまでの時間稼ぎ。ここで殲滅する必要があるのはキラーマシンだけで、あの敵は含まれない。

 でも彼があの軍勢の総司令的な立ち位置にいるのなら、止めておいて損はない。…はず。

 

「ククッ、だが吾輩の力はこんなものではない! くらえっ! レローッ!」

「って、その舌攻撃にも使えたの!?」

 

 敵の舌がこちらへ伸びてくる。

 正直戦いにも使えるものだとは思ってなくて。でもきちんと反応して避けようと身体を動かしていたから。

 想定外だったのが、予想以上に私の疲労が溜まっていたことだろう。

 

「わっ…くっ……!」

「アクククク! 吾輩の自慢の舌は縄ともなるのだ!」

「ちぃ…こんなの斬っちゃえば……!」

「おっと、そうは…させんぞっ!」

 

 動きが鈍った私の片足を、伸びた舌は素早く絡めとり、逆さまに吊るしながら自身の傍へ持っていく。

 水気を帯びていてぬめぬめして生暖かいそれは、一言でいえば気持ち悪い。

 ズボン越しに伝わる気持ち悪さに嫌悪感が増し、右手の剣で斬ろうとして、敵は私を振り上げ、地面へと叩き付けた。

 

「っ……!」

「むむ……」

 

 当然ただ叩き付けられてやる私じゃない。防御壁を展開して直接的なダメージは防いだ。

 けど敵もそれで終わるやつじゃない。

 

「ならばこれならどうだ!」

 

 そう言って、敵は私を何度も叩き付ける。防御壁は展開したままだからダメージは受けてないけど、反撃もできない。それに、防御壁を展開し続けるのも振り回されるのもすっごく疲れてくる。

 でも敵だってずっと人一人を振り回し続けるのは疲労が溜まるはず。なら疲れてきたところを襲うか……

 そう思って機会をうかがっていたら……

 

「「『アイスコフィン』!!」」

「ぬおっ!?」

 

 遠くから声が二つ、重なって聞こえて、それから大きな氷の塊が敵を襲った。

 

「『M.P.B.L(マルチプルビームランチャー)』!」

 

 敵を襲ったのはそれだけでなく、薄紫色の光線が私の足に絡みついていた舌を撃ちぬいた。

 敵はその攻撃で舌の力を緩める。その隙を逃さず、絡みついた舌を解き、敵の拘束から逃れ、距離を置く。

 そして、改めて見た。あの二つの攻撃をした人達…ううん。女神達を。

 

「ルナちゃん、大丈夫!?」

「けが…してない……?」

「まったく。あんな敵につかまってちゃダメじゃない!」

「ネプギア…ロムとラムも……」

 

 そこにいたのは、女神化した三人。ネプギアは敵から守るように私の前に立ち、敵の行動を警戒していて、ロムとラムはすぐに私の傍へ寄ってきた。

 三人は私のことを心配してくれて。こうして助けてくれて。

 それが今だけはどうしても、

 

 (嫌。)

 

「けが、なおすね」

「…いい。大丈夫だから」

「あ……」

 

 ロムが治療のために擦り傷にかざした手をそっと払い、立ち上がる。

 

「ちょっと! せっかくロムちゃんが治してあげようとしたのに!」

「…ごめん」

 

 ラムが怒っても、どうしても、短い謝罪の言葉しか口にできなかった。

 そんな私にラムが何か言おうとして、すぐにエンジンの音がかき消した。

 そのエンジン音は私達より少し遠くで止まって、すぐに誰かがこちらへ駆けてくる足音が聞こえた。

 姿を見れば、アイエフさんとコンパさんのお二人。その後ろにはスノーモービルが止まっていた。

 

「ルナ、無事?」

「怪我なら治すですよ~」

 

 コンパさんの言葉に「いや治療要員が二人もいたら多い」なんて口にしかけて、喉元で引っ込んだ。

 アイエフさんの言葉にも返事しないで、私は数歩進む。

 大きな舌を持つ敵は先ほどのネプギアの攻撃で舌をやけどでもしたのか「ひぃい~…」と情けない声を出しながらさすっていた。

 しかしこちらの人数が増えていることに気付いて、そして……

 

「…うん? ぉおおおお!? そ、そそそ、そこにいるのは幼女女神!! 幼女女神キタ─────!」

 

 そう叫んだ。

 …うん。いや、なんで? そっち? というか君、舌だけじゃなくて精神も気持ち悪い? 

 

 

 

 

 


《Side Nepgear》

 

 ぬいぐるみのような姿だけど、その巨体とギョロギョロした目、そして不自然なほど太くて長い舌を持つ敵の姿は、すごく気持ち悪い。

 さらに敵は私達を見て、『幼女女神』って。多分ロムちゃんとラムちゃんの事だとは思うんだけど……

 

「ハァ…ハァ…い、いかん。幼女女神が二人も目の前にいると思うと、興奮してしまう」

「……きもちわるい」

「あんな敵、さっさとやっつけちゃいましょ!」

 

 言葉通り興奮しているみたいで、荒い息を吐く敵の姿はもっと気持ち悪くて、後ろでは二人が杖を構える気配がした。

 その中で、一人。私の斜め一歩前に進むルナちゃん。その表情は見えないけど、纏う雰囲気はいつもと違って、なんだか近寄りがたい雰囲気。

 話しかけようとして、でもなんだか話しかけづらくて。

 口を開いたのは、ルナちゃんからだった。

 

「…なんできたの?」

「なんでって、そんなのルナちゃんを助けに──」

「だからなんで助けに来たの? 必要なかったのに」

「ルナ、ちゃん……?」

 

 ルナちゃん疑問に答えようとして、ルナちゃんは言葉を遮って、そう言った。

 いつもだったら絶対言わないような、突き放すような言葉。

 そんないつもと違うルナちゃんに、戸惑う。それから、もしかしてルナちゃんは怒ってるのかな、って思った。

 それもそうだよね。病院で言ったこと、怒って当然だもんね……

 謝るべきかな。でも、あの時言った意思は揺るがないから……

 そう悩んでいると、ルナちゃんは背を向けたまま言った。

 

「…とりあえず、確認。ゲイムキャラは?」

「私ならここにいますよ」

「…無事に修復できたんだ」

 

 そう言ってコンパさんのポーチから出てルナちゃんへ近づくゲイムキャラに、少しだけ雰囲気が柔らかくなったように感じて…でもすぐに、元に戻ってしまった。

 

「ん。それならさっさと封印しにいって。ここは君達がいなくても大丈夫だから」

 

 その言葉は私達に向かって放った言葉で、そう言うルナちゃんの服はほつれたり焦げた跡があちこちにあったして、言葉の説得力を失わせていた。

 

「そんなこと言っても、ルナちゃん一人であの数は無理だよ! ここは私達と力を合わせて──」

「それより先にゲイムキャラと共にダンジョンへ行って、キラーマシンを封印した方が早いと思うよ」

「でもルナちゃん一人じゃ……」

「別に、平気」

 

 頑なに協力を拒むルナちゃん。怒ってるのか、意地を張ってるのかなんて分からないけど、あの数を相手にするには、ルナちゃん一人じゃ荷が重いのは本当のことなのに……

 私も諦めずに張り合おうとして、それを二人が遮った。

 

「あーもう! ようはルナちゃんひとりじゃ心配ってことでしょ! ならわたしとロムちゃんが残って、あんたたちが先に行けばいいじゃない!」

「ルナちゃんのことはまかせて」

「ラムちゃん…ロムちゃん……」

「………」

 

 二人の言葉に、ルナちゃんは何の反応も示さない。

 それは拒否もしてないってことで、私との反応の差に、やっぱり怒ってるのかな、って思って。

 

「ネプギア、ここでうだうだしてても仕方ないわ。私達だけでも行きましょ」

「三人を信じるです」

「……はい、わかりました」

 

 私は渋々首を縦に振り、後ろ髪を引かれる気持ちのまま、先へと進む。

 何度も飛びながら後ろへ振り向いて、どんどん遠ざかっていくルナちゃん達の姿を見て、心苦しくなる。

 でも、コンパさんの言う通り信じなきゃ。大丈夫だって。また同じことが起きるわけないって。

 だから、この戦いが終わったら、ルナちゃんともう一度話して、ちゃんとわかってもらって、それで仲直りしよう。うん。

 

 

 

 って、あれ? これってもしかしてフラグですか!?




後書き~

ここで残らなかったこと、ネプギアは後悔するかどうか。
悩みます!(本音)
ひとまずまた二手に分かれる六人ですが…これ以上のトラブルなく終われるといいですね……
ちなみに前書きにときどき書いてる食べ物飲み物は、別にその時の話に合わせたものを選んでるわけじゃないです。気分とたまたま食べてた(飲んでた)ものを書いてるだけです。実は東方さんのインストール画面をイメージしてます。
そんなことを書き上げつつ、次回もまた来て下さることを期待して。
See you Next time.
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