SAO×MH   作:メタルギア教の教祖オティヌス

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第4話

ひどい乗り心地と共に大樹林のベースキャンプに到着したキリト達。立つのもやっとの足で荷車から降り、地面に横たわる。車酔いをしたような顔色で周囲を見渡すと、同じような送迎を受けたであろう地面に仰向けで倒れているプレイヤー達の姿が見えた。中には武器を杖代わりにして移動している者もいた。

 

「・・皆・・生きてるか・・?」

 

「う、うん・・何とか」

 

「歩いた方が安全だと思う・・」

 

「あの荷車、私は今度から絶対に乗らないわ・・」

 

「う~ん・・視界が揺れる・・」

 

それぞれの荷車の感想を言いながらようやく立ち上がると、誰かが目の前から近づいてきた。赤色に染めた髪に、欧米人のようなクッキリとした顔。伸長はバスケットボールの選手並みに高く、防具の左腕には赤色の腕章を着けていた。注視してみると、青色のカーソルが頭上に表示されたことから、NPCだと分かる。

 

「初クエストご苦労だった。おっと荷車については何も言わないでくれ。今はあれぐらいしか用意できなくてね。俺はこの大樹林エリアを任されている者だ。まあ、エリア長とでも呼んでくれ。さて、ついさっきクエストをクリアしてくれた君たちに俺個人から依頼をしたい。」

 

すると目の前にウィンドウが表示され、『緊急クエスト:ならず者達の長〜ドスジャギィ一頭の狩猟〜』とあった。

報酬にはベースキャンプの設備のグレードアップと書かれていた。恐る恐る皆の方を見てみると、今すぐにでもクエストをクリアしたいという気迫が表情に出ていた。無理もない。あんなに揺れがひどい荷車から解放されるなら何としてもクリアしたいだろう。それに、と思いながら周りのキャンプを見渡した。家屋より空き地の方が圧倒的に多く、その家屋も全てテントで出来ている。ワザと最低限の設備にしたのは、プレイヤーの手で発展させる為だろう。プレイヤーがただモンスターを倒すだけではなく、モンスターを倒す事によって同時に何かを得る方がやる気が出る。キリト達はショップへ行き、回復薬と携帯食料を補充してフィールドへのゲートをくぐった。

 

ターゲットのドスジャギィがいるのはジャギィ達がいたエリア3。その道中に植物やキノコを集めで行くことにした。モデリングがしっかりしているのか、リアルのスーパーで売っているキノコ類と変わらない程の質感をしていた。するとリーファが思いだしたのか、見るからに一口食べただけでもヤバそうなキノコを肉焼き機で焼き始めたのだ。

 

「お、おい!焼けば食べられる訳じゃないぞ!」

 

「リーファちゃん、流石にそれは止めたほうが・・」

 

「同感ね。死んでも知らないわよ」

 

「へぇ~、リーファはチャレンジャーだね~」

 

「大丈夫だよ!解毒薬もあるし!」

 

キリト達三人?の制止も聞かず、一気にかじりついたリーファ。すると予想外の反応を見せた!

 

「あれ!?コレ結構美味しい!」

 

「何だって!?」

 

「本当に大丈夫!?気持ち悪くなってない!?」

 

「一応、解毒薬は飲んでおきなさいよ」

 

本当に大丈夫なのかキリト、アスナ、シノンが慌てていると、一人だけ落ち着いていたストレアだけがリーファに起きていた異変に気が付いていた。

 

「アレ、リーファの体力ゲージに剣みたいなのが付いてる」

 

「あっ、ホントだ。ナニコレ?何かのバフ?」

 

「あんなキノコを食べてバフなんて・・リーファ。さっき食べたキノコ、まだ持ってるか?」

 

「うん、あるよ。えーっと、ドキドキノコ?食べるとランダムで特殊なバフが発動する、って」

 

リーファが食べたのはドキドキノコというキノコだった。特に害はないようなので皆で焼いて食べてみることにした。

 

最初にキリトが食べてみた。キリトはスタミナの減少を抑えるバフが。

 

「これは・・うん、歯ごたえもしっかりしてていいな。後で沢山拾っておくか。」

 

次にアスナが。アスナは移動速度アップのバフが。

 

「へぇ、美味しいね!これならいい料理が作れそう!」

 

そしてシノンはリーファと同じ攻撃力アップのバフが。

 

「この見た目でこの旨さ・・驚かされるわね・・」

 

最後にストレアには防御力アップのバフが追加された。

 

「う~ん、この世界には美味しい食べ物が沢山ありそうだね~!」

 

各々満喫していた。アイテムウィンドウを確認してみると、食べると毒状態になる毒テングタケに麻痺状態になる麻痺ダケ、常時熱を発するニトロダケなるものがあった。即席キノコツアーも終わり、4人は狩りを再開した。エリア1を抜け、草食モンスター、アプトノスがいるエリア2へ行くと前とは違う光景だった。アプトノスの群れが固まっていたのだ。小さい子供達を体の大きな大人達が囲んで守っており、草も食べずに警戒していたのだ。あまりの尋常さにキリト達は背の高い草むらへ身を隠した。息をひそめながら、辺りを見渡す。

 

「一体どうしたんだアイツら?まるでハイエナを警戒するシマウマみたいじゃないか」

 

「もしかして、ドスジャギィを警戒しているのかな?」

 

「ということは、ここで待っていればターゲットは自分から現れるというワケね」

 

「あの子達にはかわいそうだけどね・・」

 

複雑な気持ちを抱えながら、待ち続ける4人。そして無風の草原に風が吹いたその時

 

「クウオォォッ!クウオォォ!」

 

突如、ジャギィ達がアプトノスの群れを取り囲んで鳴き始めた。取り囲まれてしまったアプトノス達は車サイズの体を使って、一点突破を試み始めた。すると群れの一頭が群れと反対方向に走り始めた。ジャギィ達は反対方向に逃げた一頭を優先して追い始める。

 

「あの、アプトノス囮になったのか!」

 

「群れを守るために一人が犠牲になる・・そんな・・」

 

「この世界にも生態系の仕組みがあるのね・・」

 

「うえ~ん。あんなの悲しすぎるよ~!」

 

ジャギィ達が囮となったアプトノスを包囲しながら近づいて来る。するとエリア3へ続く道から恐竜のようなモンスターがでできた。ドスジャギィである。体の色はジャギィと同じで一回り大きい。何よりボスであると判断できる大きなエリマキ。ドスジャギィはアプトノスの前へ来ると、一気に首元へ噛みつき、絶命させた。間は3メートルは離れていた距離を一気に詰めたのだ。これを見ても、ジャギィとは比べ物にならない程の強さである。すると一頭のジャギィがキリト達の方へ吠え始めた。居場所がバレたらしい。こうなってしまっては戦うしかない。

 

「俺が最初に突っ込むから、その後にストレア、アスナ頼む。リーファはシノンの護衛についてくれ。前のジャギィの時とは違う。気を引き締めていこう!」

 

キリトが双剣を構え頭の上で剣を交差させる。するとスキルの効果音が鳴り始めた途端、体が赤いオーラの様なものを纏った。これが双剣の特徴の一つ、鬼人化である。気力ゲージの減少を代償に、移動速度、攻撃力、攻撃速度を上昇させる事が出来る。キリトはドスジャギィの方を向くと一気に距離を詰め、左足を踏み出し、双剣をドスジャギィの胴体に向けてクロスする様に切りつける。先手を打たれたのを見越してか、ドスジャギィは巨体を勢いよく時計回りに回転して、払い飛ばそうとする。

 

「そんな分かりやすい攻撃に当たってたまるかよ!」

 

キリトもドスジャギイの動きに合わせて時計回りに動くことにより払い飛ばされることも無く、二刀流の様に乱舞を始める。

 

「よ~し!アタシ達も行くよ~!」

 

ストレアとアスナは、ボスであるドスジャギィに加勢しようしているジャギィの群れに攻撃を仕掛けていく。ジャギィの群れまで走り、ギリギリの所で左足を前に移動させ、右足を少し曲げて力を入れた姿勢で走るのをやめる。走ったことで生まれた速度と、背負った大剣を抜刀するエネルギー、システムのアシストの三つが合わさった破壊の塊をジャギィの群れへ叩きつけた。あまりの速さに残像が見え、その直後に凄まじいエフェクトと土煙が上がった。煙が晴れるとそこには、さっきまで10頭近くいたハズのジャギィが6頭にまで減っていた。かなりの攻撃力になっていたらしく、無残にも一刀の元に大半が倒されたらしい。すると残りのジャギィ達はこのままでは自分達もそこで死んでいる仲間と同じ末路を辿ると思ったのか、一目散に逃げてしまった。これにより、戦力を集中させることが可能になった為リーファとシノンもキリト達に加わっていく。

 

「せやああっ!」

 

アスナが片手剣を抜き放ち、キリトの対応に追われているドスジャギィの後ろ右足に切りつけた。切りつけた後に、赤色のダメージエフェクトが横一線で現れる。

 

『グアアアッ!?』

 

キリトにばかり気を取られていたドスジャギィはアスナの不意打ちに硬直してしまった。その硬直を皮切りに、気力ゲージが切れかけていたキリトはストレアとリーファに交代した。

 

「スイッチ!」

 

「後は任せて!キリト君!」

 

「行っくよ~!てりゃ!」

 

リーファは左腰に付けた太刀を勢いざまに抜き、居合切りの如くドスジャギィの顔面に一閃した。その一撃はドスジャギィを怯ませ、硬直時間を延ばす事となった。

 

ストレアは先ほどと同様、背負った大剣を抜刀切りをした後、振り下ろした大剣の刃を上へ返し、下から上へ切り上げ、上から下へ切りつけるのを繰り返した。こうすることにより、高威力かつ手数を増やす事が可能となった。SAO時代からフロアボス攻略の重要なアタッカーとして活躍してきた経験がこのような技を可能としたのだろう。

 

『ヴォーヴォアヴォア!』

 

硬直が解けたのか、ドスジャギィはフィールド全体に響くのではないかと思う程の雄たけびを上げた。するとエリア3へ続く道からジャギィの群れが来た。応援を呼んだのだろう。

 

「くっ!仲間を呼んだのか!」

 

キリト達はドスジャギィから離れ、背中を向かい合わせにして円陣を組む。しかし、ジャギィの群れに何かが降り注いだ。その降り注いだ物体の一つがキリトの前に転がってきた。野球の硬式ボールのサイズをしたトゲトゲがの生えた鉄球だった。一体どこからこんなものが降り注いだのか辺りを見渡すキリト達。その持ち主はすぐそばにいた。

 

「雑魚の相手は私がするわ!キリト達はドスジャギィを!」

 

さっきの攻撃はシノンの援護だったのだ。

 

弓には多彩な利点がある。まず、弾切れを起こさない上にリロードの必要が無い。遠距離から攻撃をすることが可能。ビンを使う事で状態異常、攻撃力を上昇することができる。さらに攻撃までその利点は及ぶ。それが先程の鉄球の雨あられの正体、曲射である。大量の鉄球が封入された容器を曲射で打ち上げ、一定高度で爆発。中の鉄球が真下の対象目掛けて降り注ぐという物だ。射程距離は通常の矢より、下がってしまうが攻撃の手数と範囲が補う。

 

「ナイス援護だよ!シノンさん!」

 

「この世界の弓ってかなりスゴイわね・・・ALOでも再現できないかしら・・・」

 

矢の攻撃に見惚れているその中、ストレアが一早く気付く。

 

「あーっ!ドスジャギィがいない!」

 

「何だって!?」

 

ジャギィを呼んだのは迎撃する為ではなく、自分が逃げる為の時間稼ぎだったのだろう。中々に狡猾である。しかし目の前には大量のジャギィの素材が。

 

「・・・ひとまず、休憩も兼ねて剥ぎ取りをしておこうか」

 

狩猟はもう一つ続きそうだ・・

 




一年程空いてしまいました・・・すいません、不定期に更新します。次にオリジナルのモンスターをちょびっと出す予定です。
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