ロリてんっ! ~ロリコン勇者が転移して、幼女ハーレム作ります~   作:ナマクラ(本物)

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第一話「幼女を出せ」

「勇者よ……目覚めなさい……」

 

 連日の仕事に疲れ果て、泥のように眠っていた俺へ呼びかける、川の水の如く澄んだ女性(ババア)の声。

 

「……勇者よ……目を覚まして……」

 

 なんと、美しく透き通った声だろう。一体どんな女性(ババア)が、俺に語りかけているのだろうか。

 

 少し微睡みつつ、俺はゆっくりと目を開ける。

 

 俺が寝転がっていた布団の端に真っ白な衣を纏った女性(ババア)が腰を落とし、俺に向かって聖母の如く微笑んでいる。

 

 ────幻想的な、景色だった。

 

 俺は、どこにでもいるとび職を生業にした、平凡な中年(おっさん)である。酒に溺れ肝臓が悲鳴を上げている以外には、特に変わった事はない。

 

 おんぼろアパートに独り暮らしで、十年前に妻に逃げられて天涯孤独の身だ。

 

 そんな、ゴミみたいな人生を歩んできた俺の目の前に現れた、この世のモノとは思えない不思議な雰囲気を纏った、長い金髪を金糸の如く垂らす女性(ババア)

 

 

「勇者よ、目覚めましたか?」

 

 

 その声は俺の耳を優しく、全身を麻薬のように痺れさせる。思わず、俺は彼女に見とれてしまった。

 

 溢れ出る母性。全てを優しく包み込む、慈愛の表情。

 

 それは金髪碧眼の、白い衣を身にまとった、ふくよかな胸の女性だった。

 

 まるで、物語に出てくる女神の様な────

 

 

「……あー」

 

 

 俺はその女性を目に写し、再び目を閉じた。

 

 ────幻覚だろう。

 

 明らかに非現実的な美しさの、うら若き女性。しかも、こんなおんぼろアパートに忍び込んで俺に語りかけるなんて有り得ない。

 

 そして、何より……

 

 

 

「なんだ、ババアか」

 

 

 

 俺はロリコンである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「女神パーンチ」

「ホゲッ!?」

 

 鈍い音と共に、腹にとんでもなく重い衝撃が伝った。

 

 吐き気が込み上げ、苦痛で思わず呻き声が零れる。どうやら目の前の女性(ババア)は、質量のある実体(ババア)の様だ。

 

 

「勇者よ、目覚めなさい……」

「み、みぞおちが。う、うげぇぇぇ」

「遂に、目覚める時が来たのです、勇者よ……」

「むしろ落ちそう。今、激痛で、意識落ちそう……」

 

 

 だが、何と非常識な女なのだろうか。勝手に部屋に忍び込んで来た挙げ句、家主に危害を加えてくるなんて。

 

 台詞にも端々にも、電波の気配を感じる。これ以上刺激しない方が良いかもしれない。

 

 俺は腹の鈍い痛みに耐え、ジトリと睨む謎の女性(ババア)へと向き合った。

 

 

 

 

 

「で。お姉さんは、何なの? デリヘルとか呼んでないんだけど」

「こんな美人なデリヘルなんて居ませんよー」

「自分を美人と呼ぶデリヘルは要らねぇなぁ」

 

 俺はなるべく温厚に、冷静にを心がけ、彼女と会話をする。当然、殴り返したりはしない。

 

 俺はよく知っているのだ。女に殴られた時は、殴りかえしても更にキーキーと言い返してきやがる。

 

 つまり、余計に疲れるだけなのである。

 

 

「私は勇者を導く女神ですー」

「成る程」

「貴方は勇者に選ばれたのですー」

「ほうほう」

「信じてませんねー?」

「ふむふむ」

 

 そんな時は、女の言うことにウンウンと頷いて、時を見計らって的確に謝り、さっさと帰って貰うのが1番だ。

 

 女なんて感情の生き物だから、男側が手早く折れて、頭を下げて謝ってやったら、それだけで機嫌が良くなる。

 

 なんとも、チョロい連中なのだ。

 

「ちゃんと聞いて欲しいのですー」

「その通りだな」

「貴方には、勇者として異世界に行って貰いたいのですよー」

「そうだったのか」

「急なお願いで申し訳ないのですがー、貴方が勇者にふさわしいのでー」

「よく分かるよ」

「……どうか、異世界に行って貰えませんかー?」

「ごめんなさい、心から謝るよ。本当に申し訳なかった」

「断りやがりましたかこのヤロー」

 

 

 そろそろ、許されただろうか。この電波な女さんも、ここまで謝意に溢れた態度を取られては俺を許さざるを得まい。

 

 

「人の話を聞き流すのは、失礼だと思いませんかー?」

「そうだね、俺が悪かったよ。じゃ、お帰りはあちらです」

「このヤロー、このヤロー!!」

 

 

 目の前の美人な女性(ババア)は、むしろ先程より怒り狂っている。

 

 いかん。帰宅を促すのが早かったらしい。

 

「いい加減話を聞けー! 実は私、あなたの心の中覗けますからねー? さっきからずっと内心でババア呼ばわりしてるのにも気付いてますからねー!?」

「君のその怒りも最もだ。でも、俺の気持ちも少しは考えてくれないか?」

「お前の思考回路は読めてるっていってるんですよこのヤロー」

 

 弱ったな。この女性(ババア)、帰ってくれそうに無い。

 

「現世に降臨して、ここまで邪険に扱われたのは初めてなのですー」

「誰も君を邪険になんて扱ってないさ」

「どの口がそれを言うのですー? むー、ちょっと強引ですが、一度異世界に来て貰いましょうか……」

 

 そうしたら真面目に話を聞いてくれるはずです。

 

 そう、女性(ババア)が呟いたかと思うと。俺の住むおんぼろアパートの壁が、大きく揺らぎ始めた。

 

 ゆらゆらと周りの景色が溶け、ゆっくりと光に包まれる。

 

 ────やがて。俺はだだっ広い草原に、女と共に座り込んでいた。

 

「……まだ、酒飲んでないのにな。いや、飲んだことを忘れちまったか? 酔っぱらっちまったみたいだ」

「ところがどっこい、これは現実ですよー」

「そういや、酒とつまみばっかの生活だったしなぁ。俺の頭も、酒でスカスカになってたって事か」

「聞いてー。お願いですから、私の話をちゃんと聞いてー」

 

 風が美味しい。草の香りが、土の匂いが、柔らかな日差しが、俺の全身を包み込む。

 

 

「頭がいかれるとこうなるのか。案外、これも良い死に方かもしれないな」

「現実ですってばー! もーやだー!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……異世界転移、なのですよ」

「異世界転移だったのか」

 

 

 ジトーッと俺を睨み付ける、自称女神。

 

 

「自称じゃないです。キチンと女神様ですよー」

「そうならそうと、最初から言ってくれれば良かったのに」

「このヤロー!」

 

 女神の癖に、癇癪を起こしたのか。目の前の女性(ババア)は頬を膨らませ、俺をポカポカと殴ってくる。

 

 何か気に障ることを言ってしまったかな。

 

「……話が進まないので、もうスルーしますー。とりあえず貴方には、勇者の1人としてこの異世界で旅に出て欲しいのですー」

「勇者だって? そんな事をいきなり言われても困る」

「さっきから何度も言ってたのですよ、このヤロー。私としては、貴方が1番適任だと思うので是非受けていただきたいのです」

 

 微妙に眉をピクピクさせながら、自称女神は俺に笑いかけた。

 

「当然、特典として私の祝福も授けますよー。おでこに口付けして、祝福してあげるのです」

「えー、どうせならもっと幼くて可愛い女神がいい」

「負けるな私ー。怒るな私ー」

 

 むむ。目の前の女性(ババア)の表情が崩れかかっている。

 

 これは、ヒステリーを起こす前兆だ。女はいつもこうだ、どうして俺のように冷静に話が出来ないのだろう。

 

 

「私には分かりますよー。貴方が奥さんに逃げられた理由とかー、貴方と話す女性がいつもヒステリックな理由とかー」

「女ってそんな生き物だからなぁ」

「男ってこんなのばっかなのです」

 

 はぁ、と自称女神は溜息を零した。  

 

「とりあえず、勇者の話を、受けて欲しいのですー」

「それ、俺に何の利益があるの?」

「あー、年下の女の子にモテますよー」

「マジかよ! その話、乗った」

「成る程、最初からこう言えば良かったのですねー。死ねば良いのに、このヤロー」

 

 人を殺せそうな笑顔で、自称女神は座り込んでいる俺を見下ろした。

 

 そして、少し躊躇う素振りを見せた後。

 

「……でも約束は、約束です」

 

 そのまま彼女は、真剣な顔で俺の頬に手を当てて。

 

 

 

 

「我が名は女神セファ。我が名を以て汝に祝福を与えん……」

 

 

 

 

 俺のデコに、軽く唇を押し当てたのだった。

 

 

 

 ────汚ったね、拭いとこ。

 

「これで、貴方に勇者としての祝福を授けましたー。約束ですよ、キチンと魔王を倒す旅に出てくださいねー?」 

「おう。年下にモテるなら、それくらいどうって事ないぜ」ゴシゴシ

「……このヤロー、女神の口付けを拭き取りやがりましたね。こんな屈辱初めてですー」

 

 だって女性(ババア)の唾液とかきたねーじゃん。

 

「あと捕捉しますと、勇者は貴方1人ではありませんー。私と同じように女神に祝福された5人の勇者が、この異世界に転移してきていますー」

「お、異世界転移仲間が居るのね」

「彼等と協力して、魔王を倒して欲しいのですー」

「そいつらはどこに居るの?」

「……さあ? ただ、女神の祝福を受けた者はお互いに引き寄せられるのです。いつか、出会えるはずなのです」

 

 女神はそう言うと、パチリと俺にウインクした。

 

「貴方は、人の話を聞かない人ですが、正義感や倫理観に問題は無いのです。勇者としての適正も高め。覚えておいてください、貴方は私が吟味に吟味して選んだ逸材なのですよー」

「そうだったのか」 

「勇者を選ぶ基準は、女神によっては能力重視で道徳観を無視したり、逆に能力より正義感を重視したり、と色々なのです。なので、貴方の仲間がどんな人かは分かりません」

「仲良くやれる奴だと良いなぁ。因みに、アンタの選考基準は?」 

「貴方と仲良くやれる人は滅多にいないと思いますよー?」

 

 女神はクルクルと髪の毛を手で弄りながら、気怠げに選考基準とやらを教えてくれた。

 

「私の選考基準はー、倫理観は最低限持っていると言う条件下で、後は能力重視ですー。個人の性格は度外視です」

「ほほう。俺は、良い選考基準だと思うぞ」

「その結果がこのザマなのですよー」

 

 何か盛大に間違えた様な、複雑な表情の女神様。大層に不機嫌な様子だ。

 

「ま、これで異世界チュートリアルは終わりですー。ホントはもっと色々教えてあげる予定だったのですが、貴方とこれ以上一緒に居たくないのですー」

「不親切な女神だな。それじゃ、アンタの代わりに幼く可愛い女神を派遣してくれたりしない?」

「反吐が出ますよーこのヤロー。どの街にも教会はありまして、そこに置いてある女神セファ像に祈りを捧げれば、いつでも私と会話を出来るのですー。分からないことがあれば改めて聞いてくださいー」

 

 そこまで言うと、女神は大きな山がある方向を指差した。

 

「最初はあちらへ進みなさい、勇者よー。あの山の麓の村に、貴方を受け入れてくれる人が居る筈なのですー」

「……成る程」

「麓の村には西の教会に、私の像が有るのです。そこまで自力で、進んでみてくださいー。道中で魔物に襲われるでしょうが、この近辺の魔物は弱いのです」

「チュートリアル戦闘?」

「なのです。私の祝福を受けた貴方が負けることは無いでしょうー、まずは闘いになれてください」 

 

 そこまで言うと、女神は徐々に光に包まれていく。

 

「麓の村で待ってますよ、勇者よ」

「ほーん……」

 

 光に包まれ、キラキラと消えゆく女神様。

 

 さて俺は────

 

 

 

 

「とりあえず夕日が綺麗だから、夕日に向かって走るか」

「え、ちょっ!?」

 

 

 

 

 なんで乳袋の肥えた熟年女性(ババア)の言うとおりにしなければならんのか。年増が指差したのとは逆方向、夕日が沈む先へと俺は駆けだした。

 

 俺の勘が言っているのだ。きっと、俺が向かう夕日のその先に、愛すべき少女(ロリ)が居ると!

 

 

「待って、そっちは危なっ……」

「いざゆかん!! 少女(ロリ)の聖地、ロリコニアに!! うおおおおおおおおお!!」

「うあああん、あのヤロー!! 次から性格もちゃんと選考基準に入れてやるのですー!!」

 

 

 やるのですー!

 

 のですー!

 

 ー!

 

 

 

 

 背後には、あの自称女神のクソババアの泣き声が木霊する。特に胸は痛まない。

 

 いつも通りの一日を過ごしていたら、奴のせいで見知らぬ大自然の中に取り残されたのだ。

 

 オレの頭がおかしくなったのか、本当に異世界なのかは分からないけれど。このだだっ広い平原には、気持ち良い風が吹き抜けている。

 

 ならば、走り出さずにはいられない。

 

 俺は勘の赴くままに、幼女の気配がビンビンする夕日に向かって、力いっぱいに駆け出した。

 

 

 

 これが、幼女趣味な勇者の英雄譚のその幕が、開いた瞬間であった。




不定期更新。
週1ペースで上げていきたい。
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