ロリてんっ! ~ロリコン勇者が転移して、幼女ハーレム作ります~   作:ナマクラ(本物)

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第十二話「性犯罪者」

「ペニー、どうしたんだ? お前がそんな重傷を負ってるの、初めて見たぜ」

「ああバーディ、これか? 何て事はないよ、不名誉の負傷だ」

「不名誉なのか……」

 

 エマは激怒した。

 

 ご飯を用意していたというのに、こっそり夜の町へ出かけ、幼女を侍らしていた俺に激怒した。

 

 俺は謝った。平謝りに謝った。

 

 だがエマは、怒るだけに留まらなかった。エマも最初は癇癪混じりに引っ掻いてきたが、やがて涙を目に浮かべながら「私を捨てる気ですか」と抱き付いて泣き喚いた。

 

 捨てられるかもしれない、恐怖。俺しか頼れる大人のいない少女、エマにとってその恐怖はどれだけだろうか。

 

 俺は罪の重さを自覚した。そして俺は幼女(エマ)の涙の責任をとることにした。

 

 ロリコンとして、落とし前はつけねばなるまい。

 

「今日はここに来る前に、町の外の崖から飛び降りる必要があってな。少し怪我をしているが、じきに治るさ」

「どういう状況下でそんな必要が発生するのか分からん。と言うか、あの崖から飛び降りてピンピンしているあたりもっと分からん」

 

 どう責任をとって良いか分からなかった俺は、一晩中エマに謝りながら、彼女を抱き締めて寝た。

 

 いつもと違い泣き顔の幼女を抱き締めて寝るのは、胸が痛いだけだった。

 

 ────自分を許せない。そう言えば、首都ぺディアの外周にはちょっとした崖がある。首都ぺディアは有事に全方位から攻められないため、崖に隣接して作られた街なのだ。

 

 大体50メートルくらいの高さの、そびえ立つ崖。取り敢えず罪滅ぼしにダイブしたら、割と痛かった。

 

「ペニー、あんま無茶するなよ? 大事な娘さんが要るんだろ?」

「ああ。迂闊にも俺は情欲に負け、大事なものを見失ってしまった。俺には(エマ)以上に、大事な存在なんていない。それを忘れちまったんだ、これも良い罰さ」

「お前が怪我したって、娘さんは泣くだけだ。……むしろ、今日なんでギルドに顔出した? 今ので大体の事情は察したよ、今日は娘さんの機嫌取りに時間使ってやれ」

「……む。そうか、そうだったな。いつも通り送り出されてしまったから、つい普通にここに来ちまった」

「失った信用は、そう簡単には取り戻せない。昨日の過ちは、今日のうちに清算しておけ」

「ああ。恩に着る、バーディ」

 

 バーディに諭され、俺は自分の間抜けさに気が付いた。何故俺は、あんなことがあった翌日に普通にギルドに顔を出しているんだ?

 

 エマのため、1日使ってやるのが大人だろう。

 

「すまない、俺はもう帰る。今日組む予定の奴等に、悪いと伝えておいてくれ」

「わかったわかった。頑張れよ、ペニー」

 

 こうして俺は、ギルドを早退しエマのもとへと駆け出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いらっしゃいませ!」

 

 ……確か、この店だったよな。

 

 俺は、少し寂れた風情のある飲食店の戸を潜った。この店は隠れた人気店らしく、まだ昼前だと言うのにちらほらと客が談笑している。

 

「あー。そうだな、お勧めは?」

「今の季節ならぺディア牛定食がお勧めです」

「じゃ、それ1つ」

 

 ニコニコと笑う店員に案内され、俺は角の一席に座った。この小さな飲食店で、エマは厨房係として出稼ぎしていると聞いている。

 

 エマの厨房の仕事は昼過ぎまでで、昼からは市場に赴き俺の狩ってきた素材を売り払ってくれているのだとか。この世界での金銭面はエマにおんぶだっこ状態である。

 

「……うお、ペニー様じゃん。どうしたの?」

 

 とりあえず、店でエマを待つことにして。俺に料理を運んできた店員は、同じく出稼ぎ中のオンディーヌだった。

 

 彼女はどうやら、ホール担当らしい。オンディーヌは黙ってさえいれば黒髪ロングな美少女なので、妥当な采配だろう。エプロンドレスを身に纏った彼女は、成る程、すごく清楚な印象を受けた。

 

「パーティ組む予定のメンツが病気で倒れたらしくてな。今日は解散になったのさ」

「……ふーん。ま、なら今日はエマ様を慰めてあげなさい。あの子ただでさえ性格捻じ曲がってるのに、これ以上性格歪んだら取り返しがつかないよ」

「エマちゃんは優しい子なんだぞ、マジで。少し人間不信になっているだけだ」

「だったら尚更、ペニー様が裏切ったらダメでしょ」

「本当にな。……昨日は、久しぶりの酒で浮かれちまった。大人として恥ずかしいよ」

 

 オンディーヌから冷たい目線が飛んでくる。本当、昨日に戻って何もかもやり直したい。

 

「昼からは、エマの商談に荷物持ちとして同行するつもりだ」

「良いんじゃない? 私が厨房に戻ったら、エマ様にそう伝えておくよ」

「助かる、オンディーヌ」

 

 だが、時間は巻き戻らない。ならば今日の行動で、失った信用を取り戻すしかない。

 

 そして俺はエマに伝えるべき言葉を、心の中で練り上げていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……お待たせしました、ペニーさん」

「ああ、エマちゃんお疲れ様。今日は依頼が中止になってね、悪いけどエマちゃんについて行っていいかな」

「ええ。私一人では抱えきれない素材を運べますので、すごく助かります。今日は大きな商談ができそうです」

 

 仕事を終え俺と合流したエマは、表面上は普段と変わらぬ態度で俺と接してくれた。だが、昨日より心の距離を感じるような気がする。

 

 まだ無知なエマは、俺がパルメちゃんにナニをする気だったかまで分からないはずだ。だが、幼子特有の鋭敏な勘で、俺の下劣で邪な感情を感じ取ったのかもしれない。

 

「……」

「……」

 

 沈黙が、場を支配する。

 

 ふと見えたエマの顔は、表情を隠そうと必死な様に見えた。いつもどおりの表情を顔面に貼り付けようと、彼女はもがいている。それは即ち、俺に対して思う所があるのだろう。

 

「────なぁ、エマちゃん。部屋で、少し話をしないか」

 

 俺は。

 

 素材を取りに宿へ帰る道すがら、手を繋いでくれなくなったエマの背中から、そんなお願いをしてみた。

 

 彼女は前を向いたまま振り向かず、小さく頷いた。

 

 

 

 宿は、やはり狭い。

 

 大人と子供がギリギリ泊まれるスペースしかない。俺はエマと向かい合い、数十センチの距離で見つめ合った。

 

 彼女の瞳は光に揺れ、唇はわずかに引きつっている。

 

「エマちゃん。昨日の件で、話があるんだ」

「……はい」

 

 こんな気まずい空気は嫌だ。彼女の信用を取り戻したい。俺は、先制攻撃として土下座を敢行した。

 

「昨日はエマちゃんをすっぽかして、女の子と飲みに行ってスミマセンでした!!」

 

 男なら軽々しく頭を下げるな? 逆だ、男こそ頭を下げれないほうが恥ずかしいのだ。悪いことをした自覚がありながら頭すら下げれぬ奴を、誰が信用するものか。

 

「……え?」

「もう二度といたしません! だからどうか、これからも俺の旅についてきてください! エマちゃんがいないと、俺は路頭に迷います! もちろん魔王軍に襲われても、エマちゃんは俺が命をかけて守ります! だから昨日の1件、どうか許してください!!」

「……え!? ちょ、ちょっとペニーさん?」

 

 出来るだけ真摯に。俺は真っ直ぐな感情を込めて、エマに謝った。

 

 万が一。万が一エマに愛想をつかされたら、俺の異世界生活は終了である。俺の旅の戦闘以外ほぼ全てはエマによって賄われているのだ。彼女は俺にとって、切っても切れぬ関係と言える。

 

 いや、そもそも悪いのは俺である。謝るのが人として当然だろう。

 

「あ、えと。ペニーさん、ペニーさん」

「何でしょうエマちゃん」

「あ、その。私に怒るつもりじゃ無いのですか?」

「エマちゃんに怒る? 何を?」

 

 そんな俺の謝罪を聞いた当の本人エマは、目をぱちくりと見開いて、困惑した表情で俺を見ている。

 

 何故かエマは、自分が怒られると思っていたようだ。

 

「その。昨日は、色々と取り乱してすみませんでした。ギルドで情報を集めると言う話なら、酒の場に顔を出すのも当然ですし、女性を連れ出すのも予想して然るべきなのに」

「あ、いや。あれは情報収拾の一環とかではなくて────」

「何だか、無性に腹が立ってしまったんです。ペニーさんが、知らない女に抱きつかれて歩いているのを見ちゃって。何であんなに取り乱したのか自分でもよく分かりませんが……。私の方こそ、すみませんでした」

 

 そう言うと、ペコリ、エマは俺に頭を下げた。

 

 ……この展開は予想していなかった。エマちゃんは、そんな風に考えてしまっていたのか。

 

 これは、好都合である。

 

 このまま、お互いに謝って済ませてしまえば良い。エマは俺に対し責めるつもりは無いようだ。ならば俺は笑顔を作り、エマを許してお互い様と言うことで────

 

 

 

 

 

 

 

 

 ────そんな不誠実で甘えた選択を、大人がして良い訳ないよな。

 

 

 

「いや。エマちゃんは悪くない。昨日の件は、すべて俺に責任があるんだ。聞いてくれ、エマちゃん」

「え、ですが私の方こそ……」

 

 俺はエマの謝罪を遮り、よりいっそう深く頭を下げる。悪いのは俺だったと、エマに分からせるために。

 

「俺は間違えたんだよ。久しぶりに酒を飲みたい、そんな身勝手欲望に溺れて大事なものを見失ったんだ、だから俺が悪かった」

「……大事なもの、ですか?」

「そうさ。俺は────」

 

 言い切ろう。エマは罪悪感を感じる必要なんて無い。エマに不安な思いをさせる、そんな大人(オレ)が間違ってないはずがない。

 

 俺はゆっくりと顔をあげ。キョトンとオレを見つめているエマを、真っ正面に見据えて、こう続けた。

 

「俺には! エマちゃん以上に大事な存在なんていない!!」

「……っ!?」

 

 

 よし。言い切ってやった。

 

 

 今日エマに一番伝えたかったのは、この言葉なのだ。エマにはもう、『捨てられるかもしれない』なんて寂しいことを考えさせたくない。

 

 俺は、エマをこの上なく大事に思っている。だから、エマが望む限り、ずっとずっと一緒にいてやりたい。それが、エマを拾った俺の、エマを託された俺の責任だ。

 

「…………は、その、えっと! ぺ、ペニーさん?」

「何だ?」

「それはその、今のはどういった意味のアレなんですか? いや、その、ひょっとしてそう言うアレだったりするんですか!?」

「アレ? ……よく分からんが、言葉の通りだ。エマが望むなら、ずっと俺の傍にいて欲しい」

「ふぇ、へぇぇぇぇ!?」

 

 とは言え、正面からそう言うことを言われると、エマも流石に照れ臭かった様だ。

 

 エマは顔を赤らめ、パクパクと口を開き俺から目を背けた。

 

「えっと、ちょっと待ってもらって良いですか! ちょっと待ってもらって良いですか!?」

「ん? ああ、どうしたエマちゃん」

「いえ、その、整理を。心の整理とその他もろもろの覚悟の時間を!」

「よ、よく分からんが頑張れ」

 

 顔を赤く染め上げたまま、彼女は俺に背中を向けてブツブツと呟き始めた。

 

 ……エマは、随分と照れ屋さんらしい。そう言えば人見知りが激しいって、エマの姉も言ってたっけか。彼女にも、こんな年相応の一面が合ったとは。

 

「その、ペニーさん。決まりました、心を決めました」

 

 そんな彼女を微笑ましく眺めていたら。やがてゆっくりとエマは振り向き、改めて俺に向き合った。

 

「ペニーさんが宜しいのでしたら。私もずっと、貴方のお側においてください」 

「うん、願ってもないことだ。エマちゃん、これからもよろしくね」

「ええ。……貴方なら、私の生涯を預けられる。預けるに足ると、信頼していますので」

「勿論だ。どんな危険な敵が襲ってきても、エマちゃんに傷一つ付けさせない。神様に誓うよ」

「…………ありがとう」

 

 エマの返事は、肯定的なものだった。

 

 これから先も、ずっと俺の旅についてきてくれるらしい。危険な魔王と戦うかもしれないのに、俺を信頼してくれると言ってくれた。

 

 嬉しくて、涙が出そうになる。裏切るわけにはいかない、幼く真摯な彼女のこの信頼を。

 

「……そ、そ、それじゃあ。そうだ、まだ今日は市場に行ってないんでした、その、ペニーさん一緒に……」

「うん、行こうか。エマちゃん、どれを持っていけば良いかな?」

「は、はい。その、私一人では大きな魔獣皮をどうしても持ち運べなくて。ペニーさんお願いしますね」

「おうとも」

 

 まだ赤い顔をしているエマに指示されながら。俺は魔獣皮を持ち、エマと共に部屋を出た。

 

 そんな彼女は、遠慮がちに俺の腕に抱き付いて歩き出す。手も繋いでくれなかった先ほどとは違う、確かなエマからの信頼を感じる。

 

 良かった。俺は、昨日の不祥事を挽回できたらしい。

 

 

 

 

 

 

 ────エマと連れ添い、仲良く宿を出るその時。ちらりと宿の入り口に立つ受付の爺さんが目に写った。

 

 とんでもなくおぞましい性犯罪者を見る目だった。俺、何かやっただろうか。

 

 

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