ロリてんっ! ~ロリコン勇者が転移して、幼女ハーレム作ります~   作:ナマクラ(本物)

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第十三話「ナローシュ」

「ペニーさんは今日、何時頃に帰られますか?」

 

 満面の笑みとはこの顔の事だろうか。

 

 昨日とは一転しご機嫌が天元突破しているエマは、ウキウキと楽しそうに俺の腕にべったりとくっついて離れない。

 

「今日は、悪いが泊まりの予定だ。野外遠征でちょっと遠いところに狩りに行く」

「……そんなぁ。寂しいです、ペニーさん」

「ごめんね。でも、エマちゃんの為に俺も手早く済ませて帰るからさ」

 

 彼女は拗ねたように口を尖らせ、嫌々と首を降りながら俺の腕を強く抱き締めた。

 

 俺の言動で一喜一憂するエマを見て、随分と表情豊かになったと思う。エマは今までは少し猫を被っていたというか、一線を踏み越えぬように立ち回っていた気がする。

 

 やはり、昨日の話し合いが効いたのだろう。気のせいではなくエマとの間の心理的な壁が壊れ、グッと距離が近くなった。

 

 これで一安心だ。エマとの関係も修復できたし、何より彼女を笑顔に出来た。昨日休ませてくれたバーディやギルドのみんなに感謝だな。

 

 

 

 

 

「……たまげたなぁ。絵面が犯罪そのもの、と言うレベルを超えている。これは、これは通報案件ですね。哀れ、ロリコン中年オヤジは電気椅子で爆発四散……」

 

 そんなエマとのふれあいタイムを、ジィと眺めていたオンディーヌがボソっと不穏なことを呟いている。

 

 何やら彼女に誤解されているらしい。まぁでも、放っておいてもエマがうまく誤解を解いてくれるだろう。

 

 俺はオンディーヌを放置し、可愛いエマからお出かけのキスを頂戴して元気いっぱいギルドへと出勤するのだった。

 

「早く帰ってきてくださいねペニーさん!」

「……異世界だとこの年齢差もアリなのか? いや、無いだろ。やっぱりガードに……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 さて。俺は朝早くのギルドのフロントに到着し、ノンビリと武具の手入れを始めた。とは言え、もうすぐ買い換える予定なのだが。

 

 ギルドの面々と親しくなり武器防具の情報は集まってきたので、今手が届きそうな範囲の武具は注文済みである。あとは、出来上がりを待つばかり。

 

 つまり、そろそろ本格的に仲間の勧誘を始めないといけない時期だ。今日一緒に遠征する仲間は、バーディをはじめ俺と仲の良い実力派の面々。今日何とか一人くらい、口説き落としたいものである。

 

 勧誘方法は単純至極、自分の正体は勇者だと明かし魔王を倒す旅についてきてくれと頼む。だから闇雲に勧誘するわけにはいかない、最低限秘密は漏らさないと信用できる人間を誘わねばならない。

 

 今のところバーディが第一候補だ。仲も良いし、腕も立つ。

 

 バーディは戦士職なので、彼以外にも魔法を使える味方も勧誘しておきたい。バーディはかなり顔が広く、彼さえ味方に引き込めれば他のメンバーの勧誘も楽になるだろう。

 

 今日あたり、思いきって誘いをかけるつもりである。

 

「ペニーじゃん、相変わらず早いね。今日はヨロシク」

「お、オッサン発見。頼りにしてるぜ」

 

 ギルドに到着し暫くすると、今日一緒に仕事をする予定の仲間達が話しかけてきた。

 

 彼らも大事な仲間候補だ。俺も顔をほころばせ、挨拶を返す。

 

「アンジェ、ロイ、おはようさん」

 

 愛しいエマの笑顔のため、俺は今日も働こう。明日エマの元に帰って、彼女の作る料理を楽しむために。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「バーディのやつ、遅いな」

「……また商売女と一晩中ハッスルしたんじゃない?」

「アイツの女癖、治らねえよなぁ。アンジェも手を出されてたっけ?」

「あんなの相手にせんわ! 気色悪いこと言うな!」

 

 そして、出立時刻。

 

 その、勧誘第一候補のバーディは盛大に遅刻していた。ヤツは時折、こういうポカをやらかす。

 

 これさえ無ければ割りと完璧な男なのだが。

 

「仕方ねぇ、もうちょい待つか。昼までには流石に来るだろ」

「今回アイツの報酬半減な」

「やれやれだ」

 

 アンジェにロイは、苦虫を噛み潰したような表情でドサリとベンチに腰かけた。

 

 かくいう俺も表情は渋い。出立が遅れたら、それだけ帰る時間も遅れてしまう。エマに会える時間が遅くなってしまう。

 

 バーディめ、遅刻するくらいなら女を抱くなよ。

 

「……ん?」

 

 バーディを旅に誘うの、一旦考え直そうか……。等と考えながらノンビリとギルドの受付の方向を眺めてみて。

 

「こ、困ります……」

「良いから上を出せって! お前じゃ話にならん」

 

 ガヤガヤと受付周囲が騒がしくなっており、時折罵声も聞こえてくる。揉め事が起きているらしい。

 

 見れば、受付嬢は困った顔で冒険者を宥めており、冒険者の方はヒートアップして騒いでいる。

 

「なんだろね、アレ」

「ギルドが報酬額間違えたか? 受付ちゃんも災難だな」

「ふむ。ちょっと見過ごせんか」

 

 揉め事の内容は分からないが、その冒険者は受付嬢に詰めより、脅しをかけている。

 

 あれはやりすぎだろう。冒険者の方が戦闘力があるのだ、力で脅されたら受付嬢はたまったものではない。少し頭を冷やしてもらう為にも、仲裁に入ろう。

 

「もうすぐここを去る俺が割って入るのが無難だろ。ちょっと待っててくれ」

「ペニー、任せる。すまんな、貧乏クジばっか引かせてよ」

「ペニーなら喧嘩になっても大丈夫だしね。やばかったら援護に入るから」

 

 そんな二人に励まされながら、嘆息し俺は受付へと向かっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今すぐ金が要ると言ってるだろう。本人が問題ないと言ってるんだ、良いから上を呼んでこい!」

「ですから、討伐依頼はきちんと研修を終えてから……」

「お前の立場じゃ、そんなお役所仕事しか出来ないんだろ? だからキチンと立場のある人間出せって言ってるんだ。話が進まないだろう!」

「ですから! ウチはそう言うルールなので、気に入らないんでしたら別の場所へ行って稼いできてください。上へ取り次ぐ必要もありません!」

 

 その、冒険者は若かった。

 

 十代半ば、といったところだろうか? 一組の男女パーティが、受付嬢へと詰めより凄んでいる。

 

 男の側は鼻息荒く依頼書を突きつけて叫んでおり、女の側はオロオロとそんな男を諌める素振りを見せては、無言で口をパクパクと開いて困っていた。

 

 そして男の持っているその依頼書は、高額報酬の討伐依頼だった。成る程、状況は飲み込めた。

 

「だからお前じゃ話にならないって言ってるだろ! 良いから上に────」

「ストップだ。おい、受付ちゃん。このガキんちょ追い出すのに手を貸そうか?」

「あ、ペニーさん。お騒がせして申し訳ありません」

「良いって。大体事情は把握したから」

 

 その若く刺々しい冒険者と受付の間に俺は割って入り、その二人を改めて直視する。

 

 受付と彼の会話の一端を聞いただけだがおそらく、彼らは研修を受けずに討伐依頼を受けたいとごねているのだろう。

 

 そんな若く無法な二人は、なんともヒョロっちい体躯をしていた。何故その体でそこまで強気に出られるのか、と思えるほど弱々しい。

 

 だが、その目だけは自信に溢れ帰っていた。

 

 きっと若すぎるのだろう。自分は何でも出来る、その様な万能感に取り憑かれてしまっている。だかこんな身の丈に合っていない無謀な依頼を受けようとしているのだ。

 

 割って入って良かった。うまく仲裁すれば受付嬢の為だけでなく、彼らの身の安全も守る事になる。

 

「何だよオッサン。お前には関係────」

「あるよ。俺はここのギルドに所属して日銭を稼いでるペニーってもんだ。ウチの大事な同僚に手を出されちゃ困るんだが」

 

 そこまで言うと、俺は少し強引にその男を受付から引きはがした。コイツがずっと騒いでいると、他の冒険者にも迷惑がかかるのだ。

 

「研修が受けたいなら、今度俺が付き合ってやるよ。だから今日はとっとと帰りな? もっともその貧弱な身体じゃ、合格なんか言い渡せられねぇだろうがな」

「……はぁ。本当にいるんだな、ギルドで難癖付けてくるチンピラのモブ。まぁ良い、これも通過儀礼というか様式美だし」

 

 男を引きはがすと、共に旅をしていた女も黙って追従してきた。これで、あとはこのバカを説得してやるだけだ。

 

「そうだ、良いこと考えたぞ。おい受付、コイツは討伐依頼が受けられるのか?」

「え? はぁ、ペニーさんはギルドの研修を終えてますし、討伐依頼の研修指導できる立場ですが」

「そうか。じゃあ、今からコイツを決闘でボコボコにするよ。そしたら、上の人に取り次いでくれ」

 

 さて、この若者をどう説得しようかと頭をひねっていたら。ヘラヘラと笑ったままの男は、俺に剣を突き付けてそんなことを言い出した。

 

「お、オイオイやめとけよ。お前みたいなひょろいのが俺に勝てるもんか」

「何だ、怖いのか? 僕に立ち止まっている時間はないんでね、研修なんか受けている余裕はないんだ。お前は僕の踏み台になってもらう」

「何言ってんだコイツ。あー、つまり一丁揉んでほしいんだな? 仕事仲間が来るまで時間はあるし、付き合ってやってもいいぞ。ただし、外でな」

「よし言質は取ったぞ。あー、それと一つ忠告しとく。ちゃんと本気で来いよ? 負けても油断しただの騙し打ちだの、見苦しい言い訳をしないでくれ」

 

 男はそう俺を嘲ると、高笑いして持っていた剣を柄に収めた。

 

 ……こ、この圧倒的な自信はどこから来るのだろうか。

 

 俺はコイツと話していて徐々に、恐怖感を抱き始めていた。戦うのが怖いのではない、こんな凄まじく勘違いした人間が存在する事に恐怖しているのだ。

 

 人間性というのは、育て方により大きく左右される。今はあまり心配はしていないが、もし俺がエマの育て方を間違えてしまったらこうなる可能性もある。

 

 今の彼女は素直でまじめで愛くるしくて、最近ちょっと優しさは欠如気味だけど、根は他人のために涙を流せる良い子なのだ。

 

 間違ってもエマをこんな恥ずかしい奴に育てるわけにはいかない。この男を見て、こうは育てないぞと俺は心に固く誓ったのだった。

 

「あ、あの、決闘はやめた方が……。アイツ、本当に迷惑な奴なんですが、無茶苦茶に強くて手加減も知らない奴なので」

「ん?」

 

 意気揚々とギルドの外へ出て行ったその男に聞こえない様、連れの女が俺に耳打ちしてきた。

 

「今からでも何とか戦わなくていいようにボクも説得するので、貴方もあんまりアイツの挑発に乗らないよう……」

「ほー。アンタ、良識的なんだな。だが安心しろ、俺も腕に覚えはある。鼻っ柱の伸びたガキに、社会の厳しさを教えてやるのも大人の仕事だ」

「いや、アイツはただのガキじゃなくて核兵器みたいなガキというか。あ、こっちじゃ核兵器って言っても伝わらないのか。えっと、とにかくすごく強くて……」

「わかったわかった」

 

 俺は小さくため息をついて、心配性な女に手を振った、

 

「アンタはあのガキの連れなんだろ? アイツから吹っ掛けてきた勝負だ、アイツが怪我しても俺は治療費払わないからな。今のうちにギルドで、ちゃんと信頼できる治療施設探しとけ」

「え、いやボク回復術師だからそれは大丈夫で、単純にあなたを心配して────」

「お前らみたいな年の奴に心配されるほど落ちぶれちゃいないよ。じゃあな」

「────はぁ。忠告しましたからね」

 

 こうして。

 

 俺は少し無駄な時間を取られつつも、生意気な若造の鼻をへし折るべくギルドの前の広場へと足を運んだのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、あれー?」

 

 案の定。その若造との決闘は数秒で決着した。

 

 経緯は単純だ。決闘開始直後、何やら男が剣を掲げてゴニョゴニョと唱えだしたのを見て、俺はそのわき腹をぶん殴っただけである。地面にたたきつけられた男は、そのまま唸って動かなくなった。気を失ったらしい。

 

 ある程度手加減はしたから、大怪我を負ってはいないだろう。せいぜい数メートル吹っ飛んだだけだし。

 

「あのメロが一撃KO? てか、あの移動速度は何? ギルド所属の戦闘職ってこのレベルなの? あれがこの世界の戦闘水準なの?」

 

 女の方を見ると、完全に混乱しきっている。あのひょろい若造を強いと信じ込んでいたんだろう。

 

 確かに、あの男は口がでかそうだ。この娘はまんまとあのバカの口車に騙されてしまったらしい。可哀想に。

 

「おい、何の騒ぎだよペニー」

「……バーディ。今頃来たのか」

 

 そんなむなしい勝利に酔っていると、聞きなれた声が聞こえてきた。

 

「あー、悪い悪い。寝坊だ、許せ」

「アンジェ達にも謝ってこい、俺達は朝からずっと待ちぼうけだ」

「悪かったって、そう怒んなよ。昨日はジェニファーちゃんが寝かせてくれなくてな? あのでかいオッパイを前にしちゃ────」

「……」

「いや、悪かったって。睨むな睨むな」

 

 先ほどの若造との一件は、どうやら丁度よい時間つぶしになったらしい。決闘が終わってギルドに戻ろうとしたあたりで、待ちわびていたバーディが俺の背に立っていた。

 

「時間が惜しい。とっとと出発するぞ」

「はいよ。受付しとくから、アンジェとロイ呼んできてくれ」

「お前、今回の報酬半減だからな」

「ゲッ」

 

 こうして何とか昼前までに、俺達は討伐依頼へと出発する事が出来た。早めに仕事を終わらせて、何とか明日の日が高いうちに帰還したいものだ。

 

 申し訳なさそうに笑うバーディの尻を蹴飛ばしながら、俺はアンジェとロイの元へと歩いていった。

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