ロリてんっ! ~ロリコン勇者が転移して、幼女ハーレム作ります~   作:ナマクラ(本物)

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第四話「幼女と檻」

「到着です」

 

 平原の野草を風が揺らし、降りかかる日照りが街の外壁を照らす。俺の背中でエマちゃんが、目前に広がる寂れた雰囲気の中世ヨーロッパのような街並みを指さした。

 

 外壁の中には石造りの家に、風車が所々に見受けられる。そしてたくさんの、剣や盾の看板を出した店が目を引いた。

 

「あれが、私たちの目指した街。マクロ教徒の聖地のひとつ、オトラリゴ神殿の建つ中規模の集落。すなわち鉄鋼都市『オトラ』です」

 

 キングリザードとの戦いから、3日。俺とエマは、幸いにもモンスターと遭遇することなくこの危険な平原を抜けて、目的地へと到着したのだった。

 

 

 

 

「鉄鋼都市、ね」

「ええ、オトラには特別珍しい資源はありません。しかし首都ペディアに近く、近郊の山から鉄などの鉱山資源の仕入れがしやすい立地なので、この地に鍛冶職人が集って集落を作りました」

「鍛冶師の聖地、てことか」

 

 鉄鋼都市ってなんの事かと思ったら。要するにこの街は、生産職の人間の集落らしい。リザードの肉とか皮が売れれば、エマに防具を買ってやれるかも。

 

「私や姉様が逃げ出した山の麓の村には銅鉱がありまして、あそこの住人はオトラへと銅を卸すことで生計を立てています」

「あー、成る程ね。エマちゃんは物知りだなぁ」

「私は商人でしたから。あ、ペニーさんが持っているキングリザード素材の販売交渉を、私に任せていただけませんか? きっと、上手にやれますよ」

「お、そっか。じゃあエマちゃんに任せるかな」

「はい!」

 

 ピョコピョコと跳ねながら、エマは自信ありげに頷いた。可愛かったので撫でておく。

 

 子供に交渉事を任せるのは心配だけど、リザードの皮くらい俺が頑張ればすぐ手にはいる。今回は、商人の娘だというエマに任せてあげよう。

 

 やる気になっている子供には、極力やらせてあげるべきなのだ。

 

「あ、それと。ペニーさん、オトラに入る前にいくつか取り決めしたいことがあります」

「ん? なんだい」

 

 取り決め、か。確かに、エマが迷子になった時の集合場所等を決めておかないと不便だな。エマは実によく気がつく娘だ。

 

 と、再びエマを撫でようとした俺が聞かされたのは、少々予想外の内容だった。

 

「私は、ペニーさん所有の奴隷として扱ってください」

「……エマちゃんは、旅仲間のつもりでいるんだが?」

「はい、とてもありがたいです。ですが、マクロ教徒は逃亡奴隷に厳しい教義を持っています。こんな服装をした私が奴隷じゃないと分かれば、間違いなく問いただすでしょう。つまり、私はすっごく怪しまれます」

「ああ、成程」

「逆に私が奴隷と名乗れば、みなが納得して誰も怪しまないでしょう。……奴隷である私は、ペニーさんののいう事には逆らえません。変な命令とかを出して、ボロが出ない様に協力をお願いします」

「そっか、了解。」

 

 エマちゃんに奴隷のふりをさせるって事ね。こんなみすぼらしい姿だからしょうがないのかも。

 

 よし、決めたぞ。俺は、この街でエマちゃんに似合う服も手に入れる。

 

「あと、宿屋では大抵奴隷用の檻が置いてますので、私はソコに入れてください。間違っても私の部屋は取らないでくださいね」

「……え、檻って何?」

「そのまま、奴隷を入れておく施設です。人間一人がギリギリ入る程度ですが、私は小柄なので十分なスペースを得ることが出来ます。なので遠慮なく、奴隷檻に入れて下さいな」

 

 うわぁ。奴隷の扱いって、そんなに悪いのか。俺にはできないぞ、こんなに可愛くて愛らしくて聡明でぷにぷにの美幼女を檻に入れるなんて。

 

 悲しくて涙が出てくる。子供に、何より大切な国の宝に、俺はなんと過酷な環境を強いねばならないのだ。

 

「な、何を泣いているのですか!? ペニーさん、どうしました?」

「嫌だぁ……。エマちゃんにそんなひどい扱いするなんて、俺にはできないよぉ……」

「ええ!? いや、私は大丈夫なので気にしないでください。キングリザードの皮素材があるとはいえ、売ってもあまり大した額にはならないでしょう。ここは節約の意味も込めて……」

「檻に入れるなんて、そんなこと出来ないよぉ……。ひーん……」

「大の大人がマジ泣きしてます!?」

 

 

 その後、俺はエマちゃんの必死の説得によって何とか落ち着いた。

 

 よし。絶対に服を買おう。エマちゃんを奴隷扱いしないで済む、そんな服を。

 

 

 

 

 

 

 

 

「決死の覚悟で獲ってきた、キングリザードの素材ですよ。ご主人様が、私以外の奴隷や護衛をすべて失ってやっと手に入れた素材です。叩き売りする素材ではありません。相場以下で買いたたかれるのであれば、別の店に持っていくだけです」

「お嬢ちゃん、相場なんて難しいことをよく知っているね。でも、このあたりじゃこれが適正価格さ。別の店に行くなら行きなよ、この値段じゃないとウチも足が出る。ただし、次に来ても今と同じ値段で買い取ってもらえると思わないことだね。ま、ここらで一番高く買い取っているのはウチだって、すぐ気づくだろうさ」

「ボロがでましたね。本当にここがここらで最高額の買取であるのなら、むしろ積極的に他の店を回って確かめてもらいたい筈。一度この店を離れてしまえば同じ値段で買い取らないと言っている時点で、この素材を買い叩いているのが見え見えです。残念ですが、貴方の店とは縁がなかったようですね。向かいの通りにも素材買取をしている店はあったのです。そちらに行きましょう、ご主人様」

「……オイオイ、こんな子供に交渉させるとは馬鹿なのかと思ったが、成程鋭い奴隷をお持ちの様で。負けた負けた。ご主人、2500Gでどうだい? 正真正銘、ウチに出せる最高額さ」

「ご主人様、頷かないでください。まだ相場以下の値段です。向かいのお店に持っていかれるのはまずいのですか? 見るからにお客を食い合ってますものね。向こうがキングリザード素材なんか手に入れたら、貴方の店は大層苦しくなるでしょう。貴重な素材を求めてたくさんの商談が向こうには飛び込む。あなたは、客が吸われていくのを見ているだけ」

「残念だったね、ウチは既にキングリザード素材の在庫は数個持ってるんだ。貴重な素材とはいえそこまで足元を見られる筋合いは────」

「先ほど風の噂で聞きました。ここ1年ほどキングリザード討伐がされていないそうですが? ……本当にあなたの店に在庫があるのでしたら、あまり高価買取りは期待できませんね。最後に確認しますが、本当にこの素材を向かいの店に持って行ってもよろしいので?」

「分かぁった!! 分かった、いくらだ、いくらなら売るんだ」

「6000G。ビタ1文負かりません」

「ま、その辺だろうな。くそったれ、足元見やがって」

 

 

 

 

 二人ともよく口が回るなぁ。

 

 エマちゃんは爛々と目を輝かせながら、髭の生えた中年の商人相手に一歩も引かずに交渉をして。中年のおっさんも飄々としながら、隙あらば素材を安く買い叩こうと画策する。

 

 (おじさん)はすっかり蚊帳の外で、ブラブラとトカゲ(キングリザード)皮を持ちながら、ピョコピョコ動くエマの後頭部を見つめていた。

 

 

「ほうら代金だ持ってけ、その代わり素材は全部おいてけよ。相場以上で買わせておいて、まだ素材を隠し持ってました、向こうの店にも素材持ってきますなんて言い出したら死ぬまで付け回すからな」

「ええ。こちらの店の方が羽振りがよさそうだったので、この店で買い取ってもらったほうが高く売れると踏んだのです。わざわざ隠し持って向こうに売ったりなんかしませんよ、そうするくらいならこちらに持ってきます」

「よく見てるね。おいアンタ、良い奴隷を買ったよ。大事に使ってやんな」

 

 素材屋らしきオヤジは、俺をみて不満げにエマを誉めた。

 

 彼女は奴隷じゃない。と、口元まで出かかったけど、約束があるから口をつぐむ。代わりに、鼻息荒くやりとげた顔をしていたエマの髪を撫で、愛想よく返事をした。

 

「ええ、俺にとって何より大切な存在(どれい)ですよ」

「そか。んじゃ、もしまたキングリザード素材を手に入れたらうちに来てくれ。どうぞご贔屓に」

「もう二度とキングリザード戦なんて御免です。そもそも私達は旅人なので、長期間滞在するつもりもありません」

「そいつぁ残念」

 

 そんじゃあな、と商人は笑って手渡したキングリザードの皮を袋にしまう。俺もオヤジに軽く会釈して、エマと手を繋ぎながら街へ出た。

 

 右手にはエマの柔らかな手の感触。左手にはズシリと重い貨幣の袋。商談は大成功だ。

 

「話の分かる商人はやはり良いですね。キチンと他店に持ち込まれた際のリスクにまで頭が回り、相場以上の値段でもこうして買い取ってくれます」

「そこまで考えてこの店に入ったんだね。エマちゃんはもう立派な商人だ」

「いえ、お父様やお母様ならきっと、今の交渉ならもっとお金を出させていたでしょう。せっかく足元を見ていたのに、6000Gは少し安かったかも……。反省です」

「……商人って、すごいんだね」

 

 思った以上に、エマが有能な件。次からも、交渉事はエマに任せて問題無さそうだ。

 

 と、同時に気付く。俺の存在価値って、勇者としての身体能力だけなんじゃ……。もう戦闘以外は全部、エマちゃんに任せちゃっていいのかもしれない。

 

 幼女の紐になる。うん、アリだな。

 

「さて、そろそろ日が暮れます。この時間からは、店も閉まっていくでしょう。今日はもう宿屋を取って、一泊して明日に買い物をしましょう」

「そうだね」

 

 幼女に任せきりと言うのは気が引けなくもないが、俺はこの世界の物価の相場はおろか、常識やルールすら知らないから仕方がない。

 

 エマがいてくれたから、今まで何とかなっている節もある。これからもエマに色々と頼っていこう。ぐふふ、なんとも情けねぇ。

 

 それもこれもあの駄女神がチュートリアルを適当に済ませたからだ。許せん、これだからババアは。

 

「っと、あの辺が宿屋ですね。確か、この通りの奥から二番目の宿が比較的安くて飯がおいしかったです。以前、この街に商談に来た時に泊まりました」

「そうなんだ、じゃあそこにしようか」

「1泊なら確か100Gだったですね。奴隷檻が20か30G、30Gの檻なら奴隷用の飯がつきます」

 

 奴隷檻。その単語に、俺は思わず顔をしかめた。

 

 俺とエマが歩いている宿屋通りには、一人用の狭い鉄格子に入れられ、三角座りで俯いている半裸の人間が散見していた。恐らく、あれが奴隷檻だろう。

 

 ふと、檻の中の人間と目が合う。なにも考えてなさそうなその男は、薄汚れた布で腰だけを隠し、微動だにせず俺とエマを見つめている。

 

 ……入れなければ駄目なのだろうか。この愛くるしいエマを、あんな動物園で使うような檻に。

 

「……やっぱり、ダメだよ。エマちゃん、ここは200Gだして俺と一緒にの部屋に……」

「ダメです。奴隷の為にワザワザ部屋をとるなんて、絶対怪しまれます。奴隷檻はもう一度経験しているので、お気になさらず」

 

 我慢できずに二人部屋を借りようと説得してみたのだが、エマは頑として譲らない。自分が檻に入るのを、当然のことだと受け入れてしまっている。

 

 今宵エマは寂しく独り檻の中で、あの男のように体育座りして眠るのだろうか。

 

 俺の倫理観的には、絶対に許容できない話だ。何としても、エマちゃんをふかふかのベッドの上に寝かせてやりたい。

 

 何か、説得材料は……

 

 

 ────そして、気付く。

 

 良く見ると、奴隷檻に入っている人間は殆どが男だった。女性も居ないわけではないが、大半が男。

 

 女性の奴隷は少ないのか? それとも────

 

 

 

 こうして俺は、天啓を得たのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いらっしゃいませ、食事ですか、お泊りですか?」

「泊まりだ。男一人、奴隷一人」

「畏まりました、旦那様は100G となります。奴隷はどうなさいます? 奴隷檻に素泊まりなら20G 、食事を付けますと30Gとなります。今の季節ですと野草と芋粥のスープを奴隷にお出ししていまして、栄養価も高く安価に奴隷に栄養を与えることが────」

「彼女は俺と同じ部屋に。二人部屋を用意してくれ」

「ちょっ!?」

 

 やっぱりエマを奴隷檻になんか入れられる訳がない。あんな安っぽいトカゲ皮が6000Gにもなったんだ、今はお金に余裕はある。

 

 それに、ちゃんとエマが怪しまれずに済む方法も考えてはいるのだ。

 

「当宿には、奴隷檻がございますよ? わざわざ部屋に奴隷をお入れなさるので?」

 

 受付嬢のいぶかしむ目。エマの焦ったような目。

 

 二人の視線を正面から受け止めた俺の発言は────

 

「ああ、今日はこの娘と一緒に寝る。○○○や×××は持ち込んでも構わんな?」

「っ!?」

 

 遠回しにエマを性奴隷扱いするものだった。俺ってば最低だぜ。

 

 受付嬢の目が見開き、額からダラダラと汗が流れ出る。エマは理解できない単語に首を傾げ、胡散臭そうに俺をみている。ゴメン、今とんでもないことを口走っているから、絶対に質問しないでね。

 

 やっぱこの世界にもあるんだな、模擬チ○コ(ディ○ド)にロ○ション。

 

「あ、あー、そういう……その、少々幼くは……いや、その、お客様の趣味に口を出すわけではないですが」

「ああ、どうせ口に出すならこの娘に出させてもらう。良いから早く二人部屋を用意してくれ、情欲も限界なんだ。あまり音が響かないよう、角部屋だとありがたい」

「ヒェッ……、大変失礼いたしました、二人部屋にご案内します」

 

 受付嬢は全てを察し、慌ててカウンターの奥へと引っ込んだ。俺がロリコンだと言う誤解を受けてしまうが、エマがふかふかのベッドで寝るためだから仕方がない。

 

「ペニーさん、どうしてこんな……、わざわざ奴隷に部屋を借りてしまうなんて、怪しまれてちゃいますよ」

「大丈夫だ、問題ない」

「確かに、あの人は何か納得されてたような気もしますが。ですが奴隷と同じ部屋で寝ること自体、非常識なんです。普通の奴隷の主は、寝首をかかれる事を恐れます」

「同じ部屋で寝るのが仕事の奴隷、とかもいるかもしれないよ?」

「そんな奴隷聞いたことありませんよ」

 

 いや、さっきの宿の人の反応見る限り、この世界には絶対に性奴隷がいる。エマの様な幼い相手に発情する馬鹿がいてもおかしくはないだろう。だからきっと、そんなに怪しまれない筈。

 

 通りの奴隷檻には、女性が少なかった。それはつまり、成人女性は性奴隷として夜伽に使われているからに違いない。

 

「どうぞ、三階の角部屋になっております。そういう目的で使われますと、お値段が少々高くなりますがご了承ください……」

「え、値上げですか? どうしてそんな、二人部屋だと安くなるのが普通では!」

「良いの良いの、エマは黙って俺についてきてねー」

「むぐっ……わ、分かりましたご主人様」

「……今夜が初体験のようですね。あまり、血が飛び散らないように注意してください」

「大丈夫だ、全て舐めとる」

「ヒェッ……」

「……血ですか?」

 

 血と言う不吉な単語に首をかしげながら、エマは階段を上る俺についてきた。店員は、そんな純粋なエマと俺をを見比べて戦慄している。

 

 かくして俺は、3日ぶりの天井のある寝床を手に入れたのだった。隣には薄着の美幼女、そして大金の入った袋。

 

 日本でうだつの上がらない暮らしをしていた俺が、こんなに良い目を見られるとは。

 

 まったく、異世界に来た甲斐があったと言うものだ。




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