「どうしても何処かへ行かなきゃならない時は言ってね。ちゃんと私もついて行くし」
そう言って、しょぼーんとする刑部姫と別れた俺は次の階層に向かった。
これから時間はあるのだ、暫し待て我が嫁よ。
そんなこと言ったら、踏み台転生者乙とか言われた件。
ギルガメッシュで踏み台とかテンプレじゃないですかやだー。
チーンと言う音ともに、俺は新たな場所に現れる。
今度は現実味のないフェルト生地みたいな地面があった。
カラフルな木、目と口のない動物がそこら変にいる。
空にはどういう原理か巨大なお菓子が浮いており、金平糖が雨のように降っていた。
そして、そんな空で巨大な爆発が起きていた。
「ここが第三特異点、魔法少女戦線フェアリーテイル」
「待って、話をしよ!」
「私は話すことなんて無いわ」
「ごめん、でも、私貴方とお話したいの」
そう言って、赤い少女が青い少女に向かってビームを放つ。
魔法少女同士が争っていた。
ふぇぇぇぇ、説得が物理だよ。
「おかえりなさい、お兄ちゃん。ご飯にする、お風呂にする、それとも……お、か、し……」
「ただいま、ナーサリー!」
「きゃぁ~、えへへ」
そんな現実離れした光景を無視して、俺はいつの間にか足元にいたナサリーを持ち上げる。
俺も自分で設定したとは言え、凄い世界だな。
「どうだナーサリー、ここは楽しいか?」
「うん、でもお兄ちゃんがいるともっと楽しいよ」
「そうかそうか」
俺はナーサリーの柔らかい髪を撫でながら本当に良かったと喜び震える。
俺の知ってるナーサリーはとっても悲しい子だ。
残酷で、非常で、酷薄な悲劇あり、俺はそんな彼女が幸せになれる世界が作りたかったのだ。
「こら~喧嘩は良くないのですよ!」
「むっ、また増えた」
「委員長、委員長が来たわ!」
「私にいい考えがある、逃げるのよぉ~」
上空で飛んでいた魔法少女が、争っていたのを他所に逃げ出す。
そうか、マジでやってたわけではないのか。
「ちょ、委員長じゃないです!私にはちゃんとした名前が、ちょ、聞きなさい」
「スパムみたいな名前なのよ」
「ちーがーいーまーすー、あっトナカイさんとナサリーちゃんじゃないですか」
俺の前に現れたのは小さいジャンヌでオルタでサンタでリリィだった。
あれ、こんなキャラ作ったけ?いや、分からんけど可愛いから良いや。
「ちゃんと宿題はやりましたか?」
「宿題なんてあーりーまーせーん」
「あーりーまーすー」
「逃げるのだわ」
ファンシーな世界をナサリーに誘導されて一緒に逃げる。
なんだか、優しい眼差しで幼女に見守られて俺はバブみを感じた。
ナサリーと暫く走ると急にお茶会をしようと言い出した。
急に考えや行動が変わるとは、子供だな。
「あっ、ナーサリー」
「ジャック、それと茨木童子」
「ナサリー、お菓子どうぞ」
「ありがとう」
優しい世界だな……そう思ってた時が俺にもありました。
「ゴフッ……」
「ジャック、かいたいしちゃダメなのよ」
「えー、だめ?」
「ダメー」
俺は腹の中心に刺さったナイフを抜きながら震える。
な、なんじゃこりゃぁぁぁぁ!優しい世界じゃなかったのかよ。
「あー、こらー!かいたいしちゃダメじゃないですか!大丈夫ですか、トナカイさん」
「ぐ、グフッ……傷は深いぞ」
「ダメじゃないですか!?」
た、助かった。
ジャンヌ・ダルク・オルタ・サンタ・リリィがいなければダメージを喰らっていた。
こわい、幼女怖い。
「お兄ちゃんも、あれくらい避けなきゃ」
「えっ?」
「そんなんじゃ、魔法少女として戦えないよ」
「うわようじょつよい」
こんなところにいられるか私は次の階層に行かせてもらう。
そう思ったのだが、何かを察したのかズボンを掴まれる。
「確保ー!」
「よく分からないけどラジャー!」
「こ、コラー!人に飛び乗っちゃ、やめなさーい!」
「おっ、なんだなんだ」
ナーサリーにつられて他の幼女も俺を掴む。
意外と重い、子供って数が揃えば重いぞ。
「行かないで、お兄ちゃん」
「また戻ってくるから、また戻ってくるから」
「そう言って、他の女のところに行くんでしょ!知ってるんだから、おままごとでやったんだから」
「おいぃぃぃ、誰だそんなおままごと始めたのは」
「メディアよ」
おい、裏切りの魔女!お前、子供に裏切りの英才教育施すんじゃないよ!
「すぐ戻ってくるから、先っちょだけだから先っちょ入れたら戻るから」
「うわぁ、ちょっとイリヤ。あれってロリコンじゃない、通報したほうが良いんじゃない」
「えっと、大丈夫じゃないかなぁ」
「待って、そこの少女!俺を助けて、ちょっと子供の体温高くて熱いんだけど」
「コッチ来た、キモっ」
や、やめろ……その目は俺に効く。
ダメージが入る。
「ダメなの~」
「遊ぼう、お医者様ごっこしよう」
「ふむ、お菓子のおかわりはまだか」
『ハッ、これを無様と言わずしてなんと言う。幼女に集られ鼻を延ばすその様は幼女趣味と言われても仕方ない。現代風に言うならば、ロリコンだろう。だがマスター忘れるなよ、穢れを知らぬ子供と言うのは無知であり、無知であるが故に残酷なのだ』
随分と渋い声が耳元で聞こえた。
これは、もしやテレパシー?
ユグドラシルのアイテムかスキルで行われてるのか?
「私にいい考えがある、足を切ればいい」
「まぁ、ジャックってば頭がいいわ。そうね、ピノキオのようにしてしまいましょう」
『ほれ見たことか、足をもがれる蟻のごとく憐れな姿になることだろう。まぁ、とは言えだ。貴様にはあの毒婦から俺を守る仕事がある。だから感謝しろ、助けてやる。そして、あのエロ尼を俺に近付けないことだ』
あっ、アンデルセン!これ、もしかしてアンデルセン!でもなんで、他もそうだが作ってないよ。
そんな疑問を抱いていたら引っ張られるように体が弾かれる。
アンデルセンが何かしたことは確かで、何をしたかは分からなかった。
「あー、逃げたー!」
「お兄ちゃん、行かないで!ありすを置いてかないで!」
「必ず戻ってくる」
じゃないと後が怖そうだし、いや今も若干怖いけどさ。
生きたまま割かれるとか、魚の気持ちが分かったぜ。
そして、ぶつかるようにラダーに入る俺。
そのまま意識を失った。
温かい、誰かが俺を揺すっている。
「せーんぱい、起きてください。こんなところでは風を引きます」
「フォーウ!フォウフォーウ!」
「マシュ、なのか……じゃあここは」
「はいここは第四階層、第四特異点、人理修復機関カルデアであり。階層主である、貴方のマシュキリエライトとです」
そこは吹雪の吹き荒ぶ景色をガラス越しに見ることのできる場所だった。
室内にあり、俺は窓際の廊下で寝ていた。
「ここではギルド機能を使った戦闘訓練や娯楽施設があります。ゆっくり休まれてはどうでしょうか。紅茶でも入れましょう」
「チュートリアル感、ぱないの!第一階層とかにしとけばよかった」
「基本的なことしか出来なくて個性的ではないですがね」
そう言って微笑むマシュ、癒される。
「リア充死ねばいいのに」
「俺達の女神が……」
「貴重な前髪枠が、許さん」
マシュさんや、NPCの個性は一番すげぇよ。
「外は楽しかったですか?でも、余り危険なことはいけませんよ先輩。次に出る時は私が先輩を守ります。だって、私は先輩の従者ですからね……あと、ピクニックとか憧れます」
「デレキター!後輩属性最高!」
「こうはいぞくせい?」
首を傾げるマシュ、君はそのままでいてくれ。
取り敢えず頭を撫でて誤魔化すことにする。
「周回だ!あのリア充を倒すための周回だ」
「種ェ……種ェ!種フシャ!種付けするんだよ、種火を捧げよ!」
「絆度を高める、おいデュエルしろよ!絆の力シンクロを見せてやる!」
「それはどうかな、オーバーレイネットワークだ」
やっぱり、カルデアが一番キャラが濃い。