小さなアイドルの歌   作:s@tou

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誤字報告、感想、評価、ありがとうございます!!
一応、ここで注意ですが、俺の心は硝子なので、感想等は優しく書いていただけるとありがたいです。


小さなアイドル達のゴールデンウィーク

「うっし、じゃあ行くか」

 

ゴールデンウイークの真ん中、俺もアイドル6人もオフでショッピングへと行くことになりました。

・・・俺に関してはオフって言っていいのか?

 

ちなみに、一応6人とも変装はしているものの、元々が可愛すぎてバレる可能性が高いと思っていたが、なんでも346プロダクションのアイドル達には『芳乃・茄子印のお守り』があるらしく、これのお陰で余程の事をしない限りバレないらしい。

芳乃は多分あの芳乃だろう。そういえば、昨日は会わなかったけど、仕事だったのか?あと、相変わらず夢に出てきてお姉さんっぽく振舞おうとあれこれ世話を焼いてくるのはやめて欲しい。

あと茄子さんって誰だろ。まさか、芳乃レベルの神格者がまだいるとでも言うのか。

 

ともかく、そのお陰で気軽にショッピングに行けるというわけだ。

 

「やったー!拓斗君とお出かけ~」

 

「嬉しそうだな、みりあ」

 

「えへへー、何年ぶりだろー」

 

「先週ぶりだな」

 

全く、元気の良い奴だ。

ちなみに、変装としてメガネと帽子を身につけている。

 

「拓斗さん、エスコート頼みますわよ?」

 

「へいへい。っておい、腕を絡めるな。歩きづらい」

 

「そう言いながらも、嫌な顔しない・・・ツンデレですの?」

 

「どうしてそうなる」

 

お嬢様はどこまで行ってもお嬢様らしい。

しかも、こいつに限っては変装してないし。

これで大丈夫って言うんだから、不思議なもんだ。

 

「男子として、エスコートはちゃんとしないとダメよね」

 

「おい、さらっと反対の腕を占領するんじゃねぇよ梨沙」

 

「これくらいで根を上げるんじゃないわよ。そうじゃないと、パパ見たいになれないわよ」

 

「なるつもりはない。それ以前にお前の親父さんに会ったことないんだが」

 

梨沙はと言うと、これまたあまり変装しない気がする。

強いて言うならいつもの露出高めな格好から、おとなしめになってるくらい。あれだ、普段の千枝っぽい。

 

「男子って大変なんだな」

 

「他人事ですか、未だに男子呼ばわりされてる晴くん?」

 

「なっ、てめっ!それを言うんじゃねぇ」

 

「冗談だ。ってか、お前もやっぱいつもどおりだよな」

 

「オレはこれで良いんだよ。お守りあるし、そもそもあんなヒラヒラした姿のオレと今のオレ、全然違うからバレないだろ」

 

果たしてそうだろうか。

晴の可愛さはわかる人にはわかるものだと思うが。

 

「・・・」

 

「で、ありすはいい加減タブレットを仕舞え。危ないだろ」

 

「意外と視野広いですよね、拓斗さん」

 

「一点に集中出来ないからな、俺」

 

「あぁ、だからこんなに女の子を侍らせている訳ですね」

 

「何か毒舌じゃございません?」

 

昨日また寝落ちしてたからオデコに『苺』って書いた(油性)のまだ根に持ってんのかよ。

全く、お淑やかさの欠片もない・・・。

お淑やかと言えば、

 

「そういや、千枝は何か意外な格好だよな」

 

「え?そうかな」

 

そう、今日の千枝は普段のおとなしめの格好から一転して、普段の梨沙見たいに派手で露出の高い格好になっている。

これには、俺だけでなく全員が驚いた。

心なしか、雰囲気がギャルっぽい。

確かに、変装としてはありかもしれない、が・・・清楚ギャルかぁ。

 

「もしかして、似合ってない?」

 

「んにゃ、似合ってはいるんだが、正直千枝はそういう格好するの恥ずかしがるものかと」

 

「・・・恥ずかしいよ?でも、拓斗くんには色んな私を見て欲しいから」

 

なるほどな。確かに、そうやって色々見せてくれた方が、色んな可能性、つまり色んなプロデュースの幅が広がる。

そこまで考えてくれていたかぁ!流石、このメンバーの中では比較的まともな千枝だ。

 

「(あれ?なんか、拓斗くん。思ったのと違う反応してる?)」

 

ともかく、今日はそれぞれの行きたい場所へと行く、って事になっている。

さぁ、思う存分遊ぶぞぉ!!!

 

 

 

~~~~<一箇所目 提案者:千枝 『うさぎカフェ』>~~~~

 

「うわぁ・・・!」

 

「ほぉ、これは」

 

猫カフェにはいったことあるが、ここは始めてだなぁ。

 

「うさぎさん・・・えへへ」

 

「本当、可愛らしいですわね」

 

「今度パパと来ようかしら。って、こらどこに行くのよ、大人しく私に撫でられてなさい」

 

「ふっわふわだよ!この子!」

 

気のせいだろうか、あの4人にめっちゃうさぎが集まってる気がするんだが。

 

「で?晴は触らなくていいのか?」

 

「いいよ、オレは見てるだけで」

 

「そういわずに、ほれ触ってみろよ」

 

撫でてたうさぎを抱っこして晴に近づける。

 

「う、お、オレはいい・・・」

 

「ほれほれー、このもふもふ感、たまんないぜ?」

 

恐らく、女子っぽい事を嫌う晴の事だから混ざりたくないんだろうけど、本心は触りたいんだろうなぁ。

 

「ちょ、ちょっとだけなら、いいぜ」

 

堕ちたな。

 

「ほれ」

 

「お、おい。オレはちょっとって・・・ふわぁ」

 

抱いてるうさぎを晴に渡す。

 

「も、もっふもふ・・・可愛いな、お前」

 

写真をパシャっと。

うさぎ・・・バニーか、いいかもな。

 

完璧にうさぎに堕ちた晴を横目に、まだうさぎに触れられないもうひとりに声を掛ける。

 

「ありすー・・・何してんの?」

 

そこには、タブレットと座っているうさぎを交互に、怖い顔で見るありすがいた。

 

「話しかけないでください・・・」

 

まだ怒ってんのか?と思ったが、どうやらそうでもないらしい。

ちらっとタブレットを覗いたが、『うさぎのふれあい方』なるサイトを見てた。

データ人間が故か。

 

「いいか、こういうのは自然体で良いんだよ。逆に、下手にそんな睨んでると逃げられるぞ?」

 

そう言いながら、ありすの見ていたうさぎを撫でてやる。ありゃりゃ、逃げられた。

 

「・・・逃げられてるじゃないですか」

 

「こんな事もある」

 

「もういいです、別の所に行きます」

 

こっちにも逃げられた。

って、あれ?タブレット置いてってる。

タブレットを持っていこうありすの所に行こうとしたら。

 

「・・・自然体。よ、よーしよし・・・。あっ、触れました。・・・ふわふわしてる。って、だ、抱っこして欲しいんですか?・・・仕方ないですね」

 

なんだかんだ言って、俺の言葉をちゃんと聞いていたありすがいた。いい笑顔じゃん。

しかもあのうさぎ、ありすから逃げたうさぎだ。

気に入ったのか、お互い。

 

さーて、俺もうさぎを・・・い、いねぇ!?

あぁ!あの4人に集中してる!?

仕方ない。俺は、あいつらの写真でも撮るか。

・・・うさぎに触れたい。

 

「拓斗くん」

 

「千枝?どうした、ってうぉっ」

 

突然押し倒され、俺の膝に千枝が座った。

 

「重たくない?」

 

「あ、あぁ。大丈夫だけど、どうした?突然」

 

「さっきから拓斗くんの所にうさぎさんがいないから、もしかしたらうさぎさんに嫌われてるのかな、って」

 

いや、それはない・・・と思いたい。

 

「でもこうしたら触れるでしょ?」

 

そう言って、千枝の周りに集まったうさぎの内一匹を千枝が抱く。

そのうさぎに俺の手を持っていく。要するに、あすなろ抱きっぽくなっている。

 

「ほら、拓斗くんも」

 

「・・・ありがとな、千枝」

 

「いいよ」

 

という訳で、小一時間うさぎと戯れたのだった。

 

 

 

~~~~<二箇所目 提案者:晴 『ラウンドワン』>~~~~

 

「まぁ、晴らしいな」

 

「だろ?」

 

ラウンドワンのフットサルのコート。

晴が『一回くらいはこのメンバーでサッカーをやりたい』って言うから、じゃあって事でフットサルになった。

俺達は七人だから、三人ずつに分かれる事になり、ジャンケンをした結果。

俺、梨沙、桃華と晴、みりあ、ありす。千枝は観戦って事になった。

 

「よーし!じゃー行くぞー!」

 

って事で、ここから数時間遊ぶのだった。

 

そして数時間後。

 

「あー!つっかれたー!」

 

「まさか、みりあにとことんまでボールを取られるとは・・・」

 

「えへへー」

 

「それに、桃華のパスは正確で受け取りやすかったし、梨沙はドリブルが早かったな」

 

「淑女として、当然の事ですわ」

 

パスと淑女になんの関係が。

 

「まぁ、折角やるなら、あんた達に負けたくはないから」

 

ただ、全力疾走をスカートでやるのはどうかと。

いや、まぁいつもより長かったから見えることは無かったけどさぁ。

 

「ところで・・・あれ、どうするよ」

 

と、全員で目の前で倒れてるそれを見る。

 

「はぁ・・・はぁ・・・あ・・・あれ・・・じゃ・・・な・・・はぁ・・・」

 

そこには地面に倒れてぜぇぜぇ言ってる橘ありすがいた。

 

「大丈夫かよ。お前」

 

「わ、私を・・・誰だと・・・思ってるんですか・・・アイド・・・ルです・・・」

 

「うん、分かったからもう喋るな。ゆっくり深呼吸してろ」

 

結局、ありすが復活するまでラウンドワンで一息つくのだった。

 

 

~~~~<三箇所目 提案者:桃華 『マクドナルド』>~~~~

 

「いや~、意外の言葉しか出てこねぇ」

 

「い、いいじゃありませんの」

 

いや、だって浮いてんだもの、桃華が。

 

「体に悪いのは分かっていますが、どうしても食べたくて」

 

「あー、分かる。なーんか食べたくなるよな」

 

ちなみに、他の5人には席を取って貰っています。

食べたいものも聞き済み。

 

「で、お前は何食べる?」

 

「わ、私はあれがいいですわ」

 

そう言って、桃華が指差したのは・・・ビッグマック。

 

「また何故」

 

「前にラ・ロズレのメンバーで来た時に、志希さんが食べてたのを少し貰ったのですが、美味しかったので・・・」

 

「でもあれ、結構量あるぜ?」

 

「大丈夫ですわ・・・多分」

 

カロリー的にも問題な気が・・・。

まぁ、いいか。桃華が来たいって事で来たんだから食べたい物を食べさせてやろう。

 

「・・・来週からトレーナーさんに激しくしてもらおう(ボソッ)」

 

「拓斗さん!?今何か言いませんでした!?」

 

「気のせい気のせい。ほれ、注文しろよー」

 

まぁ、ライブで一気にカロリー消費するだろうし、いいか。

 

注文を終え、番号を待つことに。

 

「そういえば、お前らで夜中、俺との出会いみたいなの話してるだろ。あの事は話すのか?」

 

「気づいてらしたの?」

 

「まぁ、一応な」

 

「・・・まだ、話すつもりはありませんわ。少なくとも、今は」

 

「そうか、分かった。ところで、誰がどういう事を話したんだ?」

 

「乙女の秘密を、そう簡単に語ると思って?」

 

「そりゃ失礼。っと、呼ばれたな、早く持ってくぞ」

 

あれ、そういや今思ったけど、あいつらとどうやって知り合ったか忘れたな。

不思議なもんだ。

 

その後、案の定ビッグマックを食いきれなかった桃華の残りを俺が食った以外は普通に飯を食ったが、女性陣の話が盛り上がりすぎて、しばらく動けなかったのは、言うまでもない。

 

 

~~~~<四箇所目 提案者:梨沙 『原宿』>~~~~

 

「らしいな」

 

「何、その反応」

 

「いや、そうとしか言えん」

 

しっかし人が多い。

これで良くバレないな。

お守りさまさまだこりゃ。

ともかく、みんなでゆっくりと竹下通りの店を見て回る。

途中途中で店に入っては、あれこれ試着している。

 

「拓斗さん。ど、どうでしょうか?」

 

「おぉ・・・桃華のそういう服って見たこと無かったけど、意外と合うもんだな」

 

原宿系ファッションって言うんだっけか。

普段、お嬢様服しか着てるの見たことないから、意外だったけど、かなり似合ってる。

雑誌系の仕事も取れるんじゃないか?

 

「ありがとうございます」

 

「これで、話し方まで変わったらいよいよ誰か分からないな」

 

「話し方は、流石に直ぐには無理ですわね。お芝居ならともかく」

 

「まぁ、それもそうだよな。って、どうした?近づいてきて」

 

「・・・それとも、こっちの桃華の方が好き?」

 

「・・・始めて見たから、何とも言えないな。あと、顔真っ赤にしてるのが惜しい」

 

「厳しいですわね」

 

「まぁ、でも確かにギャップ萌えっていう意味ではありかもな」

 

あっぶねぇ・・・。

あんな不意打ち卑怯だろ。

 

「どうだった?」

 

「やっぱお前か、梨沙。ありがとうございます」

 

移動して、別の店では。

 

「あ、あの、こ、これでいいんですか?」

 

「ありす・・・アリス?」

 

なんか、不思議の国感満載のゴスロリ着てるんだけど。

コスプレに片足突っ込んでる気がしなくもない。

 

「な、なんですか・・・似合わないなら似合わないって言えばいいじゃないですか」

 

「いや?ただ、あまりにも自然だったから特に言葉が見つからなかっただけ。似合ってるじゃん。可愛い可愛い」

 

ちなみに、お値段は五桁は軽いです。

頭おかしいんじゃねぇの?

 

「で?買うの?」

 

「・・・拓斗さんはどう思いますか?」

 

「そこで俺かぁ・・・まぁ、悪くはないんだろうけど、どうせありすなら、あのCDジャケットの時みたいなザ・アリスって感じの方が合ってるな」

 

「ならやめておきます」

 

俺が決め手でいいのか?

 

と、店を回る途中。

 

「そういえば、あんたっていつも同じような格好してるわね」

 

「楽だからな。ジーパンにシャツ」

 

「もっとなんかないの?」

 

「男子小学生に何求めてるんだよ。いいんだよ、俺みたいな一般男子はしまむらで」

 

「私が気にするんだけど」

 

「頑張って慣れてくれ」

 

服装に金かけるのは、まだ分からん。

 

ともかく、そんな感じであっちこっち見て回るのだった。

 

 

 

~~~~<五箇所目 発案者:みりあ 『臨海公園』>~~~~

 

ちょっと遠いが、何故か臨海公園に来たいというみりあの要望で来ました。

個人的には、隣の舞浜に行きたい。

 

「・・・観覧車?」

 

「そう!前に、莉嘉ちゃんと一緒に見た雑誌で見て、行ってみたいなーって思ってたの!」

 

なるほどね。

俺は最近たまたま見た某番組を見て、隣の不思議の国に行ってみたいなーって思ってるけど。

 

「って、ここ6人乗りじゃん。どうする?」

 

「半々でいいんじゃねぇか?」

 

「分け方は?」

 

「ジャンケンでいいでしょ」

 

「みんなそれでいいか?」

 

って事で、ジャンケンの結果

 

桃華、梨沙、晴、ありす。

俺、千枝、みりあ。

この二つに分かれた。

 

「観覧車か。乗るの何年ぶりだろ。確か、みりあと乗ったのが最後だから・・・あれっていつだっけ」

 

「2年生の時だったはずだよ?パパとママと一緒に行ったよね」

 

「へぇ、そんな事があったんだ」

 

と、呑気に話している間にもゴンドラは上へと昇る。

 

「・・・ねぇ、拓斗君、さっきからどこ向いてるの?」

 

「ディズニーランド」

 

「行きたかったの?」

 

「いや、そういう訳じゃない、事もない」

 

「昔から好きだもんね~」

 

「夢の国だからな、そら大好きだ」

 

毎回、エントランスで一回涙を流し、夜のパレードでもう一回流す。

そして、別れ際にもう一回。

これをクラスの男子に言うと、かなり引かれる。

 

「今度はみんなでディズニーランドに行きたいね」

 

「行けるならなぁ・・・いや、待てよ?」

 

そういや、最近アイドルがテレビのディズニーランド特集で出てたような・・・。

って事は、仕事で行くことも可能なのでは!?となれば、さっさとみんなを局に売り込まねば。

 

「むー。仕事の事で頭いっぱいになってる時のプロデューサーみたいな顔になってる」

 

「いや、俺お前らのプロデューサーだからな?」

 

「今日は休みなんだから、仕事じゃなくてみりあ達の事を考えてよ!」

 

「分かった、分かったから引っ付くな」

 

一つ上のゴンドラから殺気がががが。

 

「千枝も何か・・・寝てるな」

 

しかも俺の方に頭乗せて。

いつの間に俺のとなりに来た?

 

「じゃあ、あまり暴れちゃダメだよ?千枝ちゃん起きちゃうから」

 

ちょ、だから引っ付くな、ってそういう事かよ。

小悪魔か、お前は。

 

「(拓斗君の・・・匂い・・・)」

 

さっきから千枝の鼻の辺りに風の流れを感じるんだけど。

何してるの。ってか起きてるよね。

 

ともかく、この状況で一周回るのだった。

・・・精神的にキツかったぁ。

 

あと、降りてから別の4人に何をしていたのかしつこく聞かれたのは言うまでもない。

 

 

~~~~<最終箇所 提案者:ありす 『古書店』>~~~~

 

「まさか、東京にこんな店があるとは・・・。ってか、ありすは基本電子書籍だろ、なんでここに?」

 

「言ってたじゃないですか、最近読む本がないって」

 

「いや、それだとありすの行きたい場所じゃなくて、俺の行きたい場所になるんじゃ」

 

「いいんです。それより、入りましょう」

 

なんだろ、俺の事は口実にも聞こえるけど。

気になって他の5人に目を向けたら『あー』って感じで何かを理解したらしい。

良くわからんが、とりあえず入ってみる。

 

そして、息を飲んだ。

この古本独自の匂い、そして比較的最近の文庫から今じゃあレアな物まで、ズラっと並ぶ本棚。

 

「ここが俺のアヴァロン・・・」

 

「何言ってんだよ」

 

「晴ぅ!!見てみろよ!これ!ある事情で回収された秘本だぜ!?」

 

「うわぁ!?近いっ!近いって!」

 

「はいはい、落ち着きなさいよ」

 

何をするんだ、梨沙!

 

「あれ?そういや、ありすは?」

 

「ありすさんなら向こうにいますわ」

 

向こう?

と、レジの方に顔を向ける。

なんかレジにいる人と仲良く喋ってんな。

 

「やはり、文香さんに会いに来たのですわね」

 

「文香さん?」

 

・・・あの人が?

なんか、全く違うような、よく見ると面影があるような・・・。

 

「まぁ、いいや。俺はこの中からとりあえず一月分、蓄えよう!」

 

「拓斗君って本好きだよねー」

 

「まぁ、昔から読みまくってたからなぁ。漫画とかも好きだけど、俺はやっぱこっちかな。おっ!?これ、絶版になったっていう伝説の奴じゃん!」

 

「でも、拓斗君って本を読む以外に何かしている所見たことないよね?」

 

「いんや?俺の部屋には普通にゲーム機置いてあるし、それにほら、良く晴とかクラスの男子連中とサッカーやってるだろ」

 

「そうだっけ」

 

そうなんです。

ともかく、次々に掘り出し物を見つける。

なんということだろうか。これでは、一月どころか半年は戦える。

 

「そんなに買って大丈夫なのか?」

 

「安心しろ、ちゃんとサッカーには付き合ってやる」

 

「いや、そうじゃねぇよ。お金の話」

 

「・・・マニー?」

 

一旦持ってた本を置いて、財布を確認する。

・・・えーっと、そういや今日だけでどれくらい使ったっけ?結構使った気が・・・。

 

「だ、大丈夫!」

 

「本当かよ」

 

「親から貰ってる今月の食費代から持ってこれば・・・いけるっ!」

 

「それ、本当に大丈夫か?」

 

最悪の場合は、母さんに頭を下げる。

ともかく、大量の本を持ってレジに行く。

 

「ちょ、ありす。邪魔」

 

「邪魔とはなんですか。って、そんなに買うんですか!?」

 

「うん。思ったよりも掘り出し物が多くてさ。いやー、ありがとなありす。って事で、これお願いします」

 

「・・・」

 

あれー?なんかすっごく見られてるんだけど。何故。

 

「・・・意外ですね」

 

「え、何が?」

 

「こういう本は、苦手かと・・・」

 

「いやいや、本だったら大体好きですよ?それこそこういう文庫本から、ラノベ、漫画、あとは参考書とか?だから、俺にとってここは天国ですよ!」

 

ありすがめっちゃ鬱陶しそうに見てくるが知らん知らん。

俺にとってここは秋葉原も同然。

ってあれ?文香さんが少し微笑んだ?

 

「・・・でしたら、これなんてどうでしょうか」

 

と、文香さんが一冊の本をレジの下から取り出した。

 

「あれ?この本、最近好きな作者の本だ。でも、こんなのあったっけ?」

 

「この作者は私の叔父の知り合いで、一部にしか渡されなかった本です。見たところ、この方の本が多いようなので」

 

ほ、本当のレア物キター!!

 

「マジですかい!?えっ、これ売ってもいいんですか?」

 

「はい。私は、もう何回も読んだので。ただ、感想を聞かせてくださいね」

 

「もちろんっす!・・・って、これいくらですか?」

 

「いえ、この本にはお代はいりません。それに、これらの本も少しなら割引します」

 

えええええぇぇぇぇえぇぇぇ!?

 

「その代わり、また来ていただけますか?」

 

「も、もちろんです!何回でも来ますよ!」

 

「ふふっ。ありがとうございます」

 

こうして、俺は大量の本と穴場を手に入れるのだった。

あ、ちなみに割り引かれても、財布のHPはかなり減りました。

 

「あれ?ここ私が来たかった場所ですよね?」

 

「これに関しては、あんたが計算を間違えただけよ」

 

「自分一人で来た方が良かったんじゃねぇか?」

 

「まぁいいじゃありませんの。見てください、あの拓斗さんの玩具を貰った子供のような笑顔」

 

「私は!?っていうか、なんであんなに文香さんは喜んでいるんですか・・・」

 

「あれじゃないの?あんなに純粋に本を好きだって言われたのが嬉しかったんじゃない?」

 

「あの文香さんの優しい笑顔、大人って感じがするよね」

 

「うん!拓斗君、もしかしてああいう大人の女性が好きなのかな?」

 

「・・・もういいです」

 

その後、不貞腐れたありすを文香さんも含めてなんとかしたのは言うまでもない。

結果、ありすのパスタを食べるという約束をして事なきを得た。・・・俺だけが。

俺が何したって言うんだ。

 

 

~~~~<帰宅 提案者:俺 『自宅』>~~~~

 

「ただいま~。ふぅ、今日は疲れた~。ってか重っ」

 

買った十数冊の本をリュックに詰め込んだが、肩が悲鳴を上げてる。

床に置いたらズシンッってなった。買い過ぎたか。

 

「私、お風呂入れてくるねー!」

 

「あぁ、頼んだ。みりあ」

 

やはり、みりあは家でお手伝いしてるからなのか、家事を進んでやってくれる。

ありがたい。

 

「では、私達は夕食の支度を」

 

「分かったわ。千枝、手伝って貰ってもいい?」

 

「うん」

 

この3人に関しては完全に飯担当だな。

普通に上手い物を作ってくれる。

 

「オレはのんびりしてるか」

 

「そういえば晴さん。宿題はやってるんですか?」

 

「・・・そういうありすはどうなんだよ」

 

「私はちゃんと計画的にやっています。他の皆さんもやっている筈です・・・拓斗さん以外」

 

「じゃあ、オレも「ダメです!」なんでだよ!」

 

「晴さん、そうやって前の春休みの宿題もサボって先生に怒られたばかりじゃないですか!」

 

「うぐっ。・・・いいんだよ!拓斗に助けてもらうから!」

 

「結局拓斗さん頼みじゃないですか!?拓斗さんも何か言ってください!」

 

うげっ、完全に傍観者だったのに。

 

「何か言えって言われても、強いて言うなら今日明日中にやんないと、もうやる時間ないぜ?特に晴、お前は」

 

「なんでだよ」

 

「明日はお前休みだけど、明後日は最終レッスンとリハーサル。その次の日はライブ本番だろ。明後日に関しては、さっさと寝て貰わなきゃだし、明々後日なんか、すぐ寝るだろ、お前。一応始めてのライブなんだから」

 

あ、流石にこれには反論できないらしい。

 

「って事だから、ありす、頼んだ」

 

「分かっています。って、拓斗さんはどうするんですか」

 

「俺は、こいつを読む」

 

そう言って、リュックに入っている大量の本の一番上にあった例のレア物を見せる。

 

「・・・そういう拓斗さんは、いつ宿題をするつもりなんですか」

 

「俺は明日かなー。どうせ明日は外に出る予定は無いから」

 

「今すぐやるという選択肢はないんですか」

 

「今は、文香さんとの約束を、なによりこんな超レア物を早く読みたい熱があるから勉強なんかやってられっか!」

 

「えぇ・・・」

 

っと、電話だ。

 

「って事で、晴は任せた~」

 

「丸投げじゃないですかぁ!?」

 

着信は・・・叔母さん?

 

「もしもし?」

 

『あぁ、拓斗か。お前に明日の会議について話していなかったと思ってな』

 

「え、会議?」

 

そんな話あったっけ?

 

『あぁ。リハーサル前の最終確認のな。とは言っても拓斗が口を出すことはそうないだろうが、これもいい機会だ』

 

「まぁ、分かった。時間と部屋は?」

 

『明日9時から、場所についてはオフィスフロアの大会議室だ』

 

意外と早いな・・・まぁいいか。

 

 

その後、本に夢中になりすぎて全員の飯の時間が凄く遅くなったのは、言うまでもない。

なにも殴る事はなかっただろうが。

 




久しぶりの日常回でした。

そういえば、10話を超えましたね。
ここまで見ていただいた方、本当にありがとうございます。
個人的には、まさかこんなに続けられるとは思っていなかったのでビックリしています。
最近、少し迷走しがちでしたが、今回のでなんとか出来そうです。

あと、主人公に関してですが、そもそもこうなった発端が『プロデューサーとロリの絡みを書きたい→でも、それって普通にあるよね?→じゃあ無いものを作ればいいじゃん→主人公が小学生だったらちょっと変わってるよね→しかもプロデューサーだったらいいんじゃね?→でも、それだと書けなくない?(小学生男子の表現が出来ない)→じゃあ、もういっそ精神年齢上げてやればいいんじゃね?』って感じで蒼井拓斗が出来ました。
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