お姉ちゃん、それなに?   作:えんどう豆TW

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今回はこいしちゃんのセリフを地の文に含めました。
どれがセリフでどれが地の文だったか、キャラの反応を見ながら考えてみていただけると嬉しいです。


魔法の森のアリス

 

瘴気が濃い。妖怪の私にとっては害がないけど、人間が入ろうものならたちまち気分が悪くなり奥に行けば行くほど三途の川が見えてくる。そんなこの場所は魔法の森と呼ばれている。

当然そんな場所だから好き好んで行くわけでもないのだけれど、私の体はそんなこと御構い無しにふらふらと行きたいところに行く。それは目的があるわけではなく、無意識に、気分で、そして気づいたらそこにいることが多かった。

 

今では自分の気分に従っているだけで特に気がついたら、とかそんなことはない。ただなんとなくこの森に立ち寄っただけ。それでもこの森に住む物好きだっている。

 

「あら?貴女は・・・」

 

綺麗な容姿。整いすぎてまるで人形みたい、と思うくらい完成された外見。金髪ショートで瞳が輝く魔法少女のアリスちゃんと出会った。

 

「アリスちゃんって・・・まあいいけれど、魔法少女という言い方には何か別の意図を感じるわね」

 

そんなことないよ。でも魔法少女ってなんか可愛いじゃない。魔法少女アリス☆マジか、みたいな。

 

「なんじゃそりゃ。マジか、なら私より魔理沙の方が使ってそうじゃない」

 

確かにアリスは女の子っぽい喋り方をする。同じ魔法使いの魔理沙は結構男勝りというか、語尾が『〜ぜ』だったりする。一人称は私なのにね。

 

「別に気にならんけどね。人の喋り方をいちいち気にするような性格じゃないわ」

 

そうでござったか。いやぁこれは失敬、失礼いたしましたってやつですな。

 

「いやそれは気になる。ところでなんでこんな辺鄙な場所まで来たの?」

 

んにゃ、目的も特になく散歩をしてただけだよ。気分屋なもので。

 

「そうは言ってもこんなところまで来るかな。いや責めてるわけではないのたけれどね?こういうところに来る者はそれ相応の目的があるから会ったらこうやって確認するようにしてるのよ」

 

そうなんだ。でもごめんね、本当に散歩なんだ。だいたいポジション的にお嬢様な立ち位置の私にこんな辺鄙なところまでお使いをしに来る用事は降りかかって来ないと思う。

 

「ふーん、まぁそれならそれでいいわ。私は・・・私も人のこと言えないわね、散歩だから」

 

つまり暇なのね。ね、せっかくだからお話ししようよ。

 

「いいけど、さっきからしてるじゃない」

 

このまま『それじゃあ』って別れる雰囲気だったじゃない。そういうとアリスが肩を竦めるので、私はため息をつく。

 

「で、お話って?魔法使いなんて魔法の話しか出来ないわよ、貴女のお眼鏡にかなうかしらね」

 

話してみないとわからんさね。もしかしたら私も将来魔法少女になるかもしれないし。あ、今のうちに変身の決め台詞でも決めておこうかな。

 

「魔法少女という言葉がイマイチピンとこないのは何故かしらね」

 

そりゃあ可憐さが足りないからよ。都会派の貴女には子供に見えるかしらね?

 

「バカにしてるのね?姉妹揃って性格の悪いこと」

 

私はアレよりマシだと思ったんでしょ。まぁその通りだけどね。お姉ちゃんには敵わないけどこれくらいいっぱいいるでしょうに。

 

「あの姉にしてこの妹あり、と。こんな可憐な女の子をいじめて楽しい?」

 

おお、やるねぇ。流石は幻想少女の端くれ。

 

「端くれかい。というか何よ幻想少女って」

 

お姉ちゃんが私たちは幻想少女だって言ってた。多分幻想郷に住んでる少女って意味なんだと思う。

ここからは私の推測だけど、お姉ちゃんはかなり自分のことを客観的に見てる。それは見過ぎてると言っても過言じゃあない。だから幻想郷っていう結界の中で人ならざるものとして生きる私たちは幻想少女なのだろう。

 

「幻想少女、ねぇ。随分と詩的な表現だわ」

 

お姉ちゃん、よく書き物してるからねー。あ、そうだ。一本吸ってもいい?

 

「は?何を?」

 

煙草。

 

「とは?」

 

これ。

そう言って私は煙草をアリスに見せる。吸う、という表現を理解できずにいるのだろう。私は無言で煙草に火をつける。

 

「ははぁ、火で燃やして煙を吸うのね。それで、吸うと気分がいいとか?」

 

私は喋らないので首を縦に振る。そして当然のように煙を吐く。

するとアリスは顔を思い切りしかめて手で煙を払う仕草をした。そして不機嫌な表情で何かを唱えると煙が浄化される。おお、便利な魔法だね。

 

「吸うとは聞いたけど、吐くとは聞いてない」

 

なるほど、それは確かに。この一連の動作を吸うというのだけれど。

 

「魔法使いとしては納得いかない理論には反論を申し立てたいのだけれどね」

 

私は魔法使いじゃないから受け付けませーん。残念でした。

 

「はぁ・・・もう、煙草を吸う魔法少女なんていてたまるかっての」

 

次からは私の方を向いて吐かないで、と釘を刺された。こりゃ失敗、私だって相手の機嫌を損ねたい訳じゃない。しかし素直に謝るとアリスは微笑んで許してくれた。そして手を軽く振り私に別れを告げる。動作の一つ一つが絵になるなぁ、とぼんやりと思うのだった。

 

 




登場人物

・古明地こいし

魔法少女になったら触手と戦わせられると思っている。

・アリス

アリスはアリスでつまりアリスなのです。うんうん、それもまたアリスだね。
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