お姉ちゃん、それなに?   作:えんどう豆TW

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マジカル☆大図書館

 

 

幻想郷の住人なら一度は耳にしたことがあるであろう、吸血鬼が住むと言われている館。その真紅の見た目に違わず名前は紅魔館という。私たち勇者一行は吸血鬼退治のため霧の湖にあるというその館を目指すのだった───。

というのは嘘で、まぁ私には吸血鬼の友達がいるのだ。要は友達の家にアポ無しで行こうとしてるだけ。

 

紅魔館の中は広い。そしてこれを管理している人間も恐ろしく優秀なため、門番が仕事をするまでもないらしい(多分普通に寝てるだけだと思う)。

そんなこの屋敷の誰が友達なのかというと、フランドール・スカーレットという館の主人の妹なのだ。私が勝手にここに入った時、勝手にフランに会って、勝手に意気投合したという経緯だ。もちろん館の主人、レミリア・スカーレットとの面識もなくはないけれど、初めてこの館で話したのはフランだった。

 

そんなわけで万が一見つかっても私は特にお咎めもないだろうし、あっても都合が悪くて帰されるくらいだろう。だからこうして、暇だからという理由で誰もが恐れる吸血鬼の館に侵入しているのだ。

 

「そしてなぜ貴女がここに来るのか、それがわからない」

 

ふむ、理由をあえてつけるとしたら『なんとなく』だね。そう言った私にこれ見よがしとため息を吐くのは館の図書館の管理人、パチュリー・クーリッシュさん。

 

「ノーレッジよ。私は誰に紹介されてるのかしら?」

 

私も誰かに紹介するつもりはないけど、なんとなくこうしなければという脅迫概念に襲われてるの。

 

「それはまあ安っぽい脅迫概念ね。それで、貴女はどうしてここに?」

 

2回も同じ事を聞くのはナンセンスだと思わない?私は貴女の心を読めないから言いたいことはちゃんと伝えないと。

 

「あまり長く喋りたくはないのだけれど。今のは『どうして面識のあるフランドールやレミィのところに行かずにわざわざ私のところへ来たの?』という意味よ。なんとなくで来たとしても、友人であるフランドールのところに行かない理由はない」

 

一息に話してからゴホゴホと咳を挟むパッチェさん。ふむふむ、確かに彼女の疑問はもっともだ。しかし敢えて言おう、そんなこともわからないのかねワトソン君。

 

「この私をしてワトソン君とは大きく出るわね」

 

ありゃ、怒らせちゃった。まあそれは置いといて。

理由は簡単、フランの反応が楽しみだからだね。

 

「ほう、ワトソン君たる私には貴女の発言の意図が理解し難いから出来ればご教授お願い致しますわ」

 

謝るから機嫌なおしてよ、ね?呆れたようにため息を吐くパッチェさんを確認すると私はこの愉悦計画の全貌を話し始めた。

 

フランは見ての通り友達が少ないからね、私が来た時にはそれはもう嬉しそうな顔をするのよ。おっと顔をしかめないでよ、もうわかっちゃった?まぁ続きを話すけどね。そんなフランもよくここに来るらしいじゃない、魔法のお勉強をしてるとかいう話をこの前聞いたわ。そんなフランには今日は会いに行かず私は図書館に来た痕跡を残す。後日図書館を訪れたフランは気づくの、『あれ?もしかしてこいしが来てた?』ってね。そして当然自分に会いに来なかった理由を考える。嫌われた?とか飽きられた?とか色々と邪推し始めるわけ。きっと色んなことを考えて落ち込んだり不安になったりするんだろうね。ああ、たまらないわ!

 

「吐き気を催す悪人とはまさにこれのことね」

 

そしてそんなフランを目撃したレミリアは当然理由を聞く。あれでもシスコンだからね。知ってるって?うんうん。いつもは姉を好いてるようには見えないフランだけど、あれでも素直な子だからね。落ち込んでる理由をきっとレミリアに話すでしょう。レミリアは私に少なからずコンプレックスがあるからね、きっとフランに気に入られてる私に対して複雑な感情を持ってる。お、当たり?ふふふ。そうして私のことで悩んでるフランも、それを解決できない自分自身ももどかしくて仕方がないことでしょう。ああ、たまらないわ!

 

「どうして愛という感情は歪んでいくんでしょうね」

 

常にドラマチックに生きていたいと思います。

 

「そう。で、それを私に話しても良かったのかしら?もしかしたら私が今ここにフランを呼んでくるかもしれない」

 

んにゃ、そんなことはしないよ。だって貴女、お姉ちゃんと同じくらい自分以外はどうでもいい人でしょう?

 

「アレと同列に扱われるか。まあ否定はしないのだけれどね」

 

そういうことよ。あとはまあ適当に、私が来たってわかる物を置いておけばいいかな。うーん、何にしよう。

 

「図書館に害がなければなんでもいい。そもそもあの子は匂いとかでそういうのわかると思うわよ」

 

え、怖。あの子も大概だよね。

 

「だから意気投合したんじゃないの?ほら、同じ頭がアレな者同士で」

 

言い方。うーん、私はお姉ちゃんに育てられた可哀想な子だからなぁ。

 

「天然物の出来だと思うけどね。あ、言い忘れてた。ここで煙草を吸おうとしたら頭から水を被せるからその気でいるように」

 

え、誰から聞いたのその話。

 

「この前アリスが来た時に貴女の話をしてたわよ?有毒ガスを吹きつけられたってね」

 

そんな危険生物みたいに言わないでよ。そういえば貴女は体調悪いんだっけ?それならやめといたほうがいいね。

 

「そういうこと。まだ心が残っててよかったわ」

 

下手したらお姉ちゃんと同列に扱われてそうだねこれ。お互い様ってことか。

 

「あ、あと魔法少女になりたいんだっけ?持ってかないなら別にここで読んでてもいいわよ、魔法に関する本」

 

うーん、魔法少女は魔法を使うというより悪と戦う正義の女の子だからなぁ。あ、パッチェさんは似合うと思うよ、触手と戦う女の子。

 

「誰がパッチェさんだ。そしてそんな役割も御免よ」

 

えー絶対似合うのに。とにかく魔法少女に必要なのは変身と正義の心、魔法じゃないんだよ。

 

「じゃあ貴女には無理ね。変身はともかく正義の心は持ってないじゃない」

 

そんなことないよ?私は常に平和を願う心優しい女の子。

 

「人の心を弄んで優しい女の子とはね。それにしても変身って、何になるのよ」

 

何にって、魔法少女にだよ。胸元に大きなリボンをつけた専用コスチュームに着替えて戦うの!

 

「専用コスチューム、胸元にリボンねぇ。ふむ」

 

そういうとパッチェさんは少し考え、おもむろに席を立った。その後に何かの呪文を唱え、

 

「変身」

 

パッチェさんを包む虹色の光。体はシルエットから裸になっているのが伺える。そして腕、足、体と衣装が変わったところから光は消え、最後に胸元の大きなリボンの出現と共に虹色の光は弾けた。こ、これは魔法少女の変身!?

 

「こんなものかしら?」

 

な、なん・・・だと・・・。今のはまさしく変身。まさか、これも魔法だというのか───!?

 

「そうよ、これも魔法。魔法の原点は不可能を可能にすること。出来ないことなんてないのよ」

 

その魔法、私に教えてください!!!

 

 




登場人物

・古明地こいし

愉悦部部長。フランちゃんを愛でようの会会員でもある。

・パッチェさん

利己的魔法少女。正義の心は持ってない。
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