私はまだ図書館にいる。理由は簡単だ。
「へーんしん!」
ポーズを決め決め台詞を叫んでも私を虹色の光が包むだけで衣装は変わらない。うーん。
「むしろ何故虹色の光を発するのか知りたいわね。こんな短時間で魔法を習得したとか言われたら泣けてくるわ」
フランドールもそうだったけど、と付け加えるパッさん。あ、にらまれた。パッチェさんね、うん。
「どうでもいいけどね。一体見よう見まねでどうしてそんなことができるのかしら」
そうは言われても、魔法使いが魔力?を使ってるのと同じように妖力を使っているだけだ。現に替えの服を持ってきていない私は変身ができない。
「それはこの服が魔力によって形成されてるからに他ならない。直すのも改造するのも私次第ってわけさね」
それは無理だ。私の服は私の妖力でてきているものじゃなくて普通の服だから。くっ、殺せ。
「いや殺さないけど。しかしなるほど、弾幕ごっこなんてやってるわけだから理に適ってはいる」
別に扱ってる力の種類が違うだけで、やってることは同じだからね。魔法と見間違えたのなら、吸血鬼みたいに私の妖力が魔力に近いだけのお話。
「納得。疑問も解けたところで、そろそろかしらね」
そろそろ?なにが?
そう答えると同時に勢いよく図書館の扉が開き、何かが私の元に突っ込んでくる。マジですか。
「こいしー!!」
私の元に今にも着弾して来ようとするのは、我が友フランドールではないか。当然死にたくないので私は避け、床に着弾する前にパッチェさんが魔法で食い止めた。
「お願いだから壊さないで」
「はーい!」
きっと同じ過ちを繰り返すんだろうなぁと思う。でもどうして私がきているのがバレたんだろう。
「パチュリーが教えてくれたの!こいしがきてるよって!」
え?嘘でしょ。パッチェさんの方を見ると心底意地の悪い笑顔で返された。
「高を括ってる奴に一杯食わせるのは楽しいったらありゃしないわね。ねぇホームズさん?」
わぁ、まだ根に持ってたのね。
「ねぇ、どうして私に会いにきてくれなかったの?忙しかったの?もしかして嫌われた?それとも飽きちゃった?ねぇ、ダメなところがあったら治すから遠慮なく言って?」
かわいいいいいいいい!!不安そうな光のない目で私の体をゆさゆさと揺らすフラン。今にも泣きだしそう。
「ううん、用事があっただけよ」
「本当?」
「うん、本当」
フランの顔がパッと明るくなる。不安そうに涙をためた目は太陽なような笑みに。こりゃ堪りませんわ。
そんなことを考えているとちょいちょいと赤髪の女に肩を突かれる。この子は『こあ』、パッチェさんが小悪魔って呼んでたから。
「いやぁ、こいしさんも中々いい趣味してますねぇ」
貴女に言われるのは心外。ここの図書館にはろくな人がいない。
「ね、こいし。私の部屋であそぼ?退屈で仕方なかったんだから」
「うん、いいよ」
どうせ私も暇だったし、という言葉を飲み込む。危ない危ない、さっき用事があるって言ったばかりなのに。いや、敢えて口を滑らせて追及されるのも悪くないかな?再びハイライトが無くなるフランを想像して唸る。
「はやくー」
いいや、今日は普通に遊びましょうかね。
登場人物
・古明地こいし
愛されたいヤンデレ。前回と今回では完全にドがつく畜生。
・フラン
愛したいヤンデレ。可哀想で可愛い。
・パッさん
仕返しが終わるとどうでもよくなった。ヤンデレ同士の歪んだ愛情も自分に無関係ならどうでもいい人。
・小悪魔
人に突っかかるタイプのクズ。愛憎劇とか大好き。