私はとても大きい館の主人の妹、つまりお嬢様である。…正直数百年前に惨めに隠れながら生活をしていた頃を考えるとありえないと思えるくらいの生活をしてる。
そんなことは置いておいて、紅魔館に行ったときもそうだったけど、何かと大きな館での趣向品は紅茶と決まっているものだ。紅茶の茶葉は外の世界では大量に量産されているらしく、もう高級品とは言えない。だというのに、紅茶を飲んでいるだけで何故か高貴な身分であるという錯覚すら覚える。どんなに不味い紅茶でも。
「つまり貴女は私が淹れた紅茶に文句があるのね?」
渋い。それはもう渋すぎるという言葉じゃ足りないくらいに。どれだけティーパックをつけておいたらこんなことになるの?
「良いじゃない、味が濃くてお得でしょ?」
お姉ちゃんみたいな舌バカと一緒にしないでくれる?目玉焼きにソースかけるような人だもん、きっと薄味じゃ無味と変わらないに違いない。
「調味料についての論争は不毛だからやめておきなさい。それに…うん、そこまで濃くないわよ」
それは私の後に淹れた消費済みのティーパックだからでしょ。
「文句ばっかり。あんたが急に紅茶が飲みたいとか言い出したからお燐がいない今この私がわざわざ直々にこうして紅茶を淹れてあげたというのに」
そうだね、ごめんね。もう頼まないから許してね。
「失礼が過ぎると思わない?」
思わない。
「へぇ、それで家出してきたの?」
いや全然。暇だから遊びに来ただけよ。
「私はこいしが来てくれればなんでもいいけどね」
そういえば、とフランが思い出したように続ける。
「ついこの間似たようなことがあったわ。お姉さまが私に…まあ正確には私たちのおやつにだけど、チョコレートのケーキを焼いてくれたの」
へぇ、あのレミリアが。それで?
「咲夜に手伝ってもらったみたいで、明らかに形の綺麗なのが2,3個あったんだけど。まあ、大体は整ってない形のばっかり」
簡単に想像できちゃう。砂糖と塩間違ってたりしなかったの?
「咲夜が見てるから大丈夫だったんでしょ。そんで、『これお姉さまが作ったの?』って聞いたら『ど、どうでもいいでしょそんなこと!早く食べましょ!』ってはぐらかされてさ。私が食べようとしてる時もソワソワとこっち見てたからわかりやすいのなんのってね」
なんだか、出来る時と下手打つ時が両極端だよね。可愛らしいところでもあるけど。
で、美味しかったの?
「うーん、まあまあ?咲夜が作るのと比べちゃ劣るけど、食べられないほどじゃないし。どうせ咲夜の手伝いがなかったらとんでもないものが出来上がったに違いないわ」
文句言わないの?咲夜の作ったほうがよかったーなんて言いそうなもんだけど。
「私をどんな奴だと思ってるのよ。そりゃあ咲夜が作ったほうが美味しいけど、明らかに私の反応を見てる感じ私のために作ったものでしょ?食べられないほどまずかったら文句も出るけど、せっかく私に作ってくれたものを無下にするのも悪いじゃない」
…確かに。むむむ。
「さとりさんに文句言ったのを後悔してるの?だったら謝ればいいじゃない、変なとこで強情なのは悪いところね」
乙女心は複雑なんですぅ〜。…まあ、ちょっとだけ話してみようかな。ちょっとだけね。
「はいはい、素直じゃないんだから。今日はもう帰ったら?」
珍しい、いつも引き止めるくせに。
そういうとフランはふふんと鼻を鳴らした。
「私の隣にいるのに、私以外のことをずっと考えてるなんて許さないわ」
さいですか…。
「あ、あのさお姉ちゃん」
「どうしたのよ、クネクネして」
クネクネってなに。いやいや、今はそんなことどうでもいいでしょ。
「あの、この間の紅茶さ。すごい渋くて不味かったけど…」
「この期に及んでまだケンカを売るか。買ってやってもいいわよ」
「違くて!その…不味かったけど、また淹れてくれる?」
そういうとお姉ちゃんは余計に怪訝な顔になった。
「何か変なものでも食べた?不味いものを食べたいなんて正気?」
こ、この姉は私の気も知らないで…。
「お姉ちゃんのバカ!アホ!人でなし!大好き!」
私は全速力で地霊殿から出ていくのだった。
「なんだったのかしら…」
登場人物
・古明地こいし
いいとこのお嬢様になった子。ルカリオとかガブリアスとか使いそう。
・フラン
最初からいいとこのお嬢様。可愛いポケモン好きそう。
・古明地さとり
いい性格のお嬢様。毒タイプのポケモンよりも毒を吐くのが上手い。不器用(物理)