幻想郷は人間と妖怪の入り乱れる無法地帯。人が人を食い妖怪もまた人を食う。じゃあ誰がこの幻想郷の秩序を保っているの?その答えはこの神社にある。
「掃除の邪魔」
そう言わないでよ。せっかく来てあげたのにそんなに邪険に扱うことないじゃない。
「誰も来いなんて言ってないわよ」
言われてないねぇ。でもお燐は良くて私はダメなのはずるいじゃない、猫だから?猫だから許されるの?うん?
「確かに。あんたも猫になれば居ても良いわよ」
無理に決まってるでしょー。
この暇そうな神社の暇そうな巫女は博麗霊夢。幻想郷の調停者と言っても過言じゃない。
「あとそれ、煙たいからあんまり出さないでくれる?」
えー、せっかく落ち着いて煙草が吸える場所を見つけたのに。これでも人に気を使って最近は人と会う時は控えてたんだから。
「知らないわよ。ていうかそんな火のついたものそこに落としてみなさい、火だるまの刑よ」
人間とは思えないほど残酷なこと考えるね。まあほら、吸い殻なんて妖力で消し炭にしちゃえば良いんだからさ。
「ならいいけど。まったく、なんでうちには妖怪ばっかり集まるんだか」
妖怪みたいな人間が巫女だからじゃない?あ、うそうそ。嘘だから怒らないで、ね?
「お掃除終わり、っと」
お疲れ様。ねえ霊夢、最近なんか変わったこととかなかった?
「変わったこと?いや特に…」
えー、じゃあ異変の話とか聞かせてよ。
「異変って言っても、邪魔してくるやつを倒してるだけだからあんまり覚えてないのよねぇ」
妖怪どころじゃないねこりゃ。私が言えたことじゃないけどもうちょっと華のある人生を送ったら?そんなふわふわ生きてても味気ないでしょーに。
「余計なお世話よ。それに私は平穏が一番なの、そんな派手な人生を送りたがるのは魔理沙くらいね」
可愛くないねぇ。せめて笑顔で人と話したら?ほら、笑って笑ってーぐにぐに。
「なるほど、あんたも笑顔にしてやろうか?」
すいませんでした。そんなことよりお茶が欲しいな、喉乾いちゃった。
「図々しいわねぇ。そこで待ってなさい」
お、お茶出てくるんだ。半分、いや8割くらいは無理だろうと思ってたけど案外すんなりと。
「ほら、これ飲んだら帰りなさいよ」
どうしよっかなぁ。あ、そうだ!あの子の話聞かせてよ、外の世界からたまに遊びにくる子。
「うーん、菫子のこと?別にいいけど、なんでまた」
興味があるからに決まってるじゃん。今日は来てないの?
「さあ?来てても別のところにいるのかもしれないし。話ってどんな話を聞かせればいいわけ?」
ちょっと決闘したくらいだからどんな子か知らないんだよね。なんでもいいから、エピソードとか。
「そうねぇ…この間『すまーとふぉん』って機械で『いんすたぐらむ』をしてる話を聞いたんだけどね…」
「これくらいかしら。満足した?」
いやー面白かった。どこかで会えないかな?
「あんたと同じで神出鬼没だからね。次にあの子が寝た時にこっちに来ればどこかで会えるんじゃない?」
私もその子も神出鬼没じゃあ会える確率の方が低いよね。まあ、気長に待とうかな。
「知り合いが妖怪に食われたなんて話聞きたくないから、変なことしないでよね」
そんなことしませんよーだ。私はそんな野蛮な妖怪じゃないのだ。
「あっそ、会えるといいわね」
会えるよきっと、100年後とかは流石に死んじゃってるかもだけど。
登場人物
・古明地こいし
空飛ぶ巫女より浮いてる子。ポケットサイズのモンスターを愛でるゲームがしたいらしい。
・博麗霊夢
泣く子も黙らせる鬼の妖怪。というのは嘘だけど鬼よりも怖いとの噂。