お姉ちゃん、それなに?   作:えんどう豆TW

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忙しさにかまけてました
しばらく菫子ちゃんの話書きたいので続きます
菫子ちゃん視点


宇佐見菫子の悪夢

 

 

 

私は夢を見る。きっと人に話したら笑われるような突拍子もない夢。女の子達が自分は妖怪だとかなんかとか言って、ビームを放ってくるとかなんとか。

でも私はこの場所を知っている。知っているから夢じゃないと思える。それすらも夢だと言われたら否定できないけど…まあその時はいよいよ私の精神が参ってしまっているということなので私自身どうしようもないと思う。

 

「どうしたの?黙っちゃって」

「え?あ、あぁ…なんでもないわ」

 

私の夢には妖怪がはびこっている。だから出歩く時は誰かと一緒に、だ。とはいえ今私を守ってくれてる子も妖怪なんだけど…。

 

「ねぇ、それよりも本当に地獄に行くの?私死なない?」

「大丈夫だよ、運が良ければ死なないから」

「それめちゃくちゃ危険よね!?」

 

その護衛役に殺されそうになっている今現在。普通なら地獄なんて名前のところ行きたくもないけど、結局のところ私は好奇心に負けて首を縦に振ったのだ。

 

「でもいいところだよ、地獄」

「そりゃ貴女は妖怪だからね」

「きっと菫子も気に入るよ。いざとなったら私が助けてあげるからさ」

 

まあ実際助けて貰ったこともあるから信用はするけど…。なんかこの子怖いのよね。なんていうか、得体が知れないっていうか、例えるなら1秒前まで満面の笑みで話してたのに急に真顔になって飽きたとか言い出すような、そんな怖さ。

 

「信用されてないなぁ、私」

「あー、貴女心が読める妖怪だっけ?」

「いや私は無理、お姉ちゃんだけだね。でもその疑わしい目をしてたら誰でも気づくと思うよ?」

「そんな顔してたかしら」

「してた」

 

の割には特に気にしてる風でもないのよね。そこが怖いっての。

人間…いや、知性を持った生物の最大の武器は『知っている』ということだ。知っていれば準備ができる、対策ができる、落ち着いて対処ができる。だからこそ、正体不明(しらないもの)を恐れる。だからこそ、私はこの少女が怖かった。

 

「私が怖いの?」

 

本当は心が読めるんじゃないか、と疑うほどに鋭いこいし。この心を見透かされたような言動もやっぱり怖い。

 

「だって、目の前に食べ物が置かれたら目隠しされても匂いでわかるでしょ?」

 

私を食べる気かよ。

 

 

 

 

「着いたよ。ここが地底、もとい地獄の入口」

「ただの穴に見えるけど…」

 

穴と言うよりは洞窟。大穴がまるで私を飲み込もうとしているかのように見えた。試しに石ころを投げ入れてみても、一度壁にぶつかってその後は音が帰ってくることは無かった。

 

「この穴、すごい深いわよ?どうやって入るのよ」

「そりゃもちろん降りるよ。ここ以外に入口はないし」

「お迎えのゴンドラでも来てくれるのかしら」

「いや、普通に」

 

言い終えると同時にこいしは私の腕を掴んで大穴に飛び込んだ。

 

 

 

…ん?飛び込んだ?飛び込んだんだけど!?

 

「へ?ええええええええぇぇぇぇぇぇ!?!?」

「1名様ごあんなーい!」

 

妖怪どころか死神だった。無力な私は無残にも逆らうことが出来ず天国…いや、地獄への片道切符を渡され特急列車で向かっている。

 

「ちょっと!!このままじゃ死んじゃう!!着地できるんでしょうね!?」

「たのしーねー!あ、喋りすぎると舌噛んじゃうよ?」

 

そんな場合じゃない!と言いたいところだが直前の言葉が気になって口を開けない。

と、そこに私の住んでる世界ではおよそ見られないであろう蜘蛛の巣が下に見えた。なるほど、あれがクッションになってくれるのね。

 

「ちょっと通るよ、ごめんねー」

 

ところがこいしはどこから取り出したのか、片手で持てるほどの包丁で蜘蛛の巣を切り裂いた。

いや何してくれてんの!?

 

「なんだか非難の目を感じるんだけど」

 

そりゃそうよ!でも舌噛むのは嫌だから喋らないけど!これで下に落ちて妖怪しか生き残れないみたいなオチは絶対に嫌だからね!

ていうか地面見えてきた!ねぇ地面が見える!地面が見えるってことはおよそ何もクッション的なものがないってことよねぇ!?

私の超能力はあくまで力を加えるだけで、力学的な法則には逆らえない。つまりこんなに下方への力のかかった状況では浮遊することが出来ない。ああ、終わった。

 

「きゃー!落ちるー!」

 

こいつは妖怪だからって楽しんで!ああもう涙が出てきた、これは目が乾いたからか死への恐怖からか…。

あ、もうダメ死ぬさよならお父さんお母さん先立つ不幸をお許し…と、ここで私は柔らかい伸縮性のあるものに支えられ弾き飛ばされた。

 

 

いやどのみち岩壁にぶつか…らない。誰かが私のことをキャッチしてくれた。

 

「こいしちゃ〜ん。頼むから普通に糸に引っかかってくれないかな?こっちから迎えに行くからさぁ」

「えー、こっちの方が楽しいのに」

「蜘蛛の巣を治すのも大変なんだよ?それに毎回落ちてくる度にげんなりした仲間の声を聞いて下で待機する身にもなって欲しいなぁ」

 

お友達…かな?どうにか私は助かったらしい。

 




登場人物

・古明地こいし

君はすぐそうやって破天荒な行動をとるのに、そんな太陽のような笑顔を向けられたら許すしかないじゃないか。

・宇佐見菫子

今回の可哀想ポジション。まともな価値観でいると幻想郷では生きていけないことを学んでほしい。

・土蜘蛛の女の子

ヤマメですか(歓喜)仲間と思って貰えたら優しくしてくれるけど、それまでは普通に殺しに来たりするタイプ。
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